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交通遺児対策に関する質問主意書

衆議院 第90回 第5号

提出者
衆議院
提出日
1979年12月7日
内閣転送 1979年12月11日
答弁書受領日
1979年12月21日
提出から14日
答弁の項目数
6
質問 1,033字/答弁 1,282字

質問本文

衆議院議長 ※(注)尾弘吉 殿

交通遺児対策に関する質問主意書

財団法人「交通遺児育英会」が先に交通遺児家庭を対象に行つた「生活と教育に関する」調査結果は、交通遺児家庭の大半が貧窮の淵に立たされていることを浮彫りにしている。母親の多くは過労から病気がちであり、雇用状態も不安定で低収入に悩んでいることが明らかにされている。

中でも、遺児家庭の進学問題は深刻であり、貧困が高校進学の夢を打ち砕き、また中途退学を余儀なくさせている。こうした実態は、約十二万人の交通遺児に限らず全国六十三万の母子家庭の全体の姿でもあると言える。このような遺児家庭の窮状を打開することは極めて緊要である。

従つて、次の事項について質問する。

一 教育費の高騰が交通遺児の高校進学の夢を打ち砕いている。財団法人「交通遺児育英会」の資金は窮迫状況にあり、来年度は実質的に活動不能になるとみられるが、どう認識しているか。

この苦難を打開するために、政府補助金を増額し、「育英会」が行う奨学金の増額や対象者の拡大等の措置に対する援助を行うべきであると考えるがどうか。

二 現在、交通遺児対策の一環として、自動車事故対策センターが行つている交通遺児への貸付限度額について、その引上げとともに貸付対象の拡大を図るべきであると考えるがどうか。

三 官公庁や公的機関、民間会社などに法定雇用率を定め、母親の就職を保障すべきであると考えるがどうか。

四 母親達の働きやすい環境をつくるため、保育園の優先入園や有給職業訓練制度の充実、雇用奨励金の増額などを考えるべきであるがどうか。

五 「母子家庭の母親の雇用促進法」(仮称)の早期制定は、母子家庭の強い要望である。本法の早急な法制化が必要と考えるが、次期国会(第九十一通常国会)においてどのように措置されるか。

六 遺族年金、母子年金等の最低保障額は、生活実態とかなりかけ離れた現状にある。実勢に合わせ、その引上げを図るべきと考えるがどうか。

七 母子家庭における母親は唯一の働き手である。母親の健康を守るため等から、生活保護の被保護世帯の生活水準に極めて近いボーダー・ライン層にある母子家庭の、実質的な「医療費の費用負担軽減」を実施すべきであると考えるがどうか。

八 第二次石油インフレの被害を直接被つている母子家庭の生活の窮状を打開するため、“灯油代”“もち代”などの考え方を含む越年資金を緊急に支給すべきであると考えるがどう措置されるか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

財団法人「交通遺児育英会」に対しては、その設立の趣旨及び事業内容にかんがみ、発足以来必要な援助を行つているところであるが、同会は、近年における事業内容の拡大等に伴い財政的に厳しい状況にある。

交通遺児の高校進学を援助するため、同会が行う交通遺児修学援助事業に対して、昭和五十四年度予算においては、自動車損害賠償責任再保険特別会計に二億四千四百万円の補助金を計上しているところである。

また、このほか、都道府県が実施する高等学校交通遺児授業料減免事業に対しても助成を行つており、昭和五十四年度予算においては、同特別会計に一億九千三百万円を計上している。

今後とも、交通遺児の高校進学に係る援助については、その拡充に努めてまいりたい。

二について

自動車事故対策センターにおいては、交通遺児を対象として無利子で生活資金の貸付けを行つているが、今後ともその充実に努めてまいりたい。

三から五までについて

交通遺児家庭の母親を含めて母子家庭の母親の雇用を促進するためには、育児等家庭生活上の負担の軽減、職業能力の開発・向上等を図ることにより、常用労働者として就労することができるような環境の整備に努める必要がある。

このため、政府としては、就職を希望する母子家庭の母親に対しては個々の事情に応じた適切な職業相談・職業紹介に努めるとともに、訓練手当を支給しつつ行う職業訓練又は職場適応訓練の実施、雇用奨励金の支給等により母子家庭の母親がその適性、能力等にふさわしい職業に就き、安定した雇用と収入が得られるよう種々の対策を講じているところである。また、母子家庭においては、母親の就労の必要性及び緊急性が高いと思われることから、従来から、母親が就労している母子家庭の乳幼児については、「保育に欠ける児童」として優先的に保育所へ入所させるよう市町村長に対して指導してきたところである。

政府としては、今後ともかかる対策を推進し、母子家庭の母親の雇用の促進を図つていく考えであり、御指摘のような立法措置を講ずることは考えていない。

六について

遺族年金、母子年金等は、生計中心者の死亡により残された遺族の生活の支えとして重要な意義を有しており、その改善は、今後の年金制度の改正において検討すべき事項の一つであると考えている。

七について

母子家庭に対する医療費負担の軽減についての御指摘であるが、我が国の医療保険制度においては国民皆保険体制が採られ、また、高額療養費支給制度の創設などによりその給付内容についても逐次改善が図られてきていることもあるので、新たに母子家庭について医療費公費負担制度を設ける考えはないが、母子家庭において医療を受けるに当たつて必要な資金を援助する方途として、母子福祉資金貸付制度の中に療養資金を設けており、従来からその改善を図つてきているところである。

八について

石油製品価格の上昇傾向はみられるが、消費者物価全体の動向としては、これまで安定的に推移していること等からみて、御指摘のような特別の措置を講ずることは考えていない。

右答弁する。

衆議院の原文

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