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岸田首相が掲げた花粉症対策に関する質問主意書

参議院 第211回 第84号お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×1

提出者
参議院
提出日
2023年5月30日
内閣転送 2023年6月5日
答弁書受領日
2023年6月9日
提出から10日
答弁の項目数
5
質問 1,743字/答弁 1,586字

質問本文

政府は、本年四月十四日、首相官邸で関係閣僚会議を開き、六月までに花粉症対策を取りまとめるよう指示を出したと報道されている。

今や花粉症は、日本人の四割以上が発症しているとされ、主にスギやヒノキなどの植物の花粉が原因で、アレルギー症状を引き起こす疾患と定義されている。しかしながら、同じ時期にピークを迎える黄砂や、PM二・五などの微小粒子も花粉症と似たようなアレルギー症状を引き起こし、花粉症状がある場合には、症状を悪化させると言われている。

スギ花粉問題の背景には、一九六〇年代にスギの戦略的な植林が行われたことが挙げられる。当初は、建築資材需要や地域経済の促進が目的であったものの、外国木材の輸入自由化などによる需要の減少とともにスギの伐採数も減少し、森に多くのスギが残されることになった。また、黄砂現象は従来、自然現象とされてきたが、近年ではその頻度と被害が大きくなっており、中国大陸での過放牧や農地転換による土地の劣化などとの関連性も指摘されている。また、PM二・五増加の主因は、中国の経済活動による大気汚染の影響であることが指摘されている。

当時の政府は、後に多くの日本人が花粉を始めとするアレルギー疾患に苦しむことになるとは考えていなかったと思われる。これらの事例は、人間の経済活動が自然に及ぼす影響が、思いもよらない結果をもたらすという教訓としなければならない。

スギの活用は、日本の内需を考える上でも重要である。スギが多すぎることが問題なのであれば、生物多様性を高め、より持続可能な環境を作り出すために、かつての里山に存在したクヌギやナラなどの広葉樹への転換が望ましい。

しかし、農林水産省が四半世紀近くにわたってスギの植え替え方針を立ててきたものの、その効果が十分に上がっていないと指摘されている。この問題の要因は単純ではなく、日本が直面している地方の過疎化による高齢化、「働き手」の喪失、海外からの安価な木材輸入の増加、木材需要の変化と競合産業の発展、さらに町村合併による「危機管理」の不確かさなど、複合的な要素が絡み合っている。

これらの課題には、林業・木材産業の振興だけでなく、環境問題や持続可能な社会の構築など、広範な社会問題が関係している。そのため、スギの植え替えを通じてより良い環境と持続可能な社会を実現するためには、地域立て直しの課題として「花粉症対策」を位置付けた総合的なアプローチが必要である。

以上の認識に立って、質問する。

一 林野庁は、従来から花粉症対策に関する施策を進めており、本年三月には「スギ花粉発生源対策推進方針」を改正し、花粉が少ない種類のスギ苗木への植え替え推進、広葉樹の導入を進めるなどの方針を盛り込み、都道府県にも既に通知している。

その後、四月十四日の花粉症に関する関係閣僚会議で岸田首相は、花粉症を「我が国の社会問題」と位置付け、実効性のある対策を六月までにまとめて迅速に実行する考えを強調した。この岸田首相の述べた対策は、「スギ花粉発生源対策推進方針」とは異なる独自の施策を盛り込んで詳細が示されることになると思われるが、わずか二か月で検討できることは相当限定的であろう。具体的にどのような省庁が関わり、どのような方針で検討を進めるのか。

二 政府は、国民が花粉症を発症する原因は、何であると考えているか。また、花粉症発症者のうち、スギ花粉を原因とする花粉症発症者はどのくらいの割合になると分析しているか。スギの植え替えが進めば国民の花粉症はどのくらいの割合で改善すると分析しているか。

三 黄砂やPM二・五は、花粉症と同じようなアレルギー症状を引き起こし、花粉症の症状を悪化させる原因にもなると言われている。アレルギー対策には原因物質の排除や免疫力の向上が重要視されるところ、今回の政府の花粉症対策には、原因物質の排除や免疫力の向上に関する内容も盛り込まれる予定か。

四 政府は、これまでスギの植え替えがなかなか進まなかった背景について、どのように分析しているか。

五 政府は、花粉症対策を進めるに当たって、地方の過疎化をどのように転換して林業の担い手を確保するか。林業復興策について政府の見解を示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

花粉症に関する関係閣僚会議の構成員は、内閣官房長官、農林水産大臣、環境大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣及び国土交通大臣である。また、令和五年五月三十日の同会議において決定した「花粉症対策の全体像」(以下「花粉症対策の全体像」という。)においては、「花粉症対策の三本柱」として、「発生源対策」、「飛散対策」及び「発症・曝露対策」が盛り込まれており、これらを速やかに実行していくこととしている。

二について

花粉症は、スギ、ヒノキ等の花粉をアレルゲンとするアレルギー疾患である。また、日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会が約二万人を対象として実施したアンケート調査によると、令和元年で、花粉症全体の有病率は四十二・五パーセント、スギ花粉症の有病率は三十八・八パーセントとなっており、花粉症患者全体のうち、スギ花粉症を有する患者の割合は約九割であると推計している。お尋ねの「スギの植え替えが進めば国民の花粉症はどのくらいの割合で改善すると分析しているか」については、花粉症対策の全体像において、「十年後の令和十五年度(二千三十三年度)には花粉の発生源となるスギ人工林を・・・約二割減少させることを目指」すとしているところであるが、花粉症を発症しやすくさせ、又は症状を悪化させる要因としては、様々なものが指摘されていることから、お尋ねについてお答えすることは困難である。

三について

二についてで述べたとおり、花粉症を発症しやすくさせ、又は症状を悪化させる要因については、御指摘の「黄砂やPМ二・五」のほかにも様々なものが指摘されており、患者ごとに重複し得るため、その特定は困難である。一方で、飛散する花粉が花粉症を発症させる要因の一つであることは明らかであることから、花粉症対策の全体像においては、御指摘の「原因物質の排除」の観点から、「スギ材の需要拡大や花粉の少ないスギ苗木の増産、必要な林業労働力の確保等の総合的な対策を推進することにより、スギ人工林の伐採・植替えを加速化する」といった「発生源対策」とともに、「業界団体による花粉対策に関する認証制度について、各関連業界と連携し、消費者への認知拡大と取得製品の拡大・普及を図り、花粉曝露対策に資する商品の質の見える化と活用を推進する」ことや、「花粉症予防行動について、(中略)日常生活における具体的な注意点を分かりやすくまとめたリーフレットを、令和五年中に作成し、自治体、関係学会等と連携して国民に広く周知する」ことといったばく露対策を盛り込んでいるところである。また、お尋ねの「免疫力の向上」の意味するところが必ずしも明らかではないが、花粉症対策の全体像においては、「発症・曝露対策」として、花粉症に対する治療のうち、「アレルゲン物質を薬剤にして定期的に投与することで、アレルギー症状を出にくくする治療法であ」る「アレルゲン免疫療法」について、「適切な情報提供の推進や広報」や、「舌下錠を用いた舌下免疫療法については、年間の治療薬供給量を、今後五年以内に、現在の約二十五万人分から約百万人分へと増加させるべく、森林組合等への協力要請、企業への増産に向けた要請等」の取組を盛り込んでいるところである。

四について

お尋ねについては、例えば、花粉の少ないスギの品種の開発に時間を要したなどの理由から、花粉の少ないスギ苗木の生産拡大が必ずしも十分でなかったことなどが要因として考えられる。

五について

お尋ねについては、花粉症対策の全体像において、「林業労働力の大幅な減少傾向に歯止めをかけ、十年後においても、現在と同程度の労働力が確保されるよう、外国人材の受入れ拡大のほか、新規就業者の確保・育成、処遇の改善、農業など他産業との連携、地域おこし協力隊との連携などに取り組む」としているところである。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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