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医療経済研究機構が厚生労働省より受託した「薬剤使用状況等に関する調査研究」によって指摘されたバイオシミラーの諸外国の使用状況に関する質問主意書

参議院 第196回 第105号

提出者
参議院
提出日
2018年5月9日
内閣転送 2018年5月14日
答弁書受領日
2018年5月18日
提出から9日
答弁の項目数
4
質問 2,078字/答弁 933字

質問本文

厚生労働省は、例年、諸外国の薬剤使用状況を調査し、医薬品に係る制度改革の実態・取り組み、医療経済的評価手法の導入状況、適応外薬の使用実態及び保険適用の状況を把握し、わが国の今後の薬剤使用の一層の適正化に向けた価格システムのあり方等を検討するとともに、薬局の役割、その評価の在り方等について検討・考察するための基礎資料を収集していると理解し、この調査の意義について高く評価しているところである。また、二〇一七年度における調査研究(以下「本調査研究」という。)では、とくに後発医薬品使用促進に係る的確な検討のための基礎資料という位置付けで、バイオシミラーについても調査を行ったと聞く。本調査研究が厚生労働省からの受託研究として実施されたことに鑑み、政府の見解について以下に質問するものである。

一 本調査研究は、調査対象となった諸外国の状況を総括し、当該各国の市場動向やステークホルダーの意識などを考察し、「まだバイオシミラーに対して大きく信用を置いていない」と分析している。本調査研究は、後発医薬品使用促進に係る的確な検討のための基礎資料と位置付けられているのであるから、バイオシミラー使用先進国においても未だにバイオシミラーに対する信用が確立していない事実が確認されたことになる。したがって、バイオシミラーについて、我が国における昨今の使用促進政策を反芻し、まずは、国民の信頼構築に力をいれた施策を検討するべきと考えるが、政府の見解如何。

二 そもそも論として、バイオシミラー使用先進国においてすら信用の確立がままならないような製品を、理由もなく強硬に使用促進しようとする我が国の政策は拙速に過ぎる。何故に、バイオシミラーの使用促進を拙速に進めるのかについて政府の見解如何。

三 政府は、こうしたバイオシミラーの使用促進を拙速に進める政策を改めて、バイオシミラーの使用について慎重な判断をされるべきと考える。たとえば、国民一般にバイオシミラーへの信用が高まるまでは、バイオシミラーへの変更と低分子な化学合成品である後発医薬品への変更とは明確に区別し、バイオシミラーへの変更については国民の信頼を得るよう努力するなどの慎重な手順を含む対応をするように医師等に通達するなどの措置が求められると感ずるが政府の見解如何。

四 本調査研究では、国別調査の部分報告ではあるが、医師などの医療従事者においても、バイオ先行品とバイオシミラーとの間で品質に差があると思っているものがいると報告しており、バイオシミラーの品質に対する懸念が払しょくされない現状があらわにされている。政府は、ただ単に、バイオシミラーの使用促進を声高に主張するものの、こうした医療従事者の抱く懸念への顧慮を欠いていると指摘せざるをえない。医療従事者においてバイオシミラーの品質に対する懸念が依然として存在することについて、政府は把握し、また、この懸念を払しょくするための施策を検討しているのか、政府の見解如何。

五 米国FDAは、世界最大のバイオシミラー製造企業である韓国のセルトリオン社に対して警告状(Warning Letter)を発行したと聞く。また、FDAは、この警告状との関係性については不明であるが、同社のリツキシマブ及びトラスツズマブに対するバイオシミラー製剤の製造承認申請を許可しなかったという話も聞いている。同社は、我が国で販売されるバイオシミラーの多くを製造していることも鑑みるに、政府もこの事実は把握し、対応策などは検討されているものと信ずる。政府に問うが、FDAが同社の製造プロセスについて警告状を発行したことについて、その事実を把握し、その詳細についてすでに調査を終えた上で、現在、我が国で上市されている同社からの導出品である薬剤について品質上の問題がまったくないと確認しているのかについて明らかにされたい。仮に調査を実施していないのであれば、その理由について明らかにされたい。

六 政府は、バイオシミラーの使用促進をもって我が国の経済成長に利すると考えているとみゆる。しかし、バイオシミラーの開発・製造については、そのほとんどを韓国企業が担っており、我が国の市場においても、韓国等の外国企業からの導出品ばかりである。国産品がないことを鑑みるに、バイオシミラーを使用促進したからといっても、我が国の企業が直接的に利することはないと考える。また、我が国の保険医療には多くの税金が投入されていることを考えれば、バイオシミラーを多用することは、我が国の税金が外国企業の収入として他国に流失することを意味している。バイオシミラーの製造をバイオ産業の中核の一つと位置付けて、経済成長戦略に活用するというのであれば、まずは、国内企業におけるバイオシミラーの開発・製造のためのインフラ整備に多額の投資を呼び込む必要があると考える。バイオシミラーの製造が国内で実施されていない実態を把握し、これに対して「成長戦略」という観点から何らかの施策があるや否やにつき政府の見解如何。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一から三までについて

御指摘の「バイオシミラー」(以下単に「バイオシミラー」という。)は、既に医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「法」という。)第十四条又は第十九条の二の規定による厚生労働大臣の承認(以下「承認」という。)を受けた医薬品のうちバイオテクノロジーを応用して製造したもの(以下「先行バイオ医薬品」という。)と、品質、有効性及び安全性(以下「品質等」という。)が同等又は同質であるものとして承認を受けた医薬品であるところ、バイオシミラーは、先行バイオ医薬品に比べ価格が低く、その使用により患者の自己負担の軽減及び医療保険財政の改善に資するものであるため、バイオシミラーの品質等に関する情報提供を通じて、医療従事者及び国民の理解を得ながら、その普及を図ることとしているところである。

四について

政府としてもバイオシミラーの品質等に懸念を有する医療従事者が存在することは把握しており、このため、医療従事者に対してバイオシミラーの品質等に関する情報提供を行うこととしているところである。

五について

米国食品医薬品局(以下「FDA」という。)が、御指摘の「セルトリオン社」の製造所に対する査察等を行った上で、平成三十年一月二十六日に御指摘の「警告状」を同社に対して発行したことは承知しているが、現時点においては、市場に流通している同社の製品の出荷停止及び回収までを求めているものではないと承知している。

他方、お尋ねの「現在、我が国で上市されている同社からの導出品である薬剤」に関しては、FDAによる同社の製造所に対する査察等を踏まえ、独立行政法人医薬品医療機器総合機構が、同社の製造所に対して法第七十五条の四第一項第二号の規定による検査を実施し、特に問題としなければならない事項はないと判断したところである。

六について

政府としては、御指摘のような「バイオシミラーの製造が国内で実施されていない実態」があるとは認識していないが、いずれにせよ、医薬品産業の国際競争力を強化する観点から、バイオシミラーを含むバイオテクノロジーを応用して製造した医薬品の製造技術の開発支援を行っているところである。

参議院の原文

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