Kurage 質問主意書アシスト

ことばで探す › 参議院 第162回

ネパールの人権回復に対する働きかけ及び対ネパール政府開発援助に関する質問主意書

参議院 第162回 第16号

提出者
参議院
提出日
2005年4月28日
内閣転送 2005年5月9日
答弁書受領日
2005年5月13日
提出から15日
答弁の項目数
10
質問 2,145字/答弁 3,329字

質問本文

ネパールでは二〇〇五年二月一日、国王が首相を解任し実権を掌握、国家非常事態宣言が発令されるとともに、憲法の人権条項の多くが停止された。

国連人権高等弁務官が政変当日に「非常事態宣言下であっても基本的人権が停止されてはならない」との声明を出したほか、現地を訪れたアムネスティ・インターナショナル事務総長は「ネパールの長年無視されてきた人権の危機は、もはや破局寸前である」と述べている。

こうした情勢を受け、インドやイギリスは軍事援助の停止を決定し、デンマークやスイスは、開発援助の一時停止や新規案件採択の凍結を発表した。政変翌日の二月二日、日本政府は「外務報道官談話」として四点の声明を発表したが、三月七日には、新規の政府開発援助案件二件の供与を発表した。

日本からネパールへの対政府援助はDAC諸国による援助総額の三四・九%に及び(二〇〇二年度実績)、トップドナーである日本政府が今回の政変にどのような反応を示すのかネパール社会及び国際社会は注目している。そこで、「ネパールの人権回復に対する働きかけ及び対ネパール政府開発援助」について、以下質問する。

一 外交ルートでの働きかけについて

1 外務報道官談話以外に、在ネパール日本大使からネパール政府への働きかけ、外務省から駐日ネパール大使への働きかけを行っているのか。また、その具体的な内容について説明されたい。

2 第六一回国連人権委員会の会期中、日本政府代表者はネパール政府代表者と会談したのか。また、その具体的な内容と結論について説明されたい。

3 第六一回国連人権委員会におけるネパールに関する決議に日本は賛成するのか、反対するのか、あるいは棄権するのか、その理由とともに明らかにされたい。

4 現在、マオイスト・政府間での和平への対話の道が断たれているのは、国王・政府側が国連の仲介を拒んでいることにある。国連が仲介に入ることができるよう日本政府として働きかけをする予定はあるのか。ないとすれば、それはなぜか説明されたい。

二 三月七日付け発表の政府開発援助新規二案件について

1 政府開発援助大綱の原則との差異

政府開発援助大綱(ODA大綱)は、その理念の部分で「民主化や人権の保障を促進し、個々の人間の尊厳を守ることは、国際社会の安定と発展にとって益々重要な課題」であり、「我が国は、世界の主要国の一つとして、ODAを積極的に活用し、これらの問題に率先して取り組む決意である」としている。また、援助実施の原則に「開発途上国における民主化の促進、市場経済導入の努力ならびに基本的人権及び自由の保障状況に十分注意を払う」ことを挙げている。基本的人権や自由の保障がされていないネパールにおいて、対政府援助を実施したことはこの原則に反するのではないか。新規二案件の供与がODA大綱の原則に反しないと判断した根拠を示されたい。

2 人権侵害に関するモニタリング

援助対象国の民主化や人権状況に関して、日本政府はどのような基準に基づいて情報収集を行っているのか。その内容は公表されるのか。特に、報道されている著名人に対する拘束・移動制限以外の一般市民に対する不当な逮捕など、一般市民、特に援助の裨益者となるような地方農村部の人々の人権侵害についてモニタリングしているのか明らかにされたい。

3 実施体制

援助関係者がマオイストやその他の反政府勢力の標的になるといったリスクを避けつつ、貧困層や紛争の影響を受けている層に届く援助を実施することが可能と判断した結果、今回の供与に踏み切ったと考えられる。その判断の根拠となる、実施体制はどのようなものか。特に、地方及び主要道路はほぼマオイスト側が統治している状況下、供与物資の配布エリア及び配布方法をどのように想定しているのか。

4 裨益者

「食糧増産援助」は紛争で土地を追われたり、疲弊している農民にとって届きにくく、一方「セクタープログラム無償資金協力」は国家財政支援としての性格が強い。日本大使館のプレスリリースでも国家への外貨支援だと明言されている。今回の援助は、具体的にどの地域に住む、どういった階層の、どういう状況に置かれた人々への支援なのか、明らかにされたい。

5 ネパール社会・国際社会の反応

政変後に対ネパール政府援助の新規案件実施を決定しているのは日本政府のみであり、その決定は他国の対応と大きく異なる。政府発表のみを報道しているネパール国営ラジオ放送局への支援など、既に問題視されている案件がある中で、今回の決定がそれら以上に現政権支持と受け止められるとは考えなかったのか。今回の決定後のネパール社会・国際社会の反応をどのように調査しているか。調査している場合、その結果を受けてなお、今回の決定に至った理由を明らかにされたい。

6 実施とその影響に関するモニタリング

現地で、今回の援助の実施状況並びにその影響について、モニタリングを行う調査団若しくは委員会を結成する予定はあるか。その場合、現地NGO・国際NGO(日本のNGOを含む。)等の参加は可能か、また、モニタリング結果を定期的にホームページ等で情報公開する予定はあるかについても明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

ネパール政府への働きかけについては、外務報道官談話の発表以外にも、駐ネパール日本国大使からネパール国王等に対して、また、外務省アジア大洋州局長等から駐日ネパール大使に対して、政党関係者等の拘束や自宅軟禁及び報道機関の検閲の中止等、憲法で保障された自由の早急な回復について、それぞれ働きかけを行っている。

一の2について

第六十一回国際連合人権委員会に出席した小野寺外務大臣政務官がネパール外務大臣と会談を行い、ネパールにおける人権状況の一層の改善につき、申入れを行い、引き続き、両国政府間で協議を行っていくこととなった。

一の3について

第六十一回国際連合人権委員会におけるネパールの人権状況に関する決議案は、本年四月二十日に、ネパールもその内容に同意した上で、無投票で採択された。我が国としては、ネパール並びに我が国及び本件決議案の主提案国であるスイスを含む関係国の協議の結果まとめられた本件決議案を歓迎し、また、ネパールが国際社会との協力を通じて人権状況の改善のために努力するよう支援する観点から、本件決議案の無投票採択を支持したものである。

一の4について

平成十五年八月に和平交渉を御指摘のマオイスト側が放棄して以降、マオイストによるテロ行為が継続し、その勢力地域が拡大しつつあると言われている。これに対し、ネパール政府側は、和平交渉再開を呼び掛ける一方、武力行使を含む取締りを行っている。このように、現状は、和平交渉が容易に再開される情勢にないが、本年四月三十日にネパール国王が同年二月に発出した「緊急事態令」を解除しており、引き続き状況を注視していきたい。

二の1について

我が国は、政府開発援助大綱(平成十五年八月二十九日閣議決定。以下「ODA大綱」という。)を踏まえ、政府開発援助を実施しており、ネパールに対する援助もこの例外ではない。ODA大綱の「援助実施の原則」において、「開発途上国における民主化の促進、市場経済導入の努力並びに基本的人権及び自由の保障状況に十分注意を払う。」とあることを踏まえ、援助受入国において、民主主義の後退等好ましくない動きが見られた場合には、まずは外交努力による説得を通じ、事態の改善に向け相手国に粘り強く働きかけを行うこととしており、ネパール政府に対しても、本年二月のネパール国王による内閣の解散及びネパール政府による人権制限措置の実施を受け、一の1についてで述べたとおり、これまで累次にわたり、政党関係者等の拘束や自宅軟禁及び報道機関の検閲の中止等、憲法で保障された自由の早急な回復について、働きかけを行っている。

ODA大綱の「援助実施の原則」において、「上記の理念にのっとり、国際連合憲章の諸原則(特に、主権、平等及び内政不干渉)及び以下の諸点を踏まえ、開発途上国の援助需要、経済社会状況、二国間関係などを総合的に判断の上、ODAを実施するものとする。」とあるとおり、政府としては、諸般の状況を総合的に判断の上、政府開発援助を実施することを基本的考え方としている。この考え方に基づき、政府開発援助の具体的な実施に当たっては、必要に応じ、援助受入国において援助を受け取る一般国民、特に貧困層への人道的配慮を払いつつ、個別具体的に判断を行っており、ある一定の基準を設定して機械的に適用するとの考え方はとっていない。

ネパールに対する食糧増産援助及びセクター・プログラム無償資金協力の新規二案件の供与については、ネパールにおける貧困や社会的不平等の問題の軽減に大きく貢献するものとなるとの認識から援助の実施を決定したものであり、ODA大綱の「援助実施の原則」に反するものではない。

二の2について

政府は、援助受入国を含む世界各国の民主化や人権に関する状況に関心を有しており、在外公館等を通じ、必要に応じて随時情報を収集している。収集した情報の公表の可否については、情報提供者、被害者等との関係を踏まえつつ、個別具体的に検討する必要があるため、一律に公表することはしていない。

ネパールに関してもこのような方針で対処しており、報道されている著名人に対する拘束や移動制限以外の一般市民に対する不当な逮捕等の人権侵害についても、可能な限り、情報を収集するよう努めている。

二の3について

平成十六年度のネパールに対する食糧増産援助により供与する肥料及びセクター・プログラム無償資金協力により供与する資材のいずれについても、競争入札等で選定した業者を通じて物資をネパール国内まで輸送した後、ネパール政府が策定した計画に基づき、国内各地で販売されることとなる。これらの援助は、貧困農民が多く居住する山岳地帯を含むネパール全土に裨益すると考えている。無償資金協力の実施に当たっては、援助関係者の安全を確保することが必要不可欠であり、在ネパール日本国大使館、国際協力機構(以下「JICA」という。)事務所、調達代理機関、調達業者等と緊密に連絡を取り合いつつ、現地の治安状況をよく見極めながら細心の注意を払って実施している。

二の4について

我が国は、開発途上国の食糧問題は開発途上国の食糧自給のための自助努力により解決されることが重要であるとの観点から、援助受入国の食糧増産計画に関する要請に基づき、肥料や農業機械などを購入するための資金を供与する形で、食糧増産援助を実施している。食糧増産援助は、JICAが実施する現地調査の結果を踏まえ、実施の可否を検討した上で、決定している。セクター・プログラム無償資金協力は、世界銀行や国際通貨基金との協調の下に貧困削減等の経済構造改善努力を実施する開発途上国に対し、そのために必要となる物資の輸入を支援するものである。いずれの援助についても、財政赤字に直面し、外貨準備高が低い水準にある開発途上国における貧困削減等に向けた努力を支援する上でも有意義な援助であると考えている。

平成十六年度のネパールに対する食糧増産援助については、ネパール政府が肥料を購入し、肥料不足に悩む山岳地域の貧困農民を主たる対象に販売することを計画している。ネパール政府が肥料の販売により積み立てた見返り資金は、貧困農民を裨益対象とするネパール政府の開発事業に活用される予定である。平成十六年度のネパールに対するセクター・プログラム無償資金協力については、ネパール政府は、貧困地域の開発に必要な物資の購入に充てることを計画している。物資の販売により積み立てた見返り資金は、保健医療、教育、上水と衛生などの基礎的な生活分野を中心とする開発事業に活用される予定である。

二の5について

ネパールに対する主要援助国や国際機関は、本年二月のネパール国王による内閣の解散及びネパール政府による人権制限措置の実施以降も、継続案件については実施している。また、新規案件についても、国によって対応を異にしているものの、実施を当面見合わせる等の措置をとった国は、一部に限られている。

我が国は、本年二月以降、累次にわたり、ネパール政府に対し、政党関係者等の拘束や自宅軟禁及び報道機関の検閲の中止等、憲法で保障された自由の早急な回復について働きかけを行ってきており、先般の食糧増産援助及びセクター・プログラム無償資金協力の新規供与決定がネパールの人権状況を容認するものであると受け止められるとは考えていない。

これらの案件の供与決定に先立ち、また、その後においても、我が国は、ネパール社会や国際社会の反応について注視しているが、我が国の対応について、総じて理解が得られていると認識している。

二の6について

在ネパール日本国大使館は、現地JICA事務所と随時連絡を取りつつ、食糧増産援助の実施状況について、把握や評価を行い、年に一回の政府間協議会の場等を通じてネパール政府と協議している。セクター・プログラム無償資金協力についても、これに準ずる形で実施している。把握した実施状況等については、透明性の確保の観点から、外部有識者、国際機関等との間で実施している意見交換会の場などにおいて報告していく考えである。

参議院の原文

似た質問主意書

件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。

提出 2006年5月10日 喜納昌吉 答弁 2006年5月19日
参議院 第164回 第55号
提出 2018年3月16日 源馬 謙太郎(希望の党・無所属クラブ) 答弁 2018年3月27日
提出 2001年3月29日 竹村 泰子 答弁 2001年4月20日
参議院 第151回 第14号
提出 2012年4月6日 木村 太郎(自由民主党・無所属の会) 答弁 2012年4月17日
衆議院 第180回 第173号
提出 1985年11月19日 立木 洋 答弁 1985年12月17日
参議院 第103回 第9号
提出 2008年5月7日 鈴木 宗男(無所属) 答弁 2008年5月16日
衆議院 第169回 第355号
提出 2022年11月24日 打越 さく良 答弁 2022年12月6日
参議院 第210回 第44号趣旨が明らかではない ×1

この論点で次の質問を書くなら

アシストで並べる