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日本版コンパッショネートユース制度に関する質問主意書

参議院 第189回 第308号趣旨が明らかではない ×1

提出者
参議院
提出日
2015年9月18日
内閣転送 2015年9月25日
答弁書受領日
2015年10月2日
提出から14日
答弁の項目数
11
質問 2,185字/答弁 1,538字

質問本文

厚生労働省は、治験に参加できない患者への治験中の薬へのアクセスを実現するため、日本版コンパッショネートユース制度について、省令によって、人道的見地からの治験取扱い(以下「本制度」という。)として今年度中にスタートさせる予定である。

本年七月九日の参議院厚生労働委員会において厚生労働省神田医薬食品局長は、この制度は「有効性、安全性に関する情報を収集して、承認申請に際して先行する治験の成績を補完するものとして評価に資するものと考えられることから、治験に該当する」と答弁(以下「本件答弁」という。)した。

また、この制度設計案をめぐり、九月四日に都内で開かれたレギュラトリーサイエンス学会学術大会では、医薬品メーカー側から「治験として実施するのは難しいのではないか」などとの意見が出た一方で、医療関係者、具体的には国立研究開発法人国立がん研究センターの藤原康弘氏からは「健康被害の補償や医療過誤訴訟のリスクなども議論すべき」などの意見が出たと聞いている。

そこで、以下質問する。

一 欧米では省令ではなく法律でコンパッショネートユース制度を整備している国もあると聞いているが、新たな仕組みを法定せず、既存の治験の枠内で行うことが、被験者の安全性確保等の観点から望ましい理由を明らかにされたい。また、本制度はどのような法令形式で規定されることとなるのか。

二 欧米にはコンパッショネートユース制度あるいはそれに類するものがあるとしても、日本のような治験と臨床研究の区別はなく、医薬品臨床試験は薬事関連法令で規制されることを前提として、その外側にあるものとしてのコンパッショネートユース制度であるのではないか。他方、日本は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律外の臨床研究を放置したままで治験と本制度を併存させようとしている。このままでは治験と本制度の間に、本来あるべき法律に基づく臨床研究がないために、治験と本制度との間のギャップが埋められず、欧米との制度設計の齟齬をますます拡大させ、医薬品規制のハーモナイゼーションの観点から問題ではないかと考えるが、いかがか。

三 「有効性、安全性に関する情報を収集」するものであれば治験に該当し得るとすると、これまでの治験の定義を広げることとなり、患者が待ち望む本来の治験推進を阻害することにならないか。

四 本件答弁の一方で、検証的試験として厳密に設計された比較試験である本来の治験の結果があるときに、本制度の成績をどのように評価に用いるのか。

五 本制度で発生した副作用は、本来の治験の場合と同等に評価されるのか。

六 本来の治験で有効性が確認できなかった場合に、本制度では多くの人に効いているからという理由で、当該治験薬の有効性を認めてしまうことは起きないということでよいか。

七 昨年十二月十八日の薬事・食品衛生審議会薬事分科会配付資料によれば、対象患者は「国内で実施中の検証試験等のプロトコールの組入れ基準の各項目に関して、安全性確保の観点から基準を緩めても医学・薬学的に許容可能であると判断される範囲の患者」とあるが、本制度の対象は薬事承認後、適用となる患者に限定すると理解してよいか。

八 「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針ガイダンス」の三十三ページには、「医薬品企業法務研究会(医法研)が2009年11月25日に公開した「被験者の健康被害補償に関するガイドライン」を参考としてよい」との記載がある。そこで確認したい。

補償に当たっては、医薬品企業法務研究会が作成した複数のガイドラインがあるが、二〇〇九年の「被験者の健康被害補償に関するガイドライン」(以下「二〇〇九年ガイドライン」という。)では、「2 補償の対象とならない場合」として、2-1では機会原因に係る健康被害は補償しないとするものの、「1 補償の原則」の1-3で、一九九九年の「被験者の補償に関するガイドライン」(以下「一九九九年ガイドライン」という。)に記載されていた、絶対責任と峻別する大事な文言である「治験に参加していなければ」が削除された結果、本制度における健康被害は全て補償されることになると理解してよいか。

九 二〇〇九年ガイドラインは二〇一五年に改訂されているが、そこには企業治験が対象と明記されている。そこで、臨床研究の法制化と並行して、臨床研究全体をカバーできる被験者保護のガイドラインが策定されることが望ましいのではないか。厚生労働科学研究費などの公的資金を活用するなど、国としても積極的に策定を支援すべきではないか。

十 患者申出療養(仮称)については、中央社会保険医療協議会で難病団体からヒアリングを行ったが、本制度についても、患者団体や薬害被害者など関係者の意見をオープンな場できちんと聞いて、制度設計を行うべきではないか。

十一 今回、本制度における規制緩和として五項目のGCP規定の緩和措置を講じることになっているが、いずれ治験全体に対して、これらの規定が緩和されることはありえないと考えてよいか。

十二 今回、本制度における治験薬の経費については、妥当な範囲で患者負担とすることも可とするとしているが、いずれ治験全体に対して、患者負担も可とすることはありえないと考えてよいか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

お尋ねの理由は、御指摘のいわゆる日本版コンパッショネートユース制度(以下「人道的見地からの治験」という。)が、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)に基づき治験として実施される場合、治験実施計画書に基づいて実施されるため安全性が確保され、また、健康被害発生時には補償措置が適用されるなど被験者保護が図られることから、同法に基づき治験として実施されることが適当であると考えられることである。また、お尋ねの法令形式については、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成九年厚生省令第二十八号。以下「GCP省令」という。)の改正により必要な規制緩和措置を整備することを予定している。

二について

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、政府としては、未承認薬を国民に提供する方法は国によって様々であると承知している。

三及び四について

人道的見地からの治験においては、治験の成績は、有効性を比較する対照薬を投与する比較対照群を設定せず、被験者の安全確保を主眼として治験実施計画書を策定することから、治験の対象とされる薬物の承認申請時には、主として安全性の観点から検証的試験(「有効性を検証するために実施される治験」をいう。以下同じ。)の成績を補う資料として評価されるものである。したがって、現行の治験の定義を変更するものではないと考えている。

五について

人道的見地からの治験において発生した副作用についても、現行の治験と同様に評価されると考えている。

六について

人道的見地からの治験においては、比較対照群を設定せず、被験者の安全確保を主眼として治験実施計画書を策定するものであり、検証的試験で有効性が確認されなかった場合でも、人道的見地からの治験により、その有効性の判断が覆されるものではないと考えている。

七について

人道的見地からの治験が対象とする患者としては、検証的試験の組入れ基準に合致するものの組入れに間に合わなかった患者及び検証的試験の組入れ基準に合致しないものの患者の状態が安全性の観点から組入れが許容される範囲の患者を考えている。

八について

御指摘の「一九九九年ガイドライン」及び「二〇〇九年ガイドライン」は、いずれも医薬品企業法務研究会が作成したものであるが、両ガイドラインに実質的な差異はないものと承知しており、人道的見地からの治験における機会原因に係る健康被害は補償されないということが両ガイドラインに記載されているものと承知している。

九について

厚生労働省及び文部科学省においては、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成二十六年文部科学省・厚生労働省告示第三号)において、臨床研究対象者への配慮を含め、人を対象とする医学系研究の実施に当たり関係者が遵守すべき事項について定めているところであり、また、臨床研究に係る制度の在り方については、現在、被験者保護の観点を含めその法制化に向けた作業を進めているところであることから、新たなガイドラインの策定等については考えていない。

十について

人道的見地からの治験については、患者団体を含む関係者からの意見を踏まえて検討してきたものであり、更に今後、GCP省令の一部改正についてパブリックコメントを行い、広く意見を募集する予定である。

十一について

今回検討している五項目のGCP省令の規制緩和措置は、人道的見地からの治験に限定した措置とすることを考えている。

十二について

現行の治験においても、患者負担を求めることについて禁止しているものではなく、人道的見地からの治験においても、患者負担を求めることもあり得ると考えている。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

趣旨が明らかではない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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