Kurage 質問主意書アシスト

ことばで探す › 衆議院 第98回

政府がすすめつつある農産物輸入の自由化・枠拡大等に関する質問主意書

衆議院 第98回 第1号お答えすることは困難 ×1

提出者
衆議院
提出日
1983年1月7日
内閣転送 1983年1月12日
答弁書受領日
1983年1月18日
提出から11日
答弁の項目数
2
質問 2,903字/答弁 1,352字

質問本文

衆議院議長 福田 一 殿

政府がすすめつつある農産物輸入の自由化・枠拡大等に関する質問主意書

政府は、昨年暮、トマトジュースを始め農産物六品目の輸入枠の拡大や最低輸入量の保証、農産物四十四品目とたばこ、ビスケットなどの関税引き下げを決定した。更に、牛肉、オレンジ類の自由化・枠拡大や非関税障壁の撤廃など新たな市場開放措置の検討も伝えられており、それらをあわせて、今月中旬の首相訪米に際しての“みやげ”にしようとしている。

これは、「日米関係維持」を理由に、激しさを増すアメリカの市場開放要求を受け入れ、多くの農民の強い反対の声を押しつぶそうとするものであり、不当極まるものである。

この問題は、農産物個々の輸入枠や関税をどうするかということにとどまらず、日本農業の位置付けや経済、貿易政策から外交姿勢全般にかかわる重要な内容が含まれており、真に国民の利益を守る立場からの対処が求められると考えるので、以下、政府に質問する。

一 アメリカの主張の不当性について

1 アメリカは、農産物が日本の市場閉鎖性の象徴であるかのごとく主張している。しかし、我が国は、農産物の純輸入額で既に世界最高となつており、関税率、輸入制限のいずれをとつてもアメリカ、ECと比べ“閉鎖的”とは言えない。

しかも、日本を“閉鎖的”と非難するアメリカ自身、農産物の輸入制限や保護政策を様々な形でとつている。昨年に入つて、砂糖の輸入枠を削減し、日本に自由化を迫つている牛肉についても、国内牛肉生産保護のためオーストラリアに対米輸出の自主規制を求めている。更に、ガット発足以来、アメリカは絶大な影響力を行使して自由化義務免除(ウェーバー)を取得し、乳製品、落花生など十三品目についていまなお輸入制限をしている。しかも、それについてECなどから「三十年前の暫定措置として認められたものをいつまで続けるのか」との批判を受けたのに対して、農業の社会的経済的特殊性を理由の一つとして挙げているのである。

自国の競争力のない農産物には保護措置をとりながら、他国には市場開放を求めるというアメリカの態度は全く身勝手であり道理がないことは明らかである。

ア 政府は、日本の農産物市場が国際的にみて“閉鎖的”との認識に立つているのか。

イ アメリカの態度を身勝手とはみないのか。

ウ アメリカの主張を堂々と批判すべきだと考えるが、どうか。

2 アメリカは、農産物市場開放要求の論拠の一つとして、国内経済の停滞による保護主義の台頭を挙げている。しかし、米経済停滞の最大原因が軍拡最優先による民間投資と技術開発の立ち遅れ、財政赤字の拡大、異常な高金利政策にあることは米国内でも常識となつている。

昨年九月のIMF総会で渡辺蔵相(当時)は、「世界的なインフレと景気停滞の原因」として

「軍事費増大」を挙げているが、政府は、軍拡と経済危機の悪循環を断ち切るようアメリカに要求すべきであると思うが、どうか。

二 日本農業の保護について

1 加工トマト、雑豆、落花生などは、水田転作の重要作物として、あるいは、畑作農業の輪作作物の一つとして、それぞれの産地において積極的な振興策がとられ、地域農業の発展に重要な役割を果たしてきた。今回の農産物六品目の拡大は、その努力に水をさし、特産物の生産に大きな打撃を与えるものである。例えば、トマトジュース輸入枠の六倍強への拡大は、消費減退と在庫の増加でこの二年間に四割もの作付削減を強いられている加工トマト生産農家に、一層の生産縮小を余儀なくするものである。

政府は、六品目の枠拡大が国内生産に重大な影響を与えるとは考えないのか。それとも、これら作物の生産衰退も止むを得ないと考えているのか。

2 農産物の関税引き下げについても、日本農業に新たな打撃となるものであり認められない。とりわけ、たばこ関税については、既に昭和五十六年度に九〇パーセントから三五パーセントへ一挙に引き下げられ、たばこ輸入量の増加と国産葉たばこの生産縮小がもたらされている。これを更に二〇パーセントまで低下させることによる国内葉たばこ農家への影響を、政府は一体どのように試算しているのか。

3 アメリカが当面最も関心を注いでいる牛肉、かんきつ類は、政府自身が農基法農政以来、選択的に拡大をすすめてきた部門であり、我が国農業の基幹作物である。その牛肉生産は、現在、価格低迷や生産コストの上昇、負債の増加などによつて経営不安を強めており、また、温州みかんも生産過剰で二割の作付転換を行つているところである。それだけに、牛肉、オレンジの自由化はもちろん、枠拡大も国内生産に重大な打撃を与えることは明らかである。

中曽根総理は、昨年十二月十九日、富山での記者会見で、農産物の「段階的な輸入枠拡大」の考えを表明したが、

ア 牛肉、オレンジについても「段階的輸入枠拡大」で対処する考えなのか。

イ この「段階的」というのは、将来、牛肉、オレンジの「完全自由化」を含むものか否か。

ウ 牛肉、オレンジの新たな市場開放を一切しないと約束できるのか。

4 財界は、アメリカの要求にこたえることが自動車など工業製品の対米輸出を確保する道だ、と主張し、「オレンジと日本経済をさしちがえるようなばかなまねはすべきでない」(稲山経団連会長)とまで言つている。政府はこの驚くべき財界の論理を是認するのか、それとも、「農民を殺して何の経済か」の立場から厳しく批判するのか。

しかも、このような財界の主張は、輸出偏重型の日本経済を依然として続けることによつて対外経済摩擦を一層激化させ、他方で、農業の衰退による国土の荒廃を招くなど国民全体の利益に反するものとならざるを得ない。政府の見解を問う。

5 この二十年来、我が国は、アメリカなどの要求に屈し、次々と農産物市場を外国に明け渡してきた。輸入農産物のはんらんは、今日、国内農産物の「過剰」と市場不安を広げ、農業と農家経営に重大な困難をもたらす最大の要因となつている。更に、国民食糧の半分以上を外国に依存せざるを得ないという国の存亡にもかかわる極めて不安定な状態を生み出している。

しかも、農水産物の残存輸入制限二十二品目をすべて自由化したとしても、アメリカの貿易収支の改善は十億ドルにも達しないと言われ、対日貿易赤字百三十四億ドル(一九八一年)のほんの一部に過ぎない。日米間の貿易摩擦は、農産物市場を少々開放した程度では全く解消されず、アメリカの要求に農産物でこたえるというパターンが続く限り、最後には、国民の主食であり日本農業の大黒柱であるコメまでも外国に明け渡すという事態にゆきつかざるを得ない。

いまこそ歯止めをかけなければならない時期である。「日本政府は圧力をかければ譲歩する。圧力をかけつづけなければならない」(米下院外交委員会報告書、一九八二年三月)というアメリカ政府の対日外交政策に屈従する態度をとり続けるのか、それとも、日本農業と国民全体の利益を守る自主的外交姿勢をとるのか、政府の基本見解を最後に問う。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

1 我が国の農産物市場は、我が国が世界一の農産物純輸入国であるということからも示されるように、国際的にみて全体としては閉鎖的とは言えないものと考えている。

また、農産物については、欧米諸国とも一定の輸入制限を行つていることは事実であり、政府は、日米間の話合いにおいても常々このような事実を指摘しているところである。

日米協議等においては、今後とも、関係国との友好関係に留意しつつ、我が国農業の実情及びこれまでの市場開放措置を相手国側に十分説明し、その理解を得ながら適切に対処していく考えである。

2 米国経済はインフレの鎮静化、金利の大幅な低下等景気回復のための好条件がそろいつつあるが、米国においては財政赤字が金融市場への圧力を高め、景気回復への障害となるおそれがあることは各方面から指摘されている。

政府としても、米国が経済再建計画の下に本格的な景気回復を達成することが重要であることはあらゆる機会を通じ指摘してきているところである。

二について

1 今回の農産物六品目の輸入制限の緩和措置については、国内農産物の需給動向等を踏まえ、我が国農業の健全な発展と調和のとれた形で行われるよう十分配慮しつつ、決定したところである。

2 たばこ関税の引下げによる国内葉たばこ農家への影響については、輸入価格その他の関税以外の要因によつても変動する外国たばこの小売定価が具体的にどの程度変化するのか、し好性あるいは習慣性の強い商品特性からみて小売定価の変動がどの程度需要の変化として表われるか、国産葉の品質、使用技術等がどのように変化するか等不確定要因が多いので、計数的な予測を行うことは困難である。

3ア 牛肉及びオレンジの市場開放問題については、関係国との友好関係に留意しつつ、品目ごとの需給動向等を踏まえ適切に対処していく考えである。

イ 牛肉及びオレンジの自由化については、我が国の国内の生産事情等からすれば応じ難い諸問題がある。

ウ 牛肉及びオレンジの市場開放については、関係国との友好関係に留意しつつ、国内農産物の需給動向等を踏まえ、食料の安定供給の上で重要な役割を果たしている我が国農業の健全な発展と調和のとれた形で行われることが基本的に重要である。

かかる観点から、今後の日米協議等においては、我が国農業の実情及びこれまでの市場開放措置を相手国側に十分説明し、その理解を得ながら適切に対処していく考えである。

4及び5 政府としては、我が国を取り巻く内外の諸情勢を踏まえ、内にあつては、内需中心の経済成長を達成することが緊要であり、外に対しては、一層の市場開放努力を行い、貿易の拡大均衡に努める必要があると考えている。

農業と農村は、国民生活にとつて最も基礎的な物資である食料の安定供給を始め、就業や居住の場の提供、国土・自然環境の保全など我が国経済社会の発展と国民生活の安定に重要な役割を果たしている。

したがつて、農産物の市場開放については、関係国との友好関係に留意しつつ、国内農産物の需給動向等を踏まえ、我が国農業の健全な発展と調和のとれた形で行われることが基本的に重要である。

日米間の農産物貿易問題についても、このような立場から適切に対処していく考えである。

右答弁する。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

似た質問主意書

件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。

提出 1984年3月23日 辻一彦 答弁 1984年4月3日
衆議院 第101回 第8号
提出 1983年9月30日 寺前巖 外二名 答弁 1983年10月7日
衆議院 第100回 第5号
提出 1983年1月12日 瀬長亀次郎 答弁 1983年1月28日
衆議院 第98回 第2号
提出 1981年3月26日 渡辺武三 答弁 1981年4月7日
衆議院 第94回 第20号お答えすることは困難 ×1
提出 1986年12月20日 下田 京子 答弁 1987年1月9日
参議院 第107回 第18号
提出 1988年5月25日 下田 京子 答弁 1988年6月10日
参議院 第112回 第18号
提出 1989年11月20日 滝沢幸助 答弁 1989年12月12日
衆議院 第116回 第11号

この論点で次の質問を書くなら

アシストで並べる