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食料自給率向上と農業従事者支援の充実に関する質問主意書
参議院 第211回 第94号お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×4承知していない ×1
質問本文
日本の食料自給率は、平成二十二年度にカロリーベースで再び四十%を切って以降、令和三年度時点で三十八%と低水準のまま推移している。あわせて、令和四年には、基幹的農業従事者の平均年齢が六十八・四歳に達するなど、農業従事者の高齢化が進んでおり、この傾向は今後も続く見込みである。今後見込まれる高齢化した従事者の後継者不足による農業従事者数の減少は、農業生産量の減少をもたらし、食料自給率の低下に大きな影響を与える可能性がある。
農業従事者減少の影響は、食料自給率の低下だけにとどまらない。食料・農業・農村基本法第三条によれば、農業は、食料供給の機能だけでなく、国土保全や水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承等農村で農業生産活動が行われることにより生ずる食料その他の農産物の供給の機能以外の多面にわたる機能を持つとされており、国土の良好な保全、豊かな水源や自然環境、景観を守ること、地域文化の継承などの面からも農業従事者数の減少の問題は深刻である。
政府は、平成二十四年以降、「人・農地プラン」を実施するとともに、平成二十六年度からは、農業生産の効率化を図るために農地バンクの創設や農地の集積・集約化に取り組んできたものの、この間も我が国の耕地面積は減少し続けており、水田稲作を見ても単位面積当たりの収量はほぼ横ばいとなっている。政府目標を達成するためには、より踏み込んだ施策を講じるべきである。
一部メディアでは、「日本の農家は国からの補助金に依存しており、過保護だ」という論調があるが、農業への保護政策は、世界的に見て決して特異なものではない。EU加盟国では直接支払制度を通じて農業経営体の所得を支えており、アメリカでは価格支持融資制度などが農業経営体を経営困難から救い農業生産を維持する仕組みが整えられている。実際、こうした保護政策は日本よりも充実しており、日本の農業に対する保護政策が他国と比べて過度であるという事実はない。農業の特質上、保護政策がなければ、消費者は手頃な価格で食料を入手することが困難となり、農業従事者も安定した経営を維持することが困難となることは明らかだ。
日本の農業は、他国とは地理的条件等が異なるため、農業競争力に差が生じることは避けられない。しかし、そのことをもって農産物供給を海外からの輸入に頼ることは、食料自給率の向上で食料安全保障を図るという現代世界の要請に背を向けることになる。食料の輸入依存度を減らし、食料自給率の向上に注力するために日本農業が置かれた条件に見合った政策を実施する必要がある。何よりも生産者が経済的に安心して農業を継続し努力すればそれに見合った収入を得られるよう、国や行政が主導した支援策やスキームへの誘導が必要である。
以上の観点から、以下質問する。
一 昭和三十五年に千百七十五万人であった農業従事者数は、六十年後の令和二年には、約九割減の百三十六万人となった。政府は、これらの数値の推移に基づいて、農業従事者数の確保に向けた目標を年次的にどのように設定し、その達成のための取組をどのように計画しているのか。
二 同じく昭和三十五年から令和二年にかけて、カロリーベースの食料自給率は、七十九%から三十七%と半減した。食料・農業・農村基本計画では、令和十二年度までに飼料の自給率と食料国産率の向上を図りながら、カロリーベースで総合自給率四十五%、生産額ベースの総合食料自給率を七十五%に高める目標設定をしているが、こうした数値目標は耕作地と農業従事者確保、経営の効率化などが図られなければ単なる画餅となりかねないものである。前記一への答弁と併せて、令和十二年度までの食料・農業・農村基本計画の目標数値の達成をどのような取組で担保していくのか、具体的に示されたい。
三 現在、農業生産を拡大し促進する取組の一つとして、都市部での水耕など、限られた空間を最大限に活用し効率的な食料生産を実現する新しい農業展開が試みられている。これらの新しい事業について現状と政府の今後の支援策、目標について説明されたい。
四 農業従事者の減少は、耕作放棄地の増加という形にも現れている。耕作放棄地が長期間放置されると、農地としての再利用可能な土地が減少することにつながる。耕作放棄地について、それが放棄されてきた年数が五年以内のもの、五年以上のもの、十年以上のものそれぞれの面積と割合、都道府県別の分布、それぞれの地域における農地全体に対する割合を示されたい。あわせて、政府は、これらの耕作放棄地の再生と有効活用についてどのような対策を構想しているのか、具体的に示されたい。
五 令和四年十一月三十日公表の農業経営統計調査「令和三年 農業経営体の経営収支」によれば、令和三年全農業経営体の平均農業所得は百二十五・四万円となっている。低水準の所得が農業従事者数の減少の一つの要因となっている。今後、農業生産発展の方向性と併せて、平均農業所得をどのように引き上げていくのか、年次的な数値目標を含めて政府の取組を示されたい。
六 同調査では、我が国の主食である米を生産する水田稲作経営の一経営体当たり農業粗収益は三百五十・三万円となっている。これから農業経営費三百四十九・三万円を差し引くと、農業所得は、一万円となり、前年に比べて九十四・四%減となっている。これらの数値は、水田稲作以外の農作物生産の所得も含まれているのか。また、水田稲作専業経営体と他の作物を並行して生産している経営体の実数、割合についても示されたい。水田稲作を専業にしている経営体のみを見た場合の平均農業所得はいくらになるのか。
七 政府は、持続可能な農業経営を支援するため、農業経営体の収入向上策についてどのような目標とテンポをもって進めようとしているのか。また、政府は、米の消費拡大の取組と農業従事者振興策に関する質問主意書(令和五年二月二十八日提出質問第二九号)に対する答弁書(内閣参質二一一第二九号)で、「需要に応じた生産による農業者の所得の向上が、農業従事者の育成に資すると考えている」と答弁しているが、「需要に応じた生産による農業者の所得の向上」のための施策はどのような内容なのか。
八 日本の農地は、傾斜地の多い中山間地域にも広く点在しているため、農地の集約・大規模化には限界がある。小規模農家による経営がこうした地域では重要な役割を果たしているが、これらが農業生産を存続するために、どのような支援策を講じているのか。
九 政府は、若手農業従事者の創出・育成や、失業者に対する事業転換支援などについて、どのような施策を実施しているのか。計画している内容を含めて、数値目標と併せて示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの「農業従事者数の確保に向けた目標」は設定していないが、「食料・農業・農村基本計画」(令和二年三月三十一日閣議決定。以下「基本計画」という。)においては、「農業者の大幅な減少等により、農業の持続性が損なわれる地域が発生する事態が懸念されることから、これを防」ぐため、「新規就農の促進・・・などを進め、農業現場を支える多様な人材や主体の活躍を促すことが重要である」としているところであり、就農準備段階や経営開始直後の青年就農者を対象とした資金の交付、農業法人等における雇用就農者の研修に対する支援、無利子融資等を活用した機械・施設等の取得の支援等の施策を実施している。このような取組を通じて、御指摘の「農業従事者数の確保」に取り組んでまいりたい。
二について
御指摘の「目標数値」については、基本計画において、「食料消費見通し及び生産努力目標を前提として、諸課題が解決された場合に実現可能な水準として示す食料自給率等の目標」として設定しており、お尋ねの「目標数値の達成をどのような取組で担保していくのか」については、基本計画において、「食料自給率の向上に向けた課題と重点的に取り組むべき事項」として、「食料消費」については、「食育や国産農産物の消費拡大、地産地消、和食文化の保護・継承、食品ロスの削減をはじめとする環境問題への対応等の施策を個々の国民が日常生活で取り組みやすいよう配慮しながら推進する必要がある」等と、「農業生産」については、「持続可能な農業構造の実現に向けた担い手の育成・確保と農地の集積・集約化の加速化、経営発展の後押しや円滑な経営継承を進めるとともに、農業生産基盤の整備やスマート農業の社会実装の加速化による生産性の向上、各品目ごとの課題の克服、生産・流通体制の改革等を進める必要がある」等としていることを踏まえ、引き続き、各種施策に取り組んでまいりたい。
三について
御指摘の「限られた空間を最大限に活用し効率的な食料生産を実現する新しい農業展開」の意味するところが必ずしも明らかではないが、農林水産省のホームページにおいて公表している「園芸用施設の設置等の状況(R二)」によると、御指摘の「水耕」も含めた「養液栽培施設」の「設置実面積」は、令和二年時点において二千十四ヘクタールであり、トマト、いちご等が生産されている。「養液栽培施設」についての目標は設定していないが、これも含めた園芸施設の整備等に要する費用の一部を補助する支援を行っているところであり、引き続き、必要な支援を行ってまいりたい。
四について
前段のお尋ねについて、耕作放棄地(農林業センサスにおいて「以前耕作していた土地で、過去一年以上作物を作付け(栽培)せず、この数年の間に再び作付け(栽培)する意思のない土地をいう。」と定義していた「耕作放棄地」をいう。)の面積については、平成二十七年までで取りまとめを終了しているが、平成二十年から毎年農林水産省が取りまとめている、荒廃農地(現に耕作に供されておらず、耕作の放棄により荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっている農地をいう。以下同じ。)の面積について、お尋ねの「都道府県別の分布」については同省のホームページにおいて公表している「令和三年度の荒廃農地面積」に示しているとおりであるが、お尋ねの「放棄されてきた年数が五年以内のもの、五年以上のもの、十年以上のものそれぞれの面積と割合」の調査は行っておらず、把握していない。また、お尋ねの「それぞれの地域における農地全体に対する割合」については、その意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
後段のお尋ねについては、農地中間管理事業の推進に関する法律(平成二十五年法律第百一号)第二条第三項に規定する農地中間管理事業の実施により農業の担い手への農地集積・集約化を進めるとともに、日本型直接支払制度により農業生産活動を下支えするほか、中山間地域等においては、農山漁村振興交付金により、採草放牧地の用に供することを含め、土地の活用を総合的に支援することにより、荒廃農地等の発生防止及び解消に取り組んでいるところである。
五について
お尋ねの「農業生産発展の方向性」については、例えば、基本計画において「生産性と収益性が高く、中長期的かつ継続的な発展性を有する、効率的かつ安定的な農業経営(主たる従事者が他産業従事者と同等の年間労働時間で地域における他産業従事者と遜色ない水準の生涯所得を確保し得る経営)を育成し、こうした農業経営が農業生産の相当部分を担い、国内外の需要の変化に対応しつつ安定的に農産物を生産・供給できる農業構造を確立することがこれまで以上に重要となっている」と示しているとおりである。このため、基本計画においては、「経営感覚を持った人材が活躍できるよう、経営規模や家族・法人など経営形態の別にかかわらず、担い手(効率的かつ安定的な農業経営及びこれを目指して経営改善に取り組む農業経営(認定農業者、認定新規就農者、将来法人化して認定農業者になることが見込まれる集落営農))の育成・確保を進めるとともに、担い手への農地の集積・集約化、農業生産基盤の整備の効果的な実施、需要構造等の変化に対応した生産供給体制の構築とそのための生産基盤の強化、スマート農業の普及・定着等による生産・流通現場の技術革新、気候変動への対応などの環境対策等を総合的に推進する」としており、こうした施策が、農業の担い手の所得の向上に寄与し、このことが御指摘の「平均農業所得」を「引き上げて」いくことにつながるものと考えている。
なお、お尋ねの「平均農業所得」の「年次的な数値目標」については設定していない。
六について
御指摘の「水田稲作経営」の意味するところが必ずしも明らかではないが、農林水産省の「農業経営統計調査 令和三年 農業経営体の経営収支」における水田作経営の農業所得には、御指摘の「水田稲作以外の農作物生産の所得」も含まれている。
また、お尋ねの「水田稲作専業経営体と他の作物を並行して生産している経営体の実数、割合」及び「水田稲作を専業にしている経営体のみを見た場合の平均農業所得」については取りまとめていない。
七について
前段のお尋ねの「農業経営体の収入向上策について」の「目標」については設定しておらず、その「テンポ」についてお答えすることは困難である。
後段のお尋ねについては、例えば、主食用米を含めた米穀に係る需要見通しや価格動向等についての生産者等に対するきめ細かな情報提供、主食用米から麦・大豆や野菜、果樹といった需要が大きい作物への転換への支援が含まれる。
八について
中山間地域を含む、農地の集約化やほ場の大区画化が困難な地域においては、農業経営の規模の大小にかかわらず、四についてで述べたとおり、日本型直接支払制度や農山漁村振興交付金等による農業生産活動の下支え等の支援策を講じているところである。
九について
御指摘の「若手農業従事者」及び「失業者に対する事業転換支援」の意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、政府としては、一についてで述べたとおり、新規就農の促進が重要と考えており、一定の要件を満たした四十九歳以下の者を対象に、就農準備段階や経営開始段階の資金の交付、農業法人等における雇用就農者の研修に対する支援等の施策を実施しているところである。
この答弁書に出てくる定型句
お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×4承知していない ×1
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。
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