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医師の応招義務及び不法滞在の外国人の医療費支払等に関する質問主意書

参議院 第219回 第12号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×1

提出者
参議院
提出日
2025年10月21日
内閣転送 2025年10月27日
答弁書受領日
2025年10月31日
提出から10日
答弁の項目数
5
質問 2,293字/答弁 2,597字

質問本文

医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十九条第一項においては、「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」として、いわゆる医師の応招義務を定めている。応招義務については、明治時代から同趣旨の規定が罰則付きで設けられていた。その後、医療の公共性、医師の職業倫理などを背景に、戦後、医師法が制定された際に刑事罰が削除され、現在の応招義務は訓示的規定として置かれている。

医師法が制定された戦後間もない頃は、個々の医師の協力により医療体制が確保されていた。しかし、現在は、医療機関や自治体を含む地域全体の協力体制が整い、医療提供体制は改善している。

一方、応招義務については、個々の医師の「診療の求めがあれば診療拒否をしてはならない」という職業倫理・規範として機能し、社会的要請や国民の期待を受け止めてきた。現在、応招義務は、その純粋な法的効果以上に、個々の医師や医療界にとって大きな意味を持つようになったと考える。

草川昭三衆議院議員(当時)が提出した「不法滞在の外国人の医療費支払等に関する質問主意書」(第百二十回国会質問第八号)に対する答弁(内閣衆質一二〇第八号。以下「答弁書」という。)において、政府は、医師法第十九条第一項の規定による応招義務の有無を判断するに当たり、「同項にいう正当な事由の有無を個々の事例に即して具体的に検討することを必要とするが、一般的には、治療費を支払うことができないこと又は不法滞在者であることのみを理由として診療を拒むことはできない。」と答弁した。

厚生労働省は令和元年十二月二十五日、「応招義務をはじめとした診察治療の求めに対する適切な対応の在り方等について」(医政発一二二五第四号。以下「令和元年通知」という。)を発出した。令和元年通知では、病状が安定している患者等で診療時間外に診療を求められた場合など、応招義務の及ばない例について具体的に整理している。また、外国人観光客を始めとした外国人患者への対応について、「診療しないことの正当化事由は、日本人患者の場合と同様に判断するのが原則」としている。

出入国在留管理庁によると、令和七年六月末の在留外国人は三百九十五万人を超え、令和七年七月一日現在の不法残留者数は七万一千人を超えると報告されている。政府は認めていないが、実質的な移民政策が実行されており、在留外国人は急激に増加していると思料する。

厚生労働省によると、令和六年九月一日から三十日に外国人患者の受入実績のある病院の十六・三%が、外国人患者による未収金を経験していたと報告されている。正にルールを守らない外国人である。治療費を支払うことができないこと又は不法滞在者であることを理由として診療を拒むことができないならば、外国人患者を受け入れる医療機関は未収金のリスクを負うことになる。現在、診療所・病院の経営はひっ迫しており、ノブレス・オブリージュとして不法滞在者の未収金を負担する余裕はない。

以上を踏まえて、以下質問する。

一 医師法第十九条第一項の解釈として、治療費を支払うことができないこと又は不法滞在者であることを理由に、医師が診療を拒否することは可能か示されたい。

二 答弁書において、政府は、治療費の支払は基本的には医療機関と患者の間の民法(明治二十九年法律第八十九号)上の債権債務関係として取り扱われるべき問題であるが、不法滞在者が治療費を支払えない場合に医療機関が治療費を負担するような事態が生じ、人道上の立場からもその改善について要請があることは認識しており、今後の研究課題である旨答弁している。当該研究課題に対する研究成果を示されたい。また、当該研究成果に基づく当該問題への取組方針を示されたい。

三 答弁書において、政府は、「不法滞在者に対して国公立病院が病院側の負担で医療を行うという制度を設けることは不適当と考えている。」と答弁している。治療費を支払えない不法滞在者に対しては、誰が医療を提供し、費用を負担すべきと考えているか、政府の見解を示されたい。

四 不法滞在者の発生は、政府の無策によるものと考える。医療機関が不法滞在者を受け入れた結果として未収金が発生した場合、政府がその責任を負うべきと考えるが、見解を示されたい。

五 令和元年通知において、「外国人患者についても、診療しないことの正当化事由は、日本人患者の場合と同様に判断するのが原則」とある。医師の応招義務が及ぶ外国人患者は、外国人観光客、在留外国人(中長期在留者、特別永住者)を指すと考えるが、不法滞在者も医師の応招義務が及ぶ外国人に含まれるのか、政府の見解を示されたい。

六 在留外国人は急激に増加し、三百九十五万人を超えた。しかし、政府は一貫して移民政策を採っていないとしている。国連の国際移住機関(IOM)は、一年以上自分の通常の居住国以外の国に移住し、移住先の国が実質的に新たな通常の居住国となっているような者を長期移民と定義している。

安倍晋三内閣総理大臣(当時)は平成三十年六月二十七日の国家基本政策委員会合同審査会において、移民政策の定義について、「例えば、国民の人口に比して一定程度のスケールの外国人及びその家族を期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策」と発言した。これを踏まえ、同発言当時の政府の移民の定義を示されたい。あわせて、現在の政府の移民の定義を示されたい。また、政府は現在、移民政策を行っているか示されたい。

右質問する。

参議院の原文経過

政府答弁書

一及び五について

お尋ねについては、医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十九条第一項の規定による診療に応じる義務の有無を判断するに当たっては、患者が外国人であるか、また、不法滞在者であるかにかかわらず、同項にいう正当な事由の有無を個々の事例に則して具体的に検討することを必要とするが、一般的には、御指摘の「治療費を支払うことができないこと又は不法滞在者であること」のみを理由として診療を拒むことはできない。なお、「応招義務をはじめとした診療治療の求めに対する適切な対応の在り方等について」(令和元年十二月二十五日付け医政発一二二五第四号厚生労働省医政局長通知)において、医師が「診療の求めに応じないことが正当化される場合の考え方」として、「どのような場合に患者を診療しないことが応招義務に反するか否かについて、最も重要な考慮要素は、患者について緊急対応が必要であるか否か(病状の深刻度)である」とした上で、「診療を求められたのが・・・診療時間外・勤務時間外であるか」及び「患者と医療機関・医師・歯科医師の信頼関係」についても「重要な考慮要素である」こと等と示しており、また、「応招義務に反するか否か」の「個別事例ごとの整理」として、「以前に医療費の不払いがあったとしても、そのことのみをもって診療しないことは正当化されない。しかし、支払能力があるにもかかわらず悪意を持ってあえて支払わない場合等には、診療しないことが正当化される」ことや「外国人患者についても、診療しないことの正当化事由は、日本人患者の場合と同様に判断するのが原則である」こと等を示しているところである。

二について

お尋ねについては、衆議院議員草川昭三君提出不法滞在の外国人の医療費支払等に関する質問に対する答弁書(平成三年四月十九日内閣衆質一二〇第八号)四についてで、「今後の研究課題である」と答弁した後、例えば、厚生省(当時)が設置した医療団体の代表や外国人に係る医療に関する専門的知見を有する有識者等で構成される「外国人に係る医療に関する懇談会」において、平成七年五月二十六日に報告書(以下「報告書」という。)が取りまとめられ、報告書において、「不法滞在者の医療費未払問題」については、「外国人の滞在状況等については、かなりの地域差がみられ、問題状況も異なっている。地域によっては多くの外国人が居住し、あるいは地域の事業所で雇用されているところもある。この問題については、現に一部の地方公共団体において地域の実情に応じた取組みが行われているが、こうした取組みを行うことも一つの方法である。また、救急医療制度の円滑な運営を確保する観点から、国としても何らかの対応措置を検討する必要がある。この場合には、地域の実情に配慮して、地方における取組みを国が支援するという考え方を基本とするとともに、制度の濫用や不法滞在の定着の防止等を図る観点から、その範囲は緊急に必要とされる医療に止め、不法滞在外国人であることが判明した場合には、病状安定後は入国管理当局の適切な措置に委ねることのできる仕組みとしていく等の観点を踏まえて検討を行う必要がある」等と示されているところであり、厚生労働省において、これに沿って対応を検討し、実施してきたところである。具体的には、同省において、救急医療制度の円滑な運営を確保する観点から、「医療提供体制推進事業費補助金交付要綱」(平成二十一年五月十三日付け厚生労働省発医政第〇五一三〇〇一号厚生労働事務次官通知別紙)に基づく救命救急センター運営事業として、「救急医療施設運営費等補助金(救命救急センター運営事業)に係る事務処理について」(平成八年五月十日付け指第三二号厚生省健康政策局指導課長通知)等に基づき、公立を除く「救命救急センターにおいて」、「我が国の公的医療保険制度に加入していない」「重篤な外国人救急患者の救命医療を行い」、「患者又は患者の保証人に対し、最低四半期に一回の督促」をしても未収金を回収できない場合には、前年度の未収金のうち一定額を超える額に対して補助を行っている。

三について

御指摘の「治療費」の支払いについては、患者が不法滞在者であるか、また、診療を受ける時点で治療費を支払えるか否かにかかわらず、基本的には医療機関と患者の間の民法(明治二十九年法律第八十九号)上の債権債務関係として取り扱われるべき問題であるため、診療の申込みを受けた医療機関が患者に対して医療を提供し、当該患者がその費用を負担すべきものと考えるが、いずれにしても、御指摘の「治療費を支払えない不法滞在者」への対応については、二についてで述べたとおり、厚生労働省において対応しているところである。

四について

お尋ねの「その責任を負うべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に未収金に相当する額を医療機関に支払うべきとの趣旨のお尋ねであるとすれば、報告書において、「外国人に係る医療機関の未収金について、公費で肩代りすることになれば、財政的な負担が増大するだけでなく、事実上、外国人は容易に無料で医療を受けられることとなるが、これが結果的には不法滞在の助長につながるおそれがあるほか、費用負担をしないで医療を受けることを目的として入国するという事態を招くのではないかという懸念がある」等とされているところであり、慎重な検討が必要と考えている。

なお、御指摘の「不法滞在者の発生」に関しては、令和七年五月に出入国在留管理庁が取りまとめた「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」に基づき、関係機関が緊密に連携を図り、不法就労者、不法滞在者等の取締り等に取り組み、退去強制令書が発付された者については速やかに送還する取組を進めている。

六について

お尋ねの「移民」や「移民政策」という言葉は様々な文脈で用いられており、それらの定義に係るお尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

その上で、政府としては、例えば、国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人を家族ごと期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策については、専門的、技術的分野の外国人を積極的に受け入れることとする現在の外国人の受入れの在り方とは相容れないため、これを採ることは考えていない。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

件名の語が重なる質問主意書

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