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火力発電所の排煙による梅の立ち枯れ及び人体への影響に関する質問主意書
衆議院 第151回 第90号承知していない ×4
質問本文
一 関西電力御坊火力発電所の排煙の影響を検討するために
和歌山県南部地方の梅の産地において、梅の立ち枯れ被害が集中的に発生していますが、その原因を科学的に究明していく上で、関西電力御坊火力発電所の排煙の中に、どのような物質が、どれ位の割合で含まれていたのか、それが梅の生育にどのように影響を与えているのかなどについて、事業を承認した政府と事業者である関西電力には、一つ一つ検討して事実を究明する責任があります。
そこで環境省と資源エネルギー庁において、それぞれどのような研究を行ったかも含めて、以下の事項について説明されたい。
1 八〇年からの御坊火力発電所の稼働率と地元農協の梅の収穫量及び収穫率は、何%の範囲で相関関係が認められるか、或いは認められないかを説明されたい。
2 同発電所の排煙脱硫方式について、どういうものか原理及び設計性能を含めて説明されたい。(湿式か乾式か。二酸化マンガン法か他のどんな方式か。金属酸化物を利用の場合はどんな酸化物か化学記号で表示。)
3 同発電所の排煙脱硫装置と電気集塵機を設置後、これらの装置を通過して出てきた硫黄酸化物濃度の推移、またマンガン(Mn)濃度の推移を使用した原油の硫黄含有率の推移と比較して、脱硫効果が何%程度のものであったか説明されたい。
4 上記3の解明に当たって原油を使用した産油国名と使用量、硫黄含有率、原油価格等の推移(概ね月ごと)を説明されたい。
5 環境省と経済産業省資源エネルギー庁において、梅の立ち枯れ被害の訴えを聞くようになって以降、それぞれどのような研究を行ってきたか。
二 電力自由化に伴う神戸製鋼の売電事業と市民への健康影響について
電力自由化に伴う神戸製鋼の売電事業で年間三三六万トンの石炭を燃料とする石炭火力発電が行われようとしている。私は、すでに九九年四月二〇日の衆議院商工委員会で、「電気事業法及びガス事業法一部改正案」の審議の時に質問し、当局は硫黄酸化物及び二酸化炭素の総排出量が増加することを答弁で認めていました。
これら環境汚染物質が増加することは、市民の健康に影響を及ぼすことになります。そこで当然、経済産業省資源エネルギー庁と環境省において、どれ位どのように市民の健康に影響が及ぶかということについて究明してきた事と思いますが、環境影響物質と健康影響についてのデータを公開するべきであります。
1 これまでは発電所による公害発生とそれに伴う被害について、電力会社が責任を負うことになっていたが、電力自由化によって売電企業の発電所による公害発生と被害に対する責任はどこにあるのかが問題になります。
環境問題等に責任を負う企業間の分担について、発電機から変電所までの送電線を含めて神戸製鋼の設備なのか、発電機までが神戸製鋼の設備であってそれ以降は関西電力の設備という扱いなのか。
それはまた、財産上の責任区分と環境上の責任区分とは完全に一体のものと見て売電側の神戸製鋼にのみ環境問題での責任があるとみるのか、買電側の関西電力にも当該発電所による環境問題に責任があるとみるのか、政府の見解を求めます。
2 神戸製鋼の売電価格には当然公害対策費が含まれないと、環境悪化を招くことになるのは明白です。経済産業省はどの様な指導を行っているか。また関西電力はどういう基準を示して公害対策装置を設置させているか。
3 神戸製鋼の火力発電設備で燃焼する石炭に含有された重金属がもともと幾らで、燃焼を通じて幾らが大気中へ、幾らが水中へ排出し、灰の中には幾らが残るのかを説明されたい。
なお、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)に基づいて、上記重金属の運転時のデータをインターネットで公開するという姿勢が求められると思うが、米国TRI法のようにインターネットで公表させるのかどうかについても明らかにされたい。
4 同発電設備の固定発生源固形物濃度について、浮遊粒子状物質の高温時の測定データにはガス状物質を含むために正確な値は得られにくいから、常温の測定値に直す時に、平均して1・5倍化濃度とする必要があると環境省は示しているが、この方式での濃度(常温換算測定値)で発表するのはいつからか。
なお、過去のデータの扱いはどのようにするのか。
5 環境省と経済産業省資源エネルギー庁は、汚染物質の増加による住民の健康への影響がどのように変化していくとシミュレートしているのか、根拠となる計算式などを示して説明されたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
関西電力株式会社(以下「関西電力」という。)の御坊発電所(以下単に「御坊発電所」という。)の運転が開始された昭和五十九年度以降における御坊発電所の稼働率(年間発電電力量を発電設備容量及び年間時間数で除し、百分率で表したものをいう。以下同じ。)は、別表一のとおりである。また、御坊発電所が所在する和歌山県御坊市並びにその周辺の地域で梅の木の立ち枯れが観測された田辺市、日高郡及び西牟婁郡に所在する農業協同組合の梅の出荷量については承知していないが、これらの地域における昭和五十五年度以降の梅の年間の収穫量(以下単に「収穫量」という。)及び十アール当たりの収量(以下「単収」という。)は、別表二のとおりである。
稼働率と収穫量との間及び稼働率と単収との間の関係について、昭和五十九年度から平成十一年度までの間において単純回帰分析したところ、稼働率と収穫量との間の相関関係を示す自由度修正済決定係数は二十・六パーセント、稼働率と単収との間の同係数は〇・六パーセントであった。また、前者については有意水準五パーセントで有意と認められたが、後者については同水準で有意と認められなかった。
収穫量及び単収は、着果量、せん定状況等の栽培要因、降水量、気温等の気象要因、保水性、施肥状況等の土壌要因等の多くの要因に影響されることから、単純回帰分析の結果のみによって、稼働率と収穫量との間及び稼働率と単収との間の相関関係を判断することは適当ではないと考えている。
一の2について
御坊発電所には、その運転開始時から現在に至るまで、排煙脱硫装置は設置されていない。
なお、現在、御坊発電所の三号機では、排煙脱硫装置の設置工事が平成十四年十月完成の予定で行われており、当該排煙脱硫装置の脱硫方式は石灰石こう法による湿式脱硫方式で、その設計上の脱硫効率(排煙中の硫黄酸化物のガス量に対する排煙脱硫装置によって除去される硫黄酸化物のガス量の比率をいう。以下同じ。)は九十九パーセントであると聞いている。
一の3について
御坊発電所には、その運転開始時から現在に至るまで、電気集じん器は設置されているが、排煙脱硫装置は設置されていない。このため、これらの装置を通過して出てきた硫黄酸化物濃度の測定及び脱硫効率の算出を行うことはできない。なお、御坊発電所の排煙中のマンガン濃度の推移については、承知していない。
一の4について
御坊発電所では、原油、重油等を発電の燃料としており、これらの燃料の硫黄含有率の加重平均値は、〇・一パーセント以下であると聞いている。これらの燃料のうち、原油の年度ごとの使用量及び油種別の硫黄含有率の加重平均値の推移は、別表三のとおりである。また、当該原油の産油国は、インドネシア、中国等であるが、その購入価格については、承知していない。
一の5について
経済産業省及び環境省においては、御坊発電所の排煙が梅の生育に与える影響について研究を行っていない。なお、和歌山県が設置したうめ対策研究会により平成十二年三月に取りまとめられた報告書及び関西電力と紀南農業協同組合が共同して設置した梅生育障害対策研究会により平成十二年四月に取りまとめられた報告書においては、御坊発電所の排煙と梅の生育不良との間に関連性はない旨の結論が示されているものと承知している。
二の1について
電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条第一項第十二号に規定する卸供給事業者(以下「卸供給事業者」という。)の発電に伴って生ずる公害の民事責任の負担の在り方については、個別具体の事例に即して判断されるべきものであることから、答弁を差し控えたい。
なお、関西電力と株式会社神戸製鋼所(以下「神戸製鋼所」という。)との間の「卸供給電力受給契約書」においては、「神鋼の構内に神鋼が施設した二百五十kVの第一遮断器の関電側接続点」を「保安責任分界点」及び「財産分界点」とし、「神鋼は、自己の責任において、法令を遵守して供給設備の管理・補修を行い、関電は、自己の責任において、前述の保安責任分界点以降の設備の管理・補修を行うものとする。」と定められていると聞いている。
二の2について
関西電力に対する神戸製鋼所の電気の卸供給に係る料金は、関西電力が実施した入札に応じて神戸製鋼所が落札した供給条件の一内容として定められている。当該供給条件は、神戸製鋼所において決定したものであり、経済産業省において、神戸製鋼所の電気の卸供給に係る料金等について指導を行ったことはない。
なお、通商産業大臣の諮問機関である電気事業審議会需給部会電力基本問題検討小委員会が平成六年十二月七日に通商産業大臣に答申した中間報告においては、一般電気事業者に対し、入札により卸供給事業者を選定するに当たって応札者が提示した卸供給事業の環境特性等を考慮すること等を求めている。
関西電力の「電力卸供給入札募集要綱」においては、応札者に対し公害対策のための特定の装置を設置することを求めていないが、応札者によって設置する発電設備が、大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)等の環境保全に係る関係法令で定める基準に適合しているものであること等を求めている。
二の3について
神戸製鋼所の神鋼神戸発電所(以下「神鋼神戸発電所」という。)で使用される石炭中の重金属の含有量、燃焼によって大気中又は水中に排出される重金属の質量及び灰の中に含まれる重金属の質量については、承知していない。なお、神戸市環境影響評価等に関する条例(平成九年十月神戸市条例第二十九号)により、神戸製鋼所において、神鋼神戸発電所の運転開始後に、神鋼神戸発電所で使用される石炭中の重金属の含有量及び大気中に排出される重金属の濃度について測定し、その結果を神戸市へ報告しなければならず、同市においてこれを公表するものとされ、また、同市と神戸製鋼所との間で締結された環境保全協定書により、神戸製鋼所において、神鋼神戸発電所の運転開始後に、水中に排出される重金属の濃度について測定し、その結果を同市へ報告し、同市においてこれを公開できるものとされていると承知している。
特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成十一年法律第八十六号)においては、第一種指定化学物質等取扱事業者はその事業活動に伴う第一種指定化学物質の排出量等を主務大臣に届け出なければならず、経済産業大臣及び環境大臣は届け出られた排出量等を集計し、集計した結果を公表するものとされている(同法第五条及び第八条)。また、個々の第一種指定化学物質等取扱事業者が届け出た排出量等については、同法第十条及び第十一条の規定に基づき、主務大臣において、開示請求に応じて開示するものとされている。したがって、神鋼神戸発電所で使用される石炭に含有される重金属について、当該重金属が同法で定める第一種指定化学物質に該当し、かつ、その質量及びその含有率が特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律施行令(平成十二年政令第百三十八号)で定める要件に該当する場合には、開示請求に応じて経済産業大臣又は環境大臣が当該重金属の排出量等を開示することとなる。なお、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律においては、第一種指定化学物質等取扱事業者に対して、お尋ねのような事項について、インターネットを通じて公表する等その公表を義務付ける規定は存在していない。
二の4について
御指摘の環境省の見解が何を指すのか明らかではないが、環境庁が設置した浮遊粒子状物質総合対策検討会が平成十一年六月に取りまとめた報告書においては、工場の煙突等からガス状物質として排出されたものが周辺の大気によって急速に冷却され凝縮して粒子状物質となる場合、その量は、ばいじんとして排出された粒子状物質の量の約半分に相当するとの調査結果を示しているところである。しかし、同報告書において、浮遊粒子状物質の測定について、御指摘のような「常温換算測定値」を用いるべきことを提言しているものではない。
二の5について
神戸市は、通商産業省から平成九年度に電源開発促進対策特別会計法(昭和四十九年法律第八十号)及び電源開発促進対策特別会計法施行令(昭和四十九年政令第三百四十号)に基づく補助金の交付を受けて、神鋼神戸発電所の二号機の運転の開始が予定されている平成十六年度の翌年度の平成十七年度における周辺地域(発電所の建設が計画されている地点を中心とする半径三十キロメートル以内の地域をいう。以下同じ。)の大気汚染の状況の見込み等について、総合的な調査を行い、その結果を平成十年三月に神戸地域大気環境影響調査報告書(以下「報告書」という。)として取りまとめた。
報告書は、大気汚染の予測等に係る科学的知見をまとめた「窒素酸化物総量規制マニュアル」(平成七年九月環境庁大気保全局大気規制課編)、「産業公害事前調査における大気に係る環境濃度予測手法マニュアル」(昭和六十年三月通商産業省立地公害局編)等に示されている計算式を参考として用いているものと承知している。
環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条の規定に基づき、二酸化硫黄については「大気の汚染に係る環境基準について」(昭和四十八年環境庁告示第二十五号)において、また、二酸化窒素については「二酸化窒素に係る環境基準について」(昭和五十三年環境庁告示第三十八号)において、それぞれ人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準が定められている。報告書によれば、周辺地域では、平成十七年度における二酸化硫黄の一日平均値(一時間値の一日平均値をいう。以下同じ。)は最大で〇・〇一七五四ピーピーエム、二酸化窒素の一日平均値は最大で〇・〇五六九ピーピーエムとなり、それぞれこれらの告示で定める基準を下回るものと予測されている。
また、報告書によれば、神鋼神戸発電所から排出される浮遊粒子状物質の着地濃度(浮遊粒子状物質が地表に到達すると予測される地点での濃度をいう。以下同じ。)は、最大一立方メートル当たり〇・〇〇〇〇二ミリグラムであり、当該着地濃度は、当該着地濃度と平成六年度に測定された周辺地域における浮遊粒子状物質の濃度との合計の〇・一パーセントにすぎないものと予測されている。このことから、政府としては、神鋼神戸発電所から排出される浮遊粒子状物質の周辺地域の環境に与える影響は小さいものと判断している。
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