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合衆国軍隊構成員等の自動車運転過失致死罪に関する質問主意書
参議院 第177回 第123号承知していない ×1個別の事案 ×1
質問本文
本年一月十二日午後九時四十三分ごろ、沖縄県沖縄市比屋根六丁目の国道三百二十九号で、米陸空軍販売部所属で在沖縄米空軍軍属の二十代の男性が運転する普通乗用車が対向車線に進入し、沖縄県北中城村出身で愛知県在住の会社員、與儀功貴さん(当時十九歳)の運転する軽自動車に正面衝突し、與儀さんは約五時間後に死亡した。與儀さんは成人式に出席するため帰省中だった。
本件で警察は普通乗用車を運転していた在沖縄米空軍軍属の二十代の男性を自動車運転過失致死罪で那覇地方検察庁沖縄支部に送検したが、同支部は本年三月二十四日付けで不起訴処分とした。
本件の不起訴処分に限らず、日本に駐留するアメリカ合衆国軍隊の軍人、軍属等の引き起こす「自動車等による業務上(重)過失致死傷」(刑法犯)及び「道路交通法違反」(特別法犯)は、そのほとんどが不起訴処分となっている。民間団体等の求めに応じ法務省が公開した二〇〇一(平成十三)年分から二〇〇八(平成二十)年分までの検察統計資料「合衆国軍隊構成員等の犯罪事件人員調」(以下「法務省検察統計」という。)によると、二〇〇一年分では起訴された人員が五十三人であるのに対し、不起訴は三百十七人で、不起訴率は八五・六〇パーセント、二〇〇八年分では起訴三十九人、不起訴三百七十二人で、不起訴率は九〇・五〇パーセントとなり、不起訴率の平均は八三・一〇パーセントに上っている。
これを踏まえ私は「合衆国軍隊構成員等の犯罪に関する質問主意書」(第百七十一回国会質問第二〇三号)において不起訴の理由等について質したところ、政府はその答弁書(内閣参質一七一第二〇三号)において、不起訴処分の理由等は一切明らかにせず、「検察当局において、いずれも法と証拠に基づき、適切に処理している」と答弁している。しかし、在日米軍の軍人、軍属等の犯罪事案に詳しい弁護士等の専門家の多くは、起訴か不起訴かの判断は公務中か公務外かにかかり、公務かどうかは米軍の判断による、と指摘したうえで、在日米軍の発行する「公務証明書」の存在を問題視している。よって、以下質問する。
一 本件に関し、在沖縄米空軍軍属の二十代の男性に対する不起訴処分の理由を明らかにしたうえで、当該処分についての政府の見解を示されたい。
二 本件に関し、取調べの経緯(出頭日時及び場所等)と在日米軍発行の「公務証明書」の提出の有無を明らかにされたい。
三 政府は「公務証明書」なるものを承知しているのか。承知しているのであれば、二〇〇一年から二〇一〇年までの「公務証明書」の提出件数について、年ごとに明らかにされたい。
四 日米両政府によって合意された「公務中」の範囲について、詳細に明らかにされたい。
五 二〇〇一年から二〇一〇年までの在日米軍の軍人、軍属等を第一当事者(被疑者)とする「自動車等による業務上(重)過失致死傷」(刑法犯)の件数と、その処分内容(起訴、起訴猶予、嫌疑不十分、第一次裁判権なし、第一次裁判権不行使)の内訳、総件数に占める不起訴の割合(パーセンテージ)について、那覇地方検察庁管内と全国の数字に分けて、年ごとに示されたい。
六 二〇〇一年から二〇一〇年までの在日米軍の軍人、軍属等を第一当事者(被疑者)とする「道路交通法違反」(特別法犯で、酒気帯び運転等の重度の交通違反により交通切符又は赤切符が適用されるもの)の件数と、その処分内容(起訴、起訴猶予、嫌疑不十分、第一次裁判権なし、第一次裁判権不行使)の内訳、総件数に占める不起訴の割合(パーセンテージ)について、那覇地方検察庁管内と全国の数字に分けて、年ごとに示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の平成二十三年一月十二日に発生した沖縄県沖縄市内における自動車運転過失致死被疑事件(以下「本件事件」という。)の被疑者について、検察当局においては、同年三月二十四日、「第一次裁判権なし」を理由に不起訴処分としたと承知しており、本件事件については、検察当局において、法と証拠に基づいて、適切に処理したものと考えている。
二について
本件事件に関して、検察当局においては、平成二十三年三月四日、米側から、「公務証明書」を受理したと承知しているが、お尋ねの取調べの経緯については、個別具体的な事件における捜査機関の活動内容に関わる事柄であり、お答えは差し控えたい。
三について
一般に、「公務証明書」が提出される場合があることは承知しているが、お尋ねの年ごとの「公務証明書」の提出件数については、把握しておらず、お答えすることはできない。
四について
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第十七条3(a)(ⅱ)に規定する「公務」については、昭和二十八年十月の刑事裁判管轄権に関する事項についての日米合同委員会合意により、法令、規則、上官の命令又は軍慣習によって、要求され又は権限付けられる全ての任務又は役務を指すとされ、また、昭和三十一年三月の「公務」の範囲に関する日米合同委員会合意において、原則として、合衆国軍隊の構成員又は軍属が、その認められた宿舎又は住居から、直接、勤務の場所に至り、また、勤務の場所から、直接、その認められた宿舎又は住居に至る往復の行為を含むものとされている。
五について
那覇地方検察庁管内に関しては法務省の資料で確認のできる平成二十年から平成二十二年まで、全国地方検察庁に関しては同省の資料で確認のできる平成十三年から平成二十二年までの間における、合衆国軍隊の構成員、軍属及びそれらの家族(以下「合衆国軍隊構成員等」という。)による自動車等による過失致死傷事件の処理人員、処理の内訳(起訴並びに不起訴のうち起訴猶予、嫌疑不十分、第一次裁判権なし及び第一次裁判権不行使を理由とするもの)及び不起訴の割合(以下「不起訴率」という。)については、(1)及び(2)のとおりである。
(1) 那覇地方検察庁管内の処理人員等
①平成二十年 処理人員 百七十五人、起訴 七人、不起訴(起訴猶予) 百二十一人、不起訴(嫌疑不十分) 一人、不起訴(第一次裁判権なし) 二十六人、不起訴(第一次裁判権不行使) 十四人、不起訴率 九十五・九パーセント
②平成二十一年 処理人員 百九十二人、起訴 十人、不起訴(起訴猶予) 百二十二人、不起訴(嫌疑不十分) 四人、不起訴(第一次裁判権なし) 四十一人、不起訴(第一次裁判権不行使) 五人、不起訴率 九十四・五パーセント
③平成二十二年 処理人員 二百三人、起訴 十二人、不起訴(起訴猶予) 百十二人、不起訴(嫌疑不十分) 四人、不起訴(第一次裁判権なし) 五十七人、不起訴(第一次裁判権不行使) 八人、不起訴率 九十三・八パーセント
(2) 全国の地方検察庁の処理人員等
①平成十三年 処理人員 二百八十一人、起訴 三十一人、不起訴(起訴猶予) 百七十一人、不起訴(嫌疑不十分) 二人、不起訴(第一次裁判権なし) 三十八人、不起訴(第一次裁判権不行使) 六人、不起訴率 八十七・六パーセント
②平成十四年 処理人員 三百九十六人、起訴 五十二人、不起訴(起訴猶予) 二百二十八人、不起訴(嫌疑不十分) 八人、不起訴(第一次裁判権なし) 四十三人、不起訴(第一次裁判権不行使) 十三人、不起訴率 八十四・九パーセント
③平成十五年 処理人員 四百九十九人、起訴 六十八人、不起訴(起訴猶予) 二百六十七人、不起訴(嫌疑不十分) 六人、不起訴(第一次裁判権なし) 六十四人、不起訴(第一次裁判権不行使) 十七人、不起訴率 八十四パーセント
④平成十六年 処理人員 五百五十四人、起訴 八十人、不起訴(起訴猶予) 二百六十七人、不起訴(嫌疑不十分) 十二人、不起訴(第一次裁判権なし) 八十六人、不起訴(第一次裁判権不行使) 十九人、不起訴率 八十二・八パーセント
⑤平成十七年 処理人員 五百人、起訴 四十四人、不起訴(起訴猶予) 二百八十人、不起訴(嫌疑不十分) 十二人、不起訴(第一次裁判権なし) 八十二人、不起訴(第一次裁判権不行使) 十七人、不起訴率 八十九・九パーセント
⑥平成十八年 処理人員 四百五十九人、起訴 百二人、不起訴(起訴猶予) 百九十人、不起訴(嫌疑不十分) 八人、不起訴(第一次裁判権なし) 七十三人、不起訴(第一次裁判権不行使) 十四人、不起訴率 七十三・七パーセント
⑦平成十九年 処理人員 四百人、起訴 三十人、不起訴(起訴猶予) 二百三十一人、不起訴(嫌疑不十分) 四人、不起訴(第一次裁判権なし) 七十八人、不起訴(第一次裁判権不行使) 十八人、不起訴率 九十一・七パーセント
⑧平成二十年 処理人員 三百六十三人、起訴 二十人、不起訴(起訴猶予) 二百二十七人、不起訴(嫌疑不十分) 三人、不起訴(第一次裁判権なし) 六十八人、不起訴(第一次裁判権不行使) 十七人、不起訴率 九十四パーセント
⑨平成二十一年 処理人員 三百七十八人、起訴 二十五人、不起訴(起訴猶予) 二百三十四人、不起訴(嫌疑不十分) 七人、不起訴(第一次裁判権なし) 七十二人、不起訴(第一次裁判権不行使) 十四人、不起訴率 九十二・九パーセント
⑩平成二十二年 処理人員 三百七十一人、起訴 三十人、不起訴(起訴猶予) 二百五人、不起訴(嫌疑不十分) 七人、不起訴(第一次裁判権なし) 八十四人、不起訴(第一次裁判権不行使) 十四人、不起訴率 九十一・二パーセント
六について
那覇地方検察庁管内に関しては法務省の資料で確認のできる平成二十年から平成二十二年まで、全国地方検察庁に関しては同省の資料で確認のできる平成十三年から平成二十二年までの間における、合衆国軍隊構成員等による道路交通法違反の処理人員、処理の内訳(起訴並びに不起訴のうち起訴猶予、嫌疑不十分、第一次裁判権なし及び第一次裁判権不行使を理由とするもの)及び不起訴率については、(1)及び(2)のとおりである。
(1) 那覇地方検察庁管内の処理人員等
①平成二十年 処理人員 三百八十八人、起訴 百五十九人、不起訴(起訴猶予) 五人、不起訴(嫌疑不十分) 四人、不起訴(第一次裁判権なし) 六十人、不起訴(第一次裁判権不行使) 三人、不起訴率 三十一・二パーセント
②平成二十一年 処理人員 三百四十八人、起訴 百十二人、不起訴(起訴猶予) 一人、不起訴(嫌疑不十分) 二人、不起訴(第一次裁判権なし) 七十四人、不起訴(第一次裁判権不行使) 四人、不起訴率 四十二パーセント
③平成二十二年 処理人員 四百九人、起訴 百六十三人、不起訴(起訴猶予) 六人、不起訴(嫌疑不十分) 九人、不起訴(第一次裁判権なし) 六十四人、不起訴(第一次裁判権不行使) 一人、不起訴率 三十三・二パーセント
(2) 全国の地方検察庁の処理人員等
①平成十三年 処理人員 三百八十一人、起訴 百五十四人、不起訴(起訴猶予) 十人、不起訴(嫌疑不十分) 一人、不起訴(第一次裁判権なし) 五十八人、不起訴(第一次裁判権不行使) 五人、不起訴率 三十三・九パーセント
②平成十四年 処理人員 四百六十人、起訴 百八十一人、不起訴(起訴猶予) 七人、不起訴(嫌疑不十分) 零人、不起訴(第一次裁判権なし) 七十二人、不起訴(第一次裁判権不行使) 二人、不起訴率 三十一・七パーセント
③平成十五年 処理人員 六百五十七人、起訴 二百七十三人、不起訴(起訴猶予) 九人、不起訴(嫌疑不十分) 零人、不起訴(第一次裁判権なし) 六十四人、不起訴(第一次裁判権不行使) 一人、不起訴率 二十二・四パーセント
④平成十六年 処理人員 七百十三人、起訴 二百七十四人、不起訴(起訴猶予) 十人、不起訴(嫌疑不十分) 二人、不起訴(第一次裁判権なし) 九十二人、不起訴(第一次裁判権不行使) 二人、不起訴率 二十八・八パーセント
⑤平成十七年 処理人員 六百六十五人、起訴 二百六十六人、不起訴(起訴猶予) 十人、不起訴(嫌疑不十分) 三人、不起訴(第一次裁判権なし) 七十五人、不起訴(第一次裁判権不行使) 五人、不起訴率 二十六・五パーセント
⑥平成十八年 処理人員 六百五人、起訴 二百四十八人、不起訴(起訴猶予) 八人、不起訴(嫌疑不十分) 零人、不起訴(第一次裁判権なし) 六十九人、不起訴(第一次裁判権不行使) 四人、不起訴率 二十四・八パーセント
⑦平成十九年 処理人員 六百九十六人、起訴 二百八十六人、不起訴(起訴猶予) 九人、不起訴(嫌疑不十分) 二人、不起訴(第一次裁判権なし) 七十一人、不起訴(第一次裁判権不行使) 二人、不起訴率 二十三・五パーセント
⑧平成二十年 処理人員 五百五人、起訴 二百七人、不起訴(起訴猶予) 十一人、不起訴(嫌疑不十分) 五人、不起訴(第一次裁判権なし) 六十五人、不起訴(第一次裁判権不行使) 三人、不起訴率 二十八・九パーセント
⑨平成二十一年 処理人員 五百六人、起訴 百七十一人、不起訴(起訴猶予) 十一人、不起訴(嫌疑不十分) 三人、不起訴(第一次裁判権なし) 八十一人、不起訴(第一次裁判権不行使) 四人、不起訴率 三十七・一パーセント
⑩平成二十二年 処理人員 五百七人、起訴 二百二人、不起訴(起訴猶予) 八人、不起訴(嫌疑不十分) 十二人、不起訴(第一次裁判権なし) 六十八人、不起訴(第一次裁判権不行使) 一人、不起訴率 三十一・一パーセント
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