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リバースモーゲージの普及促進に関する質問主意書

参議院 第162回 第35号承知していない ×1

提出者
参議院
提出日
2005年6月23日
内閣転送 2005年6月27日
答弁書受領日
2005年7月1日
提出から8日
答弁の項目数
7
質問 2,818字/答弁 1,670字

質問本文

日本におけるリバースモーゲージは、一九八一年の東京都武蔵野市の福祉資金貸付条例に基づくサービスを皮切りに、これまでいくつかの地方自治体で独自のサービスが展開されてきた。また、信託銀行など民間金融機関も一九八〇年代半ばから融資を開始するとともに、昨今は一部の住宅メーカーも自社の顧客を対象にした貸付サービスを開始している。

我が国においても、二〇〇一年には住宅金融公庫が行う高齢者の建て替え融資に関して、リバースモーゲージの手法を応用した償還方法が可能になるとともに、二〇〇二年一二月には厚生労働省の肝煎りで長期生活支援資金の貸付制度が開始され、都道府県社会福祉協議会が対象を低所得者に絞ったリバースモーゲージを実施しているところである。

しかし、これら我が国のリバースモーゲージの諸制度は、利用に当たっての要件が厳格なことや、融資に係るリスクの保障システムが整備されていないこともあり、アメリカの代表的なリバースモーゲージであるHECMの二〇〇三年度の新規契約が一万八千件であることと比較して、普及の度合いは雲泥の差があるのが現状である。

昨年の年金法改正に伴う給付の引下げにより、公的年金のみで退職後の生活を維持することは極めて困難となっていることにかんがみれば、高齢者が自ら保有する資産を活用して、安心できる老後を過ごせることを可能とするリバースモーゲージは、我が国において今後ますます重要な役割を担っていくべきものと考えている。

リバースモーゲージの普及促進は喫緊の重要課題であり、そのための効果的な施策を政府としても速やかに行う必要があるとの立場から、以下質問する。

一、リバースモーゲージは、フローに乏しい者のストック活用という自助・自立の観点に加え、利用者にとっては、住宅の売却とは異なり、引き続き住み慣れた住宅に居住し、コミュニティとの関わりも継続できるというメリットも有している。また、住み替え型のリバースモーゲージにあっては、高齢期に世帯人員に適した住宅に安心して生活することを可能とするとともに、結果として不動産の流動化を促進する効果も併せ持っている。このようなリバースモーゲージの重要性に関する政府の認識を明らかにされたい。

二、政府は、我が国における潜在的なリバースモーゲージ利用希望者が、六五歳以上の高齢者の中で、どの程度の比率を占めると考えるか。また、我が国のリバースモーゲージが、仮にアメリカ並みの普及率になった場合、その経済効果についてはどのように試算しているか。

三、本年五月三一日現在における長期生活支援資金の貸付件数を明らかにされたい。また、その件数は制度創設二年半時点の実績として十分なものかどうか政府としての評価を示されたい。

四、二〇〇二年一月三一日の参議院予算委員会で、当時の坂口厚生労働大臣は、マンションについてもリバースモーゲージの対象とすることに関し、「十分に検討させていただきたいと思っております」との答弁を行っている。厚生労働省が、どのような検討を行ったかを明らかにされたい。

五、長期生活支援資金においては、「配偶者又は親以外の同居人がいないこと」が貸付の要件になっている。このため子供が相続人の場合、当該住宅を処分する際に居住用住宅の課税の特例を受けることが制度的に不可能となっており、このこともリバースモーゲージの普及を阻む要因として挙げられている。有識者からは、子供との同居を認めるか、若しくは居住用財産としての課税の特例に代わる税制優遇措置の必要性があることなども指摘されているが、その是非について政府の見解を示されたい。

六、リバースモーゲージを利用した場合、担保となる不動産の残存価値は実質的に減少しているにもかかわらず、固定資産税は資産評価額そのものに対する課税となっている。有識者からは、リバースモーゲージの普及促進に向けて、固定資産税算出ベースを残存価値に連動させ、課税対象を不動産の残存価値にすることができる特例の創設を検討すべきとの声も寄せられているが、政府の見解を示されたい。

七、二〇〇三年一〇月一日の衆議院予算委員会で、当時の石原国土交通大臣は、「リバースモーゲージは少子高齢化社会の中で有益な制度だと私も思いますので、国交省としても、いろいろ御指示をいただいて普及に努力をさせていただきたいと考えております」との答弁を行っている。国土交通省が、リバースモーゲージの普及に関し、具体的にどのような努力を行ったのかを明らかにされたい。

八、言うまでもなく日本におけるリバースモーゲージの普及を阻んでいる最大の要因は、不動産価格下落リスク、金利上昇リスク、長生きリスクという融資主体側の三大リスクへの対応が不十分なことである。既に一九九七年一〇月一日の衆議院本会議において、当時の橋本内閣総理大臣が「不動産の価格変動あるいは担保切れのリスクなどの問題があるようでありまして、今後さらに検討をしていく必要はあると考えております」との答弁を行っているものの、依然として目に見える成果が上がっていない。

アメリカにおけるHECMにおいては、FHA(連邦住宅庁)を保険者とした保障システムが整備されており、融資主体側の三大リスクのみならず、融資機関の倒産や融資金不払い等の利用者側のリスクについても一〇〇%カバーされている。このことが民間金融機関の参入を容易にし、利用者に安心感を与え、制度の普及促進の原動力となっていることは論を待たない。

こうした保険機関を新たに立ち上げるに当たっては、不動産価格下落リスク及び金利上昇リスクが個々の事業者では回避困難なシステマティックリスクであることに加え、一定規模の保険料をプールする必要があるため、民間のみで直ちに保険機能を整備することは極めて困難である。将来的にマーケットが成熟化すれば、保険機関そのものを民間に移行することも可能であるが、少なくとも当初段階においては、公的機関がその役割を担うべきと考える。政府の見解を示されたい。

九、内閣府においても、過去に「家族とライフスタイルに関する研究会」でリバースモーゲージに関する議論がなされていると承知している。リバースモーゲージの普及促進については、これまで指摘してきた事項以外にも、中古住宅評価システムの整備と中古住宅市場の活性化、利用者への利用前のカウンセリング機能の整備、成年後見制度との連携なども課題として挙げられており、従来の省庁の縦割りによる対応ではなく、内閣府に関係全省庁が参加する横断的な検討機関を設置して、早急に議論を行うことが不可欠と考える。政府の見解を示されたい。

また、リバースモーゲージの普及促進策を真に実効あらしめるためには、特別立法の制定も視野に入れる必要があるものと考えられるが、これについても、政府の見解を示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一、二及び八について

リバースモーゲージは、高齢者がその所有する不動産を担保に融資を受け、その死亡時又は融資機関との契約の終了時に当該不動産の売却により一括して返済する仕組みであるが、高齢者が住み慣れた住宅又はそのニーズに適した住宅に住みながら、十分な介護サービス等を受けることができるなど安定した生活を送ることを可能とする点において、有意義な仕組みであると考えている。

六十五歳以上の高齢者に占める「潜在的なリバースモーゲージ利用希望者」の比率については、把握しておらず、また、「アメリカ並みの普及率になった場合」の経済効果についての試算は、行っていないところであるが、リバースモーゲージに係る官民の役割分担の在り方も含め、リバースモーゲージに関する課題については、今後、幅広く研究してまいりたい。

三について

長期生活支援資金貸付制度を実施している各都道府県社会福祉協議会において資金の貸付けの決定が行われた件数の合計は、平成十七年五月三十一日現在、二百九十六件である。

これまでの間、当該制度が実施されている都道府県数の増加に伴い、貸付件数も着実に増加してきているものと考えており、引き続き、当該制度の普及に努めてまいりたい。

四について

長期生活支援資金貸付制度では、資金の借入申込者が現に居住している建物及び土地を担保物件とし、当該土地の評価額に基づき貸付けに係る限度額を設定することとしている。御指摘のマンションを対象とすることについては、各入居者が土地の所有権を共有持分として有する場合が多いことなどを考慮すると、長期の貸付けの償還に見合った担保余力を期待しにくいといった事情に変化がないことから、担保物件の対象としていないところであるが、今後の中古住宅流通市場の動向等を見ながら対応してまいりたい。

五について

長期生活支援資金貸付制度は、本人の収入のみでは生計が困難な低所得の高齢者世帯の自立を支援することを目的としており、子と同居している場合には、貸付期間中にその収入からの支援が得られることが想定されることなどから、借入申込者に配偶者又は借入申込者若しくはその配偶者の親以外の同居人がいないことを貸付けの要件としているものであり、借入申込者が子と同居している場合に貸付けを行うことは考えていない。

また、御指摘の「税制優遇措置」としてどのようなものを想定しているか明らかではないが、現にその住宅に居住していない子が当該住宅を相続し、処分した場合について税制上の優遇措置を講ずることは、居住用財産でない通常の財産の処分に対して税制上の優遇措置を講ずることであり、適当でないと考える。

六について

固定資産税は、対象資産の所有者に対して、当該資産が有する価値に応じて課されるべきものであり、当該資産について担保権を設定し、融資を受けるなどの所有者の個別の事情によって税負担に差を設けることは、課税の公平の観点から適当でないと考える。

七について

国土交通省では、住宅金融公庫が実施する、持家のバリアフリーリフォーム等の費用について融資を受けた者の死亡時に一括償還を認める制度を推進しているほか、リバースモーゲージによる融資の担保となる住宅が資産として適切に評価されるよう、住宅の質についての情報を提供する住宅性能表示制度の普及に努めるとともに、宅地建物取引業者が合理的な価格査定を行うためのマニュアルについて、中古住宅の質や管理状況が価格査定に適切に反映できるよう、その改訂を指導するなど、中古住宅市場の条件整備を進めている。

九について

内閣府は、リバースモーゲージの普及促進に関する総合調整に関する事務を所掌しておらず、リバースモーゲージの普及促進については、関係省庁が、必要に応じて連絡を取りつつ、それぞれの任務に応じて必要な施策を講じていることなどから、内閣府に御指摘のような「関係全省庁が参加する横断的な検討機関」を設置することは適当でなく、また、御指摘のような「特別立法」を制定する必要があるとは考えていない。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

承知していない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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