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ヤミ金融対策に関する質問主意書
参議院 第161回 第19号お答えすることは困難 ×2
質問本文
地元に根ざしている中小零細貸金業者は、過剰な取立てなどによって自分の子や孫が世間から後ろ指を指されることのないよう、「貸金業の規制等に関する法律」(以下「貸金業規制法」という。)及び「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(以下「出資法」という。)を遵守し、日夜努力している。
しかし、彼らの努力にも限界がある。貸金業者は、出資法に基づく上限金利が引き下げられて収益が少なくなった分だけリスクを圧縮する必要があるため、信用度の低い多数の資金需要者からの申込みを断らざるを得ない。そして、このように融資のできなかった資金需要者は、結局、法律を無視し暴利をむさぼる違法な金融業者(以下「ヤミ金融」という。)から金を借りてしまうケースが多い。中小零細貸金業者は資金需要者の経済・家計状況が一番良く分かる存在であり、今やリレーションシップ・バンキングの一翼を担っている。したがって、リスクをカバーできる収益が可能となれば、中小零細貸金業者は資金需要者のヤミ金融からの被害を食い止めることができるのである。
戦後、「昭和サラ金地獄」が社会問題になったため、昭和五十八年に貸金業規制法が制定された。しかし、その後も「商工ローン取立事件」など、貸金業における様々な事件が起こり、その度に法改正がされてきた。これらの問題を起こしたのは、ヤミ金融という犯罪者と、違法な取立てを繰り返した一部大手商工ローン業者であり、まじめに営業してきた中小貸金業者ではない。
ところが、現行の貸金業規制法は、違法業者も健全業者もひとくくりにして規制しているために、一向にヤミ金融を取り締まるのに効果を発揮していないばかりか、資金需要者が健全業者から借りられない状況を作り出している。
そこで、以下質問する。
一 本年一月、貸金業規制法及び出資法の改正法(以下「ヤミ金融対策法」という。)を施行したにもかかわらず、ヤミ金融は未だに野放し状態であり、彼らによる被害・迷惑は後を絶たない。例えば、宮城県では、今年に入って既にヤミ金融の被害者からの相談が三百件(被害六十件・被害総額千八百二十四万円)も貸金業協会に寄せられた。昨年は、仙台市中心街においてヤミ金融の張り紙広告と看板広告の撤去が貸金業協会によって行われたにもかかわらず、現在もそのような広告が至る所に氾濫している。また、ヤミ金融はポスティング、ダイレクトメール、電話等による勧誘を引き続き行うなど、その活動は全く衰えていない。
こうした事実を見ると、貸金業規制法や出資法は、ヤミ金融を取り締まる効果が極めて薄いと言わざるを得ないが、政府の見解を示されたい。また、過去五年間のヤミ金融取り締まり実績を示すとともに、ヤミ金融対策法施行後の被害改善効果についての認識を示されたい。
二 貸金業者に対する金融庁の指導・監督や警察の取り締まりだけでは、ヤミ金融の撲滅は困難なのが実情である。そこで、すべての正規の貸金業者に貸金業協会への加入を義務付け、協会内で会員を指導、教育、監督するようにし、貸金業者が自らを律するような仕組みにすべきと考えるが、これについて政府の見解を示されたい。
三 これまで、サラ金被害や多重債務者の被害を減少させるために、数度にわたり貸金業規制法及び出資法が改正され、貸金業者の上限金利は抑制されてきた。ところが、そのような被害はむしろ拡大するばかりであり、破産者数は昭和五十八年以降増加傾向をたどっている。上限金利の抑制は、破産者の増加を食い止める効果が乏しいと考えるが、政府の見解を示されたい。
四 健全な貸金業者が融資を行う際、現行の利息では融資先が限定されてしまうので、結果として借り手である企業がヤミ金融に走って被害を受けている実態がある。しかし、健全な貸金業者は、短期間であればそうした企業に融資することも可能であると表明している。政府は、このように、短期間で少額のもののみ金利を上げることはあり得るものと考えるか。
五 貸金業規制法及び出資法では、ヤミ金融が定義されていないため、健全な登録業者もヤミ金融と同一視されてしまっている。そのため、ヤミ金融を取り締まるはずのものが、結果として健全な貸金業者をも圧迫する事態が生じているのであり、この両法律が実をなしていないと言っても過言ではない。
1 貸金業規制法及び出資法とは別にヤミ金融対策のための特別法を制定し、ヤミ金融を定義するとともに、彼らを厳しく効果的に取り締まり、資金需要者が安心して貸金業者から資金を借り入れられるようにすべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
2 貸金業者の上限金利を、資本金の額及び貸付残高等により、適切な利率に変え、地元に根ざした地域貸金業者がより幅広いリスクを負えるような制度にすべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
近年、闇金融と呼ばれる貸金業の無登録営業、違法な高金利による貸付け、悪質な取立て等の違法行為が多発し、その被害が深刻化している状況にあることから、貸金業の適切な運営を確保し、資金需要者の利益の保護を図る必要性が一層強まってきた。そこで、いわゆる闇金融対策として、平成十五年七月に、貸金業の規制等に関する法律及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律(平成十五年法律第百三十六号。以下「改正法」という。)が成立し、平成十六年一月一日(一部の規定については、平成十五年九月一日)から施行されている。改正法は、①貸金業の登録要件の厳格化、②広告や勧誘に関する規制の強化、③取立て行為等に関する規制の強化、④貸金業務取扱主任者制度の創設、⑤年百九・五パーセントを超える金利での貸付契約の無効化、⑥無登録者に対する取締り強化等を図るものであり、悪質な業者への対策強化に大きく資するものになっていると考えている。
警察による闇金融事犯の取締り実績については、警察庁の統計によれば、検挙事件は、平成十一年百四十九件、平成十二年百六十八件、平成十三年二百十件、平成十四年二百三十八件、平成十五年五百五十六件であり、また、検挙人員は、平成十一年三百二十一名、平成十二年四百六十一名、平成十三年五百十七名、平成十四年四百四十六名、平成十五年千二百四十六名である。このうち平成十五年中の検挙事件及び検挙人員は、過去最高となっている。さらに、平成十六年上半期の実績についても、検挙事件が二百五十四件、検挙人員が五百十六人と、上半期として過去最高となっており、闇金融関連の被害に対する取締り効果はあがってきていると考えている。
二について
貸金業の規制等に関する法律(昭和五十八年法律第三十二号。以下「貸金業規制法」という。)第二十五条に規定する貸金業協会は、貸金業の適正な運営及び不正金融の防止に資することを目的とし、任意加入制の下、会員に対する指導、苦情の解決、研修等の業務を行っている。貸金業者に対し、貸金業協会への加入を義務付けることについては、金融関連の業界団体において加入を義務付けている例がないことを踏まえつつ、慎重な検討を行う必要があると考えている。
三について
昭和五十八年以降破産者数が増加傾向にあることは事実であるが、破産手続をとるものが増えていることには、景気動向や生活様式の変化など様々な要因が複雑に関係していると考えられ、貸金業者の貸出しに関する上限金利を抑制することが、破産者の増加を食い止める効果に乏しいかどうかについてお答えすることは、困難であると考えている。
四及び五の2について
上限金利の規制の在り方については、資金需要者保護の観点から上限金利を更に引き下げるべきであるとの指摘がある一方で、更なる引下げはかえっていわゆる闇金融の横行につながるおそれがあるとの指摘があるなど、種々の議論があるところであり、お尋ねのような「短期間で少額のもののみ金利を上げる」ことや、「地元に根ざした地域貸金業者がより幅広いリスクを負えるような制度」にすることを含め、上限金利の規制の在り方については、資金需給の状況その他の経済金融情勢、貸金業者の業務の実態等とともに、国会等における様々な議論も踏まえつつ、慎重に検討すべきであると考えている。
なお、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合における上限金利を定める出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和二十九年法律第百九十五号)第五条第二項の規定については、改正法附則第十二条第二項において、「施行後三年を目途として、資金需給の状況その他の経済・金融情勢、資金需要者の資力又は信用に応じた貸付けの利率の設定の状況その他貸金業者の業務の実態等を勘案して検討を加え、必要な見直しを行うものとする。」と規定されているところである。
五の1について
貸金業規制法は、過去に貸金業を巡る様々な社会問題が生じたことを背景に、資金需要者保護のために、登録制の下、すべての貸金業者に対し一定の規制を課しており、適正に業務を行っている業者に対しても一定の負担をもたらす措置を含んでいるが、厳しい取締り等により、違法業者が排除されることになれば、業界全体の適正化・健全化が図られることになり、適正に業務を行っている業者のためにもなると考えている。
お尋ねのように、悪質な貸金業者に対する取締りを強化するため、特別法を制定することについては、悪質な業者を客観的に区分することが困難であることから、慎重な検討が必要であると考えている。
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