ことばで探す › 参議院 第197回
安倍首相の所信表明演説に関する質問主意書
参議院 第197回 第26号
質問本文
本年十月二十四日に召集された第百九十七回国会の所信表明演説において安倍晋三首相は、過重な米軍基地等の負担にあえぐ沖縄県民に向け、「三月、一部返還が実現した沖縄の牧港補給地区では、県内最悪と言われる渋滞の解消に向けて、道路の拡幅を進めます。今後も、抑止力を維持しながら、沖縄の皆さんの心に寄り添い、安倍内閣は、基地負担の軽減に、一つ一つ、結果を出してまいります」と述べた(以下「安倍首相の所信表明演説」という。)。
安倍首相の所信表明演説は、政府の取り組みを自画自賛し、「辺野古新基地建設反対」という沖縄県民の民意(以下「沖縄県民の民意」という。)を踏みにじる不誠実極まりないものである。沖縄県民の民意は、本年九月三十日に投開票が行われた沖縄県知事選挙において、辺野古新基地建設阻止を訴えた玉城デニー氏が、与党推薦候補に圧倒的な大差で勝利したことで改めて示されている。玉城知事は、十月四日の就任会見において辺野古新基地建設の阻止に向け全身全霊で取り組みたいと決意を述べ、また、同月十二日には、安倍首相と会談し、沖縄県民の民意を伝えるとともに、政府との対話を求めた。しかし、沖縄防衛局は同月十七日、沖縄県による辺野古新基地建設阻止のための公有水面埋立承認撤回処分に対し、国土交通大臣に行政不服審査法に基づく審査請求と執行停止申立を行った。このような状況下において、同月二十五日には、沖縄県選出の照屋寛徳、赤嶺政賢の両衆議院議員、私及び伊波洋一参議院議員が「1.沖縄県の民意を尊重して審査請求・執行停止申立を取り下げること。2.沖縄県との話し合いの場を設けること。3.辺野古新基地建設反対の沖縄県の民意、全国世論調査の結果を伝え、辺野古移設見直しに向け、米国と再交渉すること」を求める要請書を岩屋毅防衛大臣に手交した。
以上を踏まえ、以下、質問する。
一 安倍首相の所信表明演説における「今後も、抑止力を維持しながら」との発言について、「抑止力」が「維持」されている状態とは、具体的にはどのような国を仮想敵と想定し、何を「抑止」している状態のことを表しているのか。在沖縄米軍の陸海空軍及び海兵隊の戦力、施設規模等との関係とあわせ、示されたい。
二 前記一に関し、安倍首相の述べた「抑止力」の「維持」という観点から、辺野古新基地はどのような役割を担うことになると政府は考えているか、具体的に示されたい。
三 辺野古新基地建設問題を含む沖縄の米軍基地問題等について玉城知事は、政府との「対話」を強く求めている。政府は、玉城知事の求める「対話」に応じるつもりはあるか。応じるつもりがある場合、政府はどのような立場から、また、どのような姿勢で「対話」に臨むことを考えているのか、明らかにされたい。
四 安倍首相の所信表明演説における「沖縄の皆さんの心に寄り添い」との文言は、安倍首相が沖縄県民の民意を無視し、愚弄する際に用いる常套句である。「沖縄の皆さんの心」とは、沖縄県民の民意である「辺野古新基地建設反対」を意味するものと捉えるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
五 本年十月二十六日に沖縄県議会で可決され、同月三十一日に公布された「辺野古新基地建設のための賛否を問う県民投票条例」により、当該県民投票が来春までに行われる予定である。本条例が可決し、公布されたことに対する政府の見解を示されたい。また、当該県民投票が行われた場合に、政府として投票結果をどのように受け止めるつもりでいるのか、明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
抑止力とは、侵略を行えば耐え難い損害を被ることを明白に認識させることにより、侵略を思いとどまらせるという機能を果たすものであると解してきている。日米安保体制の下、在日米軍においては、緊急事態に迅速かつ機動的に対応できる態勢が平時からとられており、このような在日米軍のプレゼンスは、米国が有する核戦力や通常戦力とあいまって、抑止力として機能しているものと考えている。また、地理的な優位性を有する沖縄に、優れた機動性及び即応性を有し、幅広い任務に対応可能な第三十一海兵機動展開隊をはじめとする米海兵隊や、制空や警戒監視等の重要な航空作戦に当たる米空軍といった米軍が駐留することは、日米同盟の抑止力を構成する重要な要素であり、我が国の平和と安全を確保する上で必要なものであると認識している。
なお、想定される抑止力の対象は、必ずしも特定の国に限られるものではない。
二について
政府としては、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、米軍の抑止力を維持しながら、同時に普天間飛行場の危険性を一刻も早く除去するためには、同飛行場の辺野古への移設を着実に進めることが必要であると考えている。
三について
平成三十年十一月六日に、菅内閣官房長官と玉城沖縄県知事が普天間飛行場の辺野古への移設について会談を行い、政府と沖縄県との間で移設に対する考え方に相違があることが改めて確認されたところである。その上で、同知事の要請を踏まえて、政府は同飛行場の辺野古への移設、同県は国地方係争処理委員会への審査の申出の手続を進めながら、約一か月間、杉田内閣官房副長官と謝花沖縄県副知事との間で話合いを行うこととしたところであり、具体的なことは、両者で協議しながら進めている。
また、政府と同県との間には政府・沖縄県協議会等の協議の枠組みがあり、政府としては、これらにおける話合いを通じて、同飛行場の危険除去と辺野古への移設に関する政府の考え方や沖縄の負担軽減を目に見える形で実現するという政府の取組について丁寧に説明し、同県側の御理解と御協力を得られるよう、粘り強く取り組んでいく考えである。
四について
戦後七十年以上を経て、なお在日米軍の施設及び区域が沖縄県内に集中している現状は沖縄の大きな負担となっているものであり、このような現状は是認できるものではなく、その負担の軽減を図ることは政府の大きな責任である。
政府としては、住宅や学校で囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないと考えており、これは政府と沖縄の皆様の共通認識であると考えている。
このため、三についてでお答えしたとおり、同飛行場の危険除去と辺野古への移設に関する政府の考え方や沖縄の負担軽減を目に見える形で実現するという政府の取組について丁寧に説明し、同県側の御理解と御協力を得られるよう、粘り強く取り組んでいく考えである。
いずれにせよ、政府としては、今後とも沖縄の負担軽減のためにできることは全て行うとの方針の下、取り組んでいく考えである。
五について
お尋ねは、地方公共団体における独自の条例に関わる事柄であり、政府として見解を述べることは差し控えたい。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。