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火力発電設備の輸入に関する質問主意書
参議院 第24回 第11号お答えすることは困難 ×1
質問本文
一、いわゆる火力設備の輸入については、昭和二十七年関西電力、九州電力、中部電力、続いて翌年東京電力と相次いで火力借款による輸入が行われた。この発電設備については、当時国内資金調達の関係と国産化困難などの条件からサンプル的性格のもとに輸入されたと承知している。ところで最近東京電力はじめ関西、中部電力が相ついで、火力借款による大規模、高性能の火力設備輸入を計画しているが、政府は、このようにつぎからつぎへと設備が輸入されるのに対して如何なる対策をもつているのか、具体的に明示せられたい。
二、今回輸入を要請せられているのは、
東京電力(千 葉)
一七五千KW
一組
中部電力(新名古屋)
一五六千KW
一組
関西電力(中 央)
一五六千KW
一組
の三台で、既に本年一月電源開発審議会において三十年度着工分として決定し、その輸入についても主要な部分は諒承済だと聞いている。また三十一年度には一五万六千KW、二〇万KW各一台の輸入も申請されんとしている。
ところで、わが国の火力発電設備の生産能力は年間八〇万KWであり、最近三ヶ年の生産実績は年間四〇万KWで、四〇万KWの生産余力がある。このため各メーカは海外に輸出するため懸命の努力を払つているにも拘わらず、わずかな性能の相違を理由にこの程プラントを輸入することは、欧米にも全く例がなく、国辱的な輸入であると考えるが、政府の見解をうけたまわりたい。
三、火力設備の大容量化、高温高圧化は国際的傾向ではあるが、今回輸入されるような設備は、まだ欧州諸国ではほとんど実例がないといわれる。アメリカにおいても現在建設中の火力発電設備一〇二台、二、二〇〇万KWのうち、一六九汽圧五六六度(摂氏)級の設備は六台で、一二〇万KWと五%にすぎない。イギリスでも一〇五汽圧級のものが圧倒的に多いのである。ところで、現在国産品(製作中)の最高のものは一二万五千KW、五三八度(摂氏)一二七汽圧である。
しかも米英両国はともに火力本位の国であり、供給地域のせまい、しかも水力設備を主体とした日本で、この種の大容量ユニツト設備を輸入することは極めて疑問に思うが、政府の見解を聞きたい。
四、前の世銀借款でも明らかなように、アメリカからの輸入品は極めて割高である。とくに四、〇〇〇万ドル以上にのぼる今回の輸入方法は各社とも特命発注でこの種プラント輸入の場合の国際的慣例を無視した方法がとられている。極端にいうなら米国業者のいうがままで買入れようというわけであるが、公益事業である電力事業が、このような態度であつてよいかどうか。政府の見解をただしたい。
五、輸出振興を経済自立のための重要国策とし、国産愛用を公約してきた政府は、これらの発電設備を輸入することが多額の国費を支弁している重機械プラントの輸出に大きな障害となることを果して十分検討されているのかどうか明示せられたい。また政府は電力会社に対して国内産業育成の立場から電機製造業者と忌憚なく相談し、これを指導するよう善処すべきであると考えるが、こうした指導措置をとつているかどうかも併せてうけたまわりたい。
六、東南アジア諸国においてすら、不充分ながらも自国で生産の見透しがついたものは輸入を禁止して、国産の奨励を行つている実情である。十七万KWの火力設備にしても政府の適切な指導と援助が平行して行われるならば、製作も決して不可能ではないと考えるが、採算本位で輸入を許可するようでは、国産愛用も空念仏に終り、経済自立も極めて困難となるが政府の見解如何。
七、今回の輸入機は三十三年度の渇水期に補給せんとする計画と聞くが、米国のメーカーは発電機器に対し、その生産能力の二ケ年以上の手持工事を所有している。三十三年冬期渇水期までに完成する保証を有するかどうか。政府の見解如何。
八、政府はこれら設備の輸入に対し、二〇億円を超える輸入税を免除する予定だと聞くが、かかる輸入は禁止すると同時に既に決定しているものに対しても輸入税を課し、その一部を国産化の研究費にむけることが国内産業の発展のためにも極めて有用であると考える。これに対する政府の見解をうけたまわりたい。
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政府答弁書
一、今回輸入が許可された三火力発電設備は、その建設の必要性が去る一月の電源開発調整審議会で認められたものであるが、同設備は大容量高能率のもので国産によることが不可能であつたため、止むを得ず必要最少限の部分についてのみ輸入を認めたものである。
しかし、かかる規模のものにつき今後無制限に輸入を認めることは望ましいことではないので、これが対策として、政府としては電機メーカーに対し早急に二〇万KWまでの国産体制を整備するよう指導しており、メーカーもまた努力しているので、近く二〇万KWまでのものの受注が可能となる見込である。
二、現在国内電機メーカーの生産能力は年間八〇万KWであり、量的には十分の供給余力を残しているが、いわゆる火主水従的な考え方が濃くなるにつれて新鋭大容量火力設備へと需用者の要求は高度化してきたのであり、メーカーとしてこれに応じ得る体制は未だ十分整つているとはいい難い。
現在国産品の最高は、東京電力千葉火力発電所の二号機、一二五、〇〇〇KW、一二七汽圧、五三八度Cであるが、今回輸入されるものは一五六、〇〇〇乃至一七五、〇〇〇KW、一六九汽圧、五六六度C級で、これをすべて国産によつて製作することは差当り困難であるので、必要な範囲において主要機器の輸入を認めた次第である。
三、従来におけるわが国の電源開発は、水力設備の開発が主であつたが、(1)開発が進捗するに伴い有利な水力地点の残されたものは漸減するに至つたこと、(2)火力の建設費は水力のそれの約二分の一の低廉さであること、等の事情から火力設備の建設に開発の重点が指向されるようになつたが、新鋭大容量高能率の火力発電設備をベースロードに入れ、ピーク用として大貯水池式の水力発電所を当てるという運転方式を採用する場合には、発電コストは水力による場合よりも低廉となり、ひいては開発に伴う電気料金の高騰を抑止し得るという利点がみられることは事実である。もちろん政府は、新鋭火力であれば無条件にこれを認めるという方針をとつているものではなく、需給上からみて当該設備が必要不可欠のものであり且つ高い稼動率を以て所期の運転を可能ならしめるものであるか否か、故障その他の事情で万一運転が止つた場合系統的にみてこれが十全の対策がたてられているか否か、更に又当該設備の導入の経済効果か大きいか否か、等種々の観点から十分な検討を加えた上で新設を認めているのである。このような観点からみて新鋭大容量火力設備の建設が必要不可欠だという結論が出た場合には、これが国産可能なものはもちろん国産によるべきであるが、最新高能率のもので国産不能のものについてはその必要最少限の部分についてのみ輸入に仰がざるを得ないものと考えるのであり、現に今回の三火力についてもこの方針に従つて最少限度の輸入を認めたのである。
四、電力会社が火力設備の輸入をするに当り競争入札によらず特命発注によつたのは、(1)今回のような大容量発電設備のユニットとしての受注が可能な会社は欧州にはなくて米国に限られていること、(2)東京、中部各電力会社がG・Eに、関西電力がW・Hに特命発注したのは、それぞれ前回これら外国メーカーからの輸入の実績を有している関係から、お互いの事情もよく分り信頼しうること、等の理由に基くものである。又価格については、ボイラー等下請部品の発注先その他値引の交渉等において充分の交渉を行うよう政府としても指導を行つたし、電力会社もこれに従つて努力をしたので、決して割高なものを買わされたとは考えていない。
五、政府としては、今回の火力発電設備の輸入がわが国重機械プラントの輸出に大きな障害となるものとは考えていない。
又政府としては、できるだけ国産機械を使用するよう電力会社を指導しており、現に今回の輸入に当つても国産不能の必要最少部分についてのみ輸入を認めた次第である。
六、政府としても国産愛用の趣旨については全く同意見であるが、今回の新鋭火力は現状においては国産不能で輸入に仰がざるを得なかつたのであるが、一に述べたごとく可及的速かにかかる設備の国産が可能になるよう電機メーカーを指導しつつある。
七、今回の輸入火力発電設備は、昭和三三年一〇―一一月の渇水期に間に合わすためのものであるが、工期的にみて輸入機械の引渡が遅延するために運転開始がおくれることは無いものと考える。さきに電力会社とメーカーとの間に締結された「販売並に信用供与に関する契約書」によつても、タービン発電機は昭和三三年一月までには引渡しがされることになつているので、据付、試運転の期間を考慮に入れても三三年度の渇水期までには運転を開始できるものと思われる。
八、本件に関する火力発電設備の関税の免除については、実際の輸入がなお将来の問題であるので、今後の同種機械の国産状況等を充分に検討した上、慎重に決定することといたしたい。
なお、火力発電設備に関する関税の一部を、直接、国産化の研究費に充てることは、関税に目的税の性格を持たせることとなるので、賛成し難い。
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