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合衆国軍隊構成員等の犯罪に関する質問主意書
参議院 第171回 第203号承知していない ×5個別の事案 ×1
質問本文
情報公開法によって法務省が公開した二〇〇一(平成十三)年分から二〇〇八(平成二十)年分までの検察統計資料「合衆国軍隊構成員等犯罪事件人員調」(以下、「法務省検察統計」という。)によると、日本に駐留するアメリカ合衆国軍隊の軍人、軍属等の引き起こす犯罪のほとんどが不起訴となっている。民間団体等のまとめによると、二〇〇一年分では起訴された人員が五十三人に対し、不起訴は三百十七人で、不起訴率は八五・六〇%、二〇〇八年分では起訴三十九人、不起訴三百七十二人で、不起訴率は九〇・五〇%となり、不起訴率の平均は八三・一〇%に上っている。法務省検察統計を罪名別にみると、その大半は「自動車等による業務上(重)過失致死傷」(刑法犯)と「道路交通法違反」(特別法犯)によって占められている。両罪名については、米軍人、軍属等の引き起こす軽微な交通違反(反則金納付による違反免除、通常反則キップ又は青キップと呼ぶ。)による件数を挙げているのではなく、酒気帯び運転等の重度の交通違反(通常交通キップ又は赤キップと呼ぶ。)を犯し、刑事処分に科せられるべきだとして検察庁に送致された件数であり、人身事故等においては懲役や禁固刑及び罰金刑の刑事処分、免許取り消し等の行政処分、被害者への損害賠償を行う民事処分の責任を問われることからして検察側の不起訴には納得できない。そのうえ、反則金の納付や罰金の納付状況も明らかにされていない。法務省検察統計を基に、以下質問する。
一 法務省検察統計の罪名「自動車等による業務上(重)過失致死傷」と「道路交通法違反」において、その受理件数の大半を不起訴として処理しているが、不起訴とした理由を明らかにしたうえで、政府の見解を示されたい。
二 右記の両罪名における主な事故原因を明らかにされたい。具体的には、酒気帯び運転等、無免許運転、酒気帯び運転同乗罪、速度超過等を指す。
三 右記の両罪名において現行犯逮捕の有無を明らかにされたい。現行犯逮捕のケースでは、その犯罪件数と発生日時、犯罪要件等を明らかにされたい。
四 右記の両罪名による起訴においては、ほとんどを「略式命令請求」として処理しているが、その理由を明らかにしたうえで、政府の見解を示されたい。
五 「略式命令請求」として処理した場合、一般的には被疑者が交通裁判所において罰金を支払うことと理解される。法務省検察統計に示された「略式命令請求」として処理され、納付された罰金の総額等を明らかにすることは、罰金が国庫に帰属することとなる観点から極めて重要と考える。よって、法務省検察統計に示された「略式命令請求」の件数に則した罰金額の総額と、納付された件数及び納付総額をそれぞれの年(二〇〇一年から二〇〇八年)分ごとに示し、併せて納付率も明らかにされたい。
六 罰金が支払われない場合の措置について明らかにされたい。
七 反則キップ(青キップ)と交通キップ(赤キップ)には刑事処分の他、行政処分も科せられるが、米軍人、軍属等には行政処分が及ぶのか、及ばないのであれば、その法的根拠を明らかにされたい。
八 両罪名における不起訴の内訳をみると「起訴猶予」と「第一次裁判権なし」によって占められている。特に「道路交通法違反」における二〇〇八年分では「第一次裁判権なし」六十五件のうち、六十五件とも公務と認められての「裁判権なし」による不起訴である。この公務は日米地位協定の第十七条3(a)(ⅱ)に関する日米地位協定合意議事録を根拠としての「公務証明書」の発行による不起訴と思料される。検察庁に提出された「公務証明書」の件数をそれぞれの年(二〇〇一年から二〇〇八年)分ごとに明らかにされたい。
九 両罪名における送致の区分けのうち、「他検察庁に」として処理された件数もかなりの数に上っているが、「他検察庁に」とは、どのような内容を指すのか、具体的に明らかにされたい。
十 米軍人、軍属が道路交通法違反の犯罪に対し、真摯に対処しているかどうかを知るうえで反則キップ(青キップ)の件数等を明らかにすることは重要だと考える。よって、沖縄県内における反則キップ(青キップ)と交通キップ(赤キップ)の件数をそれぞれの年(二〇〇一年から二〇〇八年)分ごとに明らかにし、年分の反則キップによる反則金の総額と交通キップによる罰金額の総額を算出したうえで、さらにそれぞれの納められた件数と総額を示し、納付率を明らかにされたい。
十一 両罪名においては当事者間の損害賠償(民事)も提起されると思料するが、日米地位協定に基づき日本政府が賠償(見舞金を含む。)に応じた件数を明らかにされたい。具体的には犯罪の発生日時、場所、事故内容(死傷者の有無)、罪名、賠償額を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の「法務省検察統計」において、「不起訴」として計上された「自動車等による業務上(重)過失致死傷」及び「道路交通法違反」の各事案については、検察当局において、個別具体の事案に即して「起訴猶予」、「嫌疑不十分」、「第一次裁判権なし」、「第一次裁判権不行使」等を理由として不起訴処分を行っているものと承知している。これらの事案については、検察当局において、いずれも法と証拠に基づき、適切に処理しているものと考えている。
二及び三について
御指摘の「法務省検察統計」において、「自動車等による業務上(重)過失致死傷」及び「道路交通法違反」として計上された事件については、その内容のすべては把握しておらず、お尋ねの主な事故原因等についてお答えすることはできない。
四について
略式命令を請求するか否かについては、個別具体の事案に即して判断する必要があり、一概にお答えすることはできないが、一般的に、検察官において、犯行態様、結果の重大性、被害者の心情等に配慮しつつ、個々の事案に即して罰金又は科料の求刑が相当であり、かつ、略式命令を請求することが相当であると判断した場合には、簡易裁判所に略式命令を請求しているものと承知しており、いずれの事件についても、法と証拠に基づき、適切に処理されているものと考えている。
五について
御指摘の「法務省検察統計」における「略式命令請求」が行われた事件の罰金額の総額等については把握しておらず、お答えすることはできない。
六について
罰金が完納されない場合は、検察官の指揮により、納付義務者に資力があるときは強制執行の手続に関する法令の規定に従い、納付義務者に資力がないときは納付義務者が刑事施設に附置された労役場に留置されることにより、いずれも罰金の裁判が執行されることとなる。
七について
道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)の規定により、都道府県公安委員会は、その運転免許を受けた者又は同法第百七条の二に規定する国際運転免許証若しくは外国運転免許証を所持する者に対して、運転免許の取消し等の行政処分をすることができることとされているところ、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第十条1に規定する運転許可証若しくは運転免許証又は軍の運転許可証(以下「運転許可証等」という。)は、同法第百七条の二に規定する国際運転免許証又は外国運転免許証に該当せず、運転許可証等を所持する者は同法の規定による行政処分の対象とはされていない。
八について
個別事件において提出された「公務証明書」の通数については、把握しておらず、お答えすることはできない。
九について
お尋ねの「他検察庁に」として処理された件数には、他の検察庁の検察官に事件を送致した移送処分の件数を計上している。移送の理由は、例えば、被疑者の住居等を管轄する検察庁の検察官に移送する場合等がある。
十について
沖縄県警察によると、沖縄県において、平成十三年から平成二十年までの間に検挙した合衆国軍隊の構成員又は軍属による道路交通法違反事件のうち、道路交通法第百二十六条第一項に規定するいわゆる交通反則切符により処理したものは、平成十三年は千二百六十五件、平成十四年は千四百七十五件、平成十五年は千六百十九件、平成十六年は千七百七十四件、平成十七年は千四百三十五件、平成十八年は千九十四件、平成十九年は千四百九十一件、平成二十年は千三百十六件であり、反則行為以外の道路交通法違反事件で用いられることが多いいわゆる交通切符により処理したものはないとのことである。また、これらの処理された事件について、納付された反則金の総額等は把握していないので、お答えすることはできない。
十一について
お尋ねの「自動車等による業務上(重)過失致死傷」及び「道路交通法違反」ごとに賠償金及び見舞金を支給した件数等については把握していないが、防衛省が、平成十三年度から平成二十年度までの間において、合衆国軍隊の構成員又は被用者による交通事故の被害者に対し、日米地位協定第十八条5及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う民事特別法(昭和二十七年法律第百二十一号)第一条の規定並びに「合衆国軍隊等により損害を受けた者に対する賠償金及び見舞金の支給について」(昭和三十九年六月二十三日閣議決定)に基づき、賠償金及び見舞金を支給した件数及び金額を年度ごとにお示しすると、次のとおりである。
平成十三年度 二百四十一件 約一億二千百万円
平成十四年度 二百二十四件 約五千三百万円
平成十五年度 二百三十三件 約一億四千百万円
平成十六年度 百七十四件 約六千百万円
平成十七年度 百八十七件 約一億円
平成十八年度 二百十三件 約一億千九百万円
平成十九年度 百五十二件 約四千百万円
平成二十年度 百四十件 約三千九百万円
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