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労働者の健康障害防止に向けた化学物質の規制の強化等に関する質問

参議院 第144回 第4号お答えすることは困難 ×1検討してまいりたい ×1

提出者
参議院
提出日
1998年12月8日
内閣転送 1998年12月14日
答弁書受領日
1999年1月29日
提出から52日
答弁の項目数
11
質問 2,960字/答弁 3,632字

質問本文

労働者の健康障害防止に向けた化学物質の規制の強化等に関する質問主意書

今日、我が国で工業的な目的をもって製造及び輸入されている化学物質の数は、約五万種を数えており、さらに年間五百から六百種の新規化学物質が開発され、新たに使用されている。これらの化学物質の中には有害性を有するものがあり、様々な化学物質に取り囲まれている職場の労働者においては、化学物質による職業性のがん等の健康障害が後を絶たない状況にある。また、最近では生殖毒性や神経毒性等がん原性以外の有害性も問題となっている。

このため、労働者の健康障害を予防するための施策の強化が求められており、このような観点から、以下質問する。

一、化学物質による職業性の健康障害の状況とその防止策について

1 化学物質による業務上疾病の発生は、どのような状況にあるのか。最近五年間の各年次における、業種別、疾病の種類別の発生状況及び発生原因等について明らかにされたい。また、業務上疾病に至らないまでも、化学物質が労働者の健康に与えている影響についての調査結果があれば、併せて明らかにされたい。

2 化学物質による労働者の健康障害を防止するには、その有害性について調査を十分行うとともに、有害性が確認された物質に関しては、適切な管理の下で製造、取扱いが行われるよう措置する必要がある。現在、政府が講じている健康障害の防止に向けた施策・体制について明らかにするとともに、労働者の健康障害が後を絶たない状況にかんがみ、今後、どの様な対応が必要であると考えているのか明らかにされたい。

3 化学物資に対する有害性調査の状況について、次の点を明らかにされたい。

(1) 新規化学物質について、最近十年間の各年次における、製造・輸入届出状況及び有害性が確認された物質の数と名称について明らかにされたい。

(2) 既存化学物質に対する有害性調査の実施について、調査制度導入以後、どの様に進めてきたのか。その概要とともに、対象物質の選定方法、各年次における調査物質数、調査によって有害性が確認された物質数と名称について明らかにされたい。また、未調査の既存化学物質の数及び今後の調査予定計画等についても明らかにされたい。

なお、既存の化学物質の調査については、労働者の健康に関わる重要な問題であり、迅速に進める必要がある。現在の調査体制で十分か。例えば、関係省庁との連携等といったことも必要ではないかと考えるが、この点も含めて、調査の迅速化に向け、どのような対応を検討しているのか明らかにされたい。

4 化学物質の有害性については、労働者に中毒、アレルギー、がん等の健康障害を生ずるおそれのある性質(「平成十年度 労働衛生のしおり」)とされている。しかし、労働安全衛生規則第三十四条の三等において、有害性の調査としては、がん原性に関する調査のみが義務づけられている。なぜ、がん原性以外に関する調査が義務づけられていないのか、その理由を明らかにされたい。

5 平成九年三月、「化学物質の有害性調査のあり方に関する検討会」は、化学物質のがん原性の調査に加え、生殖毒性、神経毒性、臓器毒性、刺激性等の有害性についても調査する必要があるとの提言を行ったが、政府は、この提言について、どのように受け止め、対応していくつもりか。また、がん原性以外の有害性調査に関して、試験方法の研究開発等を既に進めているのかどうか明らかにされたい。

加えて、同報告書においては、がん原性以外の有害性調査の必要性とともに、事業者等が共同して有害性調査を行う枠組みの創設、有害性調査の実施に係る中期的な基本方針の策定、有害性情報のデータベース化等に関する事項も併せて提言されているが、政府の対応方針を明らかにされたい。

6 労働者に職業がん、皮膚炎、神経障害等を発症させるおそれの大きい化学物質として規制の対象となっている特定化学物質等の製造等を行う場合、その種類や工程等に応じ、ガス、蒸気等の発散源の密閉化や局所排気装置の設置、漏えいの防止措置、特殊健康診断の実施等が義務づけられている。これら特定化学物質等は、それぞれ、どの様な有害性に着目して規制の対象となったのか、各物質ごとに明らかにされたい。特に、塩化ビニルについては、対象をモノマーに限定している(「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令の施行について」昭和五十年二月二十四日基発第一一〇号)が、その理由も併せて明らかにされたい。

この塩化ビニルについては、例えば、雑誌のビニール包装等、ポリマーの状態のものを扱う業務においても、加熱作業等業務の形態によっては、微粒子が発生し、労働者の健康に悪影響を与える要因になり得るのではないかと懸念される。モノマーでなくても、こうした作業を行う場合は、特定化学物質を取り扱う作業の一つとして認めるべきであると考えるが、現行では、どのような扱いとなるのか、その理由も含めて、政府の対応を明らかにされたい。

7 健康障害の防止には、化学物質の製造、取扱いを行う場所での業務の環境改善が必要である。平成八年の労働環境調査報告(労働大臣官房政策調査部)によると、特定の化学物質を製造し又は取り扱う業務に従事する労働者の四割強が、作業の性質に起因する劣悪環境の改善を望んでいる。また、同業務に関して行われる特殊健康診断における有所見率が、企業規模が小さくなるにつれ高まる傾向が見られ、十人から四十九人規模の企業の有所見率は、千人以上規模の企業の五倍となっている。一方、こうした業務を行っている企業では、規模が小さいほど、資金がなく作業環境改善ができないとする回答の割合が高い。

このような状況から見て、健康障害防止のため、規模の小さな企業に対する作業環境の改善に向けた支援が必要であると考えるが、現行では、どのような支援策を講じているのか。今後、小規模企業の作業環境改善を一層促進するため、政府は、どのような施策を講ずるつもりか。これらについて、政府の考えを明らかにされたい。

二、国際的動向を踏まえた有害性を有する化学物質の規制の状況と今後の対応について

1 OECDでは、国際的に大量に取り扱われる化学物質について、加盟各国が協力して有害性調査等を行うため、国際プロジェクトが推進されているが、我が国はこの中でどのような役割を担っているのか。

2 ロンドンガイドラインの対象化学物質のうち、我が国の規制法規である毒物及び劇物取締法、労働安全衛生法、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律等の対象外になっている物質にはどのようなものがあるか。また、規制法規の対象外としている理由についても概略を説明されたい。さらに、それらの物質の規制については、今後どのように対応するのか明らかにされたい。

3 ロンドンガイドラインについては、一九九五年の第一八回UNEP(国連環境計画)管理委員会においてPIC制度(特定有害化学物質の国際取引に関する事前通報制度)の早期条約化に関する勧告が行われており、それを受けて本年九月の条約化交渉会議でPIC制度の条約化が採択されたようであるが、これに対する今後の我が国の対応はどうか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

化学物質による業務上疾病の発生状況については、事業者から提出された休業四日以上の労働災害に関する労働者死傷病報告を集計したものによると、別紙一のとおりである。これらの主な発生原因は、当該化学物質の有害性等の情報が事業者間で十分に伝達されていないこと、労働衛生教育が不十分であること、呼吸用保護具が着用されていないこと、換気が不十分であること等が多いと考えられる。

また、化学物質が労働者の健康に与えている影響であって業務上疾病に至らないものについての調査は行っていない。

一の2について

労働者に重度の健康障害を生ずる一定の化学物質については、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号。以下「法」という。)第五十五条に基づき、製造、輸入等が禁止されている。また、労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある一定の化学物質については、法第五十六条に基づき、製造が許可制とされている。その他有害性の高い物質については、上記製造が許可制とされている化学物質と併せて、法第二十二条、特定化学物質等障害予防規則(昭和四十七年労働省令第三十九号)等により当該物質の製造設備の密閉化、特定化学物質等作業主任者の選任等一定の管理が義務付けられている。一方、新規化学物質については、法第五十七条の二に基づき、事業者があらかじめ当該新規化学物質について一定の有害性の調査を行い、その結果を労働大臣に届け出るとともに、その結果に基づいて、当該新規化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要な措置を速やかに講じなければならないこととされている。

化学物質による労働者の健康障害防止のための今後の対応としては、化学物質の有害性等の情報提供の在り方、事業者が講ずる労働者の健康障害防止措置を促進するための方策等について検討していく必要があると考えている。

一の3の(1)について

最近十年間の各年における法第五十七条の二に基づく新規化学物質に係る製造、輸入届出状況については、別紙二のとおりである。

また、これらの新規化学物質のうち、各年における有害性が確認された新規化学物質の数及び名称については別紙三のとおりである。

一の3の(2)について

既存化学物質については、法第五十七条の四に基づき、昭和五十四年から、国が学識経験者の意見を聴取して調査対象物質を選定し、有害性の調査を実施しているが、最近十年間に実施した既存化学物質の有害性の調査化学物質数、当該調査によって有害性が確認された化学物質数及び名称については別紙四のとおりである。

また、未調査の既存化学物質の数は、約五万種と推定されるが、労働現場における使用実態等を考慮し、今後とも学識経験者による総合的な検討を行い、優先度の高いものから有害性の調査を進めることとしている。

なお、既存の化学物質の調査については、国際協力に基づき、生産量の多い化学物質について各国で分担して有害性の調査を行う枠組みもあり、国際機関及び関係省庁との連携の下に調査を進めているところである。今後とも関係省庁等との連携を密にして、当該作業の迅速化に努めてまいりたい。

一の4について

化学物質のもつ有害性のうち、がん原性は、特に重篤で不可逆な健康障害を労働者に生じるおそれの強いものであることから、新規化学物質について、事業者にがん原性に係る有害性の調査を義務付けている。なお、法第五十八条に基づき、事業者は労働者の健康障害を生ずるおそれのある化学物質等について、あらかじめがん原性に限定せず広く有害性等に関する調査をし、その結果に基づき必要な措置を講ずるよう努めることとされている。

一の5について

労働省においては、労働基準局長の私的検討会として平成七年七月に設置した「化学物質の有害性調査のあり方に関する検討会」が平成九年三月に行った提言を、専門家の意見として真摯に受け止め、社会情勢等を勘案しつつ、順次対応していくこととしており、その中でも、がん原性以外の有害性に関してはエピクロロヒドリン等について今年度から生殖毒性等の調査を行っている。また、有害性情報のデータベース化に関しては、平成十一年度を目途に安全衛生情報センター(仮称)を設置して化学物質の情報をデータベース化し、関係者に提供することとしている。

一の6について

特定化学物質等障害予防規則に基づき一定の管理が義務付けられている特定化学物質等のうち、ジクロルベンジジン及びその塩、アルファ‐ナフチルアミン及びその塩、オルト‐トリジン及びその塩、ジアニシジン及びその塩、ベリリウム及びその化合物、ベンゾトリクロリド、石綿(アモサイト及びクロシドライトを除く。)、エチレンイミン、塩化ビニル、オーラミン、クロム酸及びその塩、クロロメチルメチルエーテル、コールタール、三酸化砒素、三・三′-ジクロロ-四・四′-ジアミノジフェニルメタン、重クロム酸及びその塩、ニッケルカルボニル、パラ-ジメチルアミノアゾベンゼン、ベータ-プロピオラクトン、ベンゼン並びにマゼンタは、人体に対するがん原性が疫学調査の結果明らかとなった物、動物実験の結果発がんの認められたことが学会等で報告された物等であり、人体に遅発性効果の健康障害を与え、又は治癒が著しく困難であるという有害性に着目し、特別管理物質として規制している。特別管理物質以外の特定化学物質等については、急性毒性等の有害性に着目し、総合的に判断した上で、規制している。

また、塩化ビニルについて、モノマーを対象に規制しているのは、塩化ビニルモノマーにより肝血管肉腫が発生するためであり、塩化ビニルポリマーは通常の状態においては有害性は無いので規制の対象としていない。

なお、塩化ビニルポリマーを加熱した場合に発生するガスや微粒子の中には塩化ビニルモノマーが含まれることはほとんどないと承知しているが、労働者の健康に与える影響については今後検討してまいりたい。

一の7について

労働省においては、平成七年度から、中小企業における安全衛生活動を促進するための補助事業として中小企業安全衛生活動促進事業を実施しており、この中で作業環境測定、作業環境改善機器の整備等に要する経費の助成を行っている。また、昭和四十七年度から、中小企業等における職場環境を改善することを目的とする労働安全衛生融資制度を設け、その活用促進に努めている。

今後とも、中小企業の作業環境の状況を踏まえつつ、その改善のための適切な施策を講じてまいりたい。

二の1について

経済協力開発機構(以下「OECD」という。)では、加盟国において、製造、輸入量が一定以上の化学物質を対象に、各加盟国が分担して人の健康や環境へのリスク評価を行う高生産量化学物質安全性点検プログラムが実施されており、我が国も、OECD加盟各国の分担により、当該化学物質の毒性の試験等に基づき初期的なリスク評価を行い、OECDに対し評価結果を提出している。

二の2について

御指摘の千九百八十七年に国連環境計画(UNEP)において採択されたロンドンガイドラインの事前通報承認制度の対象としては、現在、農薬二十二物質及び工業用化学物質五物質が示されているが、農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)、毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律(昭和四十八年法律第百十二号)及び化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和四十八年法律第百十七号)のいずれにおいても特段の規制を行っていない物質は、ポリ臭化ビフェニルである。特段の規制を行っていない主な理由は、現在、国内の製造、輸入実績がないこと等である。

政府としては、今後とも、当該物質の有害性、国内における製造、輸入、使用状況を踏まえながら、必要に応じて対策を講じてまいりたい。

二の3について

御指摘の条約は、有害化学物質についての情報交換を促進すること、輸出入に関する手続を規定すること等により、人の健康及び環境を保護し、並びに当該物質の環境に与える影響に配慮した適正な使用に寄与するため、締約国間の努力を促進することを目的としており、我が国としても有意義であると認識している。

この条約が昨年九月に採択されたことを受け、この条約を締結する場合に必要となる国内の適切な実施体制の構築及び国内法令等の整備につき、関係省庁の間で検討を進めているところである。

別紙一 1/2

別紙一 2/2

別紙二

別紙三 1/10

別紙三 2/10

別紙三 3/10

別紙三 4/10

別紙三 5/10

別紙三 6/10

別紙三 7/10

別紙三 8/10

別紙三 9/10

別紙三 10/10

別紙四 1/4

別紙四 2/4

別紙四 3/4

別紙四 4/4

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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