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社会保障国民会議の法的根拠及び議事録等の保存に関する質問主意書
参議院 第221回 第8号趣旨が明らかではない ×3
質問本文
令和八年二月二十六日、総理大臣官邸において第一回社会保障国民会議(以下「国民会議」という。)が開催された。配付資料によれば、「これまでの政党間での協議を尊重しつつ、国民の受益と負担に深く関わる「給付付き税額控除」や「食料品の消費税率ゼロ」を含めた「社会保障と税の一体改革」について、国民の皆様にも見える形で、丁寧かつスピード感をもって検討を進めるため、「国民会議」を設置」し、「政府と、消費税が社会保障の貴重な財源であるとの認識を有し、給付付き税額控除の実現に取り組む政党が、共同で開催」するとされている。また、「国民会議の庶務は、政府(内閣官房)並びに自由民主党及び野党の代表となる党において処理」するとされている。
国民会議は名称に「社会保障」との文言が付されているものの、議論の対象としては、給付付き税額控除及び食料品の消費税率ゼロのみが具体的に例示され、税制分野が中心であると思料する。一方、高市早苗内閣総理大臣は、税や社会保険料の負担と給付の関係を全体として一体的に考え、議論する旨、国民会議の議論の対象が社会保険料にも及ぶかのような発言を繰り返している。配付資料にも「給付付き税額控除の議論を進める過程で明らかとなった社会保障制度の課題等について、改めて調整の上、協議を継続する。」と記載されている。
令和八年三月二日の衆議院予算委員会において、豊田真由子委員は、法的根拠を持たない合議体が事実上の政策決定を担うことは、憲法の定める三権分立等の国家統治の大原則に抵触する可能性がある旨、国民会議の懸念点を指摘した。
以上を踏まえて、以下質問する。
一 国民会議では、給付付き税額控除及び食料品の消費税率ゼロについてだけでなく、年金、医療、介護等の社会保険料の負担と給付の関係についても検討する可能性はあるか、政府の見解を示されたい。
二 前記のとおり、豊田委員は、立法府でも行政府でもないところに、国家の重大政策に関する意思決定が事実上できるような法的根拠のない合議体ができてしまう旨発言し、三権分立の観点から強い懸念を示した。法的根拠のない合議体である国民会議が実質的な政策決定を担うことについて、憲法上の三権分立の趣旨及び国家統治の原則に抵触しないか、政府の見解を示されたい。
三 国民会議は、議事次第及び配付資料が内閣官房のホームページにおいて公開されるなど、外形上、政府が主催しているように見える。しかし、実際は、「政府と、消費税が社会保障の貴重な財源であるとの認識を有し、給付付き税額控除の実現に取り組む政党が、共同で開催」することとなっている。内閣官房が国民会議の庶務を処理し、議事次第等をホームページに掲載する法的根拠を示されたい。また、国民会議の運営のために必要な庶務等の経費について、予算の支出項目を明示した上で、支出の根拠を示されたい。
四 将来の検証を可能とするため、国民会議の議事録等は、公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)に基づく公文書等として適切に記録・保存・公開されるべきである。議事録等の記録が残されない場合、政策決定の過程を後世において検証する術が失われることになり、民主主義に対する著しい冒涜になると考える。国民会議の議事録等は公文書等に該当し、保存義務が生ずる文書に該当するか政府の見解を示されたい。
五 税制調査会は内閣府本府組織令(平成十二年政令第二百四十五号)第三十一条、社会保障審議会は厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)第六条第一項に基づいて設置されている。法的根拠のない国民会議の決定が、法的根拠のある税制調査会等における議論を拘束することはあり得るか、政府の見解を示されたい。国民会議の決定に拘束される場合、既存の法制度が形骸化すると考えるが政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねについては、令和八年二月二十七日の衆議院予算委員会において、城内全世代型社会保障改革担当大臣が「社会保障国民会議は、人口減少の本格化、少子高齢化の進展に加えまして、・・・物価上昇という新たな社会経済局面を迎える中、給付と負担の在り方などについて全世代を通じて納得感が得られる社会保障の構築に向けた国民的な議論を進める必要があるということでございます。議論の進め方としましては、まずは、給付つき税額控除と食料品の消費税率ゼロを同時並行的に議論を進め、・・・その際、給付つき税額控除の制度設計に関連する社会保障制度の議論、これを並行して実施いたします。その上で、給付つき税額控除の議論を進める過程で明らかとなった社会保障制度の課題等につきましては、改めて調整した上で協議をすることとしております」と答弁しているとおり、御指摘の「社会保険料の負担と給付の関係についても検討する可能性」はあるものの、いずれにせよ、同日の同委員会において、同大臣が「国民会議における議論の内容、範囲、進め方などにつきましては、御参加いただく各党とよく御相談しながら、今後進めていくもの」と答弁しているとおりである。
二について
「国家統治の原則に抵触しないか」とのお尋ねの趣旨が明らかではないが、「憲法上の三権分立の趣旨」「に抵触しないか」とのお尋ねについては、令和八年三月二日の衆議院予算委員会において、城内全世代型社会保障改革担当大臣が「国会に提出するまでの原案を政党間でしっかり協議し、政府もそこに入って、いろいろな事実関係の照会があったらしっかりお答えする。・・・最終的には政府としての案を決定して、必要な法案についてはしっかりと国会に提出した段階で十分な御審議をしていただくことになっており(中略)国会の審議によって最終的に決めていただく(中略)これは丁寧に民主的なプロセスでやっていると思いますので、・・・何か三権分立に関する懸念には全く当たらないというふうに理解しております」と答弁しているとおりである。
三の前段について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「社会保障国民会議」の令和八年二月二十六日に開催された第一回の資料一「社会保障国民会議について」(以下「資料」という。)において、「国民会議の庶務は、政府(内閣官房)並びに自由民主党及び野党の代表となる党において処理」することとされており、具体的には、政府内においては、内閣法(昭和二十二年法律第五号)第十二条第二項第四号の規定に基づき、「行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画及び立案並びに総合調整に関する事務」をつかさどる内閣官房が庶務を担当し、また、御指摘の「ホームページ」の「掲載」については、政府と各党との協議を踏まえ、現状においては、内閣官房が行っているところである。
三の後段について
お尋ねの「支出の根拠」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「国民会議の運営のために必要な庶務等の経費」は、令和七年度一般会計予算に計上している(組織)内閣官房(項)内閣官房共通費(事項)内閣官房一般行政に必要な経費(目)庁費等から支出しているところである。
四について
御指摘の「国民会議の議事録等」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、「国民会議の議事録」については、御指摘のように「公文書等に該当し、保存義務が生ずる文書に該当する」ものであると考えている。
五について
御指摘の「税制調査会」は、内閣府本府組織令(平成十二年政令第二百四十五号)第三十三条に基づき、「内閣総理大臣の諮問に応じて租税制度に関する基本的事項を調査審議すること」等の事務を、御指摘の「社会保障審議会」は、厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)第七条に基づき、「厚生労働大臣の諮問に応じて社会保障に関する重要事項を調査審議すること」等の事務をそれぞれつかさどることとされている一方で、御指摘の「社会保障国民会議」は、資料に示されているとおり、「国民の受益と負担に深く関わる「給付付き税額控除」や「食料品の消費税率ゼロ」を含めた「社会保障と税の一体改革」について・・・検討を進める」ことをその趣旨としているところ、当該会議における議論が、御指摘のように「税制調査会等における議論を拘束する」ものではないと考えている。