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EVバス等への補助事業に対する報道の影響に関する質問主意書
参議院 第221回 第38号お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×2
質問本文
株式会社EVモーターズ・ジャパン(以下「当該事業者」という。)は令和八年四月十四日、「民事再生手続開始の申立てに関するお知らせ」(以下「当該文書」という。)を公表した。
当該文書によれば、当該事業者は「これまでに三百二十五台のEVバスを納入し」たが、「販売したEVバスの一部における不具合が発生したことから、(略)リコールを届出、不具合の解消に取り組」んだと記載されている。また、「販売したEVバスに関し、車両の不具合により急ブレーキや暴走が発生したとする等の事実と異なる内容が含まれた記事が掲載されるなどしたことにより」、当該事業者の製品を購入する「お客様への補助金交付に著しい支障」が生じることになったと記載されている。こうした状況を踏まえ、当該事業者の「資金繰りが維持できなくなる懸念が生じたことから、民事再生手続において(略)、本申立てに至った次第」と経緯を説明している。
当該文書は、補助金交付や当該事業者の経営状況に対し、報道が重大な影響を及ぼしたと解釈し得る構成となっている。このような記載は、EVバス等への補助事業の運用について、国民に誤解を生じさせるおそれがある。
以上を踏まえて、以下質問する。
一 EVバス等を補助対象とする「商用車等の電動化促進事業」は、環境省、経済産業省及び国土交通省の連携事業である。同事業に基づく補助金交付の決定後又は申請中の案件について、交付停止、保留又は不交付の判断は、どのような基準及び根拠に基づき行われるか示されたい。
二 前記一の判断に当たり、新聞、テレビ、インターネット記事等の報道内容がどのように考慮されるか示されたい。特に、報道内容が補助金交付に影響を与えることはあるか示されたい。
三 当該文書における「お客様への補助金交付に著しい支障」との記載について、当該事案に係る補助金の交付・返還等の事実関係を示されたい。
四 特定の製品又は事業者に関する報道を理由として、補助金の交付停止、保留又は不交付が判断された事例は存在するか示されたい。事例が存在しない場合、当該文書における「事実と異なる内容が含まれた記事の掲載」により、「お客様への補助金交付に著しい支障」が生じたとする記載は、補助事業の運用実態と整合しているか、政府の認識を示されたい。
五 特定の事業者が報道により補助金交付等に支障が生じた旨公表することは、補助事業の公正性及び透明性に対する国民の信頼を損なうおそれがある。誤解を招く又は事実と異なる説明がされている場合、補助事業の信頼性確保の観点から、同事業者に対して説明の訂正その他適切な対応を速やかに求める必要があると考えるが、政府の認識を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
「脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金(商用車等の電動化促進事業(タクシー・バス))交付要綱」(令和五年五月十六日環水大自発第二三〇五一六二号環境大臣制定(最終改正 令和八年二月二日)。以下「交付要綱」という。)に定める「脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金(商用車等の電動化促進事業(タクシー・バス))」(以下「商用車補助金事業」という。)については、交付要綱第十四条の規定において、「補助事業者は、補助事業の開始前に、補助事業を本要綱の規定に従い行うために、間接補助金の交付の手続等について交付規程を定め、大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするとき(ただし、軽微な変更である場合を除く。)も同様とする」としているところ、これに基づき、当該補助事業者である、公益財団法人日本自動車輸送技術協会(以下「JATA」という。)が、商用車補助金事業について、当該交付規程として、「令和七年度(補正予算)脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金(商用車等の電動化促進事業(タクシー・バス))交付規程」(令和八年三月十六日輸技協事第七―三七号(最終改正 令和八年四月二十三日)。以下「交付規程」という。)を定めているところである。
その上で、お尋ねの「交付の決定後・・・の案件」の「交付停止」の「基準及び根拠」に関しては、交付規程第十四条第一項の規定に基づき、例えば、「補助事業の全部若しくは一部の廃止の申請があった場合」、「補助事業者が、法令等若しくは本規程に基づくJATAの指示等に従わない場合」、「補助事業者が、補助金を補助事業以外の用途に使用した場合」、「補助事業者が、補助事業に関して不正、怠慢、その他不適当な行為をした場合」等のいずれかに該当する場合には、「交付の決定の全部又は一部を取消すことができる」としているとおりである。
また、お尋ねの「申請中の案件」の「保留又は不交付」の「基準及び根拠」に関しては、交付規程第七条第一項の規定において、「交付申請書又は・・・変更交付申請書の提出があった場合には、当該申請書の内容を審査し、・・・補助金を交付すべきもの又は交付の決定の内容を変更すべきものと認めたときは、交付決定又は変更交付決定を行」うとしているところであり、例えば、交付規程第五条の規定に基づき申請のあった交付申請書に記載する「車両の使用目的」の「内容を審査」し、交付要綱第二条における「反復・継続した走行に伴うCO2排出削減」につながらないと考えられ、同項における「補助金を交付すべきもの」と認められない場合には、御指摘のように「保留又は不交付」としている。
二について
御指摘の「補助金交付に影響を与える」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の商用車補助金事業に係る補助金の交付の「判断」に関し、「報道内容」それ自体を「考慮」することは想定しておらず、いずれにせよ、「報道内容がどのように考慮されるか」とのお尋ねの点も含め、「報道内容」に影響を及ぼし得ることに関しては、政府としてお答えを差し控えたい。なお、報道の有無に限らず、一についてで述べた「車両の使用目的」の内容等に疑義がある場合には、必要な情報収集等を行い、商用車補助金事業に係る補助金の交付についての判断を行うこととしている。
三について
お尋ねについては、個別の事業者が作成した御指摘の「当該文書」の「記載」の内容に関するものであり、その一々について、お答えすることは差し控えたいが、いずれにせよ、お尋ねの「当該事案」の具体的に指し示すものが必ずしも明らかではないところ、商用車補助金事業に係る補助金の「交付・返還等」に関しては、例えば、令和八年四月十七日の閣議後記者会見において、石原環境大臣が「環境省においては、EVバスを運行する者に対して補助金を交付しているところであります。運行を行わないのであれば、補助金の返還を求めることになります。環境省としても、ぜひ御理解していただきたいのは、大阪メトロに対して交付しておりますので、大阪メトロに交付したEVモーターズ・ジャパン社製のEVバスの補助金については、大阪メトロに返還を求めてまいりたいと思います」と述べているとおりである。
四について
前段のお尋ねについては、「補助金の交付停止、保留又は不交付が判断された事例」に関し、御指摘の「特定の製品又は事業者」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではなく、また、調査に膨大な作業を要することから、網羅的かつ正確に把握することは困難であるが、例えば、脱炭素化に向けた商用車の電動化を目的とした補助金に係る事業について、令和三年度から令和七年度までの五年間の確認を行ったところ、現時点で確認できる範囲では、「報道」それ自体を「理由」として、御指摘のように「補助金の交付停止、保留又は不交付が判断された事例は存在」しない。
後段のお尋ねについては、三についてで述べたとおり、個別の事業者が作成した御指摘の「当該文書」の「記載」の内容に関するものであり、その一々について、お答えすることは差し控えたいが、いずれにせよ、商用車補助金事業については、JATAにおいて、交付要綱等に基づき適切に運用されているものと考えている。
五について
御指摘の「特定の事業者が報道により補助金交付等に支障が生じた旨公表すること」及び「誤解を招く又は事実と異なる説明がされている場合」については、様々な状況等が考えられることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、御指摘の「補助事業の公正性及び透明性に対する国民の信頼を損なうおそれがある」場合には、「補助事業の信頼性確保の観点から、」必要に応じて、「事業者」に対して事実関係の説明等の「適切な対応」を求めることになると考えている。