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日本内航海運組合総連合会による船腹調整事業に関する質問
参議院 第102回 第44号
質問本文
日本内航海運組合総連合会による船腹調整事業に関する質問主意書
日本内航海運組合総連合会(以下、「総連合会」という。)は、内航海運業法及び内航海運組合法に基づき、内航海運業の保有船腹調整事業を実施しているが、最近、違反プッシャーバージが多数出現する等その実効性に疑問が出されている。
一方、経済団体連合会の運輸規制緩和についての意見書の中で、「将来の輸送需要に応じ、スクラップ・アンド・ビルド方式の弾力的な運用が望まれる。」と指摘される等、各方面から総連合会が実施している船腹調整事業の見直しが求められている。
ところで、運輸省の指導のもとに実施された自家用船の営業船への転用による砂利船等の一元化問題について、私は、昭和五十五年七月十九日に砂利石材船の一元化に関する質問主意書を提出し、運輸省の公平な立場にたつた適切な指導による円滑な実施を求めてきたところであるが、一元化後の船腹調整事業の実施にあたつて、公平に欠ける不当な差別が見受けられ、内航海運組合法の精神に反するような事態が発生しており、この際、総連合会の船腹調整事業のあり方を見直し、公平かつ公正な運営を確保する必要がある。
また、法の下における平等を保障している憲法第十四条の規定に照らしても、組合員間の不当な差別は速やかに解消されなければならない。かかる見地から、以下の事項につき質問する。
一 運輸省担当課長の立ち合いのもとに五十五年に締結された砂利船等の正常化に関する協定(以下、「協定」という。)では、営業転用船については、保有船腹調整規程の運用にあたつて引当資格を有しない船舶とされ、いわゆる「一身限り」の船舶として取り扱うこととされているが、引当資格を有しない船舶とした経緯と理由を明らかにされたい。
また、自家用船側の強い希望にかかわらず引当資格を認めないこととした背景に、総連合会の圧力があつたといわれているが、運輸省はどのような指導を行つてきたか。
二 前記質問主意書において、「自家用船の営業転用後の代替建造引当権について、既存の営業砂利船と格差を設けることは公平の原則に反する。運輸省は、転用船一重量トンに付き代替建造引当権一重量トンを認めるよう総連合会を指導すべきではないか。」と質問したのに対し、政府は、「転用砂利船については、代替建造が認められるよう総連合会を指導している。」と答弁している。
また、総連合会会長も転用後は新旧は変わらなくなる旨言明していたにもかかわらず、協定では、新旧で差別され、営業転用船は引当資格を有しない船舶とされている。
これは、約束違反ではないか。運輸省は、総連合会に対しどのような指導を行つてきたか。
三 協定において、営業転用船に引当資格を認めないこととしたのは、協定締結時における自家用船と営業船との間のバランスをとるための措置であると説明されているが、その後の経緯をみると、営業船には合理化を理由に二・七五倍の代替建造が認められ、一方、営業転用船は引当資格が認められないため、担保価値が低下し、代替建造が極めて困難となるという事態が発生している。
このような経営の実態を無視した措置は、組合員間に不当な差別をもたらすものと考えるが、この点について、運輸省はどう考えているか。
四 協定によつて、営業転用船に引当資格が認められないことは、六十二年九月末までに内航海運業法による営業許可基準に適合する船腹量を保有する必要性に迫られている営業転用船船主にとつては、死活問題である。
既存営業船の合理化計画が進み、営業船の近代化、大型化が進んだ今日、営業転用船に対する引当資格の制限は速やかに解除されるべきものと考えるが、運輸省は総連合会に対してその速やかな解除を指導する用意があるか。
五 協定が締結された五十五年当時から今日までの間に、砂利船業界をめぐる環境は大きく変貌している。
運輸省が本年三月に発表した「内航海運長期ビジョン」でも、砂利輸送需要は関西空港建設関連を中心に、六十五年は五十八年実績の二倍に増加すると予測されており、将来の需要増加に対応して、五十五年の正常化協定や厳しく引当資格を制限している現行の船腹調整事業のあり方を早急に見直す必要があると考えるが、これらの点について、運輸省はどう考えているか。
六 現在総連合会が実施している船腹調整事業は、内航海運業法による適正船腹量の告示の船種区分に従つて行われており、砂利船は、一般貨物船の区分の中に一括されているため、引当資格の制限等の必要性が生じているが、一般貨物船から分離させて、砂利船だけの船種区分を設けて適正船腹量を算出し、それに対応する独自の船腹調整事業を実施すべきではないか。
また、砂利船だけの船腹調整を行えば、営業転用船に引当資格を認めてその売買を自由にしても、総船腹量の増加を招かず、営業転用船の引当資格を制限する必要性は全く無くなると考えるが、運輸省の見解を伺いたい。
七 砂利船等の一元化後の総連合会による船腹調整事業の実施状況をみると、前述のごとく営業転用船側に不当な差別を招く結果となつている。たとえ保有船腹調整規程が内航海運組合法第十二条に違反していなくても、このような結果を招いていること自体、法の趣旨に違反した運用が行われていることを明白に示している。
内航海運組合法により、保有船腹調整規程に係る総連合会の行為には、独占禁止法の適用はなきものとされているが、保有船腹調整規程の運用の実態が法の趣旨に違反して不当な差別をもたらしていることが明らかである以上、公正取引委員会は、独自の調査を実施し、内航海運組合法第六十五条の請求に準じて、運輸省に対して保有船腹調整規程の見直しと運用の改善を請求すべきであると考えるが、公正取引委員会の見解はどうか。
八 営業転用船について引当資格が制限されている結果、スクラップ価格(引当権益)が不当に高騰し、そのために新造船の建造価格を不当に高くさせているが、公正取引委員会は、このような現象をどのように判断しているか。
また、このような現象を発生させている現行保有船腹調整事業のあり方について改善を求めていく用意はあるか。
九 船腹調整規程に違反するプッシャーバージが横行しており、総連合会は五十九年九月に最終処理方針を決定し、ようやく対策に乗り出したが、今日なお十分な効果をあげていない。このような違反プッシャーバージに対して有効な取締りを実施せず、長期にわたつて放任してきたのは行政の怠慢ではないか。
また、違反プッシャーバージが続出するのは、総連合会の船腹調整事業自体に欠陥があるからではないか。
十 総連合会は、違反プッシャーバージの処理にあたつて、一身限りとされている営業転用船による引当てを認めているが、その理由は何か。
違反プッシャーバージの最終処理方針は、自家用砂利船等の営業転用船化に比べて寛容過ぎ、均衡を欠いているのではないか。
更に、営業転用船を引当てにした違反プッシャーバージには引当資格を認めるのかどうか。また、その理由は何か。
十一 内航海運組合法に基づく船腹調整事業については、運輸省が、「内航海運長期ビジョン」の中で「環境の変化にもかかわらず、長期間にわたつて行われると、船舶の老朽化や適正な船型の建造に際して弊害がでてくる。」と述べて、事業の見直しの必要性を認めており、また、複雑窮まりない船腹調整規程についても「簡素化に努めるべきである。」と述べて、国民がよく理解できるように改善する必要性を指摘しているが、保有船腹調整事業の今後の見直しの方向とスケジュールを明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一から六まで及び十一について
営業転用船については、保有船腹調整規程(以下「規程」という。)に基づき、一定の条件の下に、代替建造が行われていると承知している。
船腹調整事業については、砂利船に係るものも含め今後とも業界の実情に応じ適切な運営がなされるよう日本内航海運組合総連合会(以下「総連合会」という。)を指導してまいりたい。
七及び八について
船腹調整事業については、内航海運組合法(昭和三十二年法律第百六十二号)及び私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)に照らし、適切に行われるよう見守つてまいりたい。
九及び十について
御指摘のプッシャーバージについては、総連合会を中心に業界において正常化のための努力が続けられていると承知しており、政府としても、内航海運業の健全な発達を図るため関係事業者等に対する指導等を行うとともに、今後とも規程の適正な運用を図るよう総連合会を指導してまいりたい。
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