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ハーグ条約の適用に関する質問主意書
参議院 第189回 第18号趣旨が明らかではない ×2
質問本文
昨年四月、日本が正式加盟した国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約。以下「本条約」という。)では、両親の一方が子どもを国外に連れ出した場合、子どもは原則として元の国に戻すと規定している。本条約に基づき、「妻が無断で子どもを日本に連れ帰った」として、スリランカ在住の日本人男性が子どもの返還を求めた審判で、大阪家庭裁判所は昨年十一月十九日、当時四歳の子どもをスリランカに返還するよう命じる決定を出した。また、本年一月三十日の大阪高等裁判所での控訴審判決では、妻の即時抗告が棄却された。本条約加盟後、日本の裁判所による返還命令のケースはこれが初めてとみられる。なお、父母はいずれも日本人だった。これに関し、以下質問する。
一 日本人同士の夫婦であっても、子どもを国外に連れ去れば元の国に戻すのが国際社会の常識であり、一方的に連れ去る行為は誘拐罪で起訴されるケースもある。他方、日本国内で同様のケースが生じた場合、連れ去られた側の親が子どもに二度と会えなくなるばかりか、身に覚えのないドメスティック・バイオレンス(DV)の疑いまでかけられるケースが圧倒的に多い。なかには絶望のあまり自殺に至る例も後を絶たず、離婚件数の増加とともに問題は拡大する傾向にある。同じ人権問題でありながら、連れ去ったのが国外か国内かによって法の適用が正反対となる現状について、政府の見解を示されたい。
二 前記一で指摘したような問題が起こる原因として議論に上るのが、離婚後の単独親権制度である。離婚時に親権者を決定し片親の親権を剥奪する必要から、離婚の危機が生じた段階で片方の親が離婚前に子どもを連れ去る。連れ去った側の同居親は親権を獲得するために、離婚調停において虚偽のDV申立てを行い、夫婦間の亀裂は更に深まる。同居親は審理を有利に進めるために、何ら罪のない子どもに連れ去られた側の非同居親の悪口を言い続け、子どもは非同居親を恨み、同居親の顔色を伺って「良い子」を演じ続ける。このような生活環境が、親が離婚した子どもの人格形成の阻害要因になっているとの報告もある。我が国でも批准している児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)や、基本的人権尊重の立場から、同居親だけが得をし、子どもや非同居親が苦しみ続ける現状の制度を改め、離婚後も共同親権が続くように民法を早急に改正すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
三 日本では過去の事例が多いことを理由に親権が母親に付与される例が圧倒的に多く、男性差別といえる状況にある。面接交渉権についても、親権者が非親権者に事実上面接させない事例も多い。養育費の滞納に対する強制執行が多くある一方で、面接交渉を拒否した親権者に対して罰則を科す判例は稀少である点など、親権者と非親権者に対する法の運用が事実上差別されている。こうした親権の付与や非親権者の扱いが平等権を侵害している問題について、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(平成二十六年条約第二号)は、国境を越えて不法な連れ去り又は不法な留置がされた場合において子をその常居所を有していた国に返還すること等を定めている。これは、子の監護に関する事項については、子が常居所を有していた国において判断されることが適当との考え方に基づくものである。
これに対し、日本国内において連れ去られた子がそのまま日本国内にとどまっている場合には、子の監護に関する事項については、原則として、我が国において判断されることとなり、いずれの国でこれが判断されるべきかという問題自体が生じない。
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘のような子を「連れ去ったのが国外」である場合と「国内」である場合とでは、問題状況が異なるため、「法の適用」について一概に両者を比較して論ずるのは適当でないと考える。
二について
離婚後の親権についていわゆる共同親権制度を導入することについては、国民の間で賛否の意見が分かれている上、離婚に至った夫婦の間では、子の養育監護に必要な合意が得られないなど子の利益の観点から望ましくない事態が生ずるおそれがあることから、慎重に検討する必要があると考えている。
三について
お尋ねの「法の運用」の意味するところが必ずしも明らかではないが、裁判所においては、親権者の指定やいわゆる面会交流等について、事案の性質に応じ、様々な事情を総合的に考慮した上で適切に判断しているものと承知しており、御指摘のような「差別」があるものとは認識していない。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。