Kurage 質問主意書アシスト

ことばで探す › 参議院 第154回

アスベスト禁止措置に関する質問主意書

参議院 第154回 第24号

提出者
参議院
提出日
2002年5月17日
内閣転送 2002年5月20日
答弁書受領日
2002年6月28日
提出から42日
答弁の項目数
10
質問 2,216字/答弁 2,766字

質問本文

近年、アスベストの使用について、健康上の観点から強い疑問が提示され、使用禁止措置が国際的な潮流となっている。

例えば、EU(欧州連合)は二〇〇五年までにアスベスト使用の原則禁止を決定しているほか、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなど、いわゆる先進国を中心に二十か国以上で既に使用が禁止されている。また、WTO(世界貿易機関)においても、フランスのアスベスト使用禁止措置をめぐるカナダとの係争で、昨年三月にフランスの措置が協定違反に当たらないという判断が下された。WTOは、アスベストについて「管理して使用すれば安全」というカナダの主張を採用せず、フランスの措置を自国民の安全を守るための加盟国の権利と認めたのである。

一方、わが国では、「管理して使用すれば安全」との考え方に基づき、代表的なアスベストであるクリソタイルについて使用を認めているばかりか、依然として大量に使用されている。

例えば、数年前より減少傾向が見られるにしても、昨年のアスベスト輸入量は七万九千四百六十三トンにも及び、WHO(世界保健機構)のクライテリアでも「日本は主要な消費国」とされている。

このようにわが国はアスベスト使用大国であるにもかかわらず、その対策は全く不十分である。

例えば、輸入アスベストの九割以上が建材に使用されているものの、社団法人日本石綿協会が公表している「石綿含有建材一覧表」では、製品名と製造会社を特定することはできず、国民がアスベスト含有建材の使用を避けることは困難である。また、既に使用禁止となった吹き付けアスベストを用いた建築物が現在でも数多く存在するにもかかわらず、対策が不十分であるために、メンテナンス作業員や電設作業員などは、アスベストの危険性や吸入可能性について十分な知識を持たず、リスクの高い作業を強いられている。

そして、アスベストが国民の健康に与える影響は、もはや無視できないものとなっている。

例えば、報道(本年四月二日付朝日新聞及び本年四月二十八日付毎日新聞など)によると、アスベストを主原因とする疾病である悪性胸膜中皮腫の被害者が、今後、急増する恐れがあるとのことである。また、アスベストによる疾病としては、悪性中皮腫のほか、アスベスト肺と肺がんがあり、肺がんの発生率は中皮腫の二倍程度と言われている。同様に、政府担当官(國常壽夫・厚生労働省労働基準局労災補償部補償課長)も、本年一月に出版された『職業性石綿ばく露と石綿関連疾患』の中で「わが国における業務上疾病の新規労災認定件数は、近年、年間九千件程度で推移しています。(中略)いわゆる職業がんは年間七十件程度で推移しています。なかでも、石綿による肺がんまたは中皮腫は、年間四十~五十件と職業がんの中では最も多く、しかも近年特に増加傾向にあります」と、アスベストの労務における問題を指摘している。

したがって、根本的なアスベスト対策が急務であるとの観点から、次の事項について質問する。なお、同様の文言が並ぶ場合でも、各項目ごとに平易な文章で答弁されたい。

一、政府は、わが国におけるアスベスト関連疾患の死者数について、今後どのように推移すると予測しているのか。

二、二〇〇〇年から二〇二九年に至る三十年間で死者五万八千人程度と予測した日本産業衛生学会での報告『わが国における悪性胸膜中皮腫死亡数の将来予測』について、政府はどう認識しているのか。

三、WTOが、フランスのアスベスト禁止措置をめぐって、アスベストについて「管理して使用すれば安全」という考え方が現実には実現不可能であるという判断を示したことについて、政府の見解を示されたい。

四、現在、市場に流通しているアスベスト含有建材について、製品名と製造者をそれぞれ明らかにされたい。明らかにできない場合は、国民がその情報を入手する方法について具体的に示されたい。

五、現在、市場に流通しているアスベストを含有するもので建材を除いたものについて、製品名と製造者をそれぞれ明らかにされたい。明らかにできない場合は、国民がその情報を入手する方法について具体的に示されたい。

六、アスベスト含有商品について、商品の製造者及び販売者は、アスベスト含有であること並びにそのリスクを消費者に分かりやすく明示すべきであると考えるが、どうか。

七、アスベスト含有商品について、宣伝活動の際に、アスベスト含有であること並びにそのリスクを示さない製造者及び販売者がいると聞く。このような販売方法は、法令等で規制されているのか。規制されている場合は、その法令等を示されたい。規制されていない場合は、消費者に必要な情報が提供される方向で、早急に規制措置が必要であると考えるが、どうか。

八、メンテナンス作業員や電設作業員など、吹き付けアスベストを使用された場所等で作業を行う者が、アスベストの危険性や身体防護の方法など、必要な労務情報を入手するためには、どうすればいいのか。

九、今後のアスベスト被害者の発生を防止するため、わが国も全面的にアスベスト使用を禁止すべきであると考えるが、どうか。

十、報道(本年四月二十八日付毎日新聞)によると、本年三月末にアスベストの全面的な使用禁止を検討する省間協議が開かれたとされている。この協議について、参加者の氏名及び議事録若しくは議事要旨について、明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

悪性胸膜中皮腫、肺がん等石綿が発生の要因の一つと指摘される疾患による死亡者数の今後の推移についての予測は行っていない。

二について

御指摘の「わが国における悪性胸膜中皮腫死亡数の将来予測」については、昭和五十五年から平成十一年までの二十年間の国内の年齢階層別胸膜中皮腫関連死亡者数の増加状況及び人口の将来推計値を基に、平成十二年から平成四十一年までの三十年間の胸膜中皮腫関連死亡者数が五万八千人程度に達すると予測したものと承知しているが、最近の胸膜中皮腫関連死亡者数の増加状況については、診断技術の向上により患者として把握される者の数が増加していることを考慮する必要がある等の意見もあると認識している。

三について

御指摘の世界貿易機関(以下「WTO」という。)の判断については、WTOの紛争解決機関が、フランスとカナダとの紛争に係る審査の過程において、カナダの主張する石綿の「管理した使用」の手法は、ビル関連産業及び個人での使用において効果的に機能しない等の点で、フランスが設定した石綿に対する健康保護水準を達成するために同国が行った石綿の使用、流通等の禁止措置に代わるべき合理的手段として採用し得るものではないとの考えを示したものと承知しているが、我が国においては、石綿は優れた耐熱性等を有しており他の物質への代替が困難であったこと、石綿の種類により有害性に差があること等から、すべての種類の石綿の使用等の禁止までは行わず、特定化学物質等障害予防規則(昭和四十七年労働省令第三十九号)等により、呼吸用保護具の使用等石綿による労働者の健康障害を防止する措置を講ずるよう事業者に義務付けるとともに、石綿のうち有害性が特に高いアモサイト及びクロシドライトについては、平成七年の労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号)の改正により、同年四月からその製造、輸入、使用等を禁止している。

今後とも石綿による労働者の健康障害の防止措置の実施を事業者に徹底させるとともに、現在使われている石綿についても、他の物質により代替できないか等を調査し、その結果を踏まえ、石綿の使用等の禁止措置について検討を行ってまいりたい。

四について

現在、市場に流通している石綿含有建材について調査したところ、製品名、商品名及び製造者名は別表第一のとおりであった。

五について

現在、市場に流通している石綿含有商品(石綿含有建材を除く。)について調査したところ、製品名、商品名及び製造者名は別表第二のとおりであった。

六について

石綿含有商品の販売に当たっては、パンフレット等に石綿含有商品である旨の表示をすること及び石綿含有建材には石綿含有建材であることを示す「a」マークを表示することを関係業界に対し指導しているところである。

個別の石綿含有商品自体に危険性を表示することについては、石綿含有建材に関しては、石綿がセメント等で固定されており、切断等を行わない限り人体への影響はないこと、パイプの接合部等に使用されるシール材等建材以外の石綿含有商品に関しては、消費者が直接触れる可能性は少ないこと等から、表示の必要はないと認識している。

七について

石綿含有商品の販売の際に、石綿含有商品であること及びその危険性を表示することを義務付ける法令は存在しないが、六についてで述べたとおり、石綿含有商品の販売に当たっては、パンフレット等に石綿含有商品である旨の表示をすること及び石綿含有建材には石綿含有建材であることを示す「a」マークを表示することを関係業界に対し指導しているところであり、また、関係業界のほとんどの企業がこのような表示を行っていることを確認していることから、新たな規制を導入する必要はないと考える。

八について

ビルメンテナンス作業や電気設備工事作業において、石綿の切断、穿孔、研磨等の作業を伴う際には、事業者は、特定化学物質等障害予防規則の規定により、石綿を湿潤な状態にするとともに、当該作業に従事する労働者に呼吸用保護具を使用させること、労働者が石綿を吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること等が義務付けられており、当該作業を行う労働者は、事業者から当該作業に関する安全又は衛生のため必要な事項を知らされるものと考える。

また、安全衛生情報センターのホームページにおいて石綿の有害性、取扱い上の注意等に関する情報の提供が行われているところである。

九について

石綿については、優れた耐熱性等を有しており他の物質への代替が困難であったこと、石綿の種類により有害性に差があること等から、すべての種類の石綿の使用等の禁止までは行わず、特定化学物質等障害予防規則等により、呼吸用保護具の使用等石綿による労働者の健康障害を防止する措置を講ずるよう事業者に義務付けるとともに、石綿のうち有害性が特に高いアモサイト及びクロシドライトについては、平成七年の労働安全衛生法施行令の改正により、同年四月からその製造、輸入、使用等を禁止している。

今後とも石綿による労働者の健康障害の防止措置の実施を事業者に徹底させるとともに、現在使われている石綿についても、他の物質により代替できないか等を調査し、その結果を踏まえ、石綿の使用等の禁止措置について検討を行ってまいりたい。

十について

御指摘の「省間協議」とは、本年三月二十九日に、厚生労働省が開催し、防衛庁、文部科学省、経済産業省、国土交通省及び環境省の実務担当官が参加した会議を指すものと考えられるが、当該会議は、関係各省庁における石綿対策の取組状況についての情報交換を目的とするものであり、御指摘の報道のような石綿の全面的な使用禁止について検討が行われたわけではない。

当該会議においては、厚生労働省の実務担当官が、当該会議の趣旨、労働安全衛生関係法令における石綿の規制に関する事項、国際機関及び諸外国の動向、石綿使用の現状について説明した後、厚生労働省以外の省庁の実務担当官が、自省庁の石綿対策の取組状況について説明したが、その議事録は作成していない。

別表第一(1/12)

別表第一(2/12)

別表第一(3/12)

別表第一(4/12)

別表第一(5/12)

別表第一(6/12)

別表第一(7/12)

別表第一(8/12)

別表第一(9/12)

別表第一(10/12)

別表第一(11/12)

別表第一(12/12)

別表第二(1/11)

別表第二(2/11)

別表第二(3/11)

別表第二(4/11)

別表第二(5/11)

別表第二(6/11)

別表第二(7/11)

別表第二(8/11)

別表第二(9/11)

別表第二(10/11)

別表第二(11/11)

参議院の原文

似た質問主意書

件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。

提出 1989年12月7日 菅 直人 答弁 1989年12月22日
衆議院 第116回 第15号承知していない ×1
提出 2005年9月21日 吉井 英勝(日本共産党) 答弁 2005年9月30日
衆議院 第163回 第1号承知していない ×1
提出 2005年8月8日 吉井英勝(日本共産党) 答弁 —
衆議院 第162回 第115号答弁書なし(転送に至らず)
提出 2005年10月31日 松本 大輔(民主党・無所属クラブ) 答弁 2005年11月15日
衆議院 第163回 第62号お答えすることは困難 ×1

この論点で次の質問を書くなら

アシストで並べる