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「力又は威圧による一方的な現状変更」の定義及び該当性の基準に関する質問主意書
参議院 第221回 第5号お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×1
質問本文
高市早苗内閣総理大臣は令和八年二月二十日の施政方針演説において、「中国は、東シナ海・南シナ海での力又は威圧による一方的な現状変更の試みを強化」しているとの認識を示した。また、令和七年十月二十六日の第二十八回日ASEAN首脳会議に際し、「世界のどこであれ、力による一方的な現状変更の試みを許容してはなりません。」と主張した。このように政府は、外交・安全保障上の基本方針として「力又は威圧による一方的な現状変更」を認めないとの主張を繰り返し行っている。しかし、この言葉が指し示す具体的な定義や該当範囲、さらには特定の事例における該当性の基準については、国民にとって必ずしも明確ではない。
以上を踏まえて、以下質問する。
一 政府が主張する「力又は威圧による一方的な現状変更」の指す具体的な行為の内容及び定義を示されたい。特に、他国の領土・領海への侵害のみを指すか、あるいは、武力や威圧を用いた他国の政治体制の転換や指導者の更迭(政権交代の強要)、殺害など、国家の主権や政治的独立を損なう行為全般を含むか示されたい。
二 近時、経済的威圧や大規模なサイバー攻撃、情報の拡散等、軍事力以外の手段を用いて他国の意思決定を不当にゆがめる行為も、実質的な「現状変更」の試みと指摘されることがある。これらも、政府の言う「力又は威圧による一方的な現状変更」に含まれるか、見解を示されたい。
三 政府は、イスラエルによるヨルダン川西岸地区への入植活動は国際法違反であり、「現状を変更するような一方的な行為」として認められないとの立場を取っている。しかし、「力又は威圧による一方的な現状変更」との言葉を用いて批判したことはない。
当該入植活動は、他国の事例で用いる「力又は威圧による一方的な現状変更」に該当するか示されたい。該当する場合、同じ言葉を用いたロシアによるウクライナ侵略等と同様に、厳しい外交的非難や措置を講じてきたか示されたい。講じている場合、その事例を具体的に示されたい。該当しない場合、入植活動と他国の事例で用いる「力又は威圧による一方的な現状変更」との間に、どのような論理的な差異があるか、政府の認識を示されたい。
四 「力又は威圧による一方的な現状変更」を認めないとの主張は、特定の地域や国に限定されず、全世界について普遍的に行われるべきと考える。政府として、相手国との二国間関係の深浅にかかわらず、この主張を等しく行っているか示されたい。また、主張に一貫性を持たせるため、「力又は威圧による一方的な現状変更」の該当性に係る明確な基準は存在するか示されたい。存在している場合、その基準を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一、二及び四について
お尋ねの「力又は威圧による一方的な現状変更」については、政府としては、例えば、インド太平洋地域において、武力による威嚇や武力の行使その他の力による一方的な行為によって、領域の現状を一方的に変更して既成事実を作ろうとすること等を念頭に置いているものであり、従来からその試みに反対を表明してきているが、その性質上、明確な定義を定め得るものではなく、その基準等について一概にお答えすることは困難である。また、お尋ねの「他国の領土・領海への侵害のみを指すか、あるいは、武力や威圧を用いた他国の政治体制の転換や指導者の更迭(政権交代の強要)、殺害など、国家の主権や政治的独立を損なう行為全般を含むか」、「軍事力以外の手段を用いて他国の意思決定を不当にゆがめる行為」、「相手国との二国間関係の深浅」及び「主張を等しく行っているか」については、その意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
三について
お尋ねの「当該入植活動は、他国の事例で用いる「力又は威圧による一方的な現状変更」に該当するか」については、それぞれの事例における事情やその時点の国際情勢等が異なっていることから、単純に比較することは適切ではなく、一概にお答えすることは困難である。いずれにせよ、御指摘の「イスラエルによるヨルダン川西岸地区への入植活動」については、先の答弁書(令和六年三月十五日内閣参質二一三第六六号)一についてでお答えしたとおり、政府としては、ヨルダン川西岸における入植活動は国際法違反であり、即時かつ完全に凍結されるべきとの立場であり、イスラエルに対し、入植活動の完全凍結を累次にわたり求めてきている。