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ゲノム編集技術の研究開発・規制に関する質問主意書

参議院 第192回 第4号お答えすることは困難 ×7趣旨が明らかではない ×6

提出者
参議院
提出日
2016年9月30日
内閣転送 2016年10月5日
答弁書受領日
2016年10月11日
提出から11日
答弁の項目数
7
質問 2,196字/答弁 2,047字

質問本文

先般、「ゲノム編集」という技術を使って通常の二倍のスピードで成長するトラフグを作り出すことに京都大学などのグループが成功したとの報道があった。このゲノム編集と呼ばれる生命の遺伝情報を自在に書き換えられる技術が、近年、CRISPR/Cas9(クリスパー・キャスナイン)を筆頭に、急速に普及していると承知している。

これは、従来のアグロバクテリウム等を利用した所謂「遺伝子組換え」とは区別される技術であり、遺伝子組換え技術について国際的に規定した、生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(以下「カルタヘナ議定書」という。)および、その日本における国内法である「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(以下「遺伝子組換え規制法」という。)の対象にならない部分があると考える。しかし、ゲノム編集は「遺伝子組換え」以上に様々な遺伝子の改変を可能にしうる技術であり、その経済的、社会的影響は正負の両面において大きなものになる可能性があるので、以下質問する。

一 ゲノム編集技術を使うと、(a)今回報道されたトラフグのように、自然界に存在する種のゲノムから、特定の遺伝子を機能しなくするなどの措置(所謂ノックアウト)を行うほかに、(b)自然界に存在する種のゲノムに、人工的に作成した遺伝子配列を組み込む、(c)自然界に存在する種のゲノムに、別の種から特定の遺伝子配列を切り出して、埋め込む、という操作が可能になるが、この三つのうち、どの技術が現行のカルタヘナ議定書および遺伝子組換え規制法の対象になり、どの技術が対象にならないと考えられるか。

二 カルタヘナ議定書および遺伝子組換え規制法の対象にならない技術で製造された製品については、現状では販売などに規制がない、したがって、例えば前記のトラフグが量産、商品化されたとしても現在は特に規制されない、という理解でよろしいか。また、そういった商品が現在開発されている、あるいは製品化されているといった情報を行政がどの程度把握可能なのか、また把握しているのか。

三 特に「ノックアウト」だけが行われた品種に関しては、理論的には付け加わった成分などがないことになり、これまで遺伝子組換え食品に適用していた「実質的同等性」概念を利用した安全性審査は困難である、ということになる。一方で、前記トラフグの事例では、遺伝子の一部を改変することで、例えばフグ毒の体内分布が変わってしまい食品としての安全性に影響が出るということも考えられる。そのため、ゲノム編集技術を利用した製品の安全性審査は、まったく新しく設計される必要があるかもしれない。また、ゲノム編集技術の場合、利用の痕跡が遺伝子組換えのような形では残らないため、規制を導入したとしてもそれを実効的なものにすることにも困難が発生する。以上の安全性審査に関する研究を行っている国内外の事例などを把握しているか。

四 ゲノム編集技術に関する環境アセスメント手法も特に定まっていないと思われるが、このことに関する情報や見解があれば開示されたい。また、ゲノム編集技術により作り出された、遺伝的に近似しており、より生存能力の高い改変種が自然界に放出されることで、在来種が駆逐される等の危険が想定されるが、こういったことを、例えば外来生物に準じる形などで規制しうる法律はあるか。

五 ゲノム編集はここ数年で急速に普及した技術である。海外でもまだ制度化された規制はないままに開発が進んでいる状況だと思うが、将来的にはカルタヘナ議定書に準じるような国際協定が必要ではないか。そういった議論や情報交換が国家間や国際機関などで行われているか、調査の上、把握したところを明らかにされたい。

六 近年、高度情報化や国際競争の激化等により新技術の普及速度が上がっている。そのため、一般公衆が技術の特性を理解しないまま普及だけが進んでいくということが起こってしまう。また、そうした技術の場合、一度安全性への懸念が発生すると、非常に大きな不信感に発展する可能性もある。このことから、欧州などでは技術普及の前に、市民を巻き込んで技術についての倫理・法・社会的側面について議論する「上流関与」(アップストリーム・エンゲージメント)の必要性が認識されるようになっている。こうした研究活動における上流関与、市民参加について、ゲノム編集技術の問題に利用可能な制度や予定されている活動などが行政や大学・研究機関などにあるか、調査の上、把握したところを明らかにされたい。

七 ゲノム編集技術による知的所有権は、前記一の(b)および(c)については利用できる遺伝子配列が特許化でき、(a)については特に特許の対象にならない(ただし、植物品種である場合は種苗法の対象になる場合がある)と理解しているが、そのような理解でよろしいか。

八 一九九二年の「環境と開発に関するリオ宣言」第十五原則及び各種国際条約に謳われている予防的取組方法及び予防原則の観点から、ゲノム編集技術の研究において、どのような配慮がなされるべきか指針を示すべきではないか。また今回報道のあった京都大学などのグループはそもそも予防原則を理解しているのか、また実際にどのような配慮を行ったのか、調査の上、明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一及び二について

生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(平成十五年条約第七号。以下「カルタヘナ議定書」という。)は、生体外における核酸加工の技術の利用によって得られる遺伝素材の新たな組合せを有する生物を規制の対象とし、当該生物の安全な移送、取扱い及び利用の分野において十分な水準の保護を確保するものであり、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成十五年法律第九十七号。以下「カルタヘナ法」という。)は、細胞外において核酸を加工する技術であって主務省令で定めるものの利用により得られた核酸又はその複製物を有する生物を規制の対象とし、当該生物の使用等の規制に関する措置を講ずるものである。したがって、いずれも、利用する技術そのものを対象とするものではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。また、遺伝子組換え技術の利用により得られた生物が、カルタヘナ議定書及びカルタヘナ法の規制の対象となる生物であるか否かについては、個別具体的に判断すべきものであることから、一概にお答えすることは困難である。

なお、カルタヘナ法の規制の対象となる生物であるか否かにかかわらず、当該生物の販売等の行為が、別途、他法令による規制の対象となる場合がある。

また、遺伝子組換え生物等(カルタヘナ法第二条第二項に規定する遺伝子組換え生物等をいう。以下同じ。)については、環境省等において適宜情報収集を行っており、その把握に努めている。

三について

御指摘の「安全性審査に関する研究」の意味するところが必ずしも明らかではないが、遺伝子組換え技術を利用して得られた食品等の安全性に関する研究等については、例えば、平成二十五年度から平成二十七年度までにかけて、国立医薬品食品衛生研究所の近藤一成氏を研究代表者とする「次世代バイオテクノロジー技術応用食品等の安全性確保に関する研究」が実施されているほか、平成二十四年に欧州食品安全機関から出された「ジンクフィンガーヌクレアーゼ三とその他の同様の機能をもつ部位特異的ヌクレアーゼを用いて開発した植物の安全性評価に関する科学的意見」があると承知している。

四について

御指摘の「ゲノム編集技術に関する環境アセスメント手法」の意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。なお、遺伝子組換え生物等については、当該遺伝子組換え生物等の第一種使用等(カルタヘナ法第二条第五項に規定する第一種使用等をいう。)をしようとする者は、その承認を受けるに際して、カルタヘナ法第四条第二項の規定に基づき、生物多様性影響評価書を提出しなければならないこととされている。

五について

御指摘の「カルタヘナ議定書に準じるような国際協定」の意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

六について

御指摘の「研究活動における上流関与、市民参加について、ゲノム編集技術の問題に利用可能な制度や予定されている活動など」の意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

七について

御指摘の「ゲノム編集技術による知的所有権」及び「利用できる遺伝子配列」の意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

なお、遺伝子を組み換える方法の発明、遺伝子の発明及び遺伝子組換え技術の利用により得られた遺伝子を有する動植物の発明が、特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)に規定する特許の要件を満たす場合には、これらの発明をした者は、これらの発明について特許を受けることができる。

また、遺伝子組換え技術の利用により得られた遺伝子を有する植物が、種苗法(平成十年法律第八十三号)に規定する品種登録の要件を満たす場合には、同法第三条の規定に基づき当該植物品種の育成をした者又はその承継人は、品種登録を受けることができ、これにより、同法第十九条の規定に基づき育成者権が発生することとなる。

八について

御指摘の「予防的取組方法及び予防原則の観点から、ゲノム編集技術の研究において、どのような配慮がなされるべきか指針を示すべき」の意味するところが明らかではないため、前段のお尋ねについてお答えすることは困難である。なお、「生物多様性国家戦略二〇一二―二〇二〇」(平成二十四年九月二十八日閣議決定)においては、生物多様性の保全及び持続可能な利用を目的とした施策を展開する上で不可欠な共通の基本的視点の一つとして、「科学的認識と予防的かつ順応的な態度」を挙げているところである。

また、御指摘の「京都大学などのグループ」は、トラフグの使用を特定の実験室内に限定し、実験室への人の立入りを管理し、当該トラフグの実験室からの不適切な持ち出しを禁止するなど、当該トラフグの拡散を防止するための措置をとった上で、研究を行っていると聞いている。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×7趣旨が明らかではない ×6

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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