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イージス・アショアに関する再質問主意書

衆議院 第198回 第183号

提出者
未来日本
提出日
2019年5月23日
内閣転送 2019年5月29日
答弁書受領日
2019年6月4日
提出から12日
答弁の項目数
9
質問 3,183字/答弁 1,702字

質問本文

イージス・アショア導入について、我が国の国民の生命及び財産を守る機能がより強化されることを期待する観点から、平成三十一年四月二日付で送付された答弁書「内閣衆質一九八第一〇七号」(以下、答弁書)を踏まえ、以下の諸点について質問する。

一 選定に係る事実関係について

(1) 答弁書「二の(1)について」によれば、イージス・システムの本体は、「米国の有償援助により調達する」とされる一方、これに搭載するレーダーであるLMSSRは、「一般輸入により調達する」とある。

では、有償援助による本体と一般輸入によるLMSSRとの連接(インテグレーション)は、どの国のどの組織が実施するのか。また、連接に係る経費は、どの国が負担するのか。

平成三十年七月三十日付「陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア)の構成品選定結果について」(以下、選定結果)には、「導入経費に加え、維持・運用経費等を含む経費を評価した」(ア評価点)とあるが、連接に係る経費は、「導入経費」に含まれるのか。「導入経費」に含まれない場合、どの経費として評価したのか。

(2) 答弁書「二の(4)及び三の(2)について」によれば、イージス・アショアの性能を確認するための方法について、「『実射試験』及び『迎撃試験』の実施の要否も含めて米国と協議している」事実を挙げて、具体的な答弁を避けている。他方、選定結果には、「導入経費に加え、維持・運用経費等を含む経費を評価した」(ア評価点)とある。

他方、米海軍の報告書等によれば、米海軍が採用を決定し、二〇一九年一月に全ての試験も完了し、量産体制に移行するSPY6は、これまで弾道ミサイル等を模擬した実標的を探知・追尾する様々な「実射試験」を行い、合計五億ドル以上の費用を投じているとされている。

では、開発中かつどの国においても未だ採用実績がないLMSSRについては、実標的を探知・追尾する「実射試験」、並びに実標的の探知・追尾及び同標的に対する迎撃ミサイルの発射を行う「迎撃試験」に係る経費は、選定において「導入経費」もしくは「維持・運用経費」のうち、どの経費として評価したのか。

(3) 選定が行われた二〇一八年七月時点において、�@SPY6は既に生産段階にあり、二〇二〇年には米海軍に納入されるとともに、�A「ベースライン10」は、二〇二三年には初期運用能力を取得する(ロッキード・マーチン社広報)とされる。また、�B二〇二四年米会計年度中に、SPY6と「ベースライン10」を搭載した最新鋭イージス艦が就役予定(二〇二〇年度米会計年度、米国大統領予算案)とされる。

他方、答弁書「一について」によれば、�CLMSSRは「平成三十一(二〇一九)年度から約五年間」で「製造した後」、これらの「性能の確認」の「作業をできる限り速やかに行う予定」とされている。

LMSSRとセットとなっている「ベースライン9」というソフトウェアは、「ベースライン10」の一世代前のバージョンである。選定結果では、「納期」について「同一の評価点を獲得した」とされるが、納入が見込まれる時期に着目すれば、一見、SPY6と「ベースライン10」のセットの方が先行しているようにも思える。にもかかわらず、未だ製造もされておらず、「採用する旨を公式に発表している国は、我が国以外にない」(答弁書二の(3)について)LMSSRと一世代前の「ベースライン9」のセットの方が、選定結果において「基本性能」で「より高い評価を得た」(ア評価点)とされている。

製造も「性能の確認」もされていないLMSSRとベースライン9のセットが、既に製造中で、二年以上も各種の性能の確認作業を行い、二〇一九年一月に全試験を完了したSPY6とベースライン10のセットよりも、選定結果において「基本性能」で「より高い評価を得た」とした具体的な根拠は何か。

(4) 選定結果によれば、「納期」については、「『LMSSR』と『SPY6』ともに、米国政府とのFMS契約締結後、一基目の製造及び配備までに約六年間を要するとして提案しており、同一の評価点を獲得」したとされる。

他方、LMSSRを搭載するとするイージス・アショアの一基目が初期運用能力を取得する時期については、答弁書「一について」で「平成三十一(二〇一九)年度から約五年間でその本体やこれに搭載するレーダーであるLMSSRを製造した後、これらの性能の確認や設置等の作業をできる限り速やかに行う」としながらも、具体的な運用開始時期については、米国との調整の状況等を理由に挙げて具体的な答弁を避けている。

現状において「配備まで約六年間とする」提案内容は守られると考えているのか。また、そう考える根拠は何か。

(5) SPY6は、かつて維持整備等に日本国内企業が参画する予定であったと報じられていた。また、米海軍等の資料によれば、既に製造が始まっているSPY6は、二〇二四年以降、米海軍の駆逐艦、空母、強襲揚陸艦、フリゲート等各種の艦艇に搭載される。そうなれば、一定規模の経済効果が期待でき、維持整備費用が抑えられるようにも思える。

他方、結果としてLMSSRへの日本企業の参加が見送られ、「LMSSRを採用する旨を公式に発表している国は、我が国以外にない」(答弁書「二の(3)について」)とされる状況の中、今後数十年にも及ぶとみられる運用期間において、どのようにして選定結果「3(2)後方支援」にいう、LMSSRの「部品の補給等の各種後方支援活動」が安定的かつ経済的に実施されると考えればよいか。

二 性能について

(1) イージス・アショアは、弾道ミサイル防衛に特化した性能しかないとする報道がある中、答弁書「三の(1)について」によれば、「「ベースライン9」を用いることでLMSSRについて十分な性能を発揮させることが可能である」としている。ここにいう「十分な性能」とは、弾道ミサイルのみならず、航空機や巡航ミサイルにも対処できる十分な性能と理解してよいか。

(2) LMSSRとLRDRについて、答弁書「二の(3)について」によれば「LMSSRは、米国が二〇二〇年にアラスカ州に配備する予定のレーダーであるLRDRと同様の技術を用いて製造される」としている。

LRDRは、イージス・アショアで運用する予定の迎撃ミサイルSM3の運用を前提としたレーダーと考えてよいのか。

(3) LMSSRのレーダーは、SPY1Dと同様のサイズであり、LRDRに比べて約二十分の一しかないとされる。他方、レーダーの性能は、その大きさに左右されるとも聞くが、答弁書にあるようにLMSSRがLRDRと「同様の技術を用いて製造される」ものとして、約二十分の一の大きさのレーダーで、目標を識別する解像度など、LMSSRはLRDRと同様の性能を発揮できると言えるのか。

(4) 「長距離識別レーダー」たるLRDRには射撃管制機能がないとされる一方で、迎撃ミサイルであるSM3等の運用を前提としたSPY6にはその機能があると聞く。射撃管制機能がないとすれば、LRDRは射撃管制に必要な情報を、どのようにして迎撃ミサイルに伝達すると考えればよいのか。また、LRDRと「同様の技術を用いて」いるとされるLMSSRは、どのようにして、射撃管制に必要な情報を、SM3等のミサイルに伝達すると考えればよいのか。

三 米政府との契約

報道によれば、平成三十一年四月二十六日、防衛省は、陸上配備イージス・システム(イージス・アショア)二基を取得するため、本体購入費の一部として約千三百九十九億円を支払う契約を米政府と交わしたと発表したが、今回契約を交わした「本体」とは、具体的に何か。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の(1)について

我が国に配備する予定の陸上配備型イージス・システム(以下「本件イージス・システム」という。)の本体とこれに搭載するレーダーであるLMSSRの連接については、当該レーダーの選定に当たっての米国政府等からの提案どおり、米国国防省ミサイル防衛庁が行うこととしている。また、当該連接については、米国の有償援助により行うこととしており、当該連接に要する経費は、御指摘の「導入経費」に含まれている。

一の(2)について

先の答弁書(平成三十一年四月二日内閣衆質一九八第一〇七号。以下「前回答弁書」という。)二の(4)及び三の(2)についてにおける「「実射試験」及び「迎撃試験」」については、本件イージス・システムの性能を確認するための方法として行う標的の迎撃までを内容とした試験を意味するものとして用いたものであるが、当該試験の実施については、前回答弁書二の(4)及び三の(2)についてで述べたとおり、その要否も含めて米国と協議しているところであり、当該試験の実施に要する経費は、御指摘の「導入経費」及び「維持・運用経費」には含まれていない。他方で、本件イージス・システムの製造の過程においては、標的の探知及び追尾のみを内容とした試験を実施することとしており、当該試験の実施に要する経費は、御指摘の「導入経費」に含まれている。

一の(3)について

本件イージス・システムに搭載するレーダーの選定に当たっては、防衛省においてあらかじめ定めた評価基準に基づき分析を行うなどにより「基本性能」の要素も含めて分析した上で評価を実施したところであるが、当該評価基準の内容を含む分析の詳細については、本件イージス・システムの具体的な対処能力を明らかにするおそれがあることから、お答えを差し控えたい。

一の(4)について

米国政府等からは、本件イージス・システムに搭載するレーダーとしてLMSSRを選定した後、「納期」も含め、当該選定の手続における提案を遵守する旨の誓約書の提出を受けているところである。

なお、現在のところ、「納期」が遅れる要因の発生は確認されていない。

一の(5)について

LMSSRに係る「後方支援」については、本件イージス・システムに搭載するレーダーの選定に当たって、その構成品の信頼性及び整備性、補給支援態勢等について評価を実施した結果、全体ではSPY―6よりも高い評価を得たものであり、米国政府等からの提案どおりの「後方支援」が実施されれば、部品の補給等を安定的に実施することが可能であると考えている。

なお、LMSSRについては、その主要な部品において、米国が二千二十年にアラスカ州に配備する予定のレーダーであるLRDRと共通のものが用いられるものと承知している。

二の(1)について

前回答弁書三の(1)についての後段は、本件イージス・システムが弾道ミサイル防衛のために配備されるものであることを前提として、「ベースライン10」を用いずとも、「ベースライン9」を用いることでLMSSRについて弾道ミサイル防衛のための十分な性能を発揮させることが可能であると見込んでいる旨を述べたものである。

二の(2)について

お尋ねについては、米国の装備品の運用に係るものであり、政府としてお答えする立場にない。

二の(3)及び(4)について

LMSSRは、我が国の弾道ミサイル防衛のために必要な性能や機能を有するものであると認識しているが、お尋ねの「目標を識別する解像度」及び「射撃管制機能」も含め、その性能や機能の詳細については、本件イージス・システムの具体的な対処能力を明らかにするおそれがあることから、お答えを差し控えたい。

なお、LRDRについては、米国の装備品であり、その性能や機能について政府としてお答えする立場にない。

三について

防衛装備庁においては、平成三十一年四月二十六日付けで米国政府との間で本件イージス・システムの本体二基の取得に係る契約を締結し、その旨を公表したところであるが、これ以上の当該契約の具体的な内容については、米国との関係もあり、お答えを差し控えたい。

衆議院の原文

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