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船腹調整諸業務完了証明書と海砂積載基準等に関する質問主意書
衆議院 第159回 第61号趣旨が明らかではない ×1
質問本文
一 政府は、いわゆる船腹調整諸業務完了証明書規程における船舶貨物積載量の国内内航に関する取り扱いを規制緩和の一環として、平成十年までに制度を廃止する方針を閣議決定されたと聞き及んでいるが、いかなる理由により廃止を決めたのか、また、決定した閣議の年月日を明らかにされたい。
二 政府は、現段階で船腹調整諸業務完了証明書規程が、いかなる法的拘束力を有すると解するのか、また、わが国の海上運送業界にいかなる影響を及ぼしているものとお考えか、見解を明らかにされたい。
三 船腹調整諸業務完了証明書規程において、船腹引当トン数D/W(デットウエイト)を購入保有登録している民間業者が、その登録海砂採取船で海砂採取を行う場合、海砂積載時のm3換算比は、一m3あたり一・六トンを基準として換算して良いのか、政府の見解を明らかにされたい。
四 運輸省海上技術安全局主席船舶検査官通達(昭和六十三年六月十六日海検第五四号、平成元年五月二十四日海検第二九号)は、「二層甲板型砂利等運搬船の満載喫水線について」の通達である。前記通達海検第五四号三の(1)には、「砂、土及び砂利の比重換算率を一・六として計算する」とあるが、実際に積載する貨物の比重が一・六よりも小さな砂、土及び砂利においては、同通達第五四号六に記載されている「その砂、土及び砂利を運搬する場合、比重を最も小さい比重の貨物の比重に相当する比重として計算して差し支えない」との通達の趣旨に照らし、実際に積載する貨物の比重をもって、比重換算の計算をしてもかまわないということなのか、政府の見解を明らかにされたい。
五 運輸省海上技術安全局主席船舶検査官通達(昭和六十三年六月十六日海検第五四号、平成元年五月二十四日海検第二九号)の解釈は、その積載する貨物が海砂である場合、海砂の採取終了後、採取海域で海水を排水し、水切りした状態の海砂は湿っているので、その比重(単位体積重量)の実数を判定する場合は、湿潤単位体積重量の実数をもって比重換算計算しても差し支えないと理解してよろしいか、政府の見解を明らかにされたい。
六 船腹調整諸業務完了証明書規程の民間業者購入保有の船腹引当トン数D/W(デットウエイト)と、運輸省海上技術安全局主席船舶検査官通達(昭和六十三年六月十六日海検第五四号、平成元年五月二十四日海検第二九号)とは、いかなる関係及び関連性があるのか、政府の見解を明らかにされたい。
七 船腹調整諸業務完了証明書規程は、いわゆる、日本内航海運組合総連合会の内規にすぎず、国が定めた法律および、条例その他の行政指導要綱等の効力に何らの影響力を及ぼすものではないと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
八 海上運送業界では、国の海運支局が発行する船舶検査証書の満載喫水線の位置に基づく海砂積載基準と、(社)日本海事検定協会が査定する海砂積載基準と、日本内航海運組合総連合会の内規の船腹調整諸業務完了証明書規程による海砂積載基準の異なる基準が存するが、どちらの基準を遵守すべきか、政府の統一した見解を明らかにされたい。
九 船舶の海砂積載オーバーの取締りは、どの官庁部局で行われるか明らかにされたい。
また、その取締り基準は、国の海運支局が発行する船舶検査証書の満載喫水線の位置に基づく海砂積載基準なのか、それとも(社)日本海事検定協会が査定する海砂積載基準なのか、または、日本内航海運組合総連合会の内規の船腹調整諸業務完了証明書規程の海砂積載基準なのか、それ以外の別の法律に基づく海砂積載基準なのか、政府の統一見解を明らかにされたい。
十 沖縄県における船舶の海砂積載については、日本内航海運組合総連合会の内規の船腹調整諸業務完了証明書規程に基づき積載可能数量とするよう民間業者に対して指導が行われているが、一都道府県の河川課、或いは、土木建築部が、一団体の内規をもってこのような指導が行えるのか、政府の見解を明らかにされたい。
十一 沖縄県においては、砂利採取船舶の海砂積載基準を平成十年四月二十八日までは、(社)日本海事検定協会が査定した証明書に基づいた海砂積載基準(積載可能数量)としていたが、平成十年五月一日をもって日本内航海運組合総連合会の内規の船腹調整諸業務完了証明書の添付を義務付けられ、規制強化が行われた。その理由として「国(沖縄総合事務局)からの強い指導が有ったので行った」としており、平成十年五月一日から沖縄県砂利採取要綱にその旨明記した。国がそのような指導を沖縄県に対して行ったか、明らかにされたい。
十二 国内に賦存する海砂は、国土交通省所管の国有資源(公物)であり、機関委任事項により各都道府県にまかされていると認識しているが、この国有資源(公物)は、その管理する都道府県の外(他府県)に持ち出すことができないように国が指導を行っているのかを明らかにされたい。もし、国が都道府県にそのような指導を行っているのであれば、その根拠を明らかにされたい。
十三 各都道府県が、国有資源(公物)である海砂を他府県に持ち出し禁止等の旨を要領や要綱等を設けているのであれば、各都道府県に国有資源(公物)に対するそのような権利や管理義務が存在するのか明らかにされたい。
十四 国有資源(公物)、特に海砂等の他府県移動に制限がある場合、どの官庁部局にいかなる手続き等を行えば他府県への移動が可能なのか明らかにされたい。
十五 砂利採取船における、自家用登録船舶と営業登録船舶の違いを明らかにされたい。
十六 自家用船舶による砂利採取海域から土木工事現場への海砂の直接搬入行為は、内航海運業法に定められた営業船登録制度に抵触する違反行為に当たると思うが、政府の見解を明らかにされたい。
十七 営業船舶登録制度と、船腹調整諸業務完了証明書規程との関連性について、政府の見解を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの「船腹調整諸業務完了証明書規程」とは日本内航海運組合総連合会(以下「内航総連」という。)が内航海運組合法(昭和三十二年法律第百六十二号)に基づき設定し運輸大臣の認可を受けた保有船腹調整規程(以下「旧規程」という。)のことを、また、「船舶貨物積載量の国内内航に関する取り扱い」とは旧規程に基づき実施されていた船腹調整事業のことをそれぞれ指すものと解されるが、同事業については、平成十年三月三十一日に閣議決定された「規制緩和推進三か年計画」において、「できるだけ短い一定期間を限って転廃業者の引当資格に対して日本内航海運組合総連合会が交付金を交付する等の内航海運暫定措置事業を導入することにより、現在の船腹調整事業を解消する。」こととされ、実施予定時期は平成十年度早期とされた。これは、船腹調整事業の下では意欲的な事業者の事業規模の拡大や新規参入が制限されるため内航海運業の活性化等の支障になっている等の弊害が生じているとの行政改革委員会等からの指摘を踏まえ、市場原理の活用による内航海運業の活性化を図るために行われたものである。
二及び七について
内航総連は、平成十年五月十五日に内航海運暫定措置事業規程(以下「新規程」という。)について運輸大臣の認可を受け、新規程に基づく内航海運暫定措置事業(以下「暫定事業」という。)の実施を開始したところであり、同時に、新規程第二条において、「旧規程の規定は、この規程に抵触する限りにおいてその効力を失う。」こととされ、旧規程に基づく船腹調整事業の実施を終了したところである。
暫定事業においては、旧規程に基づき建造等が承認された船舶を所有する者は、当該船舶の解撤等に当たり内航総連から交付金を受給する資格があり、当該交付金の額は、旧規程の下で内航総連が交付した船腹調整諸業務完了証明書(以下「完了証明書」という。)に記載された重量トン数等に基づき算定することとなっているが、このことが我が国の海上運送業界の健全な発達を阻害するような影響を及ぼしているとは考えていない。
また、旧規程及び新規程(以下「両規程」という。)は、内航海運組合法第八条第一項第五号に定める「組合員が保有する内航運送の用に供される船舶の船腹の調整」の事業の内容、実施の方法等を定めた規程として、内航総連が設定し運輸大臣の認可を受けたものであり、それ自体国又は地方公共団体を拘束するものではない。
三及び六について
御指摘の海砂積載量の単位体積当たりの換算値一・六は、船舶安全法(昭和八年法律第十一号)に基づく満載喫水線の検査における貨物の容積から重量への換算値として、「二層甲板型砂利等運搬船の満載喫水線について」(昭和六十三年六月十六日付け海検第五十四号運輸省海上技術安全局首席船舶検査官通達。以下「本通達」という。)において示されているものである。他方、両規程においては、砂利採取船を含む貨物船の貨物の積載量を表す単位として、船舶に積載可能な貨物の重量である載貨重量トン数(デッドウェイト)を用いており、両規程において本通達における換算値一・六を使用する必要はなく、両規程と本通達における換算値一・六とは何の関連もない。
四及び五について
本通達においては、砂、土及び砂利(以下「砂等」という。)の比重は、砂等に含まれる水の量にかかわらず一・六としている。また、砂等又は石材の他に、これらのものより比重の小さい砂等及び石材以外の貨物も運送する船舶については、最も小さい比重の貨物の比重を用いることができることとしている。
八及び九について
御指摘の「国の海運支局が発行する船舶検査証書の満載喫水線の位置に基づく海砂積載基準」、「(社)日本海事検定協会が査定する海砂積載基準」及び「日本内航海運組合総連合会の内規の船腹調整諸業務完了証明書規程による海砂積載基準」がそれぞれ具体的に何を指すのかが必ずしも明らかではないが、船舶所有者又は船長は、満載喫水線を超えて載荷したときは、船舶安全法第十八条第一項第五号に基づき罰則が課されることとなっており、その取締りは、海上保安庁が行っている。なお、完了証明書に記載された重量トン数等を超過して船舶の建造等が行われたときは、内航総連は旧規程又は新規程に基づき過怠金の徴収等を行うことができることとされている。
十及び十一について
「沖縄県海砂利採取要綱」における海砂の採取計画の認可に当たっての海砂の積載量をどのような資料に基づき算定するかについては、採取計画の認可申請手続の細目にわたる事項であり、認可を行う沖縄県が判断すべきものと考える。内閣府沖縄総合事務局が御指摘のような指導を沖縄県に対して行った事実は、確認されなかった。
十二から十四までについて
海岸法(昭和三十一年法律第百一号)に基づき都道府県知事が管理している海岸、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)に基づき都道府県が管理している港湾又は国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)に基づき都道府県が管理している海底において、砂を採取しようとする者は、海岸法第八条第一項第一号若しくは第三十七条の五第一号、港湾法第三十七条第一項第二号又は国有財産法第十八条第三項の規定に基づく都道府県知事又は都道府県の許可(以下「採取許可」という。)を受けなければならないところ、この事務は、自治事務又は法定受託事務として都道府県知事又は都道府県が処理することとされている。国が、都道府県知事又は都道府県に対して、採取許可を受けて採取された砂が当該採取が行われた都道府県の外に持ち出されることを禁ずるような指導を行っていることはない。
十五について
内航海運業法(昭和二十七年法律第百五十一号)において、国内間の船舶による物品の運送をする事業を営む場合には国土交通大臣の許可(総トン数百トン未満の船舶であって長さ三十メートル未満のものによる場合にあっては、国土交通大臣への届出)を要し、当該許可又は届出の対象となった船舶は一般に営業船と呼ばれている。他方、事業として営む物品の運送以外の国内間の物品の運送の用に供される船舶は一般に自家用船と呼ばれ、自家用船のうち総トン数百トン以上又は長さ三十メートル以上のものについては、あらかじめ国土交通大臣に届け出なければならないこととされている。
十六について
砂利採取法(昭和四十三年法律第七十四号)第三条の規定に基づく登録を受けた者が同法第十六条の規定に基づいて採取計画の認可を受け、自ら採取した砂利を自己の所有する船舶で土木工事現場へ運送する行為は、砂利採取業に付随する運送であり、他人の需要に応じた事業として行っているものではないため、いわゆる自家用船により行われても、内航海運業法に違反しないと考える。
十七について
現在内航総連が実施している暫定事業は、内航海運組合法に基づき運輸大臣の認可を受けた新規程に基づく事業として行われているものであり、暫定事業の円滑な実施を図ることが内航海運行政上重要であることから、内航海運業法に基づく許認可に際しては、当該申請案件に係る暫定事業の適用状況について確認を行っている。
なお、内航海運業法に基づく許認可の申請に際して、完了証明書を添付する必要はない。
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