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公立病院への繰出金の根拠と公平性に関する質問主意書
参議院 第217回 第44号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×6
質問本文
公立病院を対象とした地方公営企業繰出金については、以前から多額の支出が問題視されている。公立病院の果たすべき役割は重要である一方、民間病院と比較して診療機能に大きな差異がないにもかかわらず、公立病院が繰出金において約八千億円もの財政的な支援を受けていることに対して、民間病院から「イコールフッティングではない」との批判が見受けられる。
加えて、基準外繰出金の存在も含め、繰出金の繰出基準は極めて曖昧であり、定性的なものとなっている。そのため、繰出金が実質的な公立病院の赤字補填の財源となっている中で、公立病院の放漫経営の原因になっている可能性は極めて高い。病院が乱立し、非効率な医療提供体制となっている中で、病院の廃止や民営化を含め、地域における役割の見直しや明確化が求められている。公立病院への繰出金の法的根拠及び必要性について明確な説明が求められるとともに、公立病院と民間病院の競争環境を適正に保つための施策についても、政府の方針を明らかにすべきである。
以上を踏まえて、以下質問する。
一 繰出金の法的根拠と財政的影響について
1 公立病院への繰出金の法的根拠について、政府の見解を示されたい。
2 公立病院への繰出金について、直近十年の総額の推移及び一施設当たりの金額の推移を示されたい。また、それぞれの金額の推移について、政府の受け止め及び見解を示されたい。
二 公立病院と民間病院の競争条件の公平性について
1 公立病院と民間病院は、患者に対し医療を提供するという点で同じ役割を持つにもかかわらず、公立病院に対しては地方公営企業繰出金の支出がある。民間病院から規制と優遇の公平性に鑑み、「イコールフッティングではない」との批判があることについて、政府は把握しているか。政府の把握状況及び当該批判に対する見解を示されたい。
2 前記1の批判について、公立病院と民間病院の競争を適正化するため、政府はどのような政策を講じているか示されたい。
三 政府の財政支援の透明性について
1 公立病院に対する財政支援の透明性を高めるために、政府が講じている施策について具体的に説明されたい。
2 繰出基準は、地方公営企業法第十七条の二第一項第二号、同法施行令第八条の五第二項第二号及び地方公営企業繰出金に係る総務副大臣通知において定められているが、いずれも明確な基準ではなく、定性的であることから、繰出しに係る費用の便益分析も困難であると思科する。政府は繰出基準について問題意識を有しているか。また、繰出基準は、公立病院の役割に基づいた定量的な基準を置くなど明確化すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
四 今後の政策方針について
1 公立病院と民間病院のそれぞれの役割を示されたい。また、公平な競争環境を確保するために、政府が認識している問題意識及びそれに対する今後の方針を示されたい。
2 不必要な繰出金の削減に向けて、調査又は見直し等、何らかの対応を講ずる予定はあるか。ある場合は検討状況も含めて、詳細を示されたい。
質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
お尋ねの「公立病院への繰出金の法的根拠」の意味するところが必ずしも明らかではないが、地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)が適用される公立病院の特別会計への公営企業繰出金(以下「公営企業繰出金」という。)は、同法第十七条の二から第十八条の二までの規定に基づき支出されており、地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第八十一条に規定する公営企業型地方独立行政法人(以下「公営企業型地方独立行政法人」という。)である公立病院の設立団体が負担する経費等(以下「運営費負担金等」という。)は、同法第四十二条及び第八十五条の規定に基づき支出されている。
一の2について
公営企業繰出金及び運営費負担金等(以下「公営企業繰出金等」という。)の各年度の総額については、総務省において調査している地方公営企業決算統計(以下「決算統計」という。)によれば、平成二十六年度が約八千二百六十二億円、平成二十七年度が約八千三十二億円、平成二十八年度が約七千九百二十四億円、平成二十九年度が約八千八十三億円、平成三十年度が約八千二百六十六億円、令和元年度が約八千二百六十九億円、令和二年度が約八千四百九十四億円、令和三年度が約八千四百十一億円、令和四年度が約八千五百四億円、令和五年度が約八千六百二十六億円である。
また、各年度の当該総額を当該年度の決算統計における公立病院(地方公営企業法が適用される公立病院及び公営企業型地方独立行政法人である公立病院をいう。以下同じ。)の数(建設中の公立病院の数を除く。)で除した金額については、平成二十六年度が約九・四億円、平成二十七年度が約九・一億円、平成二十八年度が約九・一億円、平成二十九年度が約九・三億円、平成三十年度が約九・六億円、令和元年度が約九・六億円、令和二年度が約十億円、令和三年度が約九・九億円、令和四年度が約十億円、令和五年度が約十・一億円である。
これらの金額の推移については、各地方公共団体が、地方公営企業法及び地方独立行政法人法の規定に基づき支出した結果であると認識している。
二の1について
御指摘の「「イコールフッティングではない」との批判」の意味するところが必ずしも明らかではないが、公立病院と民間の医療機関との間で財政支援等に差があるといった意見があることは承知している。
公立病院は、採算性確保の上で難しい医療等を担っていることなどから、地方公営企業法及び地方独立行政法人法の規定に基づき、公営企業繰出金等が支出されているものと認識している。
二の2について
御指摘の「公立病院と民間病院の競争を適正化」の意味するところが必ずしも明らかではないが、毎年度、「令和六年度の地方公営企業繰出金について」(令和六年四月一日付け総財公第二十六号総務副大臣通知。以下「繰出金通知」という。)等において公営企業繰出金の基本的な考え方を通知しており、運営費負担金等についても「地方独立行政法人会計基準の改訂に係る公営企業型地方独立行政法人の取扱いについて」(令和四年九月二十八日付け総財公第百二十号総務省自治財政局公営企業課長通知。以下「取扱通知」という。)において当該基本的な考え方に準じて設立団体が適切に負担することとしているところ、引き続きこれらの通知に基づき適正な運用を図る必要があると認識している。
三の1について
御指摘の「財政支援の透明性」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府においては、決算統計により、公営企業繰出金等を公表しているところである。
三の2及び四の2について
お尋ねの「問題意識」及び「何らかの対応」の意味するところが必ずしも明らかではないが、二の2についてで述べたように、毎年度、繰出金通知等において公営企業繰出金の基本的な考え方を通知しており、運営費負担金等についても取扱通知において当該基本的な考え方に準じて設立団体が適切に負担することとしているところ、引き続きこれらの通知に基づき適正な運用を図る必要があると認識している。
また、公立病院及び民間の医療機関の役割は、その立地条件や医療機能等により様々であることから、現時点においては、御指摘の「繰出基準」をこれまで以上に明確化することは困難であると考えている。
四の1について
前段のお尋ねについては、公立病院は、採算性確保の上で難しい医療等を担っているところ、公立病院及び民間の医療機関の役割は、その立地条件や医療機能等により様々であると認識している。
後段のお尋ねについては、お尋ねの「公平な競争環境を確保」及び「問題意識」の意味するところが必ずしも明らかではないが、地域の医療提供体制に関しては、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十条の四第一項の規定に基づき、地域の実情に応じて、都道府県が定める医療計画を踏まえ、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図っていくことが必要であると認識している。