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蛍光灯水銀の回収及び適正処理に関する質問主意書

参議院 第170回 第110号お答えすることは困難 ×3承知していない ×3

提出者
参議院
提出日
2008年11月28日
内閣転送 2008年12月3日
答弁書受領日
2008年12月9日
提出から11日
答弁の項目数
12
質問 3,886字/答弁 2,811字

質問本文

蛍光灯は一般家庭、事務所、工場などで幅広く使用されており、年間約三億五千六百万本販売されている(日本電球工業会統計二〇〇七年)。

蛍光灯の発光には水銀が必要であり、水銀フリー蛍光灯の開発や一本当たり水銀使用量の減量がすすんでいるとはいえ、経済性からみても今後も大量の水銀含有蛍光灯が使用され続けることは確実である。蛍光灯に使用する水銀は無機水銀で、一般的にヒトの消化管からは吸収されにくいとされるが、川や海の無機水銀が環境中の微生物によりメチル水銀に変化したものは食物連鎖を通じて魚介類に取り込まれる。このため、使用済み蛍光灯の水銀についても、環境中への放出を極力抑え、回収、リサイクルを徹底することがもとめられる。しかしながらその現状は、水銀処理最大手の野村興産株式会社イトムカ鉱業所(以下、「イトムカ」という。)によると「適正処理されているのは一五%くらい」という水準であり、大部分は環境中に放出されていることが懸念される。

蛍光灯のガラス部分は全体の九二%を占めるが、特に事業所等で使用されているラピッドスタート形蛍光灯には管内に酸化スズが塗布されていることから使用中に酸化水銀を発生させ、これがリサイクルの大きな障害となっているという指摘もある。

そこで、人の健康、生活環境を保全する観点から蛍光灯水銀の回収、処理の実態を明らかにするとともに、とりわけ酸化スズを塗布したラピッドスタート形蛍光灯の処理の現状、水銀・ガラスのリサイクルの問題点について、以下、質問する。

一 蛍光灯水銀・ガラスの回収・リサイクルの現状について

環境省の有害金属対策基礎調査検討会資料(以下、「検討会資料」という。)によると、わが国の一般蛍光ランプ(蛍光灯)の生産量は二〇〇一年から〇五年の五ヵ年平均で三億六千七百四十万本、使用している総水銀量は三千二百二十五キログラムである。この含有量は、わが国の年間水銀需要量の約二三%を占め、水銀含有製品としては水銀柱血圧計の三〇%に次ぐ大きな割合となっている。この処理状況について聞く。

1 使用済み蛍光灯の回収・処理ルートについて、一般家庭用(一般廃棄物)、事業所用(産業廃棄物)の別に説明されたい。また蛍光灯からの水銀除去方法及び蛍光管ガラス、水銀のリサイクル方法について説明されたい。

2 蛍光灯水銀処理業者名とそれぞれ業者ごとの年間水銀処理量を一般廃棄物、産業廃棄物の別に示されたい。

3 蛍光灯の消費量は一般家庭が約六〇%、事務所等が約四〇%とみられている。

検討会資料では、「蛍光管からの水銀リサイクル量」は「〇・二〇トン~」となっており、これは一般家庭から排出され全国都市清掃会議の回収ルート、もしくは自治体の直接契約で搬入された使用済み蛍光灯がイトムカで処理・回収された一般廃棄物からの水銀量の二〇〇三年度から〇六年度の平均ということである。これに対し、産業廃棄物から処理・回収された水銀量は、「製品からの水銀リサイクル量 一五トン」とされ、「電池、照明器具、計器、無機薬品、医療機器、汚泥、建設機材、吸着材など製品・廃棄物」を合わせた数値となっている。蛍光灯水銀のリサイクル量を適切に把握するために、事業所等の使用済み蛍光灯の処理・回収量についても明確に把握すべきではないか。

またリサイクルされず、焙焼などの中間処理を経て最終処分場に埋め立てられている水銀量も明確に把握すべきではないか。

4 環境省の公益法人、財団法人日本環境協会エコマーク事務局は「ガラス製品認定基準書」において、「電気ガラス(蛍光ランプ用ガラス管)は、ランプとして水銀をガラス内部に拡散浸透しているため、リサイクルの際、溶融炉に悪影響を及ぼす。また直管の半数はラビットタート対策としてスズ膜が塗布されており、リサイクル時の影響が懸念される。使用済み蛍光灯の九五%は埋立て前に水銀を除去し、埋立て処理している。拡散浸透しているスズ、水銀の除去がリサイクルのカギである」と記述している。

この基準は、社団法人日本電機工業会の環境技術専門委員長を長とする日本環境協会エコマーク類型・基準制定委員会において、環境省総合環境政策局も関与して決定したものだが、先のイトムカの「適正処理は一五%」の指摘を勘案するならば「九五%は水銀を除去」との記述は実態と異なるのではないか。また政府は、「拡散浸透しているスズ、水銀の除去がリサイクルのカギである」という認識を同様に持っているか。

5 松下電器産業株式会社電材営業本部副参事(当時)は、「日本の場合は…ランプがつきやすくするために、酸化スズというものをガラスの中にやきつけております。これが、ランプ・ツー・ランプができない大きな技術的ハードル」(国連大学ゼロエミッションシンポジウム、二〇〇三年十月二十一日)と講演している。

政府は、ガラスの中にやきつけた酸化スズが蛍光灯ガラスのリサイクルができない技術的ハードルという認識を同様に持っているか。蛍光灯ガラスのリサイクルができないということは即ち、酸化スズは蛍光灯水銀のリサイクルもできない技術的ハードルなのではないか。

二 ラピッドスタート形蛍光灯(酸化スズ付)のリサイクル障害について

蛍光灯には形状別に、直管形、環形、コンパクト形、電球形があり、直管形にはランプ点灯の安定器の型によりグロースタート形、ラピッドスタート形、Hf形(インバータ専用)等がある。このうち、酸化スズが管内に塗布されているのは直管形のラピッドスタート形のみである。ラピッドスタート形の二〇〇七年度の出荷数量は五千百九十七万本、直管形の約二六%、蛍光灯全体の約一五%を占める。

酸化スズを塗布したラピッドスタート形蛍光灯は使用するにつれ、管内に多数の黒点(アバタ)が生じる。これは一九八三年度照明学会全国大会講演論文集で松下電工社員が指摘している「ラピッドスタート形蛍光ランプのアバタ現象」というもので、他のタイプの蛍光灯にはない現象である。

ラピッドスタート形はグローランプの保守が不要なため、事務所や工場、店舗などの設備照明として広く採用されている。つまり、アバタ現象のあらわれた使用済みラピッドスタート形蛍光灯のほとんどは産業廃棄物となる。

1 管内に酸化スズが塗布されているラピッドスタート形の過去五ヵ年平均の生産量と一般蛍光灯総生産量に占める割合、含有水銀量を示されたい。

産業廃棄物の使用済み蛍光灯は水銀が除去されていない懸念があるが、酸化スズが塗布されたラピッドスタート形のうち、実際の水銀リサイクル量、最終処分場で埋め立てられた量はどれくらいか。政府は、明確に把握する必要があるのではないか。

2 特許庁の公開特許公報A(昭五五-三一一七)(一九八〇年一月十日公開)には、松下電子工業株式会社社員の発明として、「ガラス管内面に起動補助体としての透明導電皮膜を設けてなる蛍光ランプに関するもの」がある。これには、「この種の蛍光ランプは、起動特性がすぐれている反面、長期点灯中に管内面に黒褐色の斑点を生じ」とある。さらに、「ガラス管の内面に酸化スズなどの金属酸化物より成る透明導電皮膜を形成し、その上にけい光体を塗布する構造である。…微放電の繰返しにより水銀の酸化が促進されると共にけい光体が変色し、いわゆる黒褐色の斑点に至る」と説明している。

そこで政府は、ラピッドスタート形の酸化スズを塗布した蛍光灯が使用するにつれ、酸化水銀のアバタが生じる事実を認めるか。

またこのアバタが水銀・ガラスの回収・リサイクルの障害だという認識を持っているか。

3 日本電球工業会及びパナソニック株式会社は、ラピッドスタート形蛍光灯が使用するに伴い酸化水銀であるアバタが生じることを確認しているか、政府は承知しているか。

4 このアバタは蛍光灯の継続使用により、酸化水銀が生成され管内にやきつくものである。だからこそ、洗浄によっても除去できず水銀の回収やガラスリサイクルできない原因となっている。このアバタの付いた使用済み蛍光灯は産業廃棄物として、イトムカや他の処理業者に持ち込まれているとみられるが、イトムカ等の水銀処理業者において、このアバタは水洗浄、空気洗浄などの方法により完全に除去しているか、政府は承知しているか。

三 北海道庁によるイトムカへの立入検査について

イトムカにおける蛍光灯水銀の不適正処理の指摘を受け、今年六月十六日、北海道庁の廃棄物担当者がイトムカに立入検査を実施したと聞く。

1 立入検査を行った人数、所要時間、検査内容、立入検査した場所、工程など政府が道から把握した内容をすべて説明されたい。

2 北海道庁は、立入検査の際、「スポット黒化」ではない前記二が示す酸化水銀のアバタが付着した使用済み蛍光灯を確認したか。また酸化水銀の付着した使用済み蛍光灯からの水銀回収工程を現認したか、アバタの付いた使用済み蛍光灯が水洗浄工程に入れられ、洗い流され、工程を終了してきれいなガラスカレットとなって出てくる状況を現認したか。それぞれの質問について政府の承知しているところを説明されたい。承知していない場合、調査するなどして、答弁されたい。

3 政府は、イトムカでは産業廃棄物である酸化水銀のアバタ付きのものを含む、すべての使用済み蛍光灯から水銀が回収・除去され残滓が埋立て処理され、人の健康と生活環境の保全がされていることを、国民に対し完全に保証できるか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

一般家庭が排出する使用済みの蛍光灯については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「法」という。)第六条の二第一項に基づき、市町村が自ら又は中間処理業者に委託して、処理を行っている。また、事業者が排出する使用済みの蛍光灯については、法第十一条第一項に基づき、事業者が自ら又は法第十四条第一項若しくは第六項に定める許可を受けた者若しくは法第十五条の四の三第一項に定める認定を受けた者に委託して、処理を行っている。

使用済みの蛍光灯からの水銀の除去及び回収については、一般的には、蛍光灯の破砕及び洗浄により生じた水銀を含む汚泥を焙焼して水銀を気化させ、その後冷却等の過程を経ることにより行われており、回収された水銀は新たな蛍光灯、水銀試薬等に再生利用されているものと承知している。また、使用済みの蛍光灯のガラスについては、蛍光灯の破砕及び洗浄を経て生成されたガラスカレットが、ガラスウール、セメント等の原料に再生利用されているものと承知している。

一の2について

御指摘の蛍光灯水銀処理業者については、政府として網羅的には把握していないが、野村興産株式会社、JFE環境株式会社、株式会社ジェイ・エム・アール、株式会社神鋼環境ソリューション、株式会社ジェイ・リライツ等があると承知している。また、これらの業者ごとの年間の水銀の回収量については承知していない。

一の3について

事業者から排出される使用済みの蛍光灯は、他の産業廃棄物とあわせて処理されていることから、蛍光灯の量のみを把握することは困難である。

また、最終処分場に埋め立てられている水銀の量については、使用済みの蛍光灯が、他の廃棄物とあわせて中間処理を経て最終処分場に搬入されるため、これを把握することは困難である。

一の4について

御指摘の「ガラス製品認定基準書」における「使用済み蛍光灯の九五%は埋立て前に水銀を除去」との記述は、財団法人日本環境協会エコマーク事務局が、ガラス製品をエコマーク対象製品として認定するための基準を策定するに当たり行った情報収集の結果を基に、記述したものであると承知している。また、政府としては、「ガラス製品認定基準書」における同事務局の見解と同様に、スズや水銀を蛍光灯のガラスから除去するための技術の進展は、蛍光灯のガラスの適正な再生利用の促進に資するものと認識している。なお、御指摘の、野村興産株式会社イトムカ鉱業所(以下「イトムカ鉱業所」という。)による「適正処理は一五%」との指摘に係る事実関係については、承知していない。

一の5について

政府としては、蛍光灯の管内に塗布されている酸化スズが、使用済みの蛍光灯のガラスを新たな蛍光灯のガラスの原料として再生利用することを妨げている原因の一つとなっているとの指摘があることは認識しているが、酸化スズが塗布されている使用済みの蛍光灯のガラスについても、一の1についてでお答えした方法により、ガラスウール、セメント等の原料として再生利用されていることから、酸化スズが使用済みの蛍光灯のガラスの再生利用の支障になっているとは認識していない。

また、酸化スズが塗布されている使用済みの蛍光灯に用いられている水銀についても、一の1についてでお答えした方法により、新たな蛍光灯、水銀試薬等に再生利用されていることから、酸化スズが水銀の回収の支障になっているとは認識していない。

二の1について

社団法人日本電球工業会の調査によれば、管内に酸化スズが塗布された蛍光灯であるラピッドスタート形蛍光灯の、平成十五年度から平成十九年度までの五年間における年間生産量の平均は、約五千五百五十四万七千七百本であり、同期間におけるラピッドスタート形蛍光灯の総生産量の一般蛍光灯の総生産量に占める割合は、約十五・三パーセントである。また、平成十四年から平成十八年までの五年間における一般蛍光灯一本当たりの含有水銀量の平均は、約八・二ミリグラムである。

また、使用済みのラピッドスタート形蛍光灯に含まれる水銀のうち、回収される量及び最終処分場に埋め立てられている量については、使用済みのラピッドスタート形蛍光灯が他の廃棄物とあわせて中間処理を経て最終処分場に搬入されることから、これらを把握することは困難である。

二の2について

政府としては、特許庁の公開特許公報(昭五五-三一一七)において、ラピッドスタート形蛍光灯に関する従来の技術の説明として、御指摘の記述があることは承知している。当該記述の内容は、ラピッドスタート形蛍光灯の使用に伴い、管の内面に酸化水銀等からなる黒褐色の斑点が生じることを説明したものであると認識している。

また、一の5についてでお答えしたとおり、酸化スズが塗布されている蛍光灯であるラピッドスタート形蛍光灯についても、水銀及びガラスの再生利用が行われていると承知しており、黒褐色の斑点が水銀及びガラスの再生利用の支障になっているとは認識していない。

二の3について

社団法人日本電球工業会及びパナソニック株式会社によれば、ラピッドスタート形蛍光灯の使用に伴い、管の内面に酸化水銀等からなる黒褐色の斑点が生じることを認識しているとのことである。

二の4について

蛍光灯水銀処理業者によれば、洗浄により黒褐色の斑点が除去されていることを、目視により確認しており、黒褐色の斑点は使用済みの蛍光灯のガラスの再生利用の支障にはなっていないとのことである。

三の1について

北海道庁からは、御指摘の立入検査は、平成二十年六月十六日に、北海道環境生活部環境局循環型社会推進課の職員二名及び北海道網走支庁地域振興部環境生活課の職員二名の計四名が、イトムカ鉱業所における使用済みの蛍光灯の受入状況及び処理状況、使用済みの蛍光灯のガラスの再生状況並びに最終処分場における埋立状況の確認を内容として、イトムカ鉱業所に設置された使用済みの蛍光灯の保管施設、破砕施設、活性炭による水銀等吸着施設、破砕ガラス洗浄施設、ガラス乾燥及びガラス払出し施設、焙焼施設、最終処分場並びに浸出水処理施設について、順に約四時間にわたって行ったものであると聞いている。

三の2について

北海道庁からは、使用済みの蛍光灯の保管施設においては蛍光灯への黒褐色の斑点の付着状況を確認していないが、焙焼施設等において水銀の回収工程を確認し、また、破砕ガラス洗浄施設から排出されたガラスカレットが汚れのない状態であったことを、目視により確認したと聞いている。

三の3について

北海道庁からは、御指摘の立入検査により、イトムカ鉱業所においては使用済みの蛍光灯から水銀の回収が行われ、その処理により発生した残さが廃棄物として最終処分場において適正に処理されていることを確認したと聞いている。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×3承知していない ×3

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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