ことばで探す › 参議院 第219回
痛くない乳がん検診に関する質問主意書
参議院 第219回 第2号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×1
質問本文
我が国における令和三年の女性の乳がん罹患者数は九万八千七百八十二人であり、女性の部位別がん罹患数は乳房が最も多い。乳がんを早期発見、早期治療するためには、乳がん検診の受診が欠かせない。しかし、令和四年国民生活基礎調査によると、女性の乳がん検診受診率は四十七・四パーセントにとどまっている。
厚生労働省は「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(以下「指針」という。)において、地方公共団体が実施する乳がん検診の方法について、問診及び乳房エックス線検査(以下「マンモグラフィ」という。)を推奨している。しかし、マンモグラフィは検査時の圧迫により痛みを伴うことがあり、受診をためらう声がある。近年、「痛くない乳がん検診」として、ドゥイブス法を用いた非造影の無痛乳がんMRI検診(以下「乳がんMRI検診」という。)が注目されている。乳がんMRI検診は、マンモグラフィと比較して、受診時の痛みがなく、服を脱がずに受診できるなど受診者の負担が少ない上に、高濃度乳房の場合でも病変を発見しやすいとされている。
以上を踏まえて、以下質問する。
一 近年、乳がんMRI検診が注目されており、実施する医療機関が増えていることから、政府として、乳がんMRI検診によるがん発見率を調査し、マンモグラフィやエコー検査によるがん発見率との比較を含めた乳がんMRI検診の有効性に係る調査研究を実施する必要があると考える。調査研究の必要性に係る見解及びこれまで調査研究を実施していない理由を示されたい。
二 日本人女性の高濃度乳房の割合は、四十歳以上の約四割と推測されている。マンモグラフィの画像において病変は白く映ることが多いが、高濃度乳房も白く映るため、病変が見つかりにくいとの指摘がある。高濃度乳房に対するマンモグラフィの有効性に係る政府の見解を示されたい。
三 マンモグラフィと異なり、乳がんMRI検診は高濃度乳房であっても病変が画像に映りやすく、病変を発見しやすい特徴があるとされている。高濃度乳房において病変の見落としを防ぐためには、乳がんMRI検診など、より病変を発見しやすいマンモグラフィ以外の検査の実施が有効だと考えるが、政府の見解を示されたい。
四 彦根市では、乳がんMRI検診の受診費用の全額助成を行うこととし、令和七年六月に予約受付を開始したところ、数日で定員五百人に到達した。これは、乳がんMRI検診への関心やニーズが高いことを表していると考えられる。政府は彦根市の当該事例を把握しているか示されたい。また、乳がんMRI検診の全額助成に対し、短期間で多数の申込みがあったことの要因に係る政府の見解を示されたい。
五 現在、乳がんMRI検診をふるさと納税の返礼品としている地方公共団体が複数ある。また、乳がんMRI検診の受診費用の助成等について、クラウドファンディング型のふるさと納税を活用した地方公共団体もある。こうした取組は、乳がんMRI検診の普及促進、乳がん検診の受診率向上につながると考えられることから、好事例として他の地方公共団体に周知するべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
六 地方公共団体が実施する検診、自己負担での検診、ふるさと納税の返礼品としての検診など、幅広い機会において乳がんMRI検診の普及促進を図り、マンモグラフィ以外の検査法も選択できる環境を整備することが、乳がん検診の受診率向上、乳がんの早期発見・早期治療に寄与するものと考えるが、政府の見解を示されたい。
七 乳がんMRI検診について、将来的に指針へ位置付けることも含め、普及促進に向けた検討を進めるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
乳がん検診も含め、がん検診については、従来より、国立研究開発法人国立がん研究センター(以下「国立がん研究センター」という。)において、その有効性を含めた科学的知見を収集し、その内容を評価する調査研究を行った上で、検診に係るガイドラインの作成等が行われてきたところであり、乳がん検診については、直近では、「有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン二千十三年度版」(以下「乳がん検診ガイドライン二千十三年度版」という。)が作成されているところ、厚生労働省健康・生活衛生局長が参集を求めて開催している、医学の専門家等により構成される「がん検診のあり方に関する検討会」(以下「検討会」という。)においては、これまで、乳がん検診ガイドライン二千十三年度版の内容等も評価しながら、検診の在り方について継続的に検討してきたところである。
その上で、御指摘の「これまで調査研究を実施していない理由」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和七年十月十日に開催された第四十五回検討会において、「近年、マンモグラフィ以外にも、超音波検査やMRI等、いくつかの手法が人間ドック等で検診として実施されている。また、マンモグラフィ検査においても、より多くの断層で撮影する3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)が開発されている」等の現状を踏まえ、「現在、国立がん研究センターの乳がんの対策型検診に係るガイドラインは二千十三年度版が最新であるため、同センターにガイドラインの更新を依頼」することが確認されたところであり、これを受けて、同省において、国立がん研究センターに対して、乳がん検診ガイドライン二千十三年度版の更新の依頼を行ったところである。
今後、国立がん研究センターにおいて、御指摘の「乳がんMRI検診の有効性」を含めた科学的知見を収集し、その内容を評価するお尋ねの「調査研究」を行った上で、乳がん検診に係るガイドラインが更新される予定となっているところである。
二について
乳がん検診ガイドライン二千十三年度版において、マンモグラフィの有効性について、高濃度乳房である者の割合が高い四十代も含めて評価され、四十歳から七十四歳までを対象として、「死亡率減少効果を示す相応な証拠がある」とされており、御指摘の「高濃度乳房に対するマンモグラフィの有効性」についても否定されていないと考えている。
三について
市町村(特別区を含む。以下同じ。)が健康増進法(平成十四年法律第百三号)第十九条の二の規定に基づき実施する健康増進法施行規則(平成十五年厚生労働省令第八十六号)第四条の二第六号に掲げるがん検診については、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(平成二十年三月三十一日付け健発第〇三三一〇五八号厚生労働省健康局長通知別添。以下「指針」という。)において、がんによる死亡率を減少させることについて信頼性の高い科学的根拠があると認められた検査を定め、その実施を推奨しており、現時点においては、二についてで述べたとおり、マンモグラフィについてその有効性があるものと認識しているところ、お尋ねの「マンモグラフィ以外の検査の実施が有効だと考える」かどうかについては、一についてで述べたとおり、今後、国立がん研究センターにおいて、御指摘の「乳がんMRI検診など」の有効性を含め、調査研究が行われる予定となっているため、現時点ではお答えすることは困難である。
四について
お尋ねの「彦根市の当該事例」については承知しているが、お尋ねの「乳がんMRI検診の全額助成に対し、短期間で多数の申込みがあったことの要因」については、御指摘の「全額助成」であったことのほか、受診者がその有効性を期待したこと等の様々な要因が考えられる。いずれにせよ、今後、国立がん研究センターにおいて、御指摘の「乳がんMRI検診」などの有効性を含め、調査研究が行われる予定となっているところである。
五及び六について
マンモグラフィについては、乳がん検診の検診項目として指針に定め、市町村に対しその実施を推奨し、普及促進を図っているところであるが、御指摘の「乳がんMRI検診」については、現時点の評価では、死亡率の減少効果が明らかとなっていないため、検診項目として指針に定め、御指摘のように「普及促進」や「乳がんMRI検診」の受診増による「乳がん検診の受診率向上」を図るために「好事例として他の地方公共団体に周知する」ことや、御指摘のように「普及促進を図り、マンモグラフィ以外の検査法も選択できる環境を整備すること」は、現時点では考えていない。
七について
一についてで述べたとおり、今後、国立がん研究センターにおいて、御指摘の「乳がんMRI検診」の有効性を含めた科学的知見を収集し、その内容を評価する調査研究を行った上で、乳がん検診に係るガイドラインが更新される予定となっており、その上で、検討会において、当該ガイドラインの内容を基に、「乳がんMRI検診」を「指針へ位置付けること」の適否も含め、議論することとしているところ、厚生労働省においては、検討会の議論を踏まえ、「乳がんMRI検診」について「指針へ位置付けること」により市町村に対しその実施を推奨し、普及促進することの適否について、検討することとしている。