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最低賃金額の引上げと最低賃金審議会委員の公正な任命等に関する質問主意書
参議院 第159回 第14号お答えすることは困難 ×2検討してまいりたい ×1
質問本文
日本経済は大企業の多くがV字回復、史上最高の利益と言われているが、中小企業や労働者にとっては景気回復が実感できない状況が続いている。大企業の業績回復は、中国向けを中心とした輸出の増大と「リストラ効果」によるものと言われ、下請関連企業の再編・単価の切下げ、大量の人減らしやパート・派遣などの不安定労働者への置き換えによる結果である。賃金・家計収入も連続して低下し、財界・日本経団連は「日本の賃金は世界でも最高水準」と宣伝しているが、現実には生活保護基準にも満たない収入の労働者も増えている。
坂口厚生労働大臣は第一五一回国会・二〇〇一年三月二一日の参議院予算委員会において、日本共産党の吉川春子議員の最低賃金に関する質疑の答弁において、「その最低賃金額の決定ということと生活保護とを比較してどうかということをおっしゃいますけれども、・・・トータルで見てこういう状況になるということにつきましては、御指摘の状況はよくわかりますので、私たちも検討したいと思います。」と述べている。しかしその後、せめて最低賃金は生活保護基準を上回る額にしてほしいとの多くの労働者の要望にもかかわらず、依然として改善されていない。
また、最低賃金を決定する最低賃金審議会委員の選任について、連合と全労連が労働運動の二つのナショナルセンターとして発足した一九九〇年以来、今日まで一四回の任命が中央最低賃金審議会及び各地方最低賃金審議会において行われているが、労働者側委員の選任はすべて連合が独占するという極めて異常な状況が続いている。このことについては、毎年行政不服審査なども行われているが全く改善されていない。
地方労働委員会の選任では次々と改善され、選任されなかった地方でも裁判において、連合による委員の独占に対し「裁量権の逸脱」との見解なども出されている。各地方最低賃金審議会委員の定数や連合・全労連の組織人数比から見て、多くの地方で全労連・地方労連推薦の委員が選任されて当然である。
さらに、多くの地方最低賃金審議会では、経営者側の委員は中小企業の経営者等が多いにもかかわらず、労働者側の委員は大企業労組の代表が多く、地域別最低賃金により影響を受ける中小零細企業の労組代表が全くと言っていいほど選任されていない。現に神奈川などでも中小企業の労組出身者が推薦されているにもかかわらず、大企業労組出身の委員だけになっている。
同時に、政府の指針としても各種審議会の委員に女性を三分の一以上選任することを定めているが、最低賃金審議会においてもほとんど改善が見られない。
最低賃金審議会委員の不公正な選任に対して行政不服審査請求がいくつかの地方労連や個人からも出されているが、いずれも「不服申立てをする法律上の利益を有するものとはいうことはできない」と門前払いされている。
これらを踏まえ以下質問する。
一、厚生労働大臣及び厚生労働省は、最低賃金と生活保護基準との関連や最低賃金の改善についてどのような検討をしたのか。
二、長期にわたって、中央最低賃金審議会及びすべての都道府県の地方最低賃金審議会において連合による労働者側委員の独占となり、全労連推薦の委員が全く任命されていない理由を明らかにされたい。
三、神奈川を始め、多くの地方最低賃金審議会で中小企業の労組出身者が推薦されているにもかかわらず、大企業労組出身の委員だけになっている理由を明らかにされたい。
四、全国の中小企業に従事するパート労働者は引き続き増えている。パート労働者の半数が女性であり、全国で最も比率の高い神奈川では女性労働者のうちパート労働者が五〇%を超えている実態がある。それにもかかわらず、最低賃金審議会や地方労働委員会におけるパートの代表として女性の委員が極めて少ないのが現状である。その理由について政府の見解を示されたい。
五、最低賃金審議会委員の選任について、行政不服審査請求を行っても、「法律上の利益を有しない」として門前払いされているが、どういう団体・個人であれば「法律上の利益を有する」のか。あるいは、どんな団体・個人も不服申立てをする資格はないのか。
右質問する。
政府答弁書
一について
最低賃金制度は、最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)の規定に基づき、使用者に対し最低賃金額以上の賃金の支払を罰則をもって強制するものであり、最低賃金は労働者の生計費や類似の労働者の賃金に加え通常の事業の賃金支払能力を考慮して定めることとされている。一方、生活保護制度は、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)の規定に基づき、要保護者の最低限度の生活に必要な需要について、所得、資産等を活用してもなお補うことのできない不足分に限って公費によって保護するものである。このように両制度はその性格等を異にしており、最低賃金と生活保護の水準を単純に比較することは適切ではなく、また、仮にかかる比較を行うとしても、生活保護の給付額は、要保護者の住宅費の実費等の要素を勘案して決定されるため、どのような具体例を想定して比較を行うかを決定することが困難であるという問題があると考えている。
他方、右に述べたとおり、最低賃金を定めるに当たっては、労働者の生計費も考慮すべき一要素とされているところであり、現在、中央最低賃金審議会において進めている地方における最低賃金決定の際の参考となる目安の在り方の検討の中で、最低賃金の水準について、生活保護の水準との関係も含め幅広く検討しているところである。
二から四までについて
最低賃金審議会の労働者を代表する委員については、最低賃金法第二十九条及び最低賃金審議会令(昭和三十四年政令第百六十三号)第三条の規定に基づき、中央最低賃金審議会については厚生労働大臣が、地方最低賃金審議会については都道府県労働局長が、関係労働組合の推薦を受けた者の中から、いわゆるパートタイム労働者や中小企業の労働者を含む労働者一般の利益を代表するに最もふさわしいものを任命しているところであり、これまでの委員の選任について特段問題があるとは考えていない。
また、最低賃金審議会の委員に占める女性委員の割合については、中央最低賃金審議会においては三十パーセントを超えているものの、地方最低賃金審議会においては全般に低くなっており、その理由としては関係労働組合及び関係使用者団体が推薦する委員の候補者について女性の占める割合が低いことなどが挙げられるものと考えているが、今後、「男女共同参画基本計画」(平成十二年十二月十二日閣議決定)で定められた平成十七年度末までのできるだけ早い時期に女性委員の割合について三十パーセントを達成するという政府の目標の実現に向けて、女性委員の積極的な登用に努めてまいりたい。
地方労働委員会の委員については、労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)第十九条の十二第三項の規定に基づき都道府県知事が任命することとされており、その任命については、お尋ねのパートの代表としての女性の委員の数を含め都道府県知事において判断されるべき問題であると考えている。
五について
最低賃金審議会の委員の選任について、いかなる者が行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)第四条第一項の規定に基づく不服申立てをする法律上の利益を有するのかは、個別の事例に即して判断すべき問題であり、一概にお答えすることは困難であるが、最低賃金審議会令第三条第一項において厚生労働大臣又は都道府県労働局長が労働者を代表する委員を任命するときに関係労働組合に対し候補者の推薦を求めなければならないこととしているのは、任命権者の恣意的な権限の行使を防止することなどによって労働者一般の利益という公益を保護するためであって、特定の候補者が委員に任命されることについて当該候補者や当該候補者を推薦した労働組合の利益を保障するものではなく、一般に、かかる候補者や労働組合が委員の選任について法律上の利益を有するとは言えないと考えている。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。