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陸上配備型イージス・システムに係る経緯に関する質問主意書

参議院 第202回 第42号趣旨が明らかではない ×1

提出者
参議院
提出日
2020年9月18日
内閣転送 2020年9月18日
答弁書受領日
2020年10月2日
提出から14日
答弁の項目数
8
質問 2,178字/答弁 1,985字

質問本文

令和二年九月四日、防衛省は、陸上配備型イージス・システム(以下「イージス・アショア」という。)の配備に関するプロセスの停止について、経緯等をまとめた「イージス・アショアに係る経緯について」(以下「防衛省資料」という。)を発表した。

以下、イージス・アショアに係る経緯等について質問する。

一 イージス・アショアについては、トランプ米国大統領から、米国製兵器の大量購入を求められた安倍前総理の主導で導入が決定されたものであるとの指摘や、費用対効果の検討も行われていなかったとの指摘もあるところ、防衛省資料においては、「平成二十九年十二月に国家安全保障会議及び閣議において導入を決定」したという記述があるのみで、それ以前の導入に至る経緯について、妥当であったかどうかに関する記述がない。本件について総括するのであれば、平成二十九年十二月の閣議決定以前の導入に至る経緯についても検証されるべきではないか。

二 防衛省資料においては、地元住民に対する説明など、配備に関するプロセスを開始する段階で、「SM―三のブースターの落下による影響について、防衛省の担当部局では、何らかの安全措置は必要との認識であったが、具体的な検討には至らなかった」と記されており、早期から安全措置の必要性を認識していたことがうかがえる。この点について、防衛省は、関係自治体に対し、「迎撃ミサイルの飛翔経路をコントロールし、ブースターを演習場内に落下させるための措置をしっかりと講じます」と説明する一方で、米側との協議やそれを踏まえた安全措置の検討を行い、結果として、できもしない約束を地元に対して行ったこととなるが、このような慎重さ、誠実さを欠いた対応は、安倍前総理の主導で決まったイージス・アショアの導入ありきで、前に進めるしかなかった状況が引き起こしたものではないか。安倍前総理への忖度がなかったと言い切れるか。

三 防衛省資料においては、防衛省内の体制について、「令和二年の早い時期に、ブースターを演習場内または海上に確実に落下させるためには、それまで防衛省が想定していたイージス・システムのソフトウェアの改修のみでは不十分な恐れがあり、SM―三のハードウェアを含め、システム全体の大幅な改修が必要ではないかとの懸念が生じた」とあるが、河野防衛大臣に報告があったのは六月三日とのことである。事務方の判断でトップである防衛大臣への報告を遅らせたことになるが、そのような判断を行った理由は何か。また、「省内の意思疎通や情報共有の在り方などを含め、仕事の進め方に係る問題を改善するため、風通しの良い業務環境を整備していく必要がある」とされているが、この「風通しの良い業務環境」の具体的内容とその実現方法について説明されたい。

四 防衛省資料においては、地元への説明に対する評価として、「イージス・アショアがSM―三を発射する事態は、弾道ミサイルが我が国に向けて発射されているような状況であり、このような極限の状況を想定していることに理解を得つつ、当初から住民避難等の国民保護措置を含めて安全対策に万全を期すとの考えに立って、丁寧な説明を実施することも検討されるべきであった」と記されているが、これは弾道ミサイルが我が国に向けて発射されているような状況であれば、住民の安全は避難等で確保し、ブースター等が民家や公共建築物等に落下し被害が生じた場合でも、極限の状況ゆえ致し方ないということを意味するのか。

五 報道によれば、政府はイージス・システムを搭載した、弾道ミサイル防衛に専従する護衛艦を建造する案を有力案としており、米国にも説明しているとのことだが、護衛艦による弾道ミサイル防衛では、海上自衛隊の人繰りの問題の解決になっておらず、悪天候の影響も受けるなど、弾道ミサイル防衛の在り方として二十四時間・三百六十五日我が国を防護するとの政府の考え方に逆行しているように思うが、政府の見解如何。

六 報道によれば、防衛省はイージス・アショアの配備プロセス停止を受けた代替案として、メガフロートにイージス・アショアを配備する案や、陸地にレーダーを配備し、迎撃ミサイルの発射装置は海上に配備する案を検討しているとのことだが、地元住民の保護を重視するのであれば、これらの案はイージス・アショアの導入が決まった当初から検討されているべきではなかったか。なぜ導入が決まった直後から演習場等の陸地への配備と並行してこれらの案を検討しなかったのか。

七 河野防衛大臣がイージス・アショアの配備プロセスの停止を発表し、国家安全保障会議においてイージス・アショアの配備を断念して以降、政府・自民党は前のめりにいわゆる敵基地攻撃能力(自民党の提言における「相手領域内でも弾道ミサイル等を阻止する能力」)の保有に関する議論を進めようとしているが、政府としてまず取り組まなければならないことは、イージス・アショアに係る経緯について、導入決定に至る経緯も含めて総合的・包括的な検証を行った後、国会における議論も踏まえ、我が国のミサイル防衛の在り方を検討することではないか。イージス・アショアに関する十分な検証も行われていない段階で、拙速に敵基地攻撃能力の保有に関する議論を進めるべきではないのではないか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

令和二年九月四日に防衛省が公表した「イージス・アショアに係る経緯について」(以下「防衛省公表文書」という。)については、陸上自衛隊むつみ演習場及び再調査の対象としていた陸上自衛隊新屋演習場を含む二十箇所の国有地への陸上配備型イージス・システムの配備に関するプロセスを停止することに至った経緯の事実関係等を確認したものであり、同省としては、これ以上の確認を行うことは考えていない。

二について

御指摘の「安倍前総理の主導で決まったイージス・アショアの導入ありきで、前に進めるしかなかった状況が引き起こしたもの」及び「安倍前総理への忖度」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、防衛省公表文書において「我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中、イージス・アショアの導入・配備を急ぐ必要があると考えていた。このため、米側との協議やそれを踏まえた安全措置の検討と地元説明を並行的に実施することとなった。結果的に地元に対して約束していたことが実現できなくなり、慎重さ、誠実さを欠いた対応となった。」と述べているとおりである。

三の前段について

お尋ねについては、防衛省公表文書において「令和二(二千二十)年の早い時期に、米側との協議や米側が実施した技術的な分析・評価から得られたより精度の高い情報をもとに防衛省において検討を行った。その結果として、ブースターをむつみ演習場内(新屋演習場など沿岸部の場所にあっては海上)に確実に落下させるためには、それまで防衛省側が想定していたイージス・システムのソフトウェアの改修のみでは不十分なおそれがあり、SM―三のハードウェアを含め、システム全体の大幅な改修が必要ではないかとの懸念が生じ、更に米側と協議を進めた。」、「防衛省としては、従前からイージス・システムのソフトウェアの改修をもってブースターをむつみ演習場内又は海上に落下させるための措置をとることを考えてきたところであり、これを実現するための方策は他にないのか、日米間での協議を通じて確認を行った。」及び「その結果、同年五月下旬、SM―三の飛翔経路をコントロールし、ブースターを演習場内又は海上に確実に落下させるためには、ソフトウェアのみならず、ハードウェアを含むシステム全体の大幅な改修が必要な状況が判明した。」と述べているとおりであり、こうした経緯を経て、令和二年六月三日に防衛大臣への報告がなされたものである。

三の後段について

お尋ねについては、防衛大臣から、防衛省の事務次官を通じて、同省内の意思疎通や情報共有の在り方等を含めて、風通しの良い業務環境の整備に取り組んでいくよう、業務上の指導がなされたところである。

四について

防衛省公表文書における御指摘の記載の意味するところについては、「イージス・アショアがSM―三を発射する事態は、弾道ミサイルが我が国に向けて発射されているような状況であり、このような極限の状況を想定していることに理解を得つつ、当初から住民避難等の国民保護措置を含めて安全対策に万全を期すとの考えに立って、丁寧な説明を実施することも検討されるべきであった。」と述べているとおりである。

五について

政府としては、現在、陸上配備型イージス・システムの代替案について検討の途上であるため、お尋ねの見解についてお答えすることは差し控えたい。

六について

お尋ねについては、防衛省公表文書において、「我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中、イージス・アショアの導入・配備を急ぐ必要があると考えていた。このため、米側との協議やそれを踏まえた安全措置の検討と地元説明を並行的に実施することとなった。結果的に地元に対して約束していたことが実現できなくなり、慎重さ、誠実さを欠いた対応となった。」と述べているとおりである。いずれにせよ、陸上配備型イージス・システムの代替案については、陸上自衛隊むつみ演習場及び再調査の対象としていた陸上自衛隊新屋演習場を含む二十箇所の国有地への陸上配備型イージス・システムの配備を断念したことを受け、検討しているものである。

七について

一についてで述べたとおり、防衛省公表文書については、陸上自衛隊むつみ演習場及び再調査の対象としていた陸上自衛隊新屋演習場を含む二十箇所の国有地への陸上配備型イージス・システムの配備に関するプロセスを停止することに至った経緯の事実関係等を確認したものであり、防衛省としては、これ以上の確認を行うことは考えていない。いずれにせよ、陸上配備型イージス・システムの代替案を含め、我が国を取り巻く安全保障環境に対応していくためのあるべき方策については、令和二年九月十一日の内閣総理大臣の談話も踏まえ、引き続き検討を行っていく考えである。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

趣旨が明らかではない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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