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「闇の職業安定所」を始めとするインターネット上の違法・有害情報対策に関する質問主意書

参議院 第168回 第110号お答えすることは困難 ×2

提出者
参議院
提出日
2008年1月11日
内閣転送 2008年1月15日
答弁書受領日
2008年1月18日
提出から7日
答弁の項目数
7
質問 2,897字/答弁 1,031字

質問本文

平成十九年八月に名古屋市内で発生したOL殺人事件では、「闇の職業安定所」と呼ばれるサイトに「求人情報」が書き込まれ、これに応じた被害者とは面識のない者が殺人を犯した。こうした「闇の職業安定所」では、直接、殺人等の犯罪を犯すことを仕事の内容とする記載はないものの、書き込みやサイトの表題自体、また、サイトの中で「求人」、「求職」といったコーナーも設けられていること、報酬を示して労働を求めていることなどを勘案すると職業安定法に抵触すると考えられる。

そこで、以下質問する。

一 サイトの表題自体も「職業安定所」という職業紹介を行う機関の名称を使用し、「求人」、「求職」といったコーナーも設け、その中で、「仕事あります、低い、低リスク、報酬五十万」あるいは、「仕事あります、中程度のリスク、中リスク、百五十万」といった書き込みがなされているが、この書き込みを行うことは、職業安定法第四条第五項に規定する「労働者の募集」に該当すると考えるが、政府の見解を示されたい。該当しないとするなら、その理由を具体的に明らかにされたい。

二 職業安定法第五条の三は、労働者の募集を行う者等は、求職者、労働条件等を明示しなければならないこととなっているが、この書き込みには、求職者や同条に規定する労働条件が記載されていないことから、同条に違反すると考えるが、政府の見解を示されたい。違反しないとするなら、その理由を具体的に明らかにされたい。

三 この書き込みが職業安定法に違反していれば、この書き込みを行った者に対して、政府は、同法第四十八条の二の指導及び助言、同法第四十八条の三の改善命令、同法第五十条の報告及び検査を行うことができると考えるが、政府の見解を示されたい。これらの措置を行うことができないとするなら、その理由を具体的に明らかにされたい。

四 前記三に記載する措置が行えるのであれば、これまで、これら「闇の職業安定所」に記載された書き込みに対して、指導助言等の措置を行ったことの有無を明らかにされたい。また、措置を行ったことがないのであれば、これらの措置を講じなかった理由を具体的に明らかにされたい。

五 平成十九年十二月十一日の衆議院青少年問題に関する特別委員会(以下「本特別委員会」という。)において、大槻政府参考人(厚生労働省職業安定局次長)は、「文書募集に当たりましては、いろいろな方法がございます。新聞広告等もございますし、こういったインターネットを用いました募集もあるわけでございますけれども、やはり紙面等の都合上、すべての事項について条件を明示するということは現実難しいということがございます。したがいまして、新聞広告等の並びで考えましても、すべての条件について明示がないので違法であるとして一律に指導するということはなかなか難しいのではないかというふうに考えておるところでございます。」と答弁し、紙面等の都合上、すべての事項について条件を明示するということは現実難しいことを理由に、違法であるとして一律に指導するということはなかなか難しいとしている。この答弁は、「闇の職業安定所」に記載された書き込みが「違法」であることを認めたものと解されるが、政府の見解を示されたい。そうでないとするなら、その理由を具体的に明らかにされたい。

また、この答弁に基づくと、「紙面等の都合上、すべての事項について条件を明示する」ことができるのであれば、「違法であるとして」、「指導する」ことはできると解されるが、政府の見解を示されたい。そうでないとするなら、その理由を具体的に明らかにされたい。

さらに、インターネット上の書き込みについては、「すべての事項について条件を明示する」ことは通常可能であり、「違法であるとして」、「指導する」ことができると解されるが、政府の見解を示されたい。そうでないとするなら、その理由を具体的に明らかにされたい。

六 インターネット上には、「闇の職業安定所」のように、有害な情報だけではなく、インターネット上のサイトに書き込み、これを公衆に閲覧させることによって違法となるわいせつ物や児童ポルノといった違法情報も氾濫している。書き込みを行った者等は、警察等によって捜査がなされれば、刑事罰を受けることが想定されるが、書き込まれた情報については、書き込んだ者、サイト開設者、あるいはプロバイダー等によって削除等の公衆に対する閲覧の防止措置が講じられない限り、公然と表示され続けられることから、こうした違法情報の公衆に対する閲覧防止措置がなされなければならないと考える。

本特別委員会における笹木委員の「違法情報が掲載されているときにはこれを削除しなくてはならない、そういう守るべき事項として定めることが必要じゃないか」、「やはりプロバイダーであったりサイト開設者に対してある程度の義務を課す」との質問に対し、佐藤総務副大臣は、「国による直接の規制については、憲法の保障する表現の自由との関係から慎重な検討が必要である」と答弁しているが、この佐藤副大臣の答弁は、「違法情報」の削除に対する見解を述べたものか、又は「有害情報」の削除に対する見解を述べたものか明らかにされたい。

また、佐藤副大臣は、総務副大臣として答弁しているが、政府内において「憲法の保障する表現の自由との関係」について、内閣から提出を予定する法律案を審査する事務は、内閣法制局がつかさどっていると考えるが、政府の認識を示されたい。

七 「憲法の保障する表現の自由との関係」とは、いかなる事項、論点を指摘しているのか、具体的かつ詳細に明らかにされたい。

八 憲法第二十一条に規定する「表現の自由」、「検閲の禁止」は、国による事前の審査を禁止したものであり、違法情報がインターネット上に掲示され、公衆の閲覧に供された後に、これを削除等の公衆の閲覧を防止するための措置を講じることは、事前ではなく、事後の行為となり、憲法違反とはならないと考えるが、政府の見解を示されたい。

九 違法情報がインターネット上に掲示され、公衆の閲覧に供されていた場合に、「プロバイダーやサイト開設者に対して」削除等の公衆の閲覧を防止するための措置を講じる義務を課すことが憲法違反となるのか明らかにされたい。違反となるのであれば、その理由を詳細かつ具体的に示されたい。

十 本特別委員会において、武内政府参考人(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)は、「違法であるか違法でないかというふうな判断というのも実は非常に難しいところでございまして、個別具体的に行政が直接その情報についての判断をするということについては難しい面がある」と答弁しているが、いかなる情報を公衆の閲覧に供することが「違法であるか違法でないかというふうな判断というのも実は非常に難しい」とすれば、例えば児童ポルノ等を違法とする法律は、構成要件が不明確な犯罪を規定していることになり、罪刑法定主義に反し、憲法違反となると考えるが、政府の見解を示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一から四までについて

御指摘のインターネットサイトに記載された内容が、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号。以下「法」という。)第四条第五項に規定する「労働者の募集」に該当するかについては、当該内容が、労働者を雇用しようとする者が、自ら又は他人に委託して、労働者となろうとする者に対し、その被用者となることを勧誘するものであるか否かを個々に判断する必要があることから、一概にお答えすることは困難である。

五について

御指摘の答弁は、法第五条の三の一般的な解釈について述べたものであり、御指摘のインターネットサイトに記載された内容を同条違反と判断したものではない。

また、インターネット上の書き込みにおいてすべての事項について詳細に条件を明示することが可能であるかどうかについては、書き込みを行うサイトの態様やサイトの管理者による運営の方法を勘案し、個々に判断する必要があるものと考える。

六について

御指摘の答弁は、違法情報(法令に違反したり、他人の権利(法律上保護される利益を含む。)を侵害したりする情報をいう。)及び有害情報(違法ではないが、公共の安全や秩序等に対する危険を生じさせるおそれのある情報や特定の者の権利や福祉にとって有害と受け止められる情報をいう。)に対する佐藤総務副大臣の見解を述べたものである。

また、御指摘の事務は、内閣法制局が所掌している。

七について

お尋ねの「憲法の保障する表現の自由との関係」とは、憲法第二十一条の保障する表現の自由は国民の基本的人権のうちでもとりわけ重要なものであると解されており、これを制約することの可否については、厳格に判断する必要があることを指摘したものと考える。

八について

憲法第二十一条による表現の自由の保障は、国による事後的な規制にも及ぶものであり、その規制の態様によっては同条に違反する可能性はあり得ると考える。

九について

御指摘のような義務を課すことが憲法第二十一条に違反するか否かについては、その目的や具体的な措置の内容等を総合的に勘案する必要があり、一概にお答えすることは困難である。

十について

御指摘の児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)は、その定義を定めた第二条において「児童」、「児童ポルノ」等を明確に規定していること等から、構成要件が不明確な犯罪を規定しているものではなく、憲法違反の法律では決してないものと考える。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×2

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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