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核の先制不使用論と消極的安全保障政策に関する質問主意書

参議院 第173回 第10号

提出者
参議院
提出日
2009年10月30日
内閣転送 2009年11月4日
答弁書受領日
2009年11月10日
提出から11日
答弁の項目数
5
質問 1,248字/答弁 1,280字

質問本文

岡田外務大臣は、雑誌「世界」平成二十一年七月号において、「核保有国、とりわけアメリカが先制不使用を宣言すること、そして核を持たない国に対しての核使用は違法であるという合意の形成を日本として主張していくべきだ」として、核の先制不使用論及び消極的安全保障に踏み込んだ発言を行っている。しかし、鳩山総理は本年九月二十四日の核不拡散・核軍縮に関する安保理首脳会合における演説及び同十月二十六日の所信表明演説においては、核の先制不使用及び消極的安全保障については一言も触れられておらず、鳩山内閣としての核廃絶への具体的方針が明確となっていない。

そこで、以下のとおり質問する。

一 鳩山内閣として、核の先制不使用論及び消極的安全保障政策を支持するのか。支持するというのであれば、日米安全保障との関係をどのように整理しているのか。通常兵器による我が国への攻撃は核兵器ではなく、通常兵器だけによる抑止力を期待するという関係で理解しているのか。

二 我が国は一九九四年以降毎年、国連総会に核廃絶決議を提案し、その採択に貢献してきているが、一方、国際司法裁判所の核兵器に対する勧告的意見のフォローアップについての決議(提案国マレーシア)、核兵器使用禁止条約に関する決議(提案国インド)、核軍備縮小撤廃に関する決議(提案国インドネシア)、核兵器条約締結に関する決議(提案国マレーシア)、核の危険の低減に関する決議(提案国インド)等については、棄権をしてきている。我が国が過去三年間において賛成してきていない核廃絶関連決議案について、今後、国連総会で同内容の決議案が提案された場合、鳩山内閣としてこのような投票行動を変更する考えはあるのか、個々の決議案毎にその理由とともに明確に示されたい。

三 本年九月二十四日の核不拡散・核軍縮に関する安保理首脳会合において、中国の胡錦濤国家主席が主張した「核抑止の廃棄」に対して、我が国として支持し得るか。

四 「核抑止によらない安全保障」の実現に向けては、「核兵器は絶対悪」という国際規範の確立が必須と考えるが、鳩山内閣として、核兵器は「絶対悪」と考えるか、「必要悪」と考えるか、見解を明らかにされたい。

五 鳩山内閣として、ヒロシマ・ナガサキ議定書、ヒロシマ・ナガサキ宣言、ヒロシマ・ナガサキプロセスをどのように認識し、評価しているか。

六 世界市民が、対人地雷、クラスター弾といった無差別殺傷兵器の禁止条約を勝ち得たオタワ・プロセス、オスロ・プロセスのように、世界市民が「核兵器は絶対悪」という国際規範の確立にむけて行動する包括的な「ヒロシマ・ナガサキプロセス」に対する鳩山内閣の見解を明らかにされたい。

七 麻生内閣において来年早々に予定していた我が国での核廃絶国際会議は予定どおり開催する意向を持っているのか。そのような意向があるならば、来年五月のNPT再検討会議の前に開催し、世界市民との連帯強化の場とすべきと考えるが、鳩山内閣の認識を明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一及び三について

核兵器のない世界に向けた大きな流れがある中で、核兵器の先制不使用宣言を追求していくことは道義的に正しい方向であると考えるが、核兵器の先制不使用宣言は、すべての核兵器国が検証可能な形で同時に行わなければ有意義ではなく、これを達成するには、まだ時間を要するものと考えている。また、消極的安全保証について、非核兵器国に対して核を使用しないという考え方は基本的に支持し得るものと考えている。その際、当然のことながら、長期的課題である核兵器のない世界の実現を目指すに当たり、我が国の安全保障及び国際的な安全保障を損なうことはあってはならないと考えている。

国際社会には、核戦力を含む大規模な軍事力が存在し、また、核兵器を始めとする大量破壊兵器等の拡散といった危険が増大するなど、引き続き不透明・不確実な要素が存在する中で、我が国としては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)を堅持し、その抑止力の下で自国の安全を確保する必要があると考えており、米国が保有する核戦力と通常戦力の総和としての軍事力が、我が国に対する核兵器によるものを含む攻撃を抑止するものと考えている。

二について

御指摘の決議案に関する今後の国際連合総会における我が国の投票態度については、核保有国及び非核保有国の双方の理解を得つつ現実的な核軍縮措置を漸進的かつ着実に実施していくことを重視する我が国の立場を踏まえ、決定することとなる。

四について

国際司法裁判所が千九百九十六年七月八日に発表した勧告的意見は、核兵器による威嚇又はその使用は、武力紛争時に適用される国際法の規則、特に人道法の原則と規則に一般的には反するが、国家の存続自体が問題となるような自衛の究極的状況における核兵器による威嚇又はその使用が合法か違法かについて最終的な結論を出すことはできない等と述べているところであり、政府としては、国際連合の主要な司法機関である国際司法裁判所が同意見の中で示した見解について、厳粛に受け止めるべきものと考えている。

政府としては、かねてから明らかにしてきたとおり、核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力のゆえに、国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しないと考えており、人類に多大な惨禍をもたらし得る核兵器が将来二度と使用されるようなことがあってはならず、平和で安全な核兵器のない世界を目指した現実的かつ着実な核軍縮努力を重ねていくことが重要であると考えている。

五及び六について

我が国は、平和で安全な核兵器のない世界の一日も早い実現を目指しており、ヒロシマ・ナガサキ議定書、ヒロシマ・ナガサキ宣言及びヒロシマ・ナガサキプロセスとは、核兵器廃絶という目標を共有しているものと考える。政府としては、核兵器廃絶に向けた機運を高めることに貢献する市民社会の取組を評価している。

七について

平成二十一年四月に中曽根前外務大臣が開催の意向を表明した「二千十年核軍縮会議」の開催時期及び態様については、今後適切に判断したいと考えている。

参議院の原文

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