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コンピュータ西暦二〇〇〇年問題への政府の対応に関する質問
参議院 第145回 第11号お答えすることは困難 ×1検討してまいりたい ×1
質問本文
コンピュータ西暦二〇〇〇年問題への政府の対応に関する質問主意書
平成十一年一月二十九日に、コンピュータ西暦二〇〇〇年問題への政府の対応に関する質問主意書に対する答弁書(内閣参質一四四第一一号)が提出されたが、いまだ以下のような不明点等があるため、再質問する。
一、二〇〇〇年問題についての政府の対応については、全般的には対応が進められていることは理解できるが、人命の安全に関わる航空分野での対応の遅れが特に心配である。答弁書によると、航空管制システムについては本年六月末までに対応が完了することになっているが、重要と考えられるシステムにおける模擬テストの進捗率が、平均で四十パーセントの水準では、計画的な取組が進展しているとは言えないのではないか、政府の見解を明らかにされたい。
また、諸外国とのグローバルネットワークでの模擬テストの実施について、「航空管制分野において、日米航空当局間で昨年十月に接続確認テストを実施し、問題が発生しないことを確認する等の取組を行っている」としているが、米国以外の国との模擬テストの実施も必要ではないのか。政府の見解を示されたい。
さらに、金融情報通信等の分野では「国際的な共同模擬テストを必要とするシステムは存在しない」としているが、インターネットを通じてのクレジット決済などグローバルネットワークでの問題は少なからず存在すると考えられる。「テストを必要とするシステムは存在しない」とする根拠について明らかにされたい。
二、中央省庁、特殊法人等の優先システムの模擬テストの実施について、「実施時期が明らかでないものもみられる」とし、「本年度内に、改めて対応状況の調査を行い、中央省庁、特殊法人等における模擬テストの実施状況等について把握する」としているが、再調査の結果においても実施時期が明らかでないもの、あるいは六月末までに実施できないとするものがあった場合、政府はどのような対応をするのか示されたい。
三、金融機関に対する政府ないし第三者機関によるチェックについて、「民間専門家四名を登用し、主要行を中心に集中的な検査を実施している」とのことであるが、このような少人数の体制で徹底した検査を実施することは、はたして可能であるのか疑問である。また、米国からは日本の銀行の対策費が少なすぎると指摘されているが、この米国の指摘に対する政府の見解を明らかにされたい。
さらに、政府による積極的検査が求められているのは主要行より、むしろスタッフ、予算等が充分でない中小の金融機関の方ではないかと考えるが、政府の対応を明らかにされたい。加えて金融以外の他の民間重要分野についても同様のチェックを行う必要があると思われるが、政府の考えを示されたい。
四、米国国務省が本年一月二十九日、内外の米国人に対し今年末から年始にかけ海外旅行に特別の注意を払うように警告している。また、FRB(米連邦準備制度理事会)議長は、二月二十三日に、銀行等の利用者の不安感を取り除くため年末年始にかけての通貨供給を二千億ドル拡大する計画を明らかにしている。我が国においてもそのような対策を講じるべきであると考えるが政府の見解を示されたい。
さらに、危機管理体制の構築について、政府関係機関や企業における危機管理計画の策定の徹底を促すとしているが、危機管理の面では二〇〇〇年を目前にした時にパニックを起こさないために、個人、一般消費者用の二〇〇〇年問題発生時の対応のためのマニュアル等を作成すべきではないか、政府の見解を示されたい。
五、「九九」がコンピュータ制御の特別の番号として使用されていたことにより、二〇〇〇年を前にすでに船舶の計器や通信機器に異常が起きたり銀行での送金ができなかったり、又は情報が消えたとの事例が伝えられている。人命にかかわる重大事故ではなかったため事なきを得たが、政府はこのような件についてどのように分析しているのか。また、一九九九年に起きる可能性のある、いわゆる「九九問題」について広く一般に周知する必要があると考えるが、政府の方針を示されたい。
六、二〇〇〇年は西暦の下二けたが「〇〇」で終わる年のうち、四〇〇年に一度の閏年であるが、ほとんどのコンピュータはこの四〇〇年ルールをプログラムしておらず、二〇〇〇年は二月二十八日までしか設定されていないといわれている。従って日付が一日早まってしまう問題が生じる。この問題に対する政府の対応を示されたい。
七、航空機及びその制御装置、医療機器等に埋め込まれたマイコンチップについて重大な問題を有する装置等は確認されていないとの答弁であるが、その後、厚生省の行った調査によれば、一部の医療機器について「二〇〇〇年一月一日に止まる」等の問題のあることが判明したとのことである。航空機及びその制御装置、医療機器等に埋め込まれたマイコンチップは膨大な量である。その確認についていかなる調査を行っているのか明らかにされたい。
八、現在の政府の対応は各省庁別の対応が中心となっているが、西暦二〇〇〇年問題は複合的な作用により、一層深刻な問題を生ずる可能性もあり、総合的な観点から危機管理計画を作成することが肝要と思われる。例えば、長時間電力供給が止まり、コンピュータの無停電装置の能力を超えるような停電になった場合のコンピュータシステムの安全性、あるいは、エレベータが作動しなくなった救急病院の代替病院の指定といったような問題は、エネルギー、医療といった各分野別の対応では想定しづらい問題と思われる。こうした複合的な作用から生ずる問題に対し、政府はどのような危機管理計画を策定しているのか示されたい。
九、最後に国際的課題について伺いたい。
イ 日本は食糧や資源の海外依存度が極めて高い国である。日本に大量の輸出をしている国で二〇〇〇年問題の発生による混乱が起きれば日本への影響も当然考えられる。また、輸送船舶はコンピュータ化による自動化が進んでおり、日本への輸送船舶における二〇〇〇年問題の発生が危惧される。我が国との関係の深い海外諸国及び輸送船舶の二〇〇〇年問題への対応のための海外支援について政府の対応を示されたい。
ロ NATO(北大西洋条約機構)では「ロシアが抱える大量の核弾頭ミサイルが二〇〇〇年のコンピュータの誤作動で発射される恐れがある。」との予測を発表し、日本にも飛来する可能性があると言われている。また、CIA(米中央情報局)はロシアの早期警戒システムのデーター処理に手違いが起きる恐れがあると指摘している。政府は我が国の防衛という観点からこのような問題に対してどのような対策を講じているか示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
航空分野については、我が国の航空管制システムについて、システム更新の機会を利用するなど、従来から着実にコンピュータ西暦二千年問題(以下「二千年問題」という。)への対応を進めてきており、本年六月末までに二千年問題への対応を危機管理計画の策定も含めて完了することとしている。なお、本年三月末までに模擬テストの実施を含めたプログラムの修正を完了しており、計画的に取組が進展している。また、主要な航空会社に対し昨年十月中旬に行った調査によると、重要と考えられるシステムにおける模擬テストの進ちょく率は平均で四十パーセントの水準となっているが、昨年十二月下旬に行った調査によると、進ちょく率は六十八パーセントにまで上昇している。これらの航空会社においては、二千年問題への対応作業は本年六月末までにすべて完了する見込みであり、計画的に取組が進展していると承知している。
また、諸外国とのグローバルネットワークでの模擬テストの実施については、航空管制分野において、米国のほか、昨年十二月には香港との共同模擬テストを成功裡に終えたところである。その他の近隣諸国に対しても、共同模擬テストの実施を働きかけ、所要の調整を行っているところである。
金融分野については、国際的なネットワークとして、スイフトが存在している。このネットワークにおいては、テスト専用システムの用意等手厚いテスト環境が準備されており、各国の参加者は、共同模擬テストを行わなくとも基本的に随時テストを行える場が提供されている。
また、この他にも情報通信を利用し、クレジット決済などが世界的規模で提供されている。これらのベースとなる電気通信ネットワークの国際間接続においては、年号を含む情報が処理されていないことから、国際間における問題は生じないと考えられるが、各国における二千年問題への取組を加速させ、より安心して電気通信ネットワークが利用できるよう、政府及び国際電気通信連合が国際的な共同模擬テストの実施を働きかけ、現在、関係事業者間において早期実施に向けて検討を進めているところである。
二について
二千年問題への対応については、定期的にその推進状況を「コンピュータ西暦二千年問題に関する顧問会議」(以下「顧問会議」という。)等の場に報告、公表することとしており、中央省庁、特殊法人等の保有するコンピュータ・システムについても、現在、第二回目の調査を行っているところである。現段階では、「コンピュータ西暦二千年問題に関する行動計画」(平成十年九月十一日高度情報通信社会推進本部決定。以下「行動計画」という。)に基づき、機器の更新時期や新システムへの移行時期との関係等やむを得ない事情があるものを除く優先システムについて、原則として、本年六月末までに模擬テストを完了するよう取り組んでいるところである。なお、仮に、御指摘のように、模擬テストの実施時期が明らかでないもの、あるいは本年六月末までに実施できないとするものがあった場合においては、できる限り早急に適切な対応が講じられるよう取組を徹底してまいりたい。
三について
金融機関における二千年問題については、金融監督当局が昨年八月に策定した「コンピュータ二千年問題に関する金融検査におけるチェックリスト(改訂版)」に基づき、システムの修正、修正後の模擬テストの実施、危機管理計画の作成に重点を置いた検査を実施している。小人数の体制で徹底した検査を実施することは、はたして可能であるのかとの御指摘については、平成十年三月期及び九月期の自己査定の実施状況等を実態把握するために昨年八月末から実施している地方銀行、第二地方銀行に対する集中検査において、大蔵省財務局(以下「財務局」という。)とも連携し、二千年問題への対応についても実態把握している。また、二千年問題に関する検査のために専門的知識及び実務経験を有する者四名を非常勤職員として採用し、昨年十月から、これら非常勤職員を含めた検査官により主要銀行を中心に二千年問題への対応に重点を置いた検査を実施しているとともに、二千年問題に関する検査のために、これら非常勤職員をも活用して、検査官に対する二千年問題に関する研修等を実施し、財務局を含め検査官全体の二千年問題に関する知識、能力の充実、強化を図って対応しているところである。
日本の銀行の対策費が少なすぎるとの御指摘については、対策費の多寡は対応を要するシステムの規模、これまでのシステム整備への対応状況等に左右されるものであり、表面的な数字だけをとらえて対策費が過少であるかどうかを判断するのは困難であると考える。例えば、日本の銀行については、主に千九百八十年代後半から千九百九十年代初めに行われたシステムの総合的ネットワーク化の過程(第三次オンライン整備)において、「西暦四けた化」、「開発手法の標準化」を実施したところもあり、主要行の中には、この過程で、数百億円の費用を投じて整備を行ったとするところもある。
中小の金融機関に対する検査については、平成十年三月期及び九月期の自己査定の実施状況等を実態把握するために昨年八月末から実施している検査において、財務局も連携し、二千年問題への対応についても併せて実態把握しているところである。
金融以外の他の民間重要分野については、行動計画に基づき、所管事業者の自主的な総点検の実施を要請しているところであるが、広範、多岐かつ複雑な体系を有するコンピュータ・システムのチェックには極めて専門的な知見と技術を必要とするため、各事業者の自社内のシステム担当者による作業に加え、機器やソフトウェアの製造業者、販売業者等コンピュータ・システムの専門家に確認を依頼するなど、外部の専門家の知見と技術を活用した対応が適切な対応方法であると考えている。今後とも、専門性、第三者性確保の観点を考慮しつつ、取り組んでまいりたい。
四について
我が国においても、外務省が、二千年問題により生じ得る様々な状況を想定し、海外在留邦人や邦人渡航者の安全対策のため、情報提供を含めた適切な対応策について検討を行っているところである。
年末年始にかけての通貨供給に関しては、日本銀行の専管事項であるため、答弁することを差し控えたい。
また、個人、一般消費者の二千年問題への対応については、各分野における適時かつ適切な情報提供が肝要であると考えており、行動計画に基づき、二千年問題に関する周知徹底に努めているところである。今後とも、各分野における情報提供を促すとともに、顧問会議等の場を通じ、各分野の行動計画の推進状況について広く公表してまいりたい。
五について
お尋ねのいわゆる「九九問題」については、昨年十二月に、内閣官房内閣内政審議室から各省庁に対し、自らのシステムについて万全の対応を期するとともに、所管する特殊法人等や地方公共団体に対し、あるいは所管団体を通じる等により業界等に対し、最終的な対応を促すよう要請を行ったところである。現在のところ、ごく一部の企業において軽微なトラブルがあったものの、直ちに修正等の手当が行われたため、大きな問題が生ずるには至っていないと認識している。
今後とも、二千年問題に関して一層の注意喚起を行っていく中で、いわゆる「九九問題」を始めとする二千年一月一日以外に発生し得る問題についての注意喚起も行い、円滑な対応がなされるよう努めてまいりたい。
六について
お尋ねのいわゆる「うるう年問題」については、従来から二千年問題の一環としてできる限り注意喚起を行ってきたところであり、二千年問題への対応の中で必要な手当がなされるものと期待している。
今後とも、二千年問題に関して一層の注意喚起を行っていく中で、いわゆる「うるう年問題」を始めとする二千年一月一日以外に発生し得る問題についての注意喚起も行い、円滑な対応がなされるよう努めてまいりたい。
七について
航空機については、二千年問題への対応状況等について把握すべく、航空機製造業者等に対し、昨年九月に調査を行ったところであるが、マイクロ・コンピュータを含めた航空機に係るコンピュータ・システムについては、現在、航空機製造業者により製造した機体ごとの部品の確認、部品を納入したマイクロ・コンピュータ製造業者等に対する照会等の更に詳細な調査及び確認が行われているところである。今後、調査等の結果、問題が発生するおそれがある航空機が確認された場合には、当該航空機の運航を差し止める等、航空機製造業者及び航空会社の対応状況に応じて必要な措置を適時かつ適切に行ってまいりたい。
医療用具については、二千年問題への対応状況等について把握すべく、昨年十月に関係団体を通じ医療用具製造業者等に対する予備的な調査を行い、さらに、昨年十二月末にすべての医療用具製造業者等(約三千五百社)を対象に、二千年問題の発生のおそれのある医療用具についての模擬テストの実施状況、今後の対応予定等について調査を実施し、現在その結果の取りまとめを行っているところである。
なお、昨年十月の調査により一二千年一月一日に止まる」等の問題を有することが明らかになっている医療用具については、患者の生命に危害を及ぼすものではなかったが、既に当該医療用具の製造業者等が、その修正作業を行っていると承知している。
今後、昨年十二月の調査等の結果、問題を有することが明らかになった医療用具の製造業者等に対しては、二千年問題の発生を防止するに足りる措置を採るべきことを命ずる等、保健衛生上の危険の発生を未然に防ぐよう努めてまいりたい。
八について
各分野における個々の主体が危機管理計画を策定するに当たり、他の分野の状況をも踏まえた総合的な観点から策定することが可能となるよう、各分野における二千年問題への対応状況について、できる限りの情報の公開を促しているところである。政府としては、こうした危機管理計画の策定のための手引きを顧問会議の下の作業部会で策定し、顧問会議等での議論を経て、本年四月に公表する予定である。
九のイについて
食糧や資源の面で我が国との関係の深い諸外国に対する二千年問題への対応についての国際的な支援に関しては、船舶の問題も含め、これまで国際的な場における議論に積極的に参加してきたところである。
諸外国との関係においては、国際連合等国際的な場での議論に積極的に参加、貢献するとともに、民間調査機関の調査結果等を鋭意検討しているところである。
船舶における二千年問題については、個々の船舶により搭載しているコンピュータ・システムの仕様が異なることから、船主による個別の判断が必要であり、かつ、同時に多数の様々な船舶が世界中を運航していることから、一部の国のみの対応では船舶の安全運航を担保し得ない旨国際的に認識されているところである。かかる観点から、国際連合の機関である国際海事機関海上安全委員会は、千九百九十七年六月から千九百九十八年十二月までに三度にわたり回章文書を発出することにより、船舶の二千年問題への対応の必要性に関し、注意喚起を行うとともに、各国政府に対し、船主その他の関係者に周知することを求めたところであり、本件の審議に当たっては、我が国も積極的に参画してきたところである。
今後とも、本件問題に関する諸外国との関係については、国際的な場を通じ貢献を行ってまいりたい。
九のロについて
政府としては、軍事的側面において、例えば、ミサイル、戦車、航空機そのものよりもこれらの修理等に用いる器材等が履歴管理の観点から二千年問題の影響を受けることが多いと考えている。また、御指摘のような戦略核ミサイルの発射に関するシステムには、従来から偶発的な発射が生じないよう万全の措置が講じられていると承知しており、さらに、二千年問題に関し、アメリカ合衆国とロシア連邦の間では、両国の協力に関する協議が進められていると承知している。したがって、二千年問題による戦略核ミサイルの発射という重大な事態が引き起こされる可能性は少ないと考えられる。
いずれにせよ、軍事的分野における二千年問題に対しても、国際的努力が継続していると承知しており、かかる努力に対して政府として引き続き注視してまいりたい。
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