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建設労働者、出稼労働者の職場の安全確保と雇用の改善に関する質問主意書
衆議院 第87回 第3号
質問本文
衆議院議長 ※(注)尾弘吉 殿
建設労働者、出稼労働者の職場の安全確保と雇用の改善に関する質問主意書
建設労働者、出稼労働者をめぐる職場環境の改善は依然として進まず、また、雇用関係も不正常なものが極めて多く、そのために労働災害や事故が多発している現状である。
ここに質問として取り上げた、昭和五十二年六月二十四日午前一時頃、大阪市大正区三軒家東五ノ三ノ二七所在の柳井建設(社長柳井武雄こと柳根祚…韓国籍)付属寄宿舎より出火、全焼し、宿泊の労働者中十二名の焼死者と二名の負傷者を出した労災事故は、その原因が建設業付属寄宿舎規程の無視に基づくものであり、かつ、被災者を含む当時宿泊していた全労働者の雇用関係も極めて不正常で、職業安定法違反の疑いが濃厚である。従つて事故発生当時、この職場において労働基準法やその他の関係労働諸法規が守られ、労働者の安全管理や正常な雇用関係が確立されていたかどうか、極めて重大である。
よつて、当焼死事故に関連して次の事項について質問する。
一 焼失したこの宿舎は、建設業付属寄宿舎規程に違反していたといわれているが、その違反点を具体的に指摘してもらいたい。加えて、この事故以前に関係監督官庁が当宿舎の点検、検査、行政指導等行つたことがあるか否か。あるとすればその内容について明らかにされたい。
二 この事故による死亡、負傷者全員の姓名、生年月日、本籍、続柄など明らかにされたい。
三 死亡、負傷者等全被災労働者に対し給付された「労働者災害補償保険法」に基づく諸給付の内容を、各個人別に詳細に明らかにされたい。また、受給権者の氏名、続柄、生年月日、住所等についても明らかにされたい。
四 前記、労働者災害補償保険法に基づく給付金算出に当たり、その給付基礎日額をどのようにして計算されたのか、その根拠を明示してもらいたい ― 賃金台帳の有無、焼残りの賃金台帳によつたものか、過去一定期間支払つたという賃金の内容などその算出方法と根拠について ― 。
五 事故発生は六月二十四日であつたが、六月分の死亡者十二名の未払賃金は、事業主等の記憶によつて大阪労働基準局・監督署は次のように認定されたと聞いているが、事実か。
死亡者
村田
建一
十五万円
月給
〃
杉田
幸男
五千五百円
十八日分
〃
山田
修助
六千二百円
十日分
〃
梶谷
哲康
六千円
八日分
〃
西谷
渡
五千円
十八日分
〃
穴戸
勤
五千円
十七日分
〃
松田
勲
六千円
十二日分
〃
金
泰鎰
五千五百円
十七日分
〃
小野
安馬
五千円
二十日分
〃
押岡
豊巳
五千円
三日分
〃
矢川
広
五千円
一日分
〃
水野(身元不明)
不明
不明
六 認定したことが事実とすれば、十二名の死亡者を含む全被災者が、六月中に就労した工事現場、その元請業者等についても調査をされたと思うので、それらを明らかにされた上、被災者別に稼働した日数も含めて明らかにされたい。
なお、六月中における被災者以外の労働者の就労先の元請業者と就労延人員をも、また、工事現場への往来は、柳井建設宿舎よりマイクロバス等で通勤させたか、それとも、供給先の元請業者の寄宿舎に宿泊させて就労させていたのか等々についても明らかにされたい。
七 当事故発生前六カ月間における各被災者にかかわる求人、供給の具体的内容を、各被災者別に明らかにしてもらいたい(就労先の現場、元請業者、稼働日数等)。
八 財団法人西成労働福祉センターの記録によれば、柳井建設は当センターより次のごとく労働者を直接募集している。すなわち、昭和五十二年一月(四三人)、二月(二七〇人)、三月(四五五人)、四月(三二五人)、五月(三六三人)、六月(一〇八人)となつている。柳井建設はこれらの労働者を各方面の建設現場に移送し、元請業者に供給配置していたものであつて、雇用、労務供給上問題があり、職安法違反の疑いも持たれている。よつて、これらの労働者がどこの現場に、どこの元請業者に供給配置されていたのか、その稼働延人員は何人か、本事故発生前六カ月間のこれらの実態についても明らかにされたい。
なお、当方の調査によつて、五十二年三月以降柳井建設が労務供給した元請業者は、次のごとく判明している。
坂口建設(摂津市内の流通センター工事)
西濃組(西淀川区道路工事)
藤原工務店(吹田市の府営住宅工事)
銭高組 ― 下請駒井建設 ― 千代田組
奥村組関西支店(四日市市の百貨店工事)
佐藤道路
大林組 ― 下請大信建設(生駒の樟蔭学園小学校工事)
これらに関する大阪労働基準局・監督署の調査の結果と内容、元請業者別の就労人数を明らかにされたい。
九 最近時における建設業付属寄宿舎の点検、検査、行政指導、さらに建設労働者の雇用の改善に関する行政指導等の実施の内容と結果について明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
昭和五十二年六月二十四日焼失した柳井建設の事業附属寄宿舎に係る建設業附属寄宿舎規程(昭和四十二年労働省令第二十七号)違反の具体的内容は次のとおりである。
(一) 出入口が一箇所しか設けられていなかつたこと(建設業附属寄宿舎規程第十条第一項)。
(二) 警報設備が設けられていなかつたこと(同規程第十一条)。
(三) 廊下の幅が一・六メートル未満であつたこと(同規程第十四条)。
また、労働基準監督機関が、この事故以前に当該寄宿舎に対して、点検、検査、行政指導等を行つたことはないが、大阪市消防局では、昭和四十九年末に当該施設に立入り調査し、数回にわたつて改善方を警告するとともに厳重に指導したと聞いている。
二について
この事故による死亡者及び負傷者の姓名、生年月日、本籍及び続柄は、別表一のとおりである。
三について
被災労働者に対して給付された労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)に基づく諸給付等の内容並びに受給権者の氏名、続柄、生年月日及び住所は、別表二のとおりである。
四について
被災労働者に係る給付基礎日額は、火災により賃金台帳の大部分が焼失し、被災労働者に係る賃金総額が不明であつたため、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第十二条第八項及び昭和二十四年労働省告示第五号(労働基準法第十二条等の規定によつて算定し得ない場合の平均賃金を定める告示)第二条の規定に基づき、一部残存していた賃金台帳及び事業主の記憶によつて賃金総額を推算し、算出したものである。
五について
山田修助について「六千二百円」とあるのが「六千円」であること、「西谷 渡」とあるのが「西吉 渡」であること、金 泰鎰について「十七日分」とあるのが「三日分」であること、小野安馬について「五千円 二十日分」のほか「残業八時間分」があること、「押岡 豊巳」とあるのが「押岡 豊己」であること及び水野(身元不明)について「不明 不明」とあるのが「五千円 二日分」であることを除けば、質問主意書に記載されたとおりであると事業主から報告を受けているところである。
六から八までについて
被災労働者の就労した工事現場及びその元請業者、被災労働者別の稼動日数、被災者以外の労働者の就労先の元請業者及び就労延人員、各被災者にかかわる求人、供給の具体的内容、柳井建設が財団法人西成労働福祉センターより募集した労働者の供給配置の状況及び稼動延人員の実態等の詳細については、事故により関係書類が焼失したため、不明であるが、労働者、事業主等の供述から就労したと思われる工事現場及びその元請業者は、別表三のとおりである。
なお、工事現場への往復には、当該寄宿舎から近距離にある現場については柳井建設所有のマイクロバスを使用し、遠距離にある現場については元請業者の提供した他の寄宿舎に宿泊させていたと聞いている。
また、財団法人西成労働福祉センターが柳井建設に対して紹介した労働者数は、昭和五十二年五月については三百三人であるほかは質問主意書に記載された数のとおりである。
九について
(一) 本件火災事故の発生にかんがみ、労働基準監督機関においては、昭和五十二年九月から十月にかけて全国の二千九百九十五の建設業附属寄宿舎についていつせい監督を実施したところであるが、このうち二千二十六の寄宿舎について労働基準法その他関係法令に違反する事実が認められたので、その是正につき厳正に措置するとともに、十七の建設業附属寄宿舎について使用停止措置を講じたところである。
(二) 建設労働者の雇用の改善については、昭和五十一年に施行された建設労働者の雇用の改善等に関する法律(昭和五十一年法律第三十三号)を中心に、各種の施策を展開しているところであるが、特に、雇用管理責任者の選任等については、毎月定期的に建設事業主を対象としたヒアリングを実施し、履行の徹底を促すとともに、毎年十一月を「建設雇用改善推進月間」として設定し、その月間に広報活動をはじめ種々の行事を集中的に実施し、建設労働者の雇用の改善に対する気運の醸成に努めており、逐次その成果があらわれているところである。
また、建設労働者の能力の開発向上や福祉の増進を目的とした建設雇用改善助成金についても、その活用が進んでおり、今後とも、この助成制度の一層の充実を図ることにより、作業員宿舎の整備等建設労働者の福祉の増進に努めていく考えである。
右答弁する。
別表一
別表二
別表三
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。