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北洋漁業の存続と関連産業の救済対策促進等に関する質問
参議院 第123回 第15号
質問本文
北洋漁業の存続と関連産業の救済対策促進等に関する質問主意書
日本の北洋漁業は、今存亡の危機に立たされている。
北洋における公海での漁獲量の大半を担ったベーリング公海の底引き網漁業が大幅縮小に追い込まれ、今年からサケ・マス沖どりが全面禁止になり、その上来年以降はイカ流し網漁業が全面禁止になるなど、日本の北洋漁業はまさに没落寸前といっても過言ではない。このため、これらの漁業に大きく依存している北海道の漁業者及び関連業者への甚大な影響が危惧されている。
日本共産党は、事態を重視して一月から二月にかけて釧路市、根室市、函館市の現地調査を行ったが、どこの漁業者からも異口同音に出されたのは「これまで政府の言うとおりに効果的漁法も研究し努力してきたのに、そのデータも出ないうちに突然禁止するとは一方的すぎる」「日本政府の姿勢はあまりにも場当たり的だ」など怒りに満ちたものであった。
また、水産加工、造船、製網、燃油、運輸などの関連中小業者や労働者からは「今後の見通しがまったく立たない」など「倒産=失業」の不安が強く訴えられ、自治体関係者からは「サケ・マスもダメ、イカもダメということになれば、このままでは地域(経済)が沈没する」と悲痛な叫びが上がっていた。
北海道はもちろんのこと、各関係自治体も対策本部を設置するなどして、独自の救済対策などを懸命に模索しているが、ことは「国際的な操業規制による北洋からの撤退」という政府の責任に属する問題から引き起こされている。
事態打開のために、政府が直ちに必要な対策をとると同時に、漁業者及び関連業界の救済のための法制度上の整備を図る必要があると考える。
解決の促進を求め以下質問する。
一、政府は、昨年の四か国協議(日本、米国、カナダ、ロシア)で、これまでの沖どり継続の方向を百八十度転換し、全面禁止を受け入れたが、これは北洋サケ・マス漁業を壊滅させるものであり、漁業者及び漁業関係者に与える影響は計り知れない。
わが党は北太平洋のサケ・マス漁について、漁業資源保護政策を基本とした「海洋資源の全人類的な最適利用」を繰り返し主張してきた。公海の漁業に関して「海洋法条約」も、サケ・マス等のさく河性魚類について、「母川の所在する国」が「第一義的利益及び責任を有する」としながらも、母川国は「他の国の経済的混乱を最小にするために協力する」とハッキリと明記している。
海洋資源状況の科学的な調査も行わずに、母川国が一方的に他国を漁場から追い出すようなサケ・マス沖どりの全面禁止を受け入れた政府の責任は重大である。
根室市の場合、最大の基幹産業である公海での北洋サケ・マス漁業の相次ぐ後退と今年からの沖どり全面禁止により、一九七五年に四万五千人の人口が今後三万人を割るとの予測もされており、地域振興の抜本的対策が求められている。
政府はその責任をどうとるつもりか。
二、政府は一九九一年十一月末、今までの態度を大きく転換し、公海流し網漁業の操業停止を受け入れると表明した。そして、十二月の国連総会で同趣旨の決議が採択された。これにより北海道、青森、宮城、富山などのイカ流し網漁船約四百五十隻の転・廃業、乗組員約八千人の失業が余儀なくされるばかりか、水産加工、漁網、造船、食品など関連産業への深刻な影響が懸念されている。
日本政府は、昨年九月に国連に提出した文書で「流し網漁業は管理可能である」と明記し、「混獲は程度の差こそあれ、全ての漁業に存在することから、混獲をもって特定の漁業を否定することは全ての漁業を否定することを意味する」「問題は混獲の程度であり、これを被混獲生物の再生産力の範囲内に抑えることが必要である」と述べ、継続を主張していたが、今回、急に態度を変えた。
道内のイカ流し網漁業関係者からは、新たな漁具、漁法の検討など業界を挙げた懸命な努力の最中に、政府が公海流し網漁業の操業停止を受け入れたことに対する強い不満の声が寄せられている。
政府は、これらの声にどうこたえるつもりか。イカ流し網業者の経営の安定のためにどのような措置をとるつもりか。具体的に明らかにされたい。
三、公海での北洋サケ・マス沖どり全面禁止により、ロシア二百カイリ内での合弁事業対策が、重要な課題とならざるをえなくなっており、地元関係者からも強い要望となっている。しかし、この合弁事業は二十億円を超える赤字を抱えているといわれており、今後の事業の継続は極めて困難な状況にある。政府が国会で度々答弁している国としての支援策の強化をどう図るつもりか。また、サハリン州、カムチャツカ州での孵化場建設などを含む漁業資源増大等の支援対策をどうするつもりか。
四、水産庁は二月中旬から下旬にかけて釧路市、根室市、函館市などの現地を調査しているが、地域の実情及び漁業者や関連産業の状況をどのように認識されたか。
また、国際的な操業規制により撤退を迫られている北洋漁業及び関連産業の窮状を打開するために、どのような対策を講じるつもりか。具体的に明らかにされたい。
五、サケ・マス沖どりの禁止、北洋底びき網漁業の縮小、加えてイカ流し網漁業の事実上の撤退による大幅な減船は、漁業関係者のみならずこれらを基幹産業とする地域経済に多大な影響を与えている。政府は減船する漁業者への十分な補償と、失業する乗組員の再就職の促進等について万全の救済措置を講ずるべきと考えるがどうか。
六、国際規制による漁業の撤退が行われるたびに問題になるのが、水産関連産業の救済対策である。廃業した漁業者への補償金がほとんど漁協に支払われ、関連中小業者への貸付け金が回収されないために倒産が後を絶たない状況が毎回繰り返されている。
減船漁業者への交付金が関係債権者に公正に支払われるように、政府は十分な補償と必要な指導をすべきであると思うがどうか。
七、イカ流し網漁業にほぼ全面的に依存する函館地方の製網業者の実態は、特に深刻である。三十五社のほとんどは中小零細業者で、資金力に乏しく従業員の平均年齢も五十才以上と高齢のため、事業転換の見通しも立たず、このままでは倒産・失業は必至といわれている。政府は、これらの中小関連企業を救済するために、金融などでの特別な支援策を講ずるべきと考えるがどうか。
八、アカイカ流し網漁業の代替漁法として、表層トロール漁法による漁獲の可能性が報じられているがその見通しはどうか。また他の代替漁法の開発についても、関係業界の要望・意見を十分に取り入れ本格的に取り組むべきと思うがどうか。
九、イカ珍味の原料をアカイカからペルーイカヘ転換せざるをえない加工業者にとって、酸味の強いペルーイカからそれを除去する技術開発に要する費用の負担は非常に大きいものがある。政府は、製品化を促進するために、研究開発費の大幅な増額を図るべきであると考えるがどうか。
十、北海道の漁業関係者は、スケトウダラ等の原魚の確保、ビザ無し渡航の実現などロシアとの交流の強化、拡大を望んでいる。そのためには検疫所や税関の拡充・強化が強く求められている。特にここ数年ロシアとの貿易が活発になり、活きガニなどの輸入が急増していることなどから、現在千歳空港と小樽市の二か所にしか配置されていない食品衛生監視員を、当面道東地方に最低一名配置すること、及び根室市に検疫所出張所を新設することが必要と考えるがどうか。
また、税関については、当面根室市、釧路市、稚内市、小樽市などの税関職員の増員、及びロシア語の堪能な職員の配置などが必要と考えるがどうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
政府は、母川国主義の定着を背景に、本年漁期から公海におけるさけ・ますの漁獲を認めないこととしているが、昨年六月の日ソ漁業担当大臣間協議において双方の二百海里水域内における操業機会の安定的確保について意見の一致がみられ、本年の日ロ漁業合同委員会及び民間協議において一定の漁獲枠を確保したところである。また、国際漁業再編対策についての平成元年十二月二十二日の閣議了解(以下「閣議了解」という。)に従い、減船対策、事業転換対策等を進めているところである。
二について
昨年の第四十六回国際連合総会において、千九百九十二年六月末までに公海流し網漁業の全面禁漁を求める決議案が米国等から提出された。大多数の国が公海流し網漁業の存続に否定的態度を示すという極めて厳しい国際環境の中で、政府としては本漁業を停止することはやむを得ないものと判断し、停止に伴う影響を極力緩和するため、操業期間を六箇月延長して同年十二月末までとする妥協案を共同提案し、同提案が採択されたものである。
この国際連合総会決議は、アカイカの漁獲自体を禁止しているものではないことから、アカイカ漁業の存続を図るため、国の試験研究機関等において代替漁法の開発調査を行っているところである。
三について
ふ化場建設等を行う合弁事業については、合弁事業の日本側参加者に対する漁獲枠の確保を図るため、日ロ漁業合同委員会において協議を行うとともに、関係者への情報の提供等の支援措置を講じてきたところであり、今後とも合弁事業が円滑に推進されるよう努めてまいりたい。
四から六までについて
北洋さけ・ます漁業及び北方底びき網漁業については、国際的な漁業規制の強化がこれらの漁業及び関連産業に与える影響にかんがみ、閣議了解に従い、減船を余儀なくされた漁業者に対する救済費交付金の交付等の救済措置及び水産加工業者等関連事業者に対する水産加工資金の融通等の事業転換等対策を講じているところである。なお、漁業者が受領する救済費交付金等の使途については、特段の制限を設けていない。また、当該減船に伴い離職を余儀なくされた漁業離職者に対しては、職業転換給付金の支給等により求職中の生活の安定、再就職の促進等を図っているところである。
さらに、いか流し網漁業については、流し網漁法以外の漁法による漁業の存続を図るため、代替漁法の開発調査を行っているところである。
七について
政府としては、今後、業界団体、関係地方公共団体等関係各方面との連絡を密にし、函館地方の製網業者の実態の把握に努めてまいりたい。
また、当該業者におかれては、各種の支援措置を積極的に活用されることを期待している。
八について
流し網漁法に代わる漁法としては、釣り、表層ひき網等が考えられる。これら代替漁法については、本年緊急に、国の試験研究機関、関係道県の水産試験場等において、調査船を使用し、その開発調査を行っているところである。
九について
ペルー、メキシコ沖で漁獲されるアメリカオオアカイカは、流し網漁法により漁獲されるアカイカの代替原料となり得るものであるが、異味の強いものがある。今後、国の試験研究機関及び関係道県の水産試験場においては、その利用の促進を図るとの観点から、アメリカオオアカイカの試料を定期的に入手し、漁場、漁期等による異味の状況等の把握を行うとともに、これらの結果を踏まえ、対応を検討していくこととしている。
十について
北海道東部地方については、食品等の輸入に際しての検査及び指導の事務は小樽検疫所において、港及び飛行場における検疫及び防疫の事務は小樽検疫所網走出張所及び同釧路出張所において、適切に実施しているところである。
御指摘の点については、効率的な事務を実施する観点から、当該地方で輸入される食品等の届出件数、当該地方に来航する船舶数等の動向等を踏まえ、適切に対処してまいりたい。
税関においては、根室市、釧路市、稚内市、小樽市等に税関官署を設置し、当該地域の行政需要に見合った人員を配置しているところであり、また、必要に応じ、税関職員に対してロシア語を含む語学研修を実施しているところである。
今後とも、当該地域の行政需要に応じた適正な人員配置を行っていくとともに、語学研修の充実を図っていく所存である。
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