ことばで探す › 参議院 第186回
原発事故避難者の住宅の確保に関する質問主意書
参議院 第186回 第150号承知していない ×1検討してまいりたい ×1
質問本文
東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故(以下「原発事故」という。)から、三年三か月が経過したが、十数万人の住民が事故によって、住み慣れたふるさとを離れ、不自由な生活を強いられている。
私は、去る六月九日に原発事故避難者の会「キビタキの会」が呼びかけ開催された住宅の安定的な確保を求める復興庁、内閣府及び国土交通省との懇談会(以下「懇談会」という。)に参加し、避難してきた住民の訴えを聞いた。キビタキとは、福島県の県鳥で、ふるさとに想いを寄せ、帰りたくても帰れない住民の気持ちを託したとのことである。
現在、原発事故避難者は、災害救助法に基づく応急仮設住宅が供与されているが、去る五月二十八日に一年間の供与期間の延長が決定し、二〇一六年三月末までとされたところである。
しかし、生活の基盤である住宅に関して、一年ごとの更新が繰り返されるというのは、極めて不安定な状態であり、将来の見通しも立てられない。学齢期にある子どもにはとりわけ度重なる引っ越しが多大な負担をかけるばかりか、大人にとっても大きな精神的経済的負担を与えるものである。
「長期にわたる無償の住宅の提供を」との避難者の訴えは、当然であり、これまで原子力発電を国策として推進してきた政府が責任を持って対応すべきことであると考える。残念ながら、懇談会における担当省庁の対応には誠意が感じられず、政府の避難者への住宅政策を根本的に改める必要があると考え、以下質問する。
一 懇談会で「原発事故によって東京都に避難してきた住民は、何世帯何人か。全国では何世帯何人か。」との質問に、出席した省庁の担当官の誰もが答えられなかった。確かに自主避難など集計が困難な例もあると思われるが、支援対象を明らかにするのは、基本ではないのか。各自治体とも連携し、全国における避難者の世帯数及び総数を明らかにされたい。また、都道府県別の避難者の世帯数及び総数を明らかにされたい。
二 懇談会では、自主避難をした母親から、「どうして福島県に復興住宅を建てるのか」と質問したところ、「県外に作ってはいけないとは書いていない」と回答されたと聞いた。そうであるならば、避難者が多い福島県以外の自治体に対して、政府は福島県以外でも住宅建設の用意があることを積極的に広報するべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
三 現在供与されている応急仮設住宅では、狭く、生活に困難を来している世帯も多い。例えば、いわき市から武蔵野市へ大人三人と子ども一人で避難してきた世帯は、都営住宅に入居したが、一LDK程度の広さのため、家族のうち七十代の女性が一年後に避難元へ帰らざるを得ない事態となった。七十代女性は福島県の災害公営住宅への申込みが外れ、今後の生活に不安を感じていると訴えていた。ただ住んでいるだけの暮らしではなく、子どもが健やかに育ち、お年寄りが安心できる広さの住宅が必要であり改善すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
四 現在の災害救助法に基づく応急仮設住宅の供与に関しては、五月二十八日に供与期間の一年延長が決定し、二〇一六年三月末までとされたが、その後の住宅の供与について、最終的な責任者である内閣総理大臣の見解を明らかにされたい。
五 原発事故の後、自主避難し、知人宅に身を寄せた女性は、知人宅であるという不便さから、やはり応急仮設住宅として都営住宅に入居したいと都の担当者に問い合わせをした。しかし、「事故直後にあった応急仮設住宅の提供は、現在新規で受け付けていないので、一般の受付と同様に申込みして欲しい」とのことで現在も入居に至っていない。このように避難の理由が原発事故である場合は、単なる引っ越しではないことから、少なくとも応急仮設住宅に入居できる対象とすべきではないか。
六 二〇一三年十月に閣議決定された被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)において、被災者への支援の「(8)住宅の確保」の主な具体的取組の中に、「同年四月以降については、代替的な住宅の確保等の状況を踏まえて適切に対応。」とあるが、どのように実施するのか。また、見直しについて、誰が、どのように判断するのか、明らかにされたい。
強制避難であるか自主避難であるかを問わず、さらに、現在の避難先がどこであれ、原発事故の避難者が、長期にわたって安心して住み続けることのできる無償の住宅を確保することを基本方針の中に書き込む見直しをするべきであると考えるが、いかがか。
七 懇談会にて、原発事故避難者の会「キビタキの会」より、「基本方針の見直しができない場合、全ての原発事故避難者に対し安心して住み続けることができる住宅の提供は政府の責任であることを明記し、住宅を必要とする避難者には長期にわたる無償の住宅の提供を行う新たな法律をつくるべきである」との提案がなされたが、これは当然の要望と考える。懇談会に出席した省庁の担当官からは、「法律は規制のためにある」旨の回答があったが、様々な災害に際し、新たな法律を作り被災者を救済することも、政府の努めの一つであると考える。これまでにない甚大な原子力発電所の事故による多数の住民の住宅の確保を、包括的に行うための新たな立法措置について、政府の見解を明らかにされたい。
八 原発事故の被災者に対する住宅政策に関して、何人もの担当官が会合に参加しても、その場における責任者が明らかでなく、責任体制が不明確であり、復興庁、内閣府及び国土交通省の連携と避難者への対応には、組織的にも大きな問題を感じた。
避難者対応の窓口を一本化して、事務局を設置し権限を付与して、日常的な対応に当たるべきと考えるが、いかがか。
右質問する。
政府答弁書
一について
復興庁においては、定期的に東日本大震災による全国及び都道府県別の避難者等の数を調査しており、その結果を同庁のホームページに掲載しているが、その世帯数については承知していない。
二について
お尋ねの「復興住宅」が居住制限者(福島復興再生特別措置法(平成二十四年法律第二十五号。以下「特別措置法」という。)第二十九条第一項に規定する居住制限者をいう。以下同じ。)に賃貸又は転貸するための公営住宅(以下「復興公営住宅」という。)を指すのであれば、その整備については、福島県等において、政府が同県等に対して交付した福島再生加速化交付金を活用すること等により推進しているところであると承知している。なお、同交付金を活用して復興公営住宅を整備する場合においては、特別措置法第三十五条及び第三十六条の規定に基づき、同県等は、避難先市町村の区域内における復興公営住宅の整備その他の居住制限者の生活の拠点を形成する事業に関する計画を作成することとされているが、現時点において、公営住宅の整備を同県外で行うことを内容とした計画は作成されていないものと承知している。
三、四及び六について
災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号。以下「救助法」という。)第二条の規定に基づく救助の程度、方法及び期間については、救助法第四条第三項の規定に基づき、災害救助法施行令(昭和二十二年政令第二百二十五号)第三条第一項において、応急救助に必要な範囲内で、内閣総理大臣が定める基準に従い、あらかじめ都道府県知事が定めることとされているところ、福島県において救助法に基づき供与される応急仮設住宅(以下「応急仮設住宅」という。)の規模及び供与期間については、同県において、災害救助法による救助の程度、方法及び期間並びに実費弁償の基準(平成二十五年内閣府告示第二百二十八号)に従い、福島県災害救助法施行細則(昭和三十五年福島県規則第四十九号。以下「県細則」という。)に定めているものと承知している。
具体的には、県細則において、応急仮設住宅の規模については、限られた応急仮設住宅の建設用地に可能な限り多くの戸数を確保するとともに、早期に大量の応急仮設住宅を提供する必要等を考慮して、一戸当たり二十九・七平方メートルを基準とする旨規定されているところ、同県及び避難先の地方公共団体においては、当該基準を踏まえ、民間の賃貸住宅や公営住宅等を応急仮設住宅として供与すること等も含めて、被災者の家族構成等に応じた物件を可能な範囲で提供しているものと承知している。
また、御指摘の基本方針(以下「基本方針」という。)における「同年四月以降については、代替的な住宅の確保等の状況を踏まえて適切に対応」については、県細則において、応急仮設住宅の供与期間について、その完成の日から建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第八十五条第三項又は第四項に規定する期限までとする旨規定されているところであるが、東日本大震災についての特定非常災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令(平成二十三年政令第十九号)により適用される建築基準法による応急仮設住宅の存続期間の延長に関する特例措置として、内閣総理大臣に協議し、その同意を得た上で、一年を超えない期間ごとに応急仮設住宅の供与期間を延長することができるとされていることから、同県においては、当該特例措置を活用して、一部を除き、平成二十七年三月までとしていた応急仮設住宅の供与期間を平成二十八年三月まで延長することとしたところであり、また、御指摘の「その後の住宅の供与」については、同県等において、その時点における復興の状況等を総合的に勘案しつつ、適切に対応するものと承知している。
また、基本方針については、被災者の状況等を総合的に勘案した上で決定したものであるが、基本方針の見直しについては、その必要性も含め、今後検討してまいりたい。
五について
応急仮設住宅の供与については、災害により住宅が滅失等し、現に居住の安定が損なわれている被災者の一時的な居住の安定を図ることを目的とするものであり、東日本大震災の発生から約三年三か月経過した現段階において既に居住の安定が損なわれているという状況にない者に対して、新たに応急仮設住宅の供与を行うことはできないものと考えている。
七及び八について
被災者が居住する応急仮設住宅の供与や復興公営住宅の整備を含む被災者支援については、関係府省及び地方公共団体が連携して適切に行っているところであり、その着実な推進に引き続き努力してまいりたい。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。