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交通死亡事故に関する質問主意書
衆議院 第156回 第123号
質問本文
平成九年十月九日午前七時五分ころ、東京都台東区雷門二丁目三番で発生した交通事故により宇田川浩史君、当時十七歳が死亡した。この交通死亡事故における加害者の責任及び我が国における交通死亡事故の不起訴の実態に関して、次の事項について質問する。
一 この交通事故は、将来を嘱望されていた十七歳の未来ある少年が、衝突事故により死亡したという痛ましい交通事故である。人ひとりの生命が失われたにもかかわらず、加害者に関しては不起訴処分となっている。年間一万人近い生命が交通事故により失われているが、事故がなかなか減少しない理由のひとつに、加害者に対する責任の追及が正当になされていないという事実が考えられる。
この交通事故は、加害者の制限速度超過、安全確認義務違反、前方不注意、信号無視等により発生した交通事故と考えられ、加害者が交通規則を遵守して安全運転をしていれば起こらなかった事故と思われる。
1 加害者車両は、制限速度超過をしていたのか。事故当時の加害車両のスピードは時速何キロメートルと認識しているのか。
2 加害者は、安全確認義務を怠っていたのではないか。
3 加害者は、前方不注意ではなかったのか。
4 加害者は、対面赤信号無視ではなかったのか。
二 この交通事故において、不起訴処分と決定した理由を明らかにされたい。
三 交通死亡事故に関しては、本来、事故の原因を徹底的に究明して、加害者の責任を追及することにより、ドライバーの意識・モラルを向上させ、重大な事故の起こらない社会を建設していくことが重要と考えられる。しかし、最近、多くの交通事故の遺族の願いにもかかわらず、加害者が起訴猶予になる例が多く見られる。このような緩刑化は、交通警察・検察の士気を低下させるだけではなく、ドライバーのモラルを低下させ、結果的に交通事故を増加させることになる。
1 現在、交通死亡事故で起訴猶予になる率はいくらか。
2 業務上過失致死罪の起訴猶予率に関して、平成四年以降の数字を明らかにせよ。
四 現在の交通死亡事故における起訴猶予の実態に関して、国民の生命を守る観点から、政府はどの様に考えるか。
右質問する。
政府答弁書
一及び二について
お尋ねの交通事故(以下「本件事故」という。)は、平成九年十月九日午前七時五分ころ、東京都台東区雷門二丁目三番先の信号機により交通整理が行われている交差点の北側出口に設置された自転車横断帯付近において、同交差点を南方から北方に直進してきた普通乗用自動車と同自転車横断帯を東方から西方に横断してきた自転車が衝突し、同自転車を運転していた少年が、路上に転倒して頭蓋内損傷の傷害を負い、同日午前七時三十四分ころ、同傷害により死亡したというものであり、本件事故について、東京地方検察庁は、平成十年三月六日、右普通乗用自動車の運転手に対する業務上過失致死被疑事件の送致を受け、その後所要の捜査を尽くした結果、同年七月二十三日、嫌疑不十分、すなわち、起訴するに足りる犯罪の嫌疑が十分でないことを理由に、不起訴処分を行ったものと承知している。
お尋ねの事項は、いずれも刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第四十七条の「訴訟に関する書類」に該当する不起訴記録の内容に係るものであり、担当検察官において右少年の遺族に不起訴理由の概要を既に説明したことなどを踏まえ、お答えできる範囲で申し上げると、検察当局においては、捜査の結果、本件事故の際の右普通乗用自動車の対面信号表示については、青色であったと認め、また、同車の速度については、指定最高速度である五十キロメートル毎時を超過し、約七十キロメートル毎時であったと認めたものと承知している。
検察当局においては、右に述べたような事実関係を前提とした上で、御指摘の安全確認義務懈怠や前方不注意の点を含め、右普通乗用自動車の運転者に右少年の死亡について刑法上の責任を問い得る過失がないかどうか慎重に検討したが、そのような過失を認めるに足りる証拠がないと判断したものと承知している。
三について
お尋ねの「交通死亡事故」とは、自動車等による死亡事故で危険運転致死罪又は業務上過失致死罪により検察当局において処分を行ったもの、「起訴猶予になる率」及び「起訴猶予率」とは、起訴人員と起訴猶予人員の合計に対する起訴猶予人員の割合(以下「起訴猶予率」という。)を指すものと考えられるが、平成四年から平成十四年までの各年における危険運転致死罪及び自動車等による業務上過失致死罪に係る事件の起訴猶予率は、別表のとおりである。
平成十五年の統計は未集計であるので、答弁することができない。
四について
検察当局においては、お尋ねの「交通死亡事故」に係る事件についても、法と証拠に基づき、情状を総合的に考慮して、適宜適正に処分を行っているものと承知しており、三についてで述べた両罪の起訴猶予の状況は、その結果であると考えている。
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