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核シェルターの普及状況に関する質問主意書

参議院 第200回 第88号

提出者
参議院
提出日
2019年12月4日
内閣転送 2019年12月9日
答弁書受領日
2019年12月17日
提出から13日
答弁の項目数
2
質問 1,876字/答弁 971字

質問本文

戦略上のシェルターは、戦争時の各種攻撃を避けて生き延びるために人間が一時的に利用する空間であるとされる。収容人数が数千人規模のもの、一般家庭用の小型のものなど様々なものが存在している。多くは地下に設置され、第二次世界大戦後には、いわゆるNBC兵器による攻撃を想定したものが建設されるようになった。

わが国で公開されている核シェルターに関する情報は、NPO法人「日本核シェルター協会」によるものしか見当たらない。同協会が二〇一四年に発表した資料によれば、各国の人口あたりの核シェルター普及率は、スイス、イスラエルが百%、ノルウェーが九十八%、アメリカが八十二%、ロシアが七十八%、イギリスが六十七%であるのに対して、日本は〇・〇二%とされる。スイスでは、一九六二年の米ソ冷戦下でのキューバ危機を受けて、一九六三年に全戸に核シェルターの設置を義務付ける連邦法が成立している。

一方、日本では、二〇〇五年五月二十日の参議院予算委員会における、日本でも核シェルターを整備すべきとの指摘に対する「そこまで私は国民的な合意が得られるかどうか、なかなか難しい問題だと思っております」との小泉総理(当時)の答弁、二〇一七年九月五日の衆議院外務委員会における「シェルターあるいは防衛システムの導入といった国民保護の観点については、やはり関係省庁全体がまとまって検討していくというふうに思っています」との佐藤外務副大臣(当時)の答弁などからも分かるように、核シェルターに関する政府内の議論はほとんど進んでいない。

万が一、わが国に核ミサイルが着弾した場合、一体どうやって国民はわが身を守ればいいのか。二〇一七年から運用が開始された全国瞬時警報システム(Jアラート)は、弾道ミサイルが日本の領土・領海に落下する可能性又は領土・領海を通過する可能性がある場合に使用されるが、Jアラートは「屋外にいる場合は近くの建物(できれば頑丈な建物)の中又は地下(地下街や地下駅舎などの地下施設)に避難してください。屋内にいる場合は、すぐに避難できるところに頑丈な建物や地下があれば直ちにそちらに避難して下さい。それができなければ、できるだけ窓から離れ、できれば窓のない部屋へ移動してください」と国民に促すにとどまる。

世界各国では、核ミサイルの脅威への備えの重要性を認識し、いざという時の避難場所として、核シェルターの整備を政府主導で進めている。わが国は唯一の被爆国であり、周囲を中国、ロシア、北朝鮮などの核保有国に囲まれているにもかかわらず、核シェルターの普及が全く進んでおらず、議論すら行われていない。緊迫する北東アジア情勢に鑑みれば、有事には、どのような方策があれば国民を安全かつ確実に守れるか、政府・国民ともに真剣な議論が求められていると考える。

右を踏まえて、以下質問する。

一 わが国の核シェルターの普及状況について、政府の把握しているところを示されたい。また、アメリカ、ロシア、イスラエル、イギリス、フランスにおける普及状況についても、政府の把握しているところを示されたい。

二 核シェルターの整備については、右の小泉総理の答弁と同様、現時点でも国民的な合意を得られるかどうかは難しい問題であるとの認識が政府内で維持されているとの理解でよいか。

三 政府は、日本の領域内において弾道ミサイルの落下又は通過の可能性がある場合に、Jアラートで国民に待避を促すのであれば、核ミサイルの着弾にも耐えうるような核シェルターの普及を図るべきではないか。政府の見解如何。

四 政府は、日本の領域内において弾道ミサイルの落下又は通過の可能性がある場合に、Jアラートで「屋外にいる場合は近くの建物(できれば頑丈な建物)の中又は地下(地下街や地下駅舎などの地下施設)に避難してください」と国民に促すが、これは、これらの場所が核ミサイルの着弾に対しても十分に有効な核シェルターとして機能すると考えているためか。政府の見解如何。

五 多くの有識者からもその必要性が指摘されているように、唯一の被爆国であるわが国は、これまでの政府の見解を修正し、政府主導で核シェルターの普及のための検討をはじめるべきではないか。そして、アメリカ、ロシア、イギリスのような水準の核シェルターの普及を実現すべきではないか。

六 前記五に関して、既に核シェルターの普及のための検討を政府内で開始しているのであれば、その検討状況の概略を示されたい。開始していないとすれば、検討の事実はいまだない旨を示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一から三まで、五及び六について

御指摘の「核シェルター」について確立した定義はないと承知しているが、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成十六年法律第百十二号。以下「国民保護法」という。)第百四十八条第一項及び第百八十四条第一項の規定により、都道府県知事等は、武力攻撃事態等(武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号)第一条に規定する武力攻撃事態等をいう。以下同じ。)において住民を避難させ、又は避難住民等の救援を行うため、あらかじめ、一定の基準を満たす施設を避難施設として指定しなければならないとされているところであり、全国における当該指定を受けた避難施設の数は、平成三十一年四月一日時点で九万三千百七十七か所である。

政府としては、武力攻撃事態等における住民の避難に関し、弾道ミサイルの着弾の衝撃や爆風により発生する被害をできる限り軽減する観点から、コンクリート造り等の堅ろうな施設や建築物の地階、地下街、地下駅舎等の地下施設への避難が有効であると認識しているところであり、平成二十九年十二月に、国民保護法第三十二条の規定に基づき定められた「国民の保護に関する基本指針」(平成十七年三月二十五日閣議決定)の一部を変更し、都道府県知事等による避難施設の指定に当たっての留意事項として「爆風等からの直接の被害を軽減するための一時的な避難に活用する観点から、コンクリート造り等の堅ろうな建築物や地下街、地下駅舎等の地下施設を指定するよう配慮する」ことを明記したところである。

あわせて、内閣官房を中心とした関係省庁においては、現在、避難施設の在り方に関し、一定期間滞在可能な施設とする場合における必要な機能や課題等について、諸外国の調査も行うなどして、検討を進めているところである。

四について

政府としては、弾道ミサイルが我が国に飛来する可能性がある場合、直ちに全国瞬時警報システムを使用し、注意が必要な地域の国民に幅広く情報を伝達し、避難の呼び掛け等を行うこととしているが、その際、弾道ミサイルの着弾の衝撃や爆風により発生する被害をできる限り軽減する観点から、直ちに建物の中又は地下に避難するよう呼び掛けることとしているところである。

参議院の原文

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