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我が国の「移民政策」と外国人労働者に関する質問主意書

参議院 第212回 第49号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×5

提出者
参議院
提出日
2023年11月15日
内閣転送 2023年11月22日
答弁書受領日
2023年11月28日
提出から13日
答弁の項目数
8
質問 3,555字/答弁 2,577字

質問本文

日本で定住する外国人の数は、令和四年末時点で三百七万五千二百十三人(前年比十一%増)となり、初めて三百万人を超え過去最高となったという。あわせて就労という面では、先般、国土交通省が、人手不足が顕著なトラック、バス、タクシーのドライバーについて外国人労働者を大幅活用するための検討に入ったと報じられており(九月十二日毎日新聞)、実際に現場でも外国人営業ドライバーが現れ始めている。

しかしながら、そもそも、運転手不足の根本的理由は、ドライバーの賃金水準が低いままで推移していること、コロナ禍において営業不振を招いたことに対する救済措置が不十分であったことなどにより、人手の供給力が著しく損なわれたことにあるのではないか。そうしたところにメスを入れ、十分な対策を立てないまま「労働力不足の分野に外国人労働者活用を」とした政策をとるのは、筋違いと言うべきである。本来は他分野との賃金水準、労働環境の格差を是正することこそ、優先されるべき策であって、それを置いて「外国人労働者活用の推進」に進むのは順序が違うと言わざるを得ない。

あわせて政府は、令和五年六月九日の閣議決定と八月三十一日の省令等の改正によって、外国人就労に関する特定技能二号の対象分野を「造船・舶用工業」「建設」の二分野から十一分野に拡大することを決定した。新たに「ビルクリーニング」「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」「自動車整備」「航空」「宿泊」「農業」「漁業」「飲食料品製造業」「外食業」の九分野が追加され、これにより、今後、これらの分野で、無期限の在留と家族の同伴が可能となるという。

政府は、このような外国人労働者受け入れの拡大を進めながら、「移民政策は取らない」としてきたが、特定技能二号の対象分野拡大は、結局のところ、なし崩し的に移民を拡大することになるのではないか。

諸外国の例を参考にすれば、移民を大量に受け入れた場合には、外国人の集住地区が形成され、地元の慣習や文化を尊重しない外国系居住者が増え、犯罪の増加と治安の悪化などが見られることがある。特に、フランスやドイツのように難民を含む多数の移民を受け入れている欧州諸国では、貧困で社会に馴染めない移民第二世代の青年たちが、政府や既存社会に対してデモや集団的な暴力行為、交通妨害等を行い、社会の不安や混乱を引き起こしているケースが見られ、フランスやスペインでは、時にはテロ事件の温床ともなっているケースがあるとも聞く。また、受け入れ国にとっての社会コストが大きいことも指摘されている。例えば、移民受け入れ国として長い歴史を持つフランスでは、司法、警察、教育制度、社会福祉、公共交通機関及び組織的な反社会行為防止の分野で、移民に関連する費用として年間二百五十~三百億ユーロもの予算を要するとの試算もある。

このように、移民受け入れによる多様な社会問題は、各国の共通の課題であると言える。そのため、日本においても、事実上の移民受け入れ拡大につながる外国人労働者の就労拡大策は、経済的側面だけでなく、日本社会への影響をも考慮し、慎重かつ真剣な検討と対応が必要である。

以上を踏まえ質問する。

一 平成三十年二月二十日の経済財政諮問会議において、安倍内閣総理大臣は、「在留期間の上限を設定し、家族の帯同は基本的に認めないといった前提条件の下、真に必要な分野に着目しつつ、制度改正の具体的な検討」を進めると述べた。一方、令和五年六月九日の外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議において、岸田内閣総理大臣は、特定技能二号の対象分野を拡大することに関し、「我が国の深刻な人手不足を踏まえ、我が国が魅力ある働き先として選ばれる国となるよう」取り組むこと、そしてその取組をより強力に、かつ包括的に推進していくためには、その受入れ環境を整備することが重要であると述べた。この岸田総理の発言は、安倍総理が述べた「在留期間の上限を設定し、家族の帯同は基本的に認めない」という方針を変更するものか。

二 特定技能とは、特定産業分野において、人材の確保が困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野として法務省令で定めるものとされている。平成三十年十一月七日の参議院予算委員会において、山下貴司法務大臣は、特定技能の在留資格新設の意義について、「人手不足が本当に深刻で国内人材の確保もままならない、そういったところの熟練の技能を持つ者について」特定技能の二号とする旨を答弁している。今回の特定技能二号の拡大対象となった分野における「人手不足が本当に深刻で国内人材の確保もままならない」状況について、どのような分析を行い、どのように評価したか。具体的な分野とその人手不足の状況の分析評価について示されたい。

三 政府は、内閣衆質一九六第一〇四号において、移民政策に関し、「国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人を家族ごと期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策については、専門的、技術的分野の外国人を積極的に受け入れることとする現在の外国人の受入れの在り方とは相容れないため、これを採ることは考えていない」と答弁している。しかしながら、前述の九分野において「無期限の在留と家族の同伴が可能」という前提で特定二号の対象を拡大することは、結果的に「国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人を家族ごと期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策」となるのではないか。

四 特定技能二号は、「従事しようとする業務に必要な「熟練した技能」を有していることが試験その他の評価方法により証明されていること」とされており、例えば、外食業では、「外食業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」及び同方針に係る運用要領でその内容が定められている。この点、特定技能二号外国人に求められる実務経験は、「外食業特定技能二号技能測定試験の合格及び食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)の営業許可を受けた飲食店において、複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督しながら接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助する者(副店長、サブマネージャー等)としての、二年間の実務経験(ただし、当該経験を終えてから、別途農林水産大臣が定める期間を経過していないものに限る。)を要件とする」とされている。この基準では、店舗管理補助業務を適正に行ってきたのか客観的に評価する指標が定められていない。対象者が「熟練した技能」を有していることについて、どのように担保するのか。特定技能二号の対象である各特定産業分野について、具体的な評価基準を示されたい。

五 どの国の人材を受け入れるかについては、我が国と相手国との二国間関係、それぞれの相手国の政治的安定・経済情勢・文化の相違など、諸々の要素を勘案して定めるべきである。この点で、相手国ごとの留意点、選定基準は存在しているのか。例えば、特定技能二号の基準を個人的に満たす外国人にあって、国籍が特定の国である場合に入国して就労できない場合があるのか。

六 特定技能二号の対象拡大によって、国民生活にも大きな影響が生じると思われる。令和五年六月九日の閣議決定までに、公聴会開催などを含めて十分に国民の声を聴く取組は行われたのか。この点、令和元年度から令和三年度までの外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策では、「「国民の声」を聴く会」を設置し、国民及び外国人双方から共生施策の企画立案に資する意見を継続的に聴取するとされている。ここでは、外国人材の受入れを要望する業界団体からのヒアリングは行われたが、地域住民からのヒアリングはされず、また、同会は、令和元年から令和二年にかけて開催されて以降、開催されていない。この点をどう評価するのか。また、今後、どのようにして国民の声を聴き、施策に反映させていく方針か、具体的に示されたい。

七 特定技能二号の対象拡大による外国人労働者の受け入れが経済に与える効果と、受け入れに伴って生じる社会コストを、少なくとも国レベルで試算しているか。

八 外国人労働者の受け入れ人数についての目標数等はあるか。また、「分野別運用方針に基づき、その産業上の分野において、必要な人材が確保されたと認められるときは、一時的に在留資格認定証明書の交付の停止の措置をとる」(内閣衆質一九七第一九号)とのことであるが、「必要な人材が確保されたと認められるとき」は、どのような内容で判断されるのか。具体的な評価方法や基準数値などを示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

政府としては、例えば、国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人を家族ごと期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策については、専門的、技術的分野の外国人を積極的に受け入れることとする現在の外国人の受入れの在り方とは相容れないため、これを採ることは考えておらず、御指摘の岸田内閣総理大臣の発言は、御指摘の「方針」を変更するものではない。

二について

「特定技能第二号」の拡大の対象となった分野における人手不足が深刻であり、当該分野の存続及び発展のために外国人の受入れが必要な状況にあることについては、有効求人倍率、雇用動向調査その他の公的統計又は業界団体を通じた所属企業への調査等の客観的な指標等を踏まえ、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお熟練した技能を要する業務に従事する人材を確保することが困難な状況にあると判断したことによるものである。

三について

「特定技能第二号」の在留資格をもって在留する外国人については、専門的、技術的分野の在留資格を有する外国人と同等又はそれ以上の高い専門性や技能が求められ、その在留期間は、出入国管理及び難民認定法施行規則(昭和五十六年法務省令第五十四号)別表第二において、「三年、一年又は六月」と定められ、在留期間の更新は、当該更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可されることから、「特定二号の対象を拡大することは、結果的に「国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人を家族ごと期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策」となる」との御指摘は当たらない。

四について

御指摘の「客観的に評価する指標」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針(平成三十年十二月二十五日閣議決定、令和四年四月二十六日一部変更。以下「基本方針」という。)において、「二号特定技能外国人に対しては、熟練した技能が求められる。これは、長年の実務経験等により身につけた熟達した技能をいい、現行の専門的・技術的分野の在留資格を有する外国人と同等又はそれ以上の高い専門性・技能を要する技能であって、例えば自らの判断により高度に専門的・技術的な業務を遂行できる、又は監督者として業務を統括しつつ、熟練した技能で業務を遂行できる水準のものをいう。当該技能水準は、分野別運用方針において定める当該特定産業分野の業務区分に対応する試験等により確認する」としている。

五について

お尋ねの「相手国ごとの留意点、選定基準」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、基本方針において、「被送還者の自国民引取義務を適切に履行していない国からの受入れは行わない」及び「その他我が国の出入国管理上支障を生じさせている・・・国からの受入れについては慎重に対応する」としている。

六について

「令和五年六月九日の閣議決定までに、公聴会開催などを含めて十分に国民の声を聴く取組は行われたのか」とのお尋ねについては、御指摘の「公聴会開催などを含めて十分に国民の声を聴く取組」の具体的に指し示す範囲が明らかではないため、お答えすることは困難であるが、出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の特定技能の項の下欄に規定する産業上の分野等を定める省令の一部を改正する省令(令和五年法務省令第三十五号)の制定に当たっては、パブリックコメントを実施し、広く国民から意見を募集した。

「この点をどう評価するのか」とのお尋ねについては、その意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「「国民の声」を聴く会」については、「「国民の声」を聴く会設置要綱」(令和元年七月三十日出入国在留管理庁長官決定)に基づき、「多文化共生社会の実現に向けた様々な課題の把握及びその対応策の策定のための検討に資するよう、地方公共団体、経済団体、労働団体、外国人支援団体等を含め、多文化共生施策に係る意見等について、広く関係者の声を聴くことを目的」として、令和二年十二月まで開催していたものであり、御指摘の「特定技能二号の対象拡大」について広く関係者の意見を聴くことを目的としたものではない。

「今後、どのようにして国民の声を聴き、施策に反映させていく方針か」とのお尋ねについては、今後とも、特定技能の在留資格に係る制度の施行状況等を踏まえつつ、必要に応じて関係者等からその意見を聴取するなどして、制度の適切な運用に努めてまいりたい。

七について

お尋ねの「経済に与える効果」及び「社会コスト」という言葉は様々な文脈で用いられるものであり、その具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「特定技能二号の対象拡大による外国人労働者の受け入れ」に当たり、具体的な数値を試算するような取組は行っていない。

八について

前段のお尋ねについては、お尋ねの「目標数等」の意味するところが必ずしも明らかではないが、基本方針において、「日本人の雇用機会の喪失及び処遇の低下等を防ぐ観点並びに外国人の安定的かつ円滑な在留活動を可能とする観点から、分野別運用方針において、当該分野における向こう五年間の受入れ見込数について示し、人材不足の見込数と比較して過大でないことを示さなければなら」ず、「分野別運用方針に記載する向こう五年間の受入れ見込数については、大きな経済情勢の変化が生じない限り、「特定技能一号」の在留資格をもって在留する外国人受入れの上限として運用する」としている。

後段のお尋ねについては、基本方針において、「分野所管行政機関の長は、分野別運用方針を策定する際に示した人手不足の状況を判断するための客観的な指標及び動向並びに法務省から提供する特定産業分野における在留外国人数等に照らして、当該特定産業分野における人手不足の状況について継続的に把握することとし、当該客観的な指標及び動向の変化や受入れ見込みとのかい離、当該特定産業分野に係る就業構造や経済情勢の変化等を踏まえ、人手不足の状況に変化が生じたと認められる場合には、それらの状況を的確に把握・分析し、状況に応じた必要な措置を講じなければならない」としている。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×5

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

件名の語が重なる質問主意書

提出 2025年6月17日 竹上 裕子(日本保守党) 答弁 2025年6月27日
衆議院 第217回 第339号検討してまいりたい ×1

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