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北海道警察の裏金づくりに関する質問主意書

参議院 第159回 第5号

提出者
参議院
提出日
2004年2月18日
内閣転送 2004年2月23日
答弁書受領日
2004年2月27日
提出から9日
答弁の項目数
7
質問 1,994字/答弁 1,465字

質問本文

現在、北海道警察は、旭川中央警察署の報償費支出について、裏金づくりがあったとの疑惑を持たれている。

昨年十二月には、同警察署の元署長二人が約五十万円の報償費を不正に受給したとして、住民が住民監査を請求した。この請求を受け、北海道監査委員が「捜査協力者」とされた市民に事情を聴取したところ、十一人が報償費を受け取っていないと回答した。その結果、北海道監査委員は、監査請求を棄却したものの、会計書類に記載されている報償費の支払先について、不実記載の疑いを指摘した。

また、本年二月十日、旭川中央警察署長及び北海道警察本部釧路方面本部長を歴任した原田宏二元警視長が、札幌市内で記者会見を行い、北海道警察本部における裏金づくりの実態を証言した。原田元警視長によると、裏金づくりは組織的に行われ、国費による捜査費も裏金の名目とされていたという。

北海道警察本部に限らず、これまでも警察庁、警視庁及び全国の警察本部は、裏金づくりの疑いを指摘されてきた。もし裏金づくりが事実であれば、緊急に、警察の徹底的な浄化を図らねばならない。

以上の観点から、次の事項について質問する。なお、問題の緊急性にかんがみ、国会法第七十五条第二項に規定するとおり、質問主意書を受け取った日から七日以内に答弁されたい。また、同様の文言が並ぶ場合でも、各項目ごとに平易な文章で答弁されたい。

一、原田元警視長によると、北海道警察本部及び各警察署では、警察庁の監督の下、会計検査院の検査をごまかしてきたという。会計検査院は、これまで警察庁、警視庁及び全国の警察本部に対し、どのような検査を行ってきたのか。具体的に示されたい。

二、原田元警視長によると、北海道警察本部及び各警察署では、国費の旅費、捜査費などを裏金づくりに流用していたという。会計検査院は、これまでの検査方法で原田元警視長の指摘するような裏金づくりを発見できたか。

三、今後、会計検査院は、警察庁、警視庁及び全国の警察本部に対し、事前通告をせずに検査すべきであると考えるが、どうか。できないのであれば、理由も併せて示されたい。

四、政府は、警察庁、警視庁及び全国の警察本部における裏金づくりの実態を明らかにするために、警察庁から独立した調査機関を設置すべきであると考えるが、どうか。できないのであれば、理由も併せて示されたい。

五、北海道監査委員の事情聴取に対し、「捜査協力者」とされた十一名の市民が報償費を受け取っていないと回答した。よって、政府は、北海道警察本部及び各警察署における「捜査協力者」に対し、事情を聴取すべきであると考えるが、どうか。できないのであれば、理由も併せて示されたい。

六、北海道警察本部及び各警察署は、会計検査院の検査に対しては「捜査協力者」の氏名を明らかにするものの、北海道監査委員の監査に対しては守秘義務を理由に「捜査協力者」の氏名を伏せている。この矛盾について、本年二月十二日の衆院予算委員会において、警察庁の吉村博人官房長は「会計検査院は会計検査という専門職。監査委員の場合は、異動もあるだろうし、地縁血縁のつながりもあると思うので、差が出るのはやむを得ないと承知している」との認識を示した。

1 吉村官房長の答弁によると、すべての検査官及び会計検査院職員は、日本国内に一切の「地縁血縁のつながり」を有していないと思われるが、事実か。

2 吉村官房長の答弁によると、すべての検査官及び会計検査院職員は、会計検査院を除くあらゆる政府機関、政府関係機関、地方自治体及び民間機関に所属していた経歴を有していないと思われるが、事実か。

3 吉村官房長の答弁によると、北海道監査委員及び同監査委員事務局職員は、監査の専門性を有していないと思われるが、事実か。

4 1から3までが事実でないならば、会計検査院に対すると同様に、都道府県の監査委員に対しても「捜査協力者」の氏名を明らかにすべきではないか。それでも明らかにできないのであれば、合理的な理由を示されたい。

5 1から3までが事実でないならば、吉村官房長の答弁は、北海道監査委員及び同監査委員事務局に対する根拠無き誹謗中傷に当たると思われるが、どうか。

七、警察庁は、北海道警察本部及び各警察署に対し、報償費支払などで領収書の架空名義の使用を是認していると聞く。しかし、架空名義による領収書で公費を支出することは、刑法第百五十六条の虚偽公文書作成、同第百五十八条の偽造公文書行使、同第百五十九条の私文書偽造及び同第百六十一条の偽造私文書等行使の犯罪行為にそれぞれ該当する。また、前記各条は一切の例外規定を設けていない。それにもかかわらず、警察庁が報償費支払などで領収書の架空名義を使うという犯罪行為を是認しているのはなぜか。その理由を、明確な法根拠と併せて示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

会計検査院は、警察庁については毎年、警視庁及び全国の警察本部についてはその予算規模に応じて毎年又は数年に一回の割合で検査を実施している。

検査に当たっては、物品購入、役務契約、施設整備、捜査費など警察の会計経理のうち、国費で支弁されているものを中心に実施している。

近年、捜査費に関しての報道があり、また過去に国会で議論されたことでもあり、捜査費については厳正に検査を実施している。

二について

これまでの検査では、警察において国費の旅費や捜査費をいわゆる裏金づくりに流用していたというような事実は確認していない。

三について

会計検査院が実地検査を行う場合、法律上は事前に通告しなければならないことにはなっておらず、無通告検査も可能である。

しかしながら、限りある職員をもって、検査対象機関の膨大な会計経理を効率的かつ効果的に検査するためには、受検庁にある程度関係書類を整理又は準備させるなどした上で、会計経理の担当者や責任者から克明な説明を聴取することが必要であることから、通常は事前に通知して検査をしている。

四について

警察は、犯罪の捜査その他公共の安全と秩序の維持に当たることを責務としているところ、警察業務に係る予算執行について実効ある調査をするためには、調査に従事する者が警察の組織や業務に精通している必要がある。また、調査に従事する者は、秘匿されるべき個々具体の捜査活動の状況、捜査協力者の個人情報、捜査の手法等を知り得ることとなる。このような調査の実効性の確保、秘密の保持等の要請や独立した調査機関の設置による費用対効果等を総合的に勘案すると、警察自らが予算執行の状況を調査することが最も適当であると考える。

五について

御指摘の報償費は、北海道警察が執行したものであるため、その執行状況の調査は、北海道警察が行うべきものであると認識している。

六について

御指摘の答弁は、都道府県の監査委員やその事務局職員は、一般的に、国の機関である会計検査院の職員よりも個々の捜査協力者のことを知っている可能性が高いため、捜査員に対する聴取が行われるとすれば、守秘義務の有無にかかわらず、警察に情報を提供し、又は協力をしている事実が他人に知られることを嫌う捜査協力者が、捜査への協力に消極的となり、その結果、捜査活動を通じた国民の生命、身体及び財産の保護等に支障を来すおそれがあることから、北海道警察が監査委員の要望する捜査員に対する聴取に応じないという判断をしたこともやむを得ないということを申し上げたものである。

また、会計検査院による検査及び都道府県の監査委員による監査において捜査協力者の氏名を明らかにするかどうかは、国民からの捜査への協力が得られにくくなること等によって公益が損なわれ得ることを十分に考慮した上、その可否を慎重に判断すべきものと考える。

七について

捜査費の支払を受けた捜査協力者が、自己に危害が及ぶおそれがある等のやむを得ない事情により、領収書を受領する警察に対しそのような事情を明らかにする等して、その氏名と異なる名義で領収書を作成することは、必ずしも私文書偽造罪等に当たるとは言えないと考えている。

警察庁においては、平成十六年二月十三日に同庁に設置した予算執行検討委員会における取組を通じて、捜査協力者等の保護の観点及び捜査活動に与える影響に配意しつつ、御指摘の協力者からの領収書の徴取の在り方も含め、警察の予算執行の在り方を検討し、その一層の適正化に努めていくこととしている。

参議院の原文

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