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米戦艦ニュージャージー寄港とその事前協議に関する質問主意書

衆議院 第99回 第7号

提出者
衆議院
提出日
1983年7月22日
内閣転送 1983年7月23日
答弁書受領日
1983年8月5日
提出から14日
答弁の項目数
1
質問 2,014字/答弁 440字

質問本文

衆議院議長 福田 一 殿

米戦艦ニュージャージー寄港とその事前協議に関する質問主意書

核巡航ミサイル積載予定の米戦艦ニュージャージーのわが国への寄港は、わが国への核持ち込みの灰色部分として新たに疑惑の目が向けられている。

従つて、次の事項について質問する。

一 巡航ミサイル「トマホーク」の米戦艦ニュージャージーによる持ち込みは、日米安保条約・事前協議に関する藤山・マッカーサー口頭了解に明記されている「中・長距離ミサイル」の持ち込みに該当することは、政府提出の英文をみても明らかである。故に、この規定を厳格に解して、米戦艦ニュージャージーの寄港に際しては、巡航ミサイル「トマホーク」は「中・長距離ミサイル」の持ち込みであり、日本政府に事前協議を要する旨の確認を米政府に申し入れるべきであるが、どうか。

二 一九六〇年の日米安保条約締結当時は、非核の中・長距離ミサイルが想定されなかつたことを考えると、こんにちの核・非核の巡航ミサイル「トマホーク」の出現は、状況の新たな変化であり、藤山・マッカーサー口頭了解の「中・長距離ミサイル」の持ち込みを事前協議の対象とするという事項に関しては、国際法的には事情の変更ということで、新たなとりきめが必要であると考えるが、どうか。

三 新たな了解事項のとりきめに際しては、核・非核の中距離ミサイルの出現により、核持ち込みに関していわゆる灰色とされる分野の持ち込みも許さないとりきめとすることが、非核三原則を国是とする政府のとるべき措置である。こういう措置をとる考えがあるか。

四 さらに、政府が中距離ミサイルである巡航ミサイル「トマホーク」積載の米戦艦ニュージャージーの寄港に際し、「トマホーク」を事前協議の対象としないまま黙認するなら、藤山・マッカーサー口頭了解にある「中・長距離ミサイル」の持ち込みを事前協議の対象とするという日米両政府間の了解事項の重大な変更を黙示の承認ということで了解し合うことになるが、こういう了解事項の変更という事実が条約上発生することを認めるか。

五 米戦艦ニュージャージーに現在積載している巡航ミサイル「トマホーク」は、通常弾頭で非核とされているが、来年六月には、核弾頭装着の「トマホーク」も実戦配備される予定となつている。

1 巡航ミサイル「トマホーク」とはどういうものか。

2 核弾頭装着のものは核専用なのか。または弾頭のつけかえによつて、核にも、通常にも使用できる両用なのか。

六 現段階で政府自身不明であるなら、核持ち込みの灰色部分を解明するためにも、戦艦ニュージャージーのわが国寄港までに、巡航ミサイル「トマホーク」の実態を米政府に問い合わせ、国民に明らかにすべきであると考えるが、問い合わせるか。

七 米戦艦ニュージャージーに、当初非核の巡航ミサイル「トマホーク」が積載されているとしても、今後核巡航ミサイル「トマホーク」が積載されることは米政府の言明でも明らかである。従つて現状では、米戦艦ニュージャージーのわが国への寄港・通過に際し、核「トマホーク」か、非核「トマホーク」かの確認ができない実態にある。政府は核・非核の識別を米政府にどのように確認するつもりか。

八 米政府は、わが国への核持ち込みの場合は事前協議をかけてくる、非核であれば事前協議をかけてこない、というこれまでと同様な対応ですますということであれば問題である。

日・米間の了解である「中・長距離ミサイル」の持ち込みは事前協議にかけるという事項の実施によつて、巡航ミサイル「トマホーク」が、核か、非核か、の確認が米政府に条約上の権利として要求できるからである。にもかかわらず、日・米間で了解されている「中・長距離ミサイル」の持ち込みについて事前協議さえ求めないということは、非核三原則を堅持するという政府の態度を疑わしめる重大な問題である。

1 政府自身、巡航ミサイル「トマホーク」の持ち込みは、事前協議の対象となる「中・長距離ミサイル」の持ち込みに該当し、事前協議を必要とする事項だという態度を明確にすべきであると考えるが、どうか。

2 また、巡航ミサイル「トマホーク」を米政府が事前協議にかけて、日本政府が核の確認を求めた場合、米政府は従来核の存在を否定も肯定もしない政策をとつていることから、核か、非核かを日本政府に明らかにしないことが考えられる。

�@ その場合、日本政府は条約上の権利として拒否の態度をとることができる。つまり、核か、非核かがはつきりしなければ持ち込みを許さないことも、日本政府の事前協議への回答として、条約上の権利としてその諾否を主張しえるが、政府はこういうことが条約上可能であることを認めるか。

�A このような場合、日本政府は当然に条約上の権利を行使しうるようにして、核か、非核かはつきり回答がない場合は拒否すべきであるが、どうか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一から八までについて

政府が従来から一貫して説明しているとおり、日米安保条約第六条の実施に関する交換公文にいう「装備における重要な変更」とは、「核弾頭及び中・長距離ミサイルの持込み並びにそれらの基地の建設」をいい、ICBM、IRBMのように本来的に核弾頭が装着される中・長距離ミサイルの我が国への持込みは事前協議の対象となる。水上艦艇又は潜水艦配備の「トマホーク」は、通常弾頭及び核弾頭の双方を装備できる核・非核両用兵器であり、核弾頭を装備した場合にはその持込みはもとより事前協議の対象となる。

日米安保条約上、艦船によるものを含め核の持込みが行われる場合はすべて事前協議の対象となり、また、核の持込みについての事前協議が行われた場合には、政府としては常にこれを拒否する所存であるので非核三原則を堅持するとの我が国としての立場は十分確保されると考えている。

政府としては、核の持込み問題については、今後とも日米安保条約及びその関連取極に従つて対処していく所存である。

右答弁する。

衆議院の原文

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