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PCB廃棄物処理の促進に関する質問主意書
参議院 第178回 第28号
質問本文
PCB(Poly Chlorinated Biphenyl)は、ポリ塩化ビフェニル化合物の総称であり、絶縁性、不燃性などに優れた特性を有することから、トランス、コンデンサといった電気機器を始め幅広い用途に使用されてきた。しかしながら、昭和四十三年にカネミ油症事件(米ぬか油中に、製造工程で用いられたPCBが混入していたことが原因となった大規模な食中毒)が発生し、その毒性が明らかになり、社会問題化した。特にコプラナーPCBと呼ばれるものは毒性が極めて強く、ダイオキシン類として総称されるものの一つとされている。
その後、PCBは昭和四十七年に製造が中止されたものの、PCB廃棄物の処理施設の整備は困難であったことから、三十年以上の長きにわたってPCB入りトランス等が事業者により保管され続ける結果となった。しかしながら、このままでは紛失等による環境汚染が懸念されること、国際的にもPCBの早期処理が求められていること、より安全な化学処理方法が確立したことなどから、平成十三年に自公政権の下でPCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法が制定され、PCB廃棄物を所有する事業者は、平成二十八年七月までにPCB廃棄物を処分することが義務付けられることになった。
PCB廃棄物は三十年以上にも及ぶ長期保管のため紛失や漏洩が発生しており、環境汚染の進行が懸念され、現在、国の監督と地方公共団体の協力の下、日本環境安全事業株式会社法に基づいた特殊会社を活用した拠点的広域処理施設により、保管事業者から委託を受けて処理業務を実施している。
PCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法制定から十年が経過しているが、地域的に進捗にばらつきがあるものの全体として現状の処理体制では、平成二十八年七月までにPCB廃棄物の処分が終了しないと予想されることから、国は確実かつ適正な処理の体制整備に更に取り組むべきである。建設的な提案の視点から、以下質問する。
一 PCB廃棄物の処理で北九州事業所の処理進捗率が、平成二十三年三月時点でトランス類で四十九・一パーセント、コンデンサ類で三十六・五パーセント、国全体ではトランス類が三十六・一パーセント、コンデンサ類が二十九・三パーセントとなっている。このままのペースでは北九州事業所及び国全体の処理は終わらないと懸念するが、政府の見解を示されたい。また、その遅れている理由について、政府の見解を示されたい。
二 北九州市が必ずしも招致したわけではないこの事業の延長を前提とするのは適切でない状況の下、環境省(国)は岡山以西の県に対して、早急にPCB廃棄物を、北九州市の施設に送るよう働きかける必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。PCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法附則第二条において、同法の施行後十年が経過した場合において、施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされているが、今後の取組について、政府の見解を示されたい。
三 中小事業者の高圧トランス・コンデンサの処理費用は、PCB廃棄物処理基金から補助金の対象となっているが、現下の経済情勢を踏まえると、資金繰りに苦しんでいる中小・小企業はPCB廃棄物を処理できない可能性が高いと考えられる。現状においても、遅れている中小・小企業の処理を今後一層促進する必要があるが、その方策について政府の取組を示されたい。
四 PCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法に基づいて、PCB廃棄物の保管者は都道府県知事への届出が義務付けられている。届出調査を行ったところでは、無届けの者が見受けられているとのことであるが、現状を示されたい。また、処理すべき量を的確に把握するために、無届けのPCB廃棄物の調査が必要と考えるが、政府の見解を示されたい。
五 東京、豊田、大阪事業所の事業区域にある安定器等については、PCB廃棄物処理基本計画で処理方法が定められていない。今後どのように処理する予定か、政府の見解を示されたい。
六 PCB廃棄物処理の実施に当たっては、地方公共団体の協力が不可欠である。今後、適切・確実な処理を推進するために、地域住民及び地方公共団体の円滑な連携を可能とする取組が必要と考えるが、地方公共団体に対してどのように働きかけていくのか、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
PCB廃棄物(ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成十三年法律第六十五号。以下「特別措置法」という。)第二条第一項に規定するポリ塩化ビフェニル廃棄物をいう。以下同じ。)については、日本環境安全事業株式会社(以下「会社」という。)において、安全性に最大限の配慮をしつつ、確実な処理を進めているところであるが、トランス及びコンデンサ等のPCB廃棄物は、大きさが様々で、かつ、多様な構造を有していることなどから、会社のPCB廃棄物の処理に係る事業の国全体における進捗率は、御指摘のとおり平成二十三年三月時点でトランス類が三十六・一パーセント、コンデンサ類が二十九・三パーセントにとどまっており、環境省としては、PCB廃棄物を保管する事業者(以下単に「事業者」という。)が、その処分をしなければならない期限である平成二十八年七月までに処分を終えるよう、PCB廃棄物の処理を更に加速させていく必要があると認識している。
二について
会社の各事業所へのPCB廃棄物の搬入については、都道府県及び特別措置法第七条第一項の政令で定める市が中心となって、同項に規定するポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画に基づき、計画的な搬入に努めているところと承知しており、環境省としても、その進捗状況を確認し、PCB廃棄物の円滑な搬入の促進に向けて、必要な措置を講じてまいりたい。
また、御指摘の特別措置法の施行の状況についての検討については、環境省において、「PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」(以下「検討委員会」という。)を設置し、平成二十三年十月一日から検討を進めているところである。
三について
中小企業者等(独立行政法人環境再生保全機構に関する省令(平成十六年環境省令第十一号)第二十一条第一号に規定する中小企業者及び学校法人等をいう。以下同じ。)が保管するPCB廃棄物の処理については、処理費用の一部を独立行政法人環境再生保全機構に設けられたポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基金による助成の対象としており、今後とも、同基金による助成を行うこととしている。また、環境省においては、平成二十三年度及び平成二十四年度を中小企業者等が保管するPCB廃棄物の処理の促進に重点的に取り組む期間として位置付け、都道府県及び特別措置法第十九条第一項の政令で定める市(以下「関係都道府県市」という。)並びに会社に対し、協力を求めているところである。これを踏まえ、現在、関係都道府県市及び会社において、中小企業者等に対し、PCB廃棄物の処理に関する説明会への参加を促進することなどにより、中小企業者等が保管するPCB廃棄物の処理の促進に取り組んでいるところと承知している。
四について
環境省においては、事業者に対し、これまでも特別措置法第八条に基づくPCB廃棄物の保管及び処分の状況に関する届出を行うよう周知してきたところであるが、御指摘のとおり当該届出を行っていない事業者が存在していることは承知しており、当該事業者に当該届出の義務を確実に履行させるための方策について、今後、検討委員会において検討を進めていくこととしている。
五について
会社の東京事業所、豊田事業所及び大阪事業所の事業対象地域にある安定器等のPCB廃棄物の処理体制の在り方については、今後、検討委員会において検討を進めていくこととしている。
六について
PCB廃棄物の処理の推進に当たっては、処理施設が立地する地域の地方公共団体及び住民(以下「地方公共団体等」という。)の理解及び協力並びに地方公共団体等における連携が重要であり、環境省としては、地方公共団体等に対し、PCB廃棄物の処理に係る施策に関する情報を提供していくとともに、会社に対し、地方公共団体等にPCB廃棄物の処理に係る事業に関する情報を提供するよう指導してまいりたい。
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