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改正ADR法において規定する執行力の付与に関する質問主意書
参議院 第211回 第62号趣旨が明らかではない ×1
質問本文
第二百十一回国会において成立した裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律、すなわち改正ADR法中、執行力の付与に関する諸論点について、以下のとおり質問する。
一 ADR法の制定時及び見直し時にされた議論では、調停による和解合意に対する執行力の付与について、利用者等の動機付けや便宜の観点から執行力の付与に積極的な意見が述べられた一方、執行力の付与に消極的な立場から、債務名義を粗製濫造するような「債務名義作成会社」が出現するなど濫用のおそれがあるとの指摘や、執行力の存在により利用者を萎縮させ、ADRの機能を阻害するとの指摘がされたことから、最終的には、今後も検討を続けるべき将来の課題とするものとされた。
改正ADR法では、特定和解に執行力を付与することとしているが、このような懸念は払拭されたのか。
二 シンガポール条約実施法において和解合意の執行力付与の適用除外とされている消費者(個人)同士の紛争は、改正ADR法では執行力付与の対象とされている。これは、どのような理由によるものか。
三 シンガポール条約実施法や改正ADR法では、人事・家庭に関する紛争は適用除外とされている。ただし、改正ADR法では、適用除外の例外として子の扶養義務に係る金銭債権、すなわち養育費に関する紛争が執行力付与の適用対象とされている。
このように、養育費等に関する紛争が改正ADR法において執行力付与の適用対象となっている趣旨を示されたい。
四 養育費や婚姻費用等の扶養義務費用は単なる金銭債権ではなく、合意に至るために他の家事事件と同様に、当事者の属性が様々であることや、子の福祉に配慮する必要があること等から、養育費に関する紛争が専門性の高い紛争類型であることが指摘されている。ADR実施者の研修等やガイドラインの充実化の予定はあるか。
五 家事紛争のうち、養育費等の扶養義務等に係る金銭債権だけを取り出して執行力を付与することについては、当事者が面会交流(親子交流)なども併せて合意している場合には、一方の当事者に不満が残る懸念はないか。
右質問する。
政府答弁書
一について
裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律(令和五年法律第十七号。以下「改正法」という。)による改正後の裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成十六年法律第百五十一号。以下「新法」という。)においては、認証紛争解決手続において紛争の当事者間に成立した和解であって、当該和解に基づいて民事執行をすることができる旨の合意がされたもの(以下「特定和解」という。)について、これに基づく民事執行を許す旨の決定(以下「執行決定」という。)をするものとされているところ、紛争の当事者が当該和解に基づいて民事執行をすることができる旨の合意をすることを執行決定の要件としていること、消費者と事業者との間で締結される契約に関する紛争等に係る特定和解については新法第二十七条の二の規定を適用しないものとしていること、裁判所は、特定和解が、無効、取消しその他の事由により効力を有しないこと等一定の事由があると認めるときには執行決定を求める申立てを却下することができるものとしていること等に鑑みれば、新法に基づく特定和解の執行決定については、御指摘の懸念はないものと考えている。
二について
調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の実施に関する法律(令和五年法律第十六号)においては、民事上の契約又は取引のうち、その当事者の全部又は一部が個人(事業として又は事業のために契約又は取引の当事者となる場合におけるものを除く。)であるものに関する紛争に係る和解合意については、同法の規定を適用しないこととされているところ、これは、調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約が、国際的な商事紛争を解決するために当事者が締結した調停による合意を適用対象としていることによるものである。
他方で、改正法においては、認証紛争解決手続の利用の状況に照らし、その当事者の全部が個人であるものに関する紛争に係る特定和解について新法第二十七条の二の規定を適用するニーズが高いと考えられること、及び認証紛争解決手続は、その公正かつ適正な実施が制度上担保されていることを踏まえ、紛争の当事者の全部が個人であることのみを理由に同条の規定の適用を除外することとはしていない。
三について
改正法が、人事に関する紛争その他家庭に関する紛争に係る特定和解について、原則として新法第二十七条の二の規定を適用しないこととしているのは、当該紛争が身分関係に影響を及ぼす紛争類型であり、当事者間の合意を根拠として一律に当該紛争に係る特定和解に基づく民事執行を可能とすべきではないと考えられることによるものである。
他方で、養育費等の金銭債権に係る和解は、子の利益の観点から、その履行確保が喫緊の課題となっていることに加えて、家庭に関する紛争に係る和解ではあるものの、身分関係に影響を及ぼすものではないこと、及び民事執行法(昭和五十四年法律第四号)においても、養育費等の金銭債権について強制執行を容易にするための特例が設けられていることを踏まえて、改正法においては、養育費等の金銭債権に係る特定和解については、新法第二十七条の二の規定を適用することとしている。
四について
改正法の施行に当たっては、認証紛争解決手続において手続実施者に選任され得る者に対する研修を充実させるための支援や法務省大臣官房司法法制部が平成十八年六月に作成した「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律の実施に関するガイドライン」の見直し等必要な検討を行う予定である。
五について
御指摘の「当事者が面会交流(親子交流)なども併せて合意している場合には、一方の当事者に不満が残る懸念」の意味するところが必ずしも明らかではないが、面会交流等に関する特定和解について、新法第二十七条の二の規定を適用しないこととしている趣旨は、三についてで述べたとおりである。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。