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巨大防潮堤建設における意思決定過程に関する質問主意書
参議院 第186回 第145号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×3承知していない ×1
質問本文
東日本大震災の復興事業として、被災地の各地で防潮堤の建設が開始されている。被災海岸四百二十八箇所における防潮堤の事業費は、約七千七百億円とされている。
これらの防潮堤の整備は、東日本大震災からの復旧・復興の名の下に進められているが、新たに整備される防潮堤は、被災前の防潮堤に比べて大型化し、「巨大防潮堤」とも呼ばれている。この中には、費用対効果が算出されておらず整備効果が不透明なものや、まちの景観を破壊し、水産業や観光産業などの障壁になると地域住民から反対されているものもある。
例えば、気仙沼市本吉町小泉地区の中島海岸(以下「中島海岸」という。)における防潮堤については、建設費が約二百三十億円であるのに対し、防潮堤が守る国道や農地等の価値は約三十七億円と、守るべきものの価値と巨大防潮堤の建設費用のバランスが全く取れずに見合わないものとなっているとの報道もある。また、防潮堤を造らなければ、まちづくりが進まないなどと強引に合意形成が行われて、住民の懸念が残ったまま巨大防潮堤の建設が行われようともしている。
こうした巨大防潮堤建設における意思決定過程が不透明であることを問題視し、国会で度々質問してきたが、これまでの政府の答弁について改めて確認したい。
そこで、以下質問する。
一 平成二十六年六月三日の参議院国土交通委員会で、費用対効果が全く見合わない防潮堤の整備に対しても予算配分を行うのか財務省に確認したところ、愛知治郎財務副大臣は、「被災地における防潮堤の建設については、現地において比較的発生頻度の高い津波を想定しつつ、地元の市町村によるまちづくりの議論などを踏まえ、海岸管理者である県などが適切に定めるものであると承知をしております。ただし、その海岸管理者においては、まちづくりの将来を見据え、真に必要な投資としていただくとともに、将来のメンテナンス費用についても十分検討していただく必要があると考えております。したがって、主に国土交通省など関係省庁からも必要な助言や支援を行っていくことが重要であると考えております。なお、個別箇所の費用対効果や予算執行状況については、事業を所管している国土交通省に御確認をいただければと思います。」と答弁している。
1 防潮堤の費用対効果については、通常、事業箇所の採択の決定に当たって、国土交通省及び農林水産省は、「海岸事業の費用便益分析指針(改訂版)(平成十六年六月)」等に基づき費用便益分析を実施していると承知している。今般、被災地の海岸堤防事業の採択に当たり、どのような費用対効果の算定を行ったのか。事業箇所ごとに具体的に明らかにされたい。
2 中島海岸における防潮堤の費用対効果については、どのように算定されているのか。前提条件、便益及び費用の具体的な数値などその詳細を明らかにされたい。
3 愛知財務副大臣は、防潮堤の建設において、「将来のメンテナンス費用についても十分検討していただく必要がある」としているが、実際には、防潮堤建設後の将来にわたる維持管理費については、海岸管理者によってどのような試算が行われているのか。算定されていないとすれば、維持管理費のリスクを抱えたままで、防潮堤の建設を推進していくことについて、改めて政府の見解を明らかにされたい。
4 防潮堤建設の追加費用について、土井亨国土交通政務官は、「海岸管理者であります県が検討をした結果、当初想定されなかった理由に基づき、やむを得ないと認める場合には必要な予算措置をすることになると考えております。」と答弁している。例えば、中島海岸における防潮堤地盤の沈下等現在指摘されている事項は含まれないと考えるが、「やむを得ないと認める場合」についての具体的基準について明らかにされたい。
二 平成二十六年四月二十一日の参議院決算委員会で、中島海岸における防潮堤の整備は、防潮堤が設置される津谷川河口部よりも上流の津谷地区の人家を津波から守るためともされており、津谷地区の住民の合意が必要であり、その状況について質問したところ、土井国土交通政務官は、「事業の必要性を理解していただくため県は住民説明を行い、大きな異論はなかったと聞いております。」と答弁している。
1 津谷地区においては、具体的にどのように合意がなされているのか。県が行った住民説明には、何名の参加者があり、そのうち賛成者は何名であったのかなどその詳細を明らかにされたい。
2 土井国土交通政務官は、津谷地区の県の住民説明では、「大きな異論はなかった」と答弁しているが、異論はないとしている根拠を明らかにされたい。また、県の住民説明においては、住民に対して具体的にどのような説明がなされ、それに対し、県は住民に対してどのように発言の機会を与え、住民からはどのような意見があったのかなど詳細を明らかにされたい。
3 過去の政府答弁では、政府は、地元振興会が防潮堤建設に関する地域住民の意見を代表する組織であると認識しているとみられるが、津谷地区の振興会における意見集約は、いつ、どのようになされたのか具体的に明らかにされたい。
4 小泉地区に関しては、土井国土交通政務官の答弁では、中島海岸の防潮堤建設に関する地元からの要望について、「堤防の整備を行う小泉地区の七地区全ての地元振興会から早期の事業推進についての要望がなされております。」としているが、小泉地区の七地区全ての地元振興会での意見集約は、いつ、どのようになされたのか具体的に明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1及び2について
お尋ねの「費用対効果の算定」の意味するところが必ずしも明らかではないが、海岸に係る災害復旧事業については、「海岸事業の新規事業採択時評価実施要領細目」(平成二十二年四月一日付け国河計第百四十二号国土交通省河川局長通知別添)等において、新規事業採択時評価の対象とされていないことから、御指摘の中島海岸(以下「中島海岸」という。)を含む東日本大震災による被害を受けた岩手県、宮城県及び福島県の四百二十八地区海岸における海岸堤防等の災害復旧事業の採択に当たり、「海岸事業の費用便益分析指針(改訂版)」(平成十六年六月二十八日付け十六農振第六百二十九号・十六水港第千二百二十号・国河海第三十号・国港海第七十六号農林水産省農村振興局整備部防災課長・水産庁漁港漁場整備部防災漁村課長・国土交通省河川局砂防部保全課海岸室長・国土交通省港湾局海岸・防災課長通知別添)に基づく費用便益分析は行っていない。
一の3について
海岸堤防の維持管理は、海岸管理者である都道府県知事等(以下「都道府県知事等」という。)により行われており、海岸堤防の整備後における維持管理費の算定の実態については承知していないが、都道府県知事等においては、「海岸保全施設の技術上の基準について」(平成十六年四月十二日付け十五農振第二千五百七十四号・十五水港第三千百六十八号・国河海第六十九号・国港海第五百五十六号農林水産省農村振興局長・水産庁長官・国土交通省河川局長・国土交通省港湾局長通知)に基づき、維持管理等を総合的に考慮して、海岸堤防の整備に係る計画を策定しているものと考えている。
一の4について
お尋ねについては、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法施行令(昭和二十六年政令第百七号)第七条第五項に規定されている。
二の1及び2について
御指摘の「県が行った住民説明」の意味するところが必ずしも明らかではないが、中島海岸における海岸堤防の災害復旧事業(以下「事業」という。)を実施する宮城県によれば、御指摘の津谷地区(以下「津谷地区」という。)において、平成二十六年三月七日に開催された「小泉川(津谷川)河川堤防災害復旧事業勉強会並びに説明会」(以下「説明会」という。)には、津谷地区の住民二十四名の参加があり、説明会において、同県が、中島海岸等の堤防の高さの設定について説明を行い、その後の質疑の際に、参加した住民から同県の説明に対する質問がなされたが、事業に反対する意見はなかったとのことである。
二の3及び4について
お尋ねの「意見集約」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。
この答弁書に出てくる定型句
お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×3承知していない ×1
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。
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