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PCB処理の推進に関する質問主意書

参議院 第169回 第150号

提出者
参議院
提出日
2008年6月10日
内閣転送 2008年6月16日
答弁書受領日
2008年6月20日
提出から10日
答弁の項目数
6
質問 1,924字/答弁 2,169字

質問本文

かつて我が国に於いてトランスやコンデンサに使用された絶緑油に含まれていたポリ塩化ビフェニル(PCB)は、昭和四十三年にカネミ油症事件を引き起こす原因となったことにより、昭和四十七年には製造販売が禁止され、今日に至っている。その後、安全な処理方法が確立されない中、三十数年にわたりPCB含有絶緑油やそれを用いたトランス、コンデンサを所有する事業者に対して保管義務を課した一方、実際の処理については手付かずのまま推移した。

しかし、その長期にわたる無策状態の中で多くのPCB汚染されたこれらトランス、コンデンサが行方不明となったり、破壊されたことなどによるPCB汚染などが発生したりする事態が何度も起きてきた。こうした事態を経て、平成十三年にようやく国は、世界の動向を踏まえて世界環境基準に照らしたPCB処理のための法律「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(以下「PCB廃棄物法」という。)を制定し、PCB廃棄物を保管する事業者に対して平成二十八年までに全てのPCBを処理するよう罰則規定も設けて義務付けた。そして、平成十六年に北九州市で第一号の処理施設を稼働させ、引き続きあと四箇所の処理施設(大阪市、豊田市、東京都、北海道)の稼働が進められている。

法律制定後七年、最初の処理施設稼働から四年がたっているのであるが、その処分状況はどの程度進捗しているのか、PCB廃棄物法が定めた平成二十八年までのPCB完全処分が可能なのか、国民の前にはなんら示されないままである。あわせ、その処理スキームについても、不透明な感がある。

今年七月は、地球環境問題を大きなテーマにした洞爺湖サミットが開催される。こうした時節にふさわしく、我が国の環境保全問題にとって長年にわたり懸案であったPCB処理の現状について、国民及び世界の前に広く明らかにされるべきである。

そこで、次の事項について質問する。

一 PCBの製造販売が禁止されてから三十五年も経ている中、その後の経済情勢の激動によりPCB廃棄物を保管すべき事業者が倒産するなどにより、多くのトランス、コンデンサが行方不明となっていると見られる。国として、これらの状況について、どのように把握しているか。また、製造販売が禁止され、保管義務が事業者に課されて以降、届出されていたPCB廃棄物のうちのどれくらいのものが行方不明となっているのか。

二 全国五箇所のPCB処理施設に於けるPCB廃棄物処理は、国が百パーセント出資して平成十六年に設立された日本環境安全事業株式会社(以下「JESCO」という。)が行うことになっているが、その根拠は何に基づいているのか。

三 JESCOについては、PCB廃棄物を保管すべき事業者が処理についての計画を策定し、処理施設への搬入について問い合わせても、「そちらの地域は、まだ処理計画の順序で該当しない」との理由で搬入を事実上拒否したり、あるいは不明瞭な指導をしたりするという苦情が聞かれている。JESCOは今後、平成二十八年までに全てのPCB及びその汚染物を処理するにあたり、いかなる具体的な計画を策定しているのか。地域別計画を含め、明らかにされたい。また、平成二十八年にPCB完全処理を達成する上での、現状における目標達成率と今後の展望についても明確にされたい。

四 JESCOは、PCB廃棄物処理施設の運営やここへの廃棄物持込みの上で必要な手続きなどの事務の一切を行っているが、JESCOの年度毎の決算についてその状況を明らかにされたい。また、PCB廃棄物の費用負担が大きい中小企業等に対する基金が独立行政法人環境再生保全機構において設置・管理されているが、本基金による中小企業等への助成の実績についても状況を明らかにされたい。

五 JESCOについては、政府OBの天下りが多数にのぼるのではないかとの推測が聞かれる。実際にはどうなのか。JESCO職員中の政府OBについて、出身省庁別に人数を明らかにされたい。また、退職時、課長以上の役職だったものについては、省庁及び役職別にその人数を明らかにされたい。

六 「緊急の課題であるPCB廃棄物処理を行う国の唯一の機関」として設立されたJESCOが、その特権的地位を乱用して政府からの天下り職員にいつまでも安定した職を保証したり、PCB及びその廃棄物を保管する者やこれらの運搬に関わる業者に対して実情に合わない一方的な要求や指導をしたりすることがあってはならないと思われる。現状をどのように認識しているか。PCB廃棄物法で定めた期限内での安全な処理に向けての政府の見解を明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

ポリ塩化ビフェニル廃棄物(以下「PCB廃棄物」という。)の保管の状況については、旧厚生省において、PCB廃棄物を保管する事業所を対象として、平成四年度及び平成十年度に都道府県等を通じた調査を行い、PCB廃棄物の紛失等を含め、把握を行った。その後、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成十三年法律第六十五号。以下「PCB特別措置法」という。)が制定されて以降については、事業活動に伴ってPCB廃棄物を保管する事業者は、PCB特別措置法第八条に基づき、PCB廃棄物の保管及び処分の状況に関し、都道府県知事に毎年度届出を行っており、当該届出に基づき、都道府県知事が、PCB廃棄物を保管する事業所に対してPCB特別措置法第十四条に基づく指導等やPCB特別措置法第十八条に基づく立入検査等を行っているところであるが、環境省として、PCB廃棄物の紛失の状況について把握はしていない。

二について

日本環境安全事業株式会社(以下「JESCO」という。)は、日本環境安全事業株式会社法(平成十五年法律第四十四号。以下「JESCO法」という。)第一条第一項において、PCB廃棄物の処理に係る事業等を経営することを目的とする株式会社とされており、その所有する全国五か所の施設において、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)の規定に基づき、PCB廃棄物の処理を行っているものである。

三について

JESCOは、JESCO法第七条に基づき、平成十六年六月に、PCB廃棄物の処理施設の設置の場所、当該処理施設における処理量の見込み及び処理の方法等の事項に関する計画(以下「事業基本計画」という。)を定め、事業基本計画に基づきPCB廃棄物の処理に係る事業を行っている。また、JESCOにおいては、事業基本計画を受けて行われる具体的なPCB廃棄物の搬入の時期、量等について、施設ごとに、当該施設におけるPCB廃棄物の計画的な搬入を確保し、安全かつ効率的に処理が実施できるよう、関係都道府県等と十分な連絡調整を行った上で、計画を定めているところである。

JESCOによれば、事業基本計画における処理の完了の予定時期までの処理量の見込みに対する平成十六年度から平成十九年度までの間におけるJESCOのPCB廃棄物の処理量の実績の割合は、高圧トランスについては約六パーセント、高圧コンデンサについては約六パーセント、低圧トランス、低圧コンデンサ、リアクトル、放電コイル、サージアブソーバー、計器用変成器、開閉器、遮断器及び整流器等のうち高圧トランス及び高圧コンデンサと同程度の大きさのもの(以下「その他機器」という。)については約三パーセント、廃ポリ塩化ビフェニル及びポリ塩化ビフェニルを含む廃油(以下「廃PCB等」という。)については約六パーセント、低圧トランス、低圧コンデンサのうち小型のもの、安定器等の小型の電気機器が廃棄物となったもの及び感圧複写紙、ウエス、汚泥等のポリ塩化ビフェニル汚染物(以下「汚染物等」という。)については約〇・〇二パーセント、柱上トランス油については約二十五パーセントとのことである。また、JESCOによれば、本年五月に五か所すべてにおいて、高圧トランス、高圧コンデンサ、その他機器及び廃PCB等の処理が開始され、さらに、このうち二か所においては、汚染物等を処理するための施設の整備が進められているところであり、これらの施設が本格的に稼働されることで、事業基本計画に従って平成二十七年三月までに処理を進めていくこととしているとのことである。

四について

JESCOによれば、年度ごとの決算における当期純損益の額は、平成十六年度が二十三億九千九百九十万二千百六十七円の損失、平成十七年度が七十八億三百八十二万二百四十九円の損失、平成十八年度が百二十六億八千七百六十万七千五百五十八円の損失とのことである。また、独立行政法人環境再生保全機構によれば、独立行政法人環境再生保全機構法(平成十五年法律第四十三号)第十六条第一項に基づき設けられたポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基金による中小企業者等への助成の金額の実績は、平成十七年度は三千六百六十四万三千六百五十七円、平成十八年度は四千六百十六万九千六十二円とのことである。

五について

平成二十年四月一日現在でJESCOに在籍している役員については、環境省大臣官房付(元地球環境局長)であった者が一名、同省自然環境局自然環境計画課長であった者が一名いるが、JESCOによれば、その他の平成二十年四月一日現在でJESCOに在籍している者であって中央省庁を退職後にJESCOに再就職したものはいないとのことである。

六について

JESCOは、政府及び民間企業等に対してその業務に必要な人材の派遣を求め、関係法令に従い、事業基本計画に定める処理の完了の予定時期までにPCB廃棄物の処理を完了するよう事業を行っており、これまで適正にその業務を遂行してきているものと認識している。環境省としては、PCB特別措置法に基づき環境大臣が定めたポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画に沿って、今後とも適切にPCB廃棄物の処理が進展するものと認識している。

参議院の原文

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