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大阪・関西万博における工事費等の未払被害等の救済及び責任糾明に関する質問主意書

参議院 第219回 第64号お答えすることは困難 ×5趣旨が明らかではない ×5

提出者
参議院
提出日
2025年12月9日
内閣転送 2025年12月15日
答弁書受領日
2025年12月19日
提出から10日
答弁の項目数
12
質問 3,361字/答弁 4,300字

質問本文

二〇二五年日本国際博覧会(以下「大阪・関西万博」という。)のパビリオン建設に携わった事業者や労働者が工事費・賃金の未払、著しく短い工期設定とそれに起因する過重労働・労働法規違反を訴えており、一部は訴訟を提起するなど大きな社会問題となっている。大阪・関西万博は、政府、大阪府及び大阪市が一体となって誘致・開催した言わば「国策」である。その過程で発生した問題を民間企業同士の問題とし、政府が一切責任を取らないことは望ましくない。大阪・関西万博が閉会した現在も工事費等の未払被害の救済が全く行われていない中、日本外国特派員協会で記者会見した被害者の一人は、「日本政府が本当に信用できない」と述べている。この問題が発生した大きな原因は、パビリオン建設が大幅に遅れる中、短い工期で開会に間に合わせるべく、口頭の約束で工事が追加、変更されたり、昼夜を問わない作業が強いられたりしたことにある。

二〇二六年には名古屋市でアジア競技大会及びアジアパラ競技大会(以下「アジア大会」という。)が、二〇二七年には横浜市で国際園芸博覧会(以下「横浜花博」という。)が開催されるが、同様の権利侵害が繰り返されてはならないという問題意識から、以下質問する。

一 大阪・関西万博の「持続可能性に配慮した調達コード(第三版)」(以下「調達コード」という。)は、サプライチェーン全体における法令・国際規範の遵守を求めている。工事費等の未払は調達コードの理念に反することから、政府及び公益社団法人二〇二五年日本国際博覧会協会(以下「協会」という。)にはそれを未然に防止する責任があると考える。政府及び協会は、工事費等の未払が発生しないよう、どのような措置を講じていたか示されたい。また、工事費等の未払については、「政府が事業者任せにし、十分な監督責任を果たしていなかった」との批判もあるが、政府の認識を示されたい。

二 工事費等の未払被害に遭った受託事業者は、従業員の賃金を払えなかったり、税金・社会保険料を払えず差押えを受けたりするなど、存続の危機に瀕している。こうした事業者は、銀行から返済能力がないと認定され、融資を受けることが極めて困難である。工事費等の未払被害の救済は極めて緊急性が高いと考えるが、政府及び協会は、被害救済に向けてどのような議論を行っているか示されたい。また、協会の人権方針には、「協会の役職員や博覧会事業による活動によって、人権への負の影響を引き起こす、または助長していることが明らかになった場合は、適切に対応し、その救済・是正に取り組みます。」との記述があるが、協会の理事会において、工事費等の未払被害の救済に向けた対応は議論されているか示されたい。

三 受託事業者が本来受け取るはずであった工事費を速やかに受け取れるようにするためには、政府又は協会が工事費を代位弁済した後、工事費等の未払を起こした委託事業者や上位受託事業者に求償する方法が考えられる。このような代位弁済を不可能とする場合、その法的根拠を示されたい。

四 大阪・関西万博の会場建設費の予備費について、残額を示されたい。また、同予備費を工事費等の未払被害の救済に充てることは可能か示されたい。

五 建設業法(昭和二十四年法律第百号)第十九条の五は、「注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない。」と定めている。政府及び協会は、同法が禁じる「著しく短い期間を工期とする」工事が行われないよう、工事に係る契約やその履行又は変更の在り方を注視すべきであった。特に、タイプB、タイプC、タイプXについては、建設主体である協会が工期の管理における責任を負うはずである。

政府及び協会による工期の管理に係る責任について、政府の認識を示されたい。また、政府及び協会は、「著しく短い期間を工期とする」工事が行われないよう、どのような対応を採ったか示されたい。

六 人手不足や資材高騰等を理由に、大手ゼネコンがパビリオン建設工事の契約に後ろ向きだったため建設に遅れが生じ、吉村洋文大阪府知事及び横山英幸大阪市長が中小建設企業に協力を要請したことで建設が間に合ったとの報道がある。政府は、パビリオン建設が遅れていたと認識していたか示されたい。また、パビリオン建設の遅れにより工期が著しく短くなっていたと認識していたか示されたい。

七 複数のパビリオン建設現場において、通常、委託事業者が作成する労務安全書類(グリーンファイル)がない、建設業法により特定建設業者に作成が義務付けられている施工体系図がない、正確な設計図面がなく、当初予定されていなかった追加工事が現場で次々に口頭で発注されるなどの建設業法や労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)に違反すると思われる事案があったとの報道がある。政府は、このような事実を把握していたか示されたい。把握していた場合、どのような対応を採ったか示されたい。

八 マルタ館の工事は、委託事業者であるGLイベンツジャパン社(以下「GL社」という。)が確定図面や具体的な指示を出さなかったため難航した。しかし、GL社は二十四時間体制で働くことを求め、監視カメラで監視したとの報道がある。長時間労働の強要は、建設工事の注文者等が「施工方法、作業方法、工期、納期等について、安全で衛生的な作業の遂行を損なうおそれのある条件を付さないように配慮しなければならない。」と定める労働安全衛生法第三条第三項に違反すると考える。また、「サプライヤー等は、調達物品等の製造・流通等において、違法な長時間労働(労働時間等に関する規定の適用除外となっている労働者については健康・福祉を害する長時間労働)をさせてはならない。」、「サプライヤー等は、労働者にとって仕事と生活の調和のとれた労働環境の整備に配慮すべきである。」と定める調達コードにも違反すると考える。

政府は、労働法規等に違反する労働が行われたという事実を把握していたか示されたい。また、政府及び協会には、違法な労働が行われないよう監督し、指導する責任があると考えるが、パビリオン建設現場における労働法規等の違反について指導等を行った例はあるか示されたい。

九 GL社は外資系企業であり、マルタ館の工事の現場担当者が日本語を解さない外国人だった。現場での意思疎通が十分に行われなかったことが工事費の支払をめぐる争いの一因になったと考えられる。

大阪・関西万博参加国・海外企業と日本企業との間の意思疎通の支援(通訳の派遣等)について、政府はどのような方針を立てていたか示されたい。また、一般論として、委託事業者が通訳を確保しなかったことにより意思疎通が行われず、作業に不備が発生した場合、受託事業者がその責任を負うことはあるか示されたい。

十 工事費等の未払被害に遭った受託事業者の中には、施工に携わった証拠が無くなることを懸念し、大阪府解体工事業協会に対して、工事費の支払が完了するまで解体を中止するよう求める事業者もある。このような動きがある中、政府としてどのように対応する予定か示されたい。

十一 GL社は、マルタ館のほか、セルビア、ルーマニア、ドイツの計四館の委託事業者となったが、工事費等の未払は総額約六億七千万円に上り、四館とも訴訟に発展している。マルタ館建設に関わった受託事業者の中には、GL社について「工程、品質、予算、すべてが管理できていない。」、「日本で建物建設をマネジメントする能力は全くない」と実名告発した者もいる。GL社はアジア大会の会場運営及び横浜花博のパビリオン建築代行を受託している。アジア大会や横浜花博において大阪・関西万博と同様の工事費等の未払が発生しないよう、政府としてどのような対応を採る予定か示されたい。

十二 大阪・関西万博で工事費等の未払が発生した背景には、工事が多重委託構造になり、建設業の許可を受けていない事業者が中間に入り込んでいたことがある。受託事業者が被害を受けた場合に速やかに救済される仕組みを作ることが必要と考えるが、政府の見解を示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

令和七年四月十三日から同年十月十三日まで開催された国際博覧会(以下「博覧会」という。)に係る御指摘の「パビリオン建設」に関しては、博覧会の運営者である公益社団法人二〇二五年日本国際博覧会協会(以下「博覧会協会」という。)と参加国との間で締結された参加契約書(以下「参加契約書」という。)第一条において、全ての参加国に対して、日本において適用される全ての法令を遵守することとされており、お尋ねの「工事費等の未払」を防ぐ一義的な責任は参加国にあるものと承知している。その上で、これまでも、博覧会協会は、博覧会国際事務局(以下「BIE」という。)において承認された特別規則第四号第十八条三に基づき、参加国の「パビリオン建設」における請負事業者等に法令等を遵守させることを全ての参加国に対して求めていると認識している。また、政府としては、博覧会協会及び地方公共団体と一体となって、請負事業者等から相談を受け付ける体制を整備しており、引き続き、博覧会の会場の建設工事に係る個別の契約の問題解決に向けて後押ししていく。

二について

御指摘の「工事費等の未払被害」の意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。その上で、御指摘の「パビリオン建設」は、参加国がその責任において元請事業者を選定し、元請事業者と下請事業者との間で、工期、金額、作業内容などの条件について合意した上で実施されたものであるため、個別の契約の問題については、一義的には当事者間で解決がなされるべきものであると認識している。また、政府としては、博覧会協会及び地方公共団体と一体となって、請負事業者等から相談を受け付ける体制を整備しており、引き続き、博覧会の会場の建設工事に係る個別の契約の問題解決に向けて後押ししていく。

三について

御指摘の「本来受け取るはずであった工事費」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「代位弁済」は、令和七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律(平成三十一年法律第十八号)に規定されておらず、博覧会協会がお尋ねの「代位弁済」を行うことは想定されていない。また、政府としては、お尋ねの「このような代位弁済を不可能とする」「法的根拠」について、網羅的にお答えすることは困難であるが、現時点において政府がお尋ねの「このような代位弁済を不可能とする」「法的根拠」は存在しないと考えている。その上で、二についてで述べたとおり、御指摘の「パビリオン建設」に係る個別の契約の問題については、一義的には当事者間で解決がなされるべきものであると考えているため、政府が、当事者間の合意に至っていない御指摘の「工事費等の未払」について、お尋ねの「代位弁済」を積極的に行う立場にはないと認識している。政府としては、博覧会協会及び地方公共団体と一体となって、請負事業者等から相談を受け付ける体制を整備しており、引き続き、博覧会の会場の建設工事に係る個別の契約の問題解決に向けて後押ししていく。

四について

前段のお尋ねについては、令和七年十月七日の博覧会協会の臨時理事会において、「現時点の残額は六十八億円」と示されていると承知している。

後段のお尋ねについては、二についてで述べたとおり、御指摘の「パビリオン建設」に係る個別の契約の問題については、一義的には当事者間で解決がなされるべきものであり、政府及び博覧会協会が、当事者間の合意に至っていない御指摘の「工事費等の未払」に「同予備費」を「充てること」を積極的に行う立場にはないと認識している。その上で、政府としては、博覧会協会及び地方公共団体と一体となって、請負事業者等から相談を受け付ける体制を整備しており、引き続き、博覧会の会場の建設工事に係る個別の契約の問題解決に向けて後押ししていく。

五について

お尋ねの「工期の管理」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「工期」については、契約の当事者間の合意に基づくものであると認識しており、また、建設業法(昭和二十四年法律第百号)第十九条の五において、「注文者」は「著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない」と定められているため、御指摘の「パビリオン建設」に係る「工期」については、一義的には、参加国及び請負事業者等に責任があるものと承知している。その上で、参加契約書第一条において、全ての参加国に対して、日本において適用される全ての法令を遵守するよう求めており、その上で、博覧会協会は、参加国に対して、関連法令等を遵守するよう周知したと承知している。

六について

御指摘の「大手ゼネコンがパビリオン建設工事の契約に後ろ向きだったため建設に遅れが生じ」及び「中小建設企業に協力を要請したことで建設が間に合った」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、政府としては、お尋ねの「パビリオン建設」は、参加国がその責任において元請事業者を選定し、元請事業者と下請事業者との間で、工期、金額、作業内容などの条件について合意した上で実施されたものと承知しており、また、個別の参加国の「パビリオン建設」の工法等により、その「工期」は様々であり、一概にお答えすることは困難である。

七について

御指摘のような報道があったことは承知しているものの、お尋ねについては、その詳細な事実関係が明らかではないことから、お答えは差し控えたい。その上で、政府としては、参加契約書第一条において、全ての参加国に対して、日本において適用される全ての法令を遵守するよう記載されているものと承知しており、また、博覧会協会は、参加国に対して関連法令等を遵守するよう周知したと認識している。

八について

前段のお尋ねについては、その詳細な事実関係が明らかではないことから、お答えは差し控えたいが、後段のお尋ねについては、政府は、労働基準監督署において、労働基準関係法令違反がある場合には、その改善に向けて必要な指導を行っているが、個別の事業場に対する労働基準監督署の指導内容については、これを公にすることにより、労働基準関係法令を遵守させるための監督指導等の事務の性質上当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。なお、政府としては、御指摘の「パビリオン建設現場」において、博覧会協会等が巡回などを実施し、労働基準関係法令違反がないよう周知、要請等を行ったことを把握している。

九について

前段のお尋ねについては、御指摘の「パビリオン建設」においては、当事者間で「意思疎通」を行うべきものであり、その支援については、一義的には参加国に求められるものであると認識している。その上で、政府が御指摘の「日本企業」から「参加国・海外企業」との「意思疎通」に関連する相談を受けた際は、「参加国・海外企業」と直接対話するなどして、御指摘の「パビリオン建設」が円滑に進むよう支援を行ってきたと承知している。

後段のお尋ねについては、一般論として、通訳の確保や、お尋ねの「作業に不備が発生した場合」の責任の所在については、当事者間で協議すべきものと承知している。

十について

お尋ねの「このような動き」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、BIEにおいて承認された特別規則第二号第九条四において、「参加者に割り当てられた区画は、別段の取決めを開催者と事前に締結していない限り、遅くとも二千二十六年四月十三日までに何もない原状に回復し立ち退き返還しなければならない」と義務付けられており、御指摘の「工事費の支払が完了するまで解体を中止する」か否かの判断は、一義的には、参加国及び御指摘の「解体」の工事の請負事業者等が行うものと認識している。その上で、御指摘の「解体」の工事の進捗にかかわらず、政府としては、博覧会協会及び地方公共団体と一体となって、請負事業者等から相談を受け付ける体制を整備しており、引き続き、博覧会の会場の建設工事に係る個別の契約の問題解決に向けて後押ししていく。

十一について

お尋ねについて、第二十回アジア競技大会(二○二六/愛知・名古屋)及び愛知・名古屋二○二六アジアパラ競技大会に関しては、御指摘の「GL社」は、公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会から、競技会場の設営及び運営に係る支援業務を受託していると承知しており、「愛知・名古屋アジア競技大会及び愛知・名古屋アジアパラ競技大会に関する件」(令和七年十一月二十六日衆議院文部科学委員会決議)の二において、「組織委員会から業務を受託した業者が更に当該業務を他の業者に委託する場合など数次委託が行われ、又は見込まれる場合において当事者間における紛争の適切な予防・解決を確保するための措置を講ずるとともに、国民への情報公開・説明を行うことを、組織委員会に対して求めること。」とされていることも踏まえ、適切に対応してまいりたい。

また、二〇二七年国際園芸博覧会に関しては、御指摘の「パビリオン建築代行を受託している」事実はないが、御指摘の「GL社」は、公益社団法人二〇二七年国際園芸博覧会協会(以下「協会」という。)が参加者に代わり仮設建築物の設計、建築等を行うサービスにおいて、仮設建築物を供給する事業者として、協会が認定した一社であると承知している。政府は、仮設建築物の供給に係る契約の当事者ではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、当該サービスについては、協会において適切に運用されるべきものであると考えている。

十二について

御指摘の「大阪・関西万博で工事費等の未払が発生した背景には、工事が多重委託構造になり、建設業の許可を受けていない事業者が中間に入り込んでいたことがある」の具体的に意味するところが明らかではなく、これを前提としたお尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、一般論として申し上げれば、建設業法第三条第一項に基づき建設業の許可を行う国土交通大臣及び都道府県知事は、契約の当事者間で契約内容についての見解に相違がある場合には、同法等に基づき、当事者間での解決に向けた必要な措置をとるよう促すこととしており、また、同法に違反する行為が確認された場合は、建設業の許可を行う同大臣及び都道府県知事において、必要な指導監督を行っているところである。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×5趣旨が明らかではない ×5

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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