ことばで探す › 参議院 第104回
日米及び日ソの漁業交渉に関する質問
参議院 第104回 第20号検討してまいりたい ×2
質問本文
日米及び日ソの漁業交渉に関する質問主意書
米ソ両国の二百カイリ水域を主な漁場とするわが国の北洋漁業は、日米及び日ソの漁業交渉で、米国には大幅な譲歩を強要され、ソ連との交渉は難航しているために、北洋ではたらく漁業者や関連業界はもとより、自治体・住民までがかつてない深刻な事態に直面している。
北洋ではたらく約五万人の漁業労働者と中小漁業者、約二十万人の家族をはじめ関連産業従事者約二十万人の経営とくらしを守り、わが国の漁業でいぜんとして重要な位置を占める北洋漁業に展望をひらくため、屈服と譲歩を繰り返す対米交渉姿勢の根本的転換と、難航している対ソ漁業交渉の一刻も早い妥結のため、政府の責任ある対策が求められている。
このような観点から、以下の点について質問するので、明確な答弁を求める。
一 地元の窮状と政府のとるべき緊急対策について
日ソ漁業交渉の難航による出漁不能という事態が、北洋漁業の基地としてソ連水域の漁業に大きく依存している北海道各地の漁港に及ぼしている影響は特に深刻である。このまま放置されるならば、漁業者はもちろん、関連産業、商店をも含む地域経済や自治体財政にまで甚大な打撃が及ぶことは必至である。
わが党の調査にもとづいて、以下具体的に各地の実情を述べ、政府の対応と見解を求めるものである。
(1) 根室市
市内就業人口中に占める漁業従事者数の割合は二三%もあり、伝統的に北洋漁業への依存度の高い漁業基地の街である。
一月だけで、水揚額十二億七千万円、水産加工業三十八億一千万円、関連商業十億円の合計六十億八千万円の被害額(推定)となつている。自殺者も出ており、二~三月の影響は更に大きいことが予想され、「このままでは根室市は沈没する」と関係者は恐れている。
(2) 稚内市
昨年一~三月期の同市の漁獲高は、三十一億六千万円でしたが、今年は三分の一を大きく割り、加工業者も昨年比半分から三分の一の仕事量しかない状態で、一、二月だけで約二十四億円の被害が予想されている。
このままでは、中小業者で成り立つている同市の水産加工業界では、倒産の続出が予想されている。
また二千人ものパート労働者が、一斉に失業保険を受けるなど「戦後こんなに失業者が多かつたことはなかつた」(市議会議長)という事態がすでに始まつている状況である。
(3) 釧路市
一月の損害額は、水揚額二億二千二百万円、加工生産額九億七千三百万円、直接関連企業二億三千万円、間接損害額七億七千百万円、合計二十一億九千六百万円である。
二月もほぼ同額の被害が予想されている。
(4) 紋別市
一~二月の被害額は、関連企業(二十六社)で三億二千四百万円、水産加工業(四十二社)で十四億五千万円の合計十七億七千四百万円が見込まれる。
以上は、わが党の調査で判明したもので、被害の一部分にすぎない。
北海道庁において、現在、全道的な被害の実態を調査中であるが、これが明らかになれば、更に被害額が増大することは必至である。
政府は、北洋ではたらく漁業者と関連業界等の救済のために、一日も早く以下のような具体的措置を実行すべきであると思うがどうか。
[1] 漁業者への休業手当の支給
[2] 水産加工業者へのつなぎ資金の融資
[3] 過去の制度融資の償還延期と超低利・超長期融資への借換え措置
[4] トラック業者への制度融資の創設
[5] 固定資産税の軽減
二 日米交渉について
三月八日に合意した「日米サケ・マス協議」の内容は、北洋ベーリング公海上での母船式漁業を、八年後の一九九四年までに段階的に禁漁とするというもので、「アメリカの完勝」(三月九日付読売」)といわれる程、日本にとつては屈辱的なものである。
しかも、サケ・マス問題の未解決を理由に留保されてきた、米国水域内のわが国への漁獲割当量は、最高でも五十万トンと昨年の九十万トンの五十五パーセントにすぎず、減船問題も避けられないという結着では、「ふんだりけつたり」という声が出るのも当然である。
(1) これは、再開される日ソ漁業交渉にも大きな影響を与えると思うが政府の考えはどうか。
(2) 米国側は、科学的な根拠もなく「日米サケ・マス協議」という非公式な場で、不法にも、わが国にサケ・マス沖どり漁業の撤退を迫つてきた。
わが党は、四月に予定されている「日米加漁業条約」の正規の機関で、北米系サケ・マスの混獲問題について共同調査や科学的分析をすすめ、その結果にもとづいて、今回の「日米サケ・マス非公式協議」で決められた操業規制を再検討すべきであると考えるがどうか。
(3) またサケ・マス問題とは切り離して、日米両国の漁業・水産関係にふさわしい、米国水域における対日漁獲割当量を、米国側に要求すべきだと考えるがどうか。
(4) わが国への漁獲割当量が減少した場合には、国内配分において大洋漁業、日本水産など大企業への割当量を削減し、中小漁業者への割当量をふやし、操業を保障すべきであると考えるがどうか。
三 日ソ漁業交渉について
日ソ漁業交渉のゆきづまりによつて生じた、ソ連水域への出漁不能という事態は、漁業労働者、中小漁業者はもとより、関連産業従事者並びに関連地域の経済に深刻な打撃を与えている。
わが党は、二月二十六日、金子満広書記局長が、ソ連のカメンツェフ漁業相に会つて、「交渉の早急な解決」を要望したところである。事態は一刻の猶予も許さない状況である。
以下の点について、政府の明確な答弁を求める。
(1) わが国が求めている「昨年なみの割り当て漁獲量と操業条件」は、道理にかなつた当然の要求である。
これについては、ソ連が「等量主義」を理由に、自国の漁獲能力レベルに合わせた漁獲量や操業条件を交渉の前提にしていることこそ、道理に合わないものである。政府はスジの通つた解決の努力をすべきだと思うがどうか。
(2) ソ連側の要求に対して、みるべき対策をとらず、ソ連側に譲歩だけ求めても真の解決にはならない。
次の点について政府の具体的な考えを伺いたい。
(イ) 漁業協力金について
特に中小漁業者の負担を軽くする助成措置を考えるべきこと
(ロ) ソ連漁船の寄港問題について
効果ある右翼の暴力行為の取締り
(ハ) 日本漁船の違反操業問題を根絶するための具体的措置について
(3) 日ソ漁業交渉難航の根底に、日米安保条約の問題が存在することは、否定できない事実である。
米国の世界戦略に加担して、対ソ脅迫と核軍拡を推進する自民党政治が、日ソ漁業交渉の解決を妨げているといつても過言ではない。
真に北洋漁業問題を解決するためには、オホーツク海を「シーレーン防衛」の対象にするような、日米軍事同盟強化の方向ではなく、非同盟・中立の自主的平和的外交への転換こそが強く求められていると思うがどうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
[1]から[4]まで 今回の日ソ漁業交渉の難航により影響を受けている漁業者及び水産加工業者については、当面のつなぎ融資、制度資金の償還期限延長等の措置が講じられるよう、関係地方公共団体、金融機関等に対し、その協力・指導を求めているところである。
また、今後、出漁遅延等による経営への影響等を見極めた上で、長期・低利の資金である国際規制関連経営安定資金の発動等を検討してまいりたい。
なお、トラック事業者については、当該事業者団体から影響緩和のための具体的要望事項が近く出されると聞いており、これを十分踏まえ、その経営安定対策を検討してまいりたい。
[5] 稚内北方海域及び根室方面海域において操業する漁船については、国際情勢の現況からその操業に重大な制約を受けており、担税力も著しく低下している状況にかんがみ、これに対して課する固定資産税を減免することが適当である旨従前から関係市町村を指導しているところである。
二について
(1) 我が国北洋漁業を取り巻く国際環境は、二百海里体制の下で沿岸国の主張が著しく強まつており、ますます厳しくなつている。かかる厳しい国際環境の下で昭和六十年十二月以来日ソ漁業委員会第二回会議が継続されているが、昭和六十一年三月十七日から再開された協議においても、見通しは極めて厳しく、楽観は許されない。
(2) 今回の日米非公式協議は、北太平洋の公海漁業に関する国際条約を改正する議定書(昭和五十四年条約第一号)に基づき任務を遂行している北太平洋漁業国際委員会においてこれまで実施されてきた科学調査の結果を踏まえつつ、北米系さけ・ますの保存について非公式に話し合つたものである。
今後、前記委員会特別会議を開催して日米間で非公式に意見の一致を見た措置の内容を前記議定書の附属書に反映させるべく、現在、日米加三国間で調整を行つているところである。
(3) 政府としては、対日漁獲割当問題はさけ・ます問題とは別個の問題であるとの立場から、米国側に対して、我が国の対米漁業協力実績及び米国二百海里水域内における漁獲実績にかんがみ相当量の対日漁獲割当てを行うよう要求してきたところであり、今後とも要求していく所存である。
(4) 漁獲割当ての国内配分については、関係漁業者の安定的操業が公平に確保されるよう配慮しており、昭和六十一年の配分に当たつても、割当削減により中小漁業者のみが損失を被ることのないよう十分配慮する所存である。
三について
(1) 昭和六十年十二月以来行われている日ソ漁業委員会第二回会議において、我が国は、伝統的な日ソ漁業協力関係の中で交渉妥結を図ることを主張している。政府としては、我が国漁船の昭和六十一年一月六日以降の操業中断の状態が既に関係者にとつて極めて深刻な問題となつていることにかんがみ、交渉の早期妥結に向けて、今後とも最大限努力していく所存である。
(2)の(イ) ソ連側が要求する金銭の支払いについては、どのような扱いとなるかは今後の協議によるが、仮にこれを行うこととなつた場合には、関係漁業者の負担において行われることとなると考えている。
(2)の(ロ) 警察は、いかなる立場からするものであれ、「違法行為はこれを看過しない」ことを基本方針に、厳正な取締りを推進してきており、昭和六十年のソ連漁船の塩釜港寄港に関しては、右翼関係者三十六人を検挙し、その前年の小名浜港寄港に関しては、二十四人を検挙している。
警察は、今後ともこの基本方針の下に、厳正な取締りを推進する。
(2)の(ハ) 日本漁船の違反操業については、漁業者及び乗組員に対する操業指導、水産庁監視船の派遣等の措置を講じてきており、悪質な違反を繰り返す漁船については、厳しい行政処分を行う等の措置を検討することとしている。
(3) 我が国は、適切な規模の防衛力の保有及び日米安保条約により国の安全を確保することとしているが、このことと日ソ漁業交渉とは本来全く別個の問題であり、両者を関連付けることは適当ではない。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。