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「小規模多機能型居宅介護保険事業」の現状に関する質問主意書

参議院 第166回 第79号お答えすることは困難 ×2承知していない ×1検討してまいりたい ×1

提出者
参議院
提出日
2007年7月5日
内閣転送 2007年7月5日
答弁書受領日
2007年7月10日
提出から5日
答弁の項目数
8
質問 2,216字/答弁 1,605字

質問本文

大規模な介護保険事業者「コムスン」による虚偽登録と廃止登録の繰り返しなど無理な経営拡大、その陰での利用者及び従業者・ケアマネジャー等の関係者に対する乱暴な扱いについては、早くから東京都福祉局等により指摘されてきたところであるが、今回の行政処分によって実態が明らかになりつつある。

他方で、これら大規模経営との対極にある小規模な事業者は、昨年四月の改正介護保険法による介護報酬の引き下げによって、新たな経営上の困難に直面し、利用者に対する良心的な処遇との矛盾に悩んでいるのが実態である。

そこで、「小規模多機能型居宅介護」について、以下のとおり質問する。

一 二〇〇六(平成十八)年新設された「小規模多機能型居宅介護」は、ほぼ中学校一校区ごとに整備することが必要だとされ、あらかじめ二十五名までの要介護者を登録し、登録者に限って「デイサービス」、「ショートステイ」、「居宅へのヘルパー派遣」を提供するという趣旨と承知している。これは実際に現場で取り組まれてきた形態を厚生労働省が追認し制度化したものと言えるが、従来の、大型で単機能サービスごとにバラバラに行うサービスに比べて、利用者の実情に即したきめの細かい福祉を現場の柔軟な判断で提供できる形として、利用者・事業者双方の期待が高かった。

1 現在この制度はどの程度普及しており、特にその事業主体は在来型とどのように異なって(又は重複して)いるか、明らかにされたい。

2 これに対する国及び都道府県・市町村の支援について、把握されている内容を示されたい。全国的な状況を示すことが不可能な場合には、個別の事例を明らかにされたい。

3 二月に「シルバー産業新聞」が行った事業所アンケート(整理済み回答百)によれば、事業所指定数が全国で四百八十八しかなく、八割の事業所が赤字で振るわないとされている。不振の要因は、①平均登録者数が十二人に満たないこと、②軽度者の介護報酬設定が低すぎること、③市町村からの支援が少ないこと、④事業所所在地(の保険者たる自治体)の住民でない者に保険給付がないこと、などが挙げられているが、これらの指摘について厚生労働省の見解を示されたい。

二 「小規模多機能型居宅介護」の理念だけは法律に盛り込まれたが、この制度に参加すれば、当該事業者は大幅な減収となり、財務面の保障がない以上、早晩立ち行かなくなるというのが当事者の危惧である。以下の1から4で示す状況については、厚生労働省の定める「小規模多機能型居宅介護」制度が、理念は作ったけれども報酬が低く抑えられていて、財務面の保障が確立されていないためであり、社会保障費予算を低く削る政府の政策の結果ではないかと考える。それぞれの状況について、厚生労働省の分析と方針を示されたい。

1 自治体による利用者数の制限について

ある事業者は「行政から、一日の利用者を(法定の二十五人でなく)十二名に抑える」よう「指導」されている。

2 介護報酬の低さによる求人難について

小規模介護をテーマにしたテレビ報道(四月二十五日NHK教育「福祉 認知症介護の新サービス制度の壁に挑む」)によれば、事業者であるNPO代表は「私は高質な介護を提供してくれている職員の給料を値切っている立場にある。加えて、利用者の希望に沿うためにはさらに二名の職員の増員が必要だ。職安へ十六万九千円から十九万円の求人票を出しても応募が無い。」と述べている。他方、そこで働く介護福祉士で介護経験四年の男性(三十八歳)は「先月の手取りは十八万円。自分はこの仕事が好きで続けたい。世帯を持っている人は難しい」と述べている。

3 低報酬ゆえの事業者の制度参加忌避について

数年前から「通う、泊まる、訪ねる」介護サービスを提供している福岡県の事業所経営者は厚生労働省の外部機関が「小規模介護」について研究した時のメンバーの一員でもあった。自分が数年経営してきた理念だけは法律の制度に盛り込まれていた。しかし同経営者はこの制度の申請はしなかった。その理由を「これを適用すれば試算して年間収入で五百万円以上減収となる制度です。」と述べている。このように、本制度は、元々自主的にこの取組を先行していた事業者が、かえって制度への参加を忌避するという矛盾をもたらしている。

4 地域包括支援センターとの関係について

同じ「中学校区に1つ」という位置付けの施設としては、すでに地域包括支援センターが法定されている。しかしその整備は進んでいない。

三 高齢化とともに認知症の人がますます増え続けている現実に対して、せっかく創設された「小規模多機能型居宅介護」制度は真剣に応える財政的裏付けを持たされていない。問題点の核心は、先の介護報酬の引き下げ、とりわけ軽度者のそれにあったことは明らかである。とくに「小規模多機能型居宅介護」の主な利用者と想定される認知症高齢者は、ただでさえ要介護度を低く認定されがちであるところ、介護報酬引き下げによって二重の「不採算要因」となって、事業者の採算を圧迫しているからである。せっかく創設した「小規模多機能型居宅介護」制度が歓迎され活用されるよう、介護労働者にはその労働に見合って生活できる賃金を、また事業者には事業を継続できるよう、適正な介護報酬への改定を中心として、抜本的な改善が必要だと考えるが、政府の見解を示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

小規模多機能型居宅介護事業所については、昨年四月の制度創設以来、着実に増加し、独立行政法人福祉医療機構の情報ネットワークシステムに登録している事業所数をみると、本年六月三十日現在で九百八箇所となっている。また、小規模多機能型居宅介護の事業主体別の構成割合としては、営利法人約四十七パーセント、社会福祉法人約二十四パーセント、医療法人約十四パーセント、非営利法人約十パーセント、その他約五パーセントとなっているが、御指摘の「在来型」の事業主体別の構成割合を把握していないことから、これらについて比較し、両者の違いを明らかにすることは困難である。

一の2について

厚生労働省においては、小規模多機能型居宅介護事業所の整備について地域介護・福祉空間整備交付金により支援するとともに、小規模多機能型居宅介護サービスの普及事業について地域介護・福祉空間推進交付金により支援しているところである。

一の3について

小規模多機能型居宅介護については、他の居宅サービスと比べて利用定員が充足されるまでにより多くの時間を要することが想定されるため、事業開始後六箇月間は最少で定員の五十パーセントを基準とする人員配置を認めることにしたほか、事業所の所在地の市町村長の同意を得て、当該市町村以外の市町村長が指定を行うことも可能な仕組みとしているところである。

また、小規模多機能型居宅介護の介護報酬については、社会保障審議会介護給付費分科会における議論を経て設定されたものであり、適切であると考えているが、一定の場合には市町村が独自に高い介護報酬を設定することも可能である。

二の1について

小規模多機能型居宅介護事業所の登録定員については、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十八年厚生労働省令第三十四号)により定められているところであり、市町村においては、この基準に従って事業が運営されるよう適切に対応するものであると承知している。

二の2について

介護従業者の賃金等の労働条件については、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)等の関係法令に基づき事業者と介護従業者との間の契約で決められるものと承知している。

また、小規模多機能型居宅介護の介護報酬については、社会保障審議会介護給付費分科会における議論を経て設定されたものであり、適切であると考えているが、一定の場合には市町村が独自に高い介護報酬を設定することも可能である。

二の3について

二の2についてで述べたとおり、小規模多機能型居宅介護の介護報酬は、社会保障審議会介護給付費分科会における議論を経て設定されたものであり、適切であると考えているが、今後の小規模多機能型居宅介護の介護報酬の在り方については、本年十月に実施する「介護事業経営概況調査」の結果を待って検討することとしたい。

また、厚生労働省としては、小規模多機能型居宅介護の制度創設前から通所介護などの居宅サービスと自主事業を組み合わせたサービスに取り組んできた事業者のすべてが、小規模多機能型居宅介護に移行することは想定しておらず、従来のサービスと小規模多機能型居宅介護とを比較した上で、どちらかを選択してもらいたいと考えていたところであり、小規模多機能型居宅介護の創設後も自主事業等に取り組むことが妨げられることのないよう所要の通知を発出したところである。

二の4について

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難である。

三について

小規模多機能型居宅介護サービスについては、昨年四月の制度創設後約一年が経過したばかりであり、厚生労働省としては、まずは、サービスの一層の普及に努めてまいりたいと考えているところである。今後については、サービスの普及状況も踏まえ、介護報酬の在り方を含め小規模多機能型居宅介護の在り方を検討してまいりたい。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×2承知していない ×1検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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