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VDT作業者の健康障害と労働安全衛生対策に関する質問
参議院 第104回 第43号承知していない ×1個別の事案 ×1
質問本文
VDT作業者の健康障害と労働安全衛生対策に関する質問主意書
今日、マイクロエレクトロニクス技術を中心とした急激な技術革新により、多くの産業分野においてOA(オフィス・オートメーション)化が進行し、コンピュータやワードプロセッサなどを軸とした作業システムが各職場に導入されている。
この作業システムにおいてはVDT(視覚表示装置)機器が使用されるが、このVDT作業に従事する労働者から、これに起因すると思われる様々な心身の健康障害が訴えられてきている。
例えば、目の疲れや肩・首筋等の局所的部位の痛みなどの症状をはじめとして、持続的な強い精神的ストレスや焦燥感も挙げられている。さらに、電離放射線等による疲労以外の健康影響についても不安が提起されるに至つている。
過去、一九六〇年代の事務機械化時代に多数のキーパンチャーが頸肩腕症候群に罹病し、悲惨な苦しみを味わつたことを想起するとき、予防対策がいかに重要であるかを教訓としなければならない。
そこで、VDT作業に伴う新たな職業病の発生を未然に防止し、VDT作業者の労働安全衛生対策の一層の推進を図る観点から、以下の事項について質問する。
一 VDT作業従事者の心身両面にわたる様々な健康障害の実態を、政府はどのように把握し認識しているのか、明らかにされたい。
二 労働省は、昨年十二月、「VDT作業のための労働衛生上の指針」を作成し、各企業を行政指導するよう各都道府県労働基準局へ通達を出しているが、指針作成までの経緯と、指針に基づく行政指導の効果について、どのように考えているのか。
三 労働省の指針においては、一日のVDT作業時間についての上限が設けられていないが、昨年九月、日本産業衛生学会のVDT作業に関する検討委員会が公表した「VDT作業に関する勧告」では、一日の作業時間は四時間を超えないようにすべきであるとしている。また、総評や同盟などの労働団体におけるガイドラインでも四時間以内としている。
一日のVDT作業時間について上限を設けるべきと考えるがどうか。
四 VDT作業が妊産婦に及ぼす影響についても大いに懸念される。
VDT作業の母体及び胎児への影響が解明されるまでは、妊産婦はVDT作業に従事させてはならないこととすべきではないかと考えるがどうか。
五 労働災害の防止のために、VDT機器の安全性についての技術基準についても早期に策定すべきと考えるが、その検討状況と今後の見通しについて明らかにされたい。
六 近年、VDT作業により視力障害を起こした労働者が、労働基準局へ労災認定の申請をしたところ、因果関係が不明であるとして却下された事例も出ている。
VDT作業による健康障害を理由とする労災認定の申請件数とその認定状況はどうなつているのか、明らかにされたい。
七 VDT作業と健康障害との因果関係が不明であるとして、労災認定が遅れているとすればゆゆしき問題である。
因果関係を究明するため、専門的研究機関を発足させ、早急に対応を図るべきであると考えるがどうか。
八 日本経営協会の昨年五月のメンタルヘルス対策に関する実態調査では、FA(ファクトリー・オートメーション)やOAなど急激な技術革新の進展や複雑な人間関係の中での「心の病」に対する措置の遅れや把握の限界などが浮き彫りにされた。
そこで、今後のVDT作業従事者の労働安全衛生対策を強化していくためにも、VDT作業が心身両面の健康に与える影響についての総合的な具体的実態調査を政府として実施すべきではないかと考えるがどうか。
九 先きに触れた日本産業衛生学会の「VDT作業に関する勧告」では、作業者の健康と安全を守るために、安全衛生組織、VDT作業機器、作業環境、作業管理、健康管理について、あるべき条件や望ましい条件について勧告している。
政府は、この勧告の趣旨を真摯に受け止めて、今後の行政的施策の中に十分生かしていくべきであると考えるがどうか。
十 政府による総合的な実態調査の実施結果を踏まえた上で、VDT作業者の労働条件の改善を図るため、単なるガイドラインにとどまらずに、労働基準法や労働安全衛生法の改正へ向けて、法的規制措置を早急に検討すべきと考えるがどうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
昭和五十八年十月に労働省が行つた調査によれば、VDT作業従事者は一般の事務作業従事者よりも「眼が疲れる」、「肩がこる」等の疲労を訴える者の割合が高いことは承知している。
二について
労働省としては、既に昭和五十九年二月、当面の暫定的な措置として、指標(ガイドライン)としての「VDT作業における労働衛生管理のあり方」を公表し、事業場における企業の自主的対策の推進を図つてきたところであるが、昭和五十八年度から三箇年計画で進めてきたオフィス・オートメーション化等に伴う作業環境や労働態様の変化が労働者の健康に及ぼす影響についての医学的、科学的調査研究の成果を踏まえて、昭和六十年十二月、「VDT作業のための労働衛生上の指針」を公表し、目下、全国的にその周知徹底に努めているところである。
三について
現在までのところ、一日のVDT作業時間の上限を設けることの必要性等について十分な医学的、科学的根拠は得られておらず、また、諸外国政府においてもVDT作業時間の上限を設けている例は承知していない。
四について
VDT作業の妊産婦に及ぼす影響については、現在までのところ、妊産婦のVDT作業への就業を制限するに足る医学的、科学的根拠は明らかにされていない。
五について
「VDT作業のための労働衛生上の指針」において、VDT作業に適したVDT機器等について示しており、当面はこれにより指導の徹底に努めることとしている。
なお、今後とも、VDT機器に関する技術の進展が見込まれるので、引き続き新しい知見の集積に努めてまいりたい。
六について
現在、労働省で把握しているVDT作業従事者からの眼精疲労等の眼の疾患に係る労災請求件数は四件あり、このうち業務外と決定したもの一件、調査中のもの三件である。
七について
VDT作業従事者から眼精疲労等の眼の疾患について労災請求が行われた場合には、個々の事案ごとに、就労実態、作業環境、健康状態等について十分な調査を行い、必要に応じ専門医の意見を徴するなどにより、業務との相当困果関係について適正な判断を行つているところである。
今後とも、業務との相当因果関係を明らかにするため、必要な医学的情報の収集に努めるとともに、専門家による検討会議を設けるなど、労災認定の適正化に努めてまいりたい。
なお、労働省としては、VDT作業が労働者の健康に与える影響について、産業医学総合研究所、産業医科大学及び専門家よりなる委員会において慎重に検討を行い、必要な予防対策を講じているところである。
八について
労働者の心身両面にわたる健康の確保を図るために、昭和六十一年度からオフィス・オートメーシーョン化等に伴うテクノストレスに関する調査研究を行うこととしている。
九について
日本産業衛生学会のVDT作業に関する検討委員会が作成した「VDT作業に関する勧告」は、日本産業衛生学会として正式に外部に公表したものではないと聞いているが、その内容のうち主として健康管理について、「VDT作業のための労働衛生上の指針」を策定する段階で十分参考とした。
十について
VDT作業が労働者に及ぼす疲労等の健康影響を予防するため、昭和五十九年二月に指標(ガイドライン)としての「VDT作業における労働衛生管理のあり方」を公表したが、事業場に対する行政指導を強化するため、これを見直し、昭和六十年十二月、「VDT作業のための労働衛生上の指針」を公表したところである。この指針に基づいて適切な労働衛生管理を行うことにより、疲労等を防止することができると考えている。今後ともこの指針の周知徹底を図るとともに、医学的、科学的知見の集積に努めてまいりたい。
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