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HIV対策に関する質問
参議院 第120回 第19号
質問本文
HIV対策に関する質問主意書
我が国のHIV(ヒト免疫不全ウィルス)対策は、世界各国に比べ、予防、治療、感染者救援の面で残念ながら立ち遅れている。アメリカ合衆国において被害が発表されて十一年、日本人の患者が確認されて五年有余、この間政府は、昭和六十二年、後天性免疫不全症候群の予防に関する法律(エイズ予防法)を作り、その形を整えたものの、実効性に見るべきものがない現状である。
このような状況の中でHIV病発病者(以下発病者と略す。)、感染者の救援組織から九項目にわたる国会請願が提出されており、これらの事態を踏まえて、特に緊急な対策を必要とする問題について以下質問する。
一 血友病の治療との関連から私立病院、私立医大病院が血友病患者のHIV治療に当たって来ているが、これらの病院においては医師の定年退職に当たって後継者が得られない事例や、経営上の問題からHIV治療の縮小の方向を打ち出している病院があるなど、新しく性行為感染などによる発病者を迎え入れることが難しい状態にある。又、昨年は感染者が地方からも報告されているが、現状では大都市圏でさえも、発病者・感染者が安心して治療を受けられる医療機関が少ない。政府は少なくとも国公立病院を窓口とし、発病者・感染者を受け入れられる体制を作るべきではないか。
二 発病者・感染者の歯科治療に関しては、受け入れる医療機関が極端に限られている。政府は形式的に受入機関を列挙するだけでなく、本当に治療可能な現場を作り、発病者・感染者の切実な要望にこたえるべきだと思うが、対応を伺いたい。
三 血液製剤によりHIV感染した血友病患者に対し、国は現在、死亡者と極めて重篤な発病者のみしか救済していないため、多くのHIV患者が放置され極めて深刻な事態が広がっている。救済の対象となる発症基準(以下発症基準と略す。)が極端に厳しいため、特別手当の支給期間が一年を満たずに発病者が死亡していく事例がほとんどである。政府は、特別手当の発症基準を薬害救済制度並みに緩和し、AZTが保険適用されるT4リンパ球が五百を割った時点から特別手当を適用するようにできないか。
四 私立の医療機関では発病者を受け入れる場合、差額ベッド料を徴収する事が多いが、特別手当が差額ベッド料に満たないことが少なくない。政府は差額ベッド料の徴収を完全にやめさせるか、それができない場合、差額ベッド料を患者に負担させない方法を採れないか。
五 薬害救済制度の判定委員会を、より一層民主的にするため、患者会の代表を判定委員会に加える事はできないか。
六 政府は感染者が通院しながら差別なく安心して働けるよう、一般企業を指導すべきではないか。
七 発病者・感染者の救援や、予防の知識を広めるに当たって、国や地方自治体が全力を尽くすことは必要であるが、発病者・感染者の精神的な悩みやセイフセックスについての指導などの面では限界もあり、世界各国とも民間ボランティア団体の活動を積極的に援助し成果を上げている。我が国においても、そのような団体によって相談活動や、具体的な介護活動にも取り組みが始められている。政府もまずこれらの団体を認知し、当面、エイズ予防財団を通じるなどして、これらの団体に財政的な援助をすべきではないか。
八 HIV感染者に対する入国管理法の上陸拒否条項の削除について、WHO(世界保健機構)のエイズ国際学会の日本開催に当たって、多くの理事が拒否条項の削除を求めている。拒否条項を持っている国は現在、世界で十二カ国だけであり、我が国ではエイズ予防法施行に当たって感染者の入国拒否条項が加えられたが、現在までこの条項を適用した事例もないと聞いている。特に必要もない条項のために、国際的な協力が損なわれるのは何としても理解し難い。政府は同条項を削除すべきではないか。
右質問する。
政府答弁書
一について
後天性免疫不全症候群(以下「エイズ」という。)の病原体(ヒト免疫不全ウイルス。以下「HIV」という。)に感染している者(以下「HIV感染者」という。)の診療については、昭和六十一年十二月に設置された厚生省エイズサーベイランス委員会における議論等を踏まえ、「エイズ診療の手引き」、「HIV医療機関内感染予防対策指針」等を作成し、これらの周知徹底を図るとともに、無差別に、かつ、人権に配慮しつつ診療を実施するよう都道府県等及び社団法人日本医師会等を通じて医療機関を指導しているところである。
なお、国立病院及び国立療養所、公立病院並びに国公私立大学の附属病院に対しても、従来から通知等により、HIV感染者の診療について十分な対応を採るよう指導しているところである。
二について
HIV感染者の歯科診療については、都道府県等及び社団法人日本歯科医師会を通じ、歯科医療機関に対し「HIV医療機関内感染予防対策指針」の周知徹底を図り、HIV感染者の歯科診療について十分な対応を採るよう指導しているところである。
三について
血液製剤によるHIV感染被害救済制度(以下「救済制度」という。)は、患者及びその遺族の置かれた状況にかんがみ、法的責任の問題とは切り離して、医薬品副作用被害救済制度に準じた給付を行うこととして、財団法人友愛福祉財団によって実施されているところである。
このうち、特別手当については、医薬品副作用被害救済制度上の障害年金等の対象者の要件に準じて、厚生省エイズサーベイランス委員会で定められた診断基準に基づいてエイズと判定された患者をその対象者とすることとしているところである。
四について
差額ベッドに係る室料差額については、治療上の必要から患者を個室等へ収容した場合にはこれを徴収できない旨、従来から指導してきているところである。また、患者がHIV感染者であることを理由として、当該患者の希望による個室等の室料差額を徴収しないものとすること及びその室料差額について特別の補助を行うことは、考えていない。
なお、救済制度の特別手当については、医薬品副作用被害救済制度の障害年金等に準じ、全体として患者の生活保障を図ることを目的として行われる給付であり、患者の希望による個室等の室料差額のすべてを補填する性格のものではない。
五について
医薬品副作用被害救済制度における副作用被害判定部会は、本制度の給付の対象者の決定に係る医学的な事項について判定を行うために設けられたものであり、医学の専門家から構成されることが適当であると考えている。
なお、これは、救済制度における判定委員会についても同様であると考えている。
六について
事業者を含む国民に対するHIVの感染に関する正しい知識の・普及啓発のため、国においてはポスター、パンフレット、テレビ等により広報するとともに、都道府県等を通じ広く広報活動を実施している。
七について
民間のいわゆる任意団体がHIV感染者に対する支援を行っていることは承知しているが、これら団体を補助事業者等又は間接補助事業者等とする国庫の補助については、当該団体の補助事業等の遂行能力、当該団体の事業の継続性等にかんがみ慎重な検討が必要であると考える。
八について
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)附則第十一項は、HIVの感染力は弱いものの、これにいったん感染しエイズを発病すると致命率が極めて高いことにかんがみ、我が国の公衆衛生上の見地から、多数の者にHIVを感染させるおそれのある者の上陸を拒否する必要性があるところから、後天性免疫不全症候群の予防に関する法律(平成元年法律第二号)附則第三条による入管法の一部改正により設けられたものである。この立法の必要性は現在においても変更がなく、したがって、入管法を改正して当該条項を削除することは適当でないと考える。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。